人って物事をふたつに分けて考えることが多いと思うんです。そういう考え方から脱したい
──なるほど。“Floating Sun”でも海のことを歌っていますよね。
はい。だけど、この曲は「海に浮かんでいる太陽」みたいな感じです。太陽が反射した、あのキラキラしている海のこと。イメージ先行でつくったので、抽象的だと思います。人って物事をふたつに分けて考えることが多いと思うんです。例えば、善と悪、肉体と精神、正義と悪とか。そういう考え方から脱したい、自由になりたいという気持ちで作りました。
──じゃあ歌詞に出てくる「5つめの手で撫でてくれる」の“5つ”って?
我々の体って同じものがふたつずつ備わっていますよね。肺や腎臓、目と耳、手足もそうですね。だけどヒトデは5本腕だし、五角形には見えないウニも殻の表面を見ると同じ形が規則正しく5つ並んでいるんです。よく考えると、これってすごくないですか? ちゃんと5つずつあるんですよ。
──うんうん。
ふたつずつが多い人間は物事をふたつに分けて、5つあるヒトデやウニは5を基準として考えているのかなって。
──すごい発想! いま話した曲は海がモチーフになっているけど、“Canopus”は星のことですよね?
Canopusは、北極星のだいたい反対にある、南極星のことです。多くの人は北極星を目印に進んでいきますけど、反対の南極星を目指してるような人って時々いるじゃないですか。その人にとっては、北極でも南極でもどっちでもいいのかなって気がするし、そういうのおもしろいと思うんです。北極星と南極星といっても、正確な位置は少しズレているらしいんですけど、そこも含めていいなと思って。
──“Something Here Isn't Right”について、きかせてください。
“Something Here Isn't Right”は、混乱しがちな人、ずっと考え続けちゃうようなキャラクターを想像しています。すごく探究心がある人の歌なんですけど、これは自分っぽい要素もあって。例えば歌詞の「My mind is creeping up the walls (日本語訳:私の意識は壁を這い上がって 自分がどんなに惨めかを見下ろしている)」というところとか。自分の意識が壁の上から自分のことを見ているというのは、自分もよく感じることなので。ヨガでいう体と心を繋ぎ止めるみたいな、あの感覚です。すごく戸惑いながらなにかを探し求めている体の部分は歌詞で、静けさとか冷静さを追い求めている心の感じを音像で表現しました。
──最後に“The Bell”について教えてください。
もう、ここまでいくと、人類が滅亡しているじゃないかっていう(笑)。
──そこまでの話なんですか!?
(笑)。ちょっと走馬灯っぽい感じになっちゃったんです。書いているうちにそうなってきちゃって。自分でも不思議な曲だなという感じです。でも許しというか、やっぱり全部飲み込まれていくというか。あまり感情とかない世界に最後は飲み込まれていくイメージがあって。
──なるほど。「本当は何も起こっていないことを願う」という最後のフレーズが結構インパクトがあるなと思って。どうしてもこの曲の歌詞を読みながらいまの戦争のこととか思い出してしまって。でもそれが最後希望に変わったので救われたというか。
そうですね。私は、その解釈ももちろん正解だと思います。
編集:梶野有希
ハイレゾ独占配信中!!
LIVE INFORMATION
Predawn”The Gaze”Release Tour
2022.05.13(Fri) 神戸 旧グッゲンハイム邸 *弾き語り
2022.05.29(Sun) 沖縄 OUTPUT *弾き語り
2022.06.10(Fri) 京都 磔磔 *弾き語り
2022.06.12(Sun) 金沢 もっきりや *弾き語り
2022.06.18(Sat) 福岡 LIV LABO *弾き語り
2022.06.19(Sun) 福岡 LIV LABO *弾き語り
2022.06.25(Sat) 新潟 ジョイアミーア *弾き語り
2022.06.26(Sun) 熊谷 モルタルレコード *弾き語り
2022.07.01(Fri) 仙台 retoro Back Page *弾き語り
2022.07.03(Sun) 札幌 PROVO *弾き語り
2022.07.16(Sat) 名古屋 得三 *バンドセット
2022.07.17(Sun) 大阪 Shangri-La *バンドセット
2022.07.23(Sat) 東京 キネマ倶楽部 *バンドセット
Predawnの過去作はこちらから
PROFILE : Predawn
シンガーソングライター清水美和子のソロプロジェクト。1986年新潟県生まれ、東京都郊外育ち。2008年からPredawnという名前でソロ活動を始める。完全自主制作盤として「10 minutes with Predawn」をライブ会場と一部店舗で販売し、1年半で約2000枚を完売させる。2010年6月に、作詞 /作曲/演奏 / 歌唱 / 録音をすべて一人で行った、1stミニアルバム「手のなかの鳥」をリリースし、日本全国でロングセールスを記録。その後、FUJIROCKFESTIVAL、SUMMERSONIC、RISINGSUNROCKFESTIVAL、apbankなど数々の大型フェスやライブ活動を重ねつつ、2013年3月に1stフルアルバム「A Golden Wheel」をリリース。発売した初週にオリコンインディーズチャートで1位となる。そして、2016年9月に2ndフルアルバム「Absence」をリリース。また、Rayons/andymori/QUATRO/Eccy/ MarbleSouns [ベルギー] /TurntableFilms / 菅野よう子/TOWATEI/大野雄二など、錚々たるアーティストの楽曲へのゲストヴォーカル参加、木村カエラとのコラボ、映像への楽曲書き下ろし、CM歌唱など、多岐わたって活躍している。
■公式Twitter:https://twitter.com/Predawn_staff
■公式HP:https://www.predawnmusic.com/