“できない僕じゃないと見れない景色“っていうのがある
──そして10月からシングルを3ヶ月連続でリリース中です。さっき「新木場でのツアーファイナルで一旦区切りがついた」とおっしゃていましたけど、第1弾「Be My Words」からまたニュー・モードな感じがしたんですよね。
橋本 : そうですね。まず昨年のアルバム『Eleven plus two / Twelve plus one』以降、その時々のやりたいことをやっていたら、どんどんジャンルレスなバンドになっていっちゃって。そのジャンルレスな部分をこの連続リリースでも出していけたらなと。
──「Be My Words」はどんな曲になりました?
稲葉 : 僕はこの曲がいちばん好きなんですよね。ジャケに写っているのは僕なんですけど、「今回は俺でいかせてください!」って懇願するくらい(笑)。いままでの薫さんの歌詞って、伝えたいなにかを別のなにかに置き換えてる歌詞が多い気がしてて。だけど、「Be My Words」はすごい直球って印象がまずありました。たまに僕のInstagramで質問を募集していて、ファンの方の悩みに答えているんですけど、でもそういう悩みって後になったら結局良い思い出になることが多いじゃないですか。最後に「無駄なことは何一つないさ」という歌詞がありますけど、本当にその通りだと思ったんですよね。あと個人的には「鳥のように飛べないけれど 見上げる空の色付きを知ってる」って歌詞がすごい好きで。
──どうして?
稲葉 : 僕は基本的にポジティブなんですけど、当然悩むときもありまして。例えば「もっとベース上手くならなきゃ!」とか「この人みたいにうまくないとベーシストとしてダメなんじゃないか」とか。そういうときに、この曲の歌詞を見て、“できない僕じゃないと見れない景色“っていうのがあるってすごく思えたんです。
橋本 : いま稲葉が「歌詞が直球」って言ってくれましたけど、特にこの曲はガラッと歌詞の書き方が変わったという自覚があって。だから完成したばかりのときは、いい曲だとは思えなかったし、自分のなかに馴染むのに時間がかかった曲ではあったんです。でも演奏したり、歌詞を繰り返し読んだりしていくうちに、ようやく馴染むようになりました。
──たしかにいままでにない感じがしますね。録音については、どうですか?
稲葉 : あくまでも生で録音したいという気持ちがあって。「Be My Words」も、“GNIBN II (feat. PEAVIS, CHAI)“もドラムやベースは基本的には生で録音したんですけど、その生ならではのヨレ感をリスナーに楽しんでもらいたいなって。
熊谷 : ギターは結構空気を読みました。シンセとか入れてみたり。曲にマッチしそうな音を入れた感じです。
──続いて第2弾「ベニエ」。これはもう、“極上のラヴ・ソング“っていうふうに聞いていますけど、あってます?
橋本 : そうですね。今回3ヶ月連続リリースシングルはどれも「ストレートな表現」というのが、新しいアプローチのひとつかもしれないです。だからこの「ベニエ」でも、“極上のラヴ・ソング“って言い切ってるんです。
──なぜストレートな表現に挑戦するようになったんですか。
橋本 : ひとつの試みとして、ただ単にポジティブな部分をストレートに出してみたいっていう気持ちがあったんだと思います。やっぱり100%ポジティブみたいな歌詞は書けないけど、発端としてはそういう“陽”の部分を全面に出したいって思って。たぶん世の中のムードの反映なのかもしれないです。やっぱりいまはコロナ禍で鬱屈した状況なので、その反動みたいなのは多分ある。だからやっぱりいまじゃなきゃ書けなかった曲だと思いますね。
──この曲はどうやってアレンジしていったんですか?
橋本 : 「ベニエ」のデモは弾き語りだったので、元はまっさらな状態だったんです。ここからどういうアプローチをすればメロや曲の雰囲気がいちばん立つかをすごく考えた結果、前にやっていた、ルーツである90年代的の洋楽的なアプローチに戻ることがいちばんフィットすると思ったんです。 ただ最近はわりと同時代的な音楽というのも強く意識していて。海外公演がきっかけのひとつではあるんですけど、気持ちいいビートとか、ベースとドラムの音の雰囲気はすごく大事だと思うので、抵抗なく取り入れるようになりましたね。
── 海外公演といえば、シカゴの音楽プラットフォーム〈Audiotree〉では4曲のライヴ映像が公開されましたけど、やっぱり海外での活動も視野に入れているんでしょうか。
橋本 : そういう気持ちはめちゃくちゃあります。自分が洋楽を聴いているときに感じる「言ってることがわからなくても気持ちいい」と感じることって、音楽の本質的な楽しみ方のひとつであると思うんです。歌詞の意味を取っ払った部分で楽しんでもらえるって、それは音楽そのものの力だなって。海外のリスナーが、歌詞の意味はわからないけど聴いていて気持ちいいってなってもらえたら嬉しいし、そういう景色を見ていきたいっていう気持ちはめちゃくちゃ強いです。
──冒頭で「来年以降のやりたいことも見えてる」って言ってたけど、最後に来年以降のモードについて教えてください。
橋本 : 来年以降は、やることをあえて絞って、そのなかでやりたいことを詰めていきたいです。まだ断言はできないんですけど、僕のなかではロックに回帰するというか、速い曲やうるさい曲をやりたいです。今年はコロナのムードもあって、リスナーとしても感傷に浸るというか、わりとゆったりした曲を自分自身も好んでいたと思うんです。このあいだの<ボロフェスタ2021>に出演させていただいたときに思ったんですけど、徐々に状況が良くなっているようには見えたんですよね。このままいけば来年以降は、もっとみんな元気になっていくし、自分もきっと同じように高揚するだろうし。そういうムードに向けて、ロックバンドらしいアッパーな音楽を作っていきたいと考えています。
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LIVE INFORMATION
teto × Helsinki Lambda Club TOUR 2021
"TAIKIBANSeeeee."
日程:2021年12月3日(金)
会場:川崎CLUB CITTA'
時間:開場 17:30 / 開演 18:30
料金:4,000円(+ドリンク代)
出演:Helsinki Lambda Club、teto
■チケット
ぴあ : https://bit.ly/3bsegg6
e+ : https://bit.ly/3nFOr1S
ローチケ : https://bit.ly/3BsRSOk
日程:2021年12月6日(月)
会場:渋谷CLUB QUATTRO
時間:開場 17:30 / 開演 18:30
料金:4,000円(+ドリンク代)
出演:Helsinki Lambda Club、teto
■チケット
ぴあ : https://bit.ly/3bsegg6
e+ : https://bit.ly/3nFOr1S
ローチケ : https://bit.ly/3BsRSOk
PROFILE : Helsinki Lambda Club
2013年夏に結成されたヘルシンキラムダクラブは、ボーカル・ギターの橋本薫を中心とした日本のオルタナティブ・ロック・バンド。 中毒性の高いメロディー、遊び心のある歌詞、実験的なサウンドは、一曲ではサーフロック、次の曲ではサイケデリックへと変幻し、音楽的ジャンルや文化の垣根を越える。2020年2月より、「Good News Is Bad News」の3曲を収録したCD-RをつけたTシャツをライブ会場限定で販売を開始し、同年3月に「午時葵」を配信リリース。
■公式Twitter:https://twitter.com/helsinkilambda
■公式HP:https://www.helsinkilambdaclub.com/