海外でもちゃんと受け入れられるようなバンドになりたい
──なるほど。2曲目の“Khaosan”って、タイのカオサン通りのこと? タイにはよく行っているの?
橋本 : まだ2回しか行ったことがないんですけど、タイから刺激を受けることは多いですね。タイも音の気持ちよさっていう部分に通ずるものがあるので、キーワードとしてよく出てきます。
──そのタイ特有の気持ちよさは、どんな気持ちよさ?
橋本 : タイは、「微笑みの国」と言われていたり、海があったりっていう、そういうハッピーな目線の気持ちよさもあると思うんです。でも、もうちょっとタイをよくみると、すごく混沌としているし、格差もある。だけど、みんなが自分の持ってるカードで活き活きと生活しているというか、いろいろあるなかでもなんとなく楽しそうに暮らしてるなっていうバイブスは、僕が感じる気持ちよさに近いのかなと。
──この曲の音作りはどういったものを意識したんですか?
橋本 : binkiっていうイギリスのラッパーとか、ポストパンクっぽいビートに乗せたラッパーみたいな人にハマっていて。「ドドドドド」みたいな速いビートにラップを乗せるみたいなことをヘルシンキでやりたいなっていう明確なイメージはありました。
──5曲目“Mystery Train (feat. Wez Atlas)”には、ヒップホップアーティストのWez Atlasがラップで参加していますね。
橋本 : この曲を作っている段階で、僕がAメロを歌うよりも、誰かにラップしてもらったほうがいいなと考えていたんですけど、真っ先に思い浮かんだのが、Wez Atlasくんで。面識はなかったけど、声をかけさせてもらいました。だから最初の挨拶はリモートで、直で顔を合わせたのはレコーディングの日がはじめてだったかな。データをやりとりしていきながら、デモを詰めていきました。
──なぜ、彼に?
橋本 : 単純にファンなんです。声質も好きで。彼の曲は、ヒップホップのなかでも、はやめのビートの曲も多くて、さらに自然体でアーバンな雰囲気を持つラッパーだから、そのスタイルがこの曲にはまりそうだなと。
──フィーチャリングを入れるのは、バンドの成長という点で大事な要素ですか?
橋本 : そうですね。フィーチャリングをやっていくことで音楽的に広がっていったらいいですよね。Wez Atlasくんといざやってみて、いろいろ学ぶこともあったし、単純にすごいなと思うこともあったし。彼はまだ23歳くらいですけど、かなりスタイルが確立されているので、単純に刺激になります。
──ではラストの“夢で逢えたら”は、どういう曲になりました?
橋本 : いまこの空間が現実なのかどうかも、よくよく考えたらわからないなという曲です。だいたいの人は、現実は人生の基盤を置くところ、夢はお邪魔しに行くところ、というニュアンスで生きていると思うんです。でも、もしかしたら夢のほうに軸があるのかもしれないというところから着想を得ました。根幹を疑っていくことに近いですね。だからこの曲は、現実から夢に戻っていくイメージで作っていて。最後まで聴くと、夢を重ねてまた現実にいったように感じるけど、実際はどっちにいるか分からない感じを表現したくて。こういう不思議な雰囲気の曲は、今作の最後に欲しかったんです。
──なるほど。それがタイトルの『Hello, my darkness』っていうところに繋がっていくと。ヘルシンキは、来年で10周年です。これからどんな活動をしていきたいですか?
橋本 : 海外でも徐々にライヴができるようになっているので、海外でもちゃんと受け入れられるようなバンドになりたいです。国内だとフジロックは絶対出たい。あと今回のアルバムで、バンドのスタイルが若干見えてきたんです。気持ち良さみたいなものを追及していきながら、いろいろできたらいいなと思います。閉じこもらずに、大衆的なところへ行けるチャンスがあるなら行きたいなとも引き続き思っています。突破口的な存在に僕らがなれれば最高ですね。

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LIVE INFORMATION
Helsinki Lambda Club「Hello, my darkness」release tour “暗闇よこんにちは”
2022年
09月03日(土) 新潟CLUB RIVERST
09月04日(日) 仙台Darwin
09月09日(金) 名古屋Electric Lady Land
09月10日(土) 梅田TRAD
09月11日(日) 金沢vanvanV4
09月23日(金祝) 福岡DRUM Be-1
09月26日(月) 渋谷Spotify O-EAST
PROFILE : Helsinki Lambda Club
2013年夏に結成されたヘルシンキラムダクラブは、ボーカル・ギターの橋本薫を中心とした日本のオルタナティブ・ロック・バンド。 中毒性の高いメロディー、遊び心のある歌詞、実験的なサウンドは、一曲ではサーフロック、次の曲ではサイケデリックへと変幻し、音楽的ジャンルや文化の垣根を越える。2020年2月より、「Good News Is Bad News」の3曲を収録したCD-RをつけたTシャツをライブ会場限定で販売を開始し、同年3月に「午時葵」を配信リリース。11月25日にはセカンドフルアルバム「Eleven plus two / Twelve plus one」をリリースする。2022年7月13日、ミニアルバム『Hello, my darkness』をリリース。
■公式Twitter:https://twitter.com/helsinkilambda
■■公式HP:https://www.helsinkilambdaclub.com/