階段でちゃんと景色を見ながら登っていくべきグループ
——現在は〈DIRTY EPIC TOUR〉を回っている最中ですが、感触はいかがですか?
プー・ルイ:最近みんなが体調を崩してしまったことがあって、久しぶりに6人でライヴをしたときに、“フューチャー・スターダスト”を披露したんですよ。キャパでいうと300人くらいのライヴハウスだったんですけど、ひとりひとりの顔がちゃんと見れて、メンバーやRyan.B、METTY、ぶーちゃんズも含めて、それぞれと手を繋いで意思疎通をとれている感覚があったんです。私はこの感覚を増やしていくのが、私たちが目指す「売れる」ということなのかなと思うようになりました。お客さんとも手が離れたらダメ、Ryan.B、METTYとも手が離れたらダメなんですよ。
Ryan.B:手の繋がっている300人のお客さんが、そのままZeppやもっと大きな規模になるのが本当に理想的だと思います。
——このままPIGGSとしての姿勢がぶれることなく活動していった場合、最終的な規模感はどのあたりを目指しているんですか?
プー・ルイ:最終的に目指すべきなのは1万人規模の、横浜アリーナや武道館だと思うんです。でもそこを見すぎていたというか。現状300人規模でしか手を繋げていないのに、1万人とつながろうとしていた。だからしっかり規模も自分たちの中身も段階を踏んで大きくしていきたいですね。その先に横浜アリーナがあればいいです。
METTY:PIGGSはエレベーターに乗ろうとするんじゃなくて、階段でちゃんと景色を見ながら登っていくべきグループなんだと思います。それで大きくなったときに、ぶーちゃんズと思い出を共有できたらいい。そしてそのためには、もっとスタッフ間でも話し合うべきだなと思っています。
プー・ルイ:特にこの3人でも、まだ話し合いが足りていないですね。そこに気づいてから、急に喋るようになりました(笑)。
——会話は、チームで動くとなるとすごく大事ですよね。
プー・ルイ:会話をしなければ何を考えているのかもわからないし、そこに対して気を遣うのもよくないのかなと。もっともっと話をしていくことが大事だなと思いましたね。

——最近のメンバーの状況については、どうですか?
プー・ルイ:最近はメンバーみんなでキャンプに行きました。そこで自然と話す時間が増えたので、バラバラだという感覚はないです。メンバー間でも「たくさん会話をしなきゃな」と思っています。
——新メンバーのふたりについてはどうですか?
プー・ルイ:最近は、プー、BAN-BAN、SHELLME、KINCHANの絆が強すぎて、スー、BIBIに食らいついてきてほしいと思うことがありますね。練習とかはしっかりやってくれているので、PIGGSの芯の部分に対してもっとグイグイ来てほしいです。この問題はBIBIとスーが入った後、私が体調不良で倒れてしまって、2人とあまり話すことができなかったことも問題だったと思うので反省しています。この先はメンバーがいかに「自分がPIGGSだ!」という強い気持ちを持てるかが重要になってくると思うので6人でもっと家族みたいになっていきたいと思っています。
Ryan.B:新メンバーふたりは声がいいし、才能があると思うんですよ。でもまだステージ上でも振り切れていないような気がしますね。PIGGSはパンクっぽい曲も多いですが、そういう曲に気持ちを込められる人って、ステージの上でもしっかりお客さんと繋がれると思うんです。だからこそ絶対にファンの人を離さないという強い意識が大事だし、それがあればもっと良くなると思います。

——2月28日には最新シングル「街underworld」がリリースされます。このシングルに込めた思いやコンセプトを教えてください。
METTY:今回のビジュアル面でのコンセプトは「路地裏のドブネズミ」です。ブルーハーツの“リンダリンダ”じゃないですけど、「ドブネズミみたいに美しくなりたい」みたいな。ジャケットは実験用のドブネズミを解体して、人間より美し過ぎたのでファスナーで閉じて隠しているような感じです。衣装は「スタイリッシュネズミ男」をテーマに制作しました。ドブネズミの眼がピカッと光るようなイメージで反射板をつけたんですけど、試しに写真を撮ったらピカって光りすぎちゃって。これだとチェキの撮影会のときにメンバーの顔が全然見えなくなるので、プー・ルイのお母さんに急遽カバーをつけてもらいました(笑)。
プー・ルイ:私のお母さんは裁縫が得意なので、手伝ってもらいました(笑)。
——表題曲の“街underworld”のサウンドや歌詞はどのような思いを込めたんですか?
Ryan.B:サウンドはそのまま『RAWPIG』のものを引き継いでいますけど、メッセージはさらに踏み込んでいます。地上の世界では街でオシャレぶって歩いている人たちも、その裏では葛藤を抱えていることだってあると思うんですよ。今回の歌詞は、そういう葛藤を抱えながらも日々生きている人たちの気持ちを掬い上げようと思って書きました。PIGGSは街の下に蠢く弱い心を表現するグループでありたい、という僕の想いも歌詞には含まれています。
——なるほど。
Ryan.B:感情を爆発させるのにも色々あって、楽しい気持ちを爆発させるのか、悔しい気持ちを爆発させるのかは違うと思うんです。プーちゃんの歌を聴いていても、悔しい気持ちを爆発させている方が良いライヴになっている印象があるので、今回はそっちに振り切りました。
プー・ルイ:“街underworld”は、私がPIGGSの方向性に関する悩みにぶち当たったときにできた曲だったんですよ。表では繕って振舞っているけど、その裏ではどこかPIGGSの現状にしっくりきてなくて葛藤している自分がいて。それに、この曲のパフォーマンスに対して、私も他のメンバーも最初は難しく感じていたんです。SHELLMEが「いつもはプーちゃんがメンバーに曲への想いを伝えてくれていたけど、“街underworld”はなかったよね」と言っていて、その言葉にハッとしたんですよ。そこで自分の中での悩みが確信に変わったというか、ビジネスだけどビジネスじゃなくてもっと昔みたいにチームのみんなと近い距離でPIGGSをやりたいっていう自分の本当の気持ちに気づきました。
