音への妥協のなさこそが〈ホ。フェス〉の矜持
〈白味噌ステージ〉に姿を現したのは、雨宮未來と梶原パセリちゃんによる男女2人組ユニット、NaNoMoRaL。ちなみに、このNaNoMoRaLは、〈ホ。フェス〉の第一回から出演している皆勤賞のアーティスト。日々の生活をすくい上げるような歌詞と、穏やかなアンサンブルとまっすぐな歌声が、美しい日々をそっと照らし出し、フロアに温かな光を落とした。ときにユーモアを交えるフリーなMCで場を和ませると、このフェスの盛り上げのために、きのホ。の小花衣こはるが弾き語りしてくれた「ビューティフルデイズ」を披露。そして最後に披露した「エンドエンドロール」では、大きな大合唱を巻き起こし、〈ホ。フェス〉を大きな多幸感に包み込んだ。
轟音のSEに包まれて〈黒七味ステージ〉に登場したのは、シューゲイザーを軸に新たな表現を切り拓くアイドルグループ、RAY。オルタナ色の濃いサウンドを「アイドル」というフォーマットでポップに提示する彼女たちのステージは、爆音でありながらもどこかキャッチーに映る。KBSホールを揺らすディストーションの波に包まれながらも、どこか温もりを感じるパフォーマンスだった。ここまでの音圧を心地よさへと昇華したのは、音響チームの力でもある。音への妥協のなさこそが〈ホ。フェス〉の矜持だと実感させる瞬間だった。



RAYは、アイドルシーンとは異なる界隈とのコラボレーションや対バンを行い、意図的にバンドとアイドルの壁を壊そうとしているグループであり、そこはきのホ。が〈ホ。フェス〉で行なっているところとも重なる部分だ。〈ホ。フェス〉は、アイドルグループの主催フェスでありながら、これまで紹介した以外にも、愛はズボーン、アルカラ、忘れてモーテルズ、SAKANAMON、と骨太なロックバンドが並ぶのも〈ホ。フェス〉の大きな特徴。またアイドルも、美味しい曖昧、カイジューバイミー、くぴぽと、かなり幅が広い。「ジャンルの壁など最初から存在しない」と言わんばかりの自由さは、きのホ。が音楽そのものを愛しているからこそ、生まれる風景なのだろうと思った。


「愛」や「気持ち」が溢れ出す
〈ホ。フェス〉DAY1も後半戦。白味噌ステージにて、摩訶不思議なサウンドを展開したのは、4人組キネマポップバンド、カラコルムの山々。ドラムのぐら(桜寝推し、とのこと)が生み出す、7拍子の変則ビートに奇想天外な言葉が躍る「大仏ビーム」は、観る者に鮮烈な衝撃を与えた。ライブ中盤には、妖精のような佇まいの御堂莉くるみがコラボ出演し、「パリのアメリカ人を聞いた僕のある夜」をパフォーマンス。その後も1曲のなかにあらゆるジャンルを詰め込んだかのような超展開を連発。ベテランが名を連ねたこの日のラインナップのなかで、最も強烈な爪痕を残した若手は彼らだったかもしれない。
メンバーの強い希望で初出演となったのが、Helsinki Lambda Club。軽やかで心地よいロックサウンドが会場の温度を絶妙に整えていく。ベーシスト・稲葉航大が膝と顔まで使い倒すベースソロで沸かせると、その後も怪しげで自由なサウンドを重ね、国境もジャンルも横断するようなごった煮のグルーヴを創出した。同じく初出演となったネクライトーキーも、メンバーたっての希望でのブッキング。奇想天外なサウンドとどこまでも率直な歌は、きのホ。の楽曲とも高い親和性を感じさせた。ボーカルのもっさは「きのホ。は、はじめましてなんですが、ライブ映像を観てたら夜更かししちゃった」と告白し、「歌に想いが乗ってる」とリスペクトを口にする姿が印象に残った。そしてその歌声は、会場の奥まで真っ直ぐ届くかのように、魂を帯びていた。




地下の〈おばんざいステージ〉では、プロインタビュアーの吉田豪によるトークイベントも実施。メルクマール祐(カイジューバイミープロデューサー)、Mr.PAN & TOMOVSKY、NaNoMoRaL、大黒メロン(RAYプロデューサー)らを迎えた濃密なトークは、このフェスならではの“学び”と“裏側”を提示した。なお吉田豪はこの後、東京でオールナイトのイベントに出演したというのだから、その体力にも驚かされた。
〈白味噌ステージ〉のトリを飾ったのはTOMOVSKY。ベーシスト、シチロメグミとの2人体制で「俺たちふたりしかいないけど、心の音圧はバンドさん以上だよ!!」とユーモアたっぷりに宣言。「3度目のハタチ」、つまり還暦を超えたと明かしながら、「トモフには時間がないの!」「でもやりたいこともそこまで残ってないの」とブラックジョークで笑わせる。その歌声は不思議なほどダイレクトに胸へ届き、自然と涙を誘う。ラストの「我に返るスキマを埋めろ」では、「サビ係を京都で調達しました!」とNaNoMoRaLが登場。重なる声が、ピースフルでハートフルな時間を生み出した。


そして初日の大トリは、もちろんきのホ。が登場。椅子に腰かけ、歌だけをまっすぐ届ける新曲「オクトーバー」で静かに幕を開けると、「リビングデッド」で一気にヴォルテージを引き上げる。そして中盤、出演者を集めて披露した「傾いてる」のエピソードを振り返りながら、あらためて同曲をパフォーマンス。さらに「トワイライト」「アンバランス」「秋刀魚」へと続き、きのホ。が何よりも大切にしてきた「愛」や「気持ち」が溢れ出す。ラストは「相合傘」。桜寝あしたは神輿に乗って会場を周回し、観客の笑顔をかき集めるように手を振った。こうしてKBSホールは多幸感に包まれ、〈ホ。フェス2026〉の初日は、深い余韻とともに幕を閉じた。































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































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