INTERVIEW : プー・ルイ、Ryan.B、METTY

今回のインタビューは、本当に面白かった。彼女たちが決めた覚悟は、それで成功したら本当にかっこいいけれど、信じられないほどの努力が必要だし、めちゃくちゃ難しいことだと思う。でもこのチームの話を聞いていると、「なんかいいなぁ」って思いながら、不思議と応援したくなった。「街underworld」のPVもめちゃくちゃかっこよかったし、これはひょっとするとひょっとするんじゃないか!!!
インタビュー : 飯田仁一郎
文 : 西田健
撮影: 大橋祐希
まず「トガり」を思い出さないといけない
——PIGGSは昨年2023年10月29日に〈PIGGS SUCK OF FULL MONTY TOUR〉のファイナルをZepp Hanedaで開催しました。みなさんから見て、あの日はどんなライヴでしたか?
プー・ルイ:Zepp Hanedaのキャパを考えると集客は全然足りていなかったです。スーとBIBIが入って『RAWPIG』をリリースして、グループとして良い雰囲気を取り戻している時期でのファイナルで、その時にできる精一杯のことはやったし、悪くはなかった印象はあります。「またZepp Hanedaを満員にしたい」という目標はできたので、そういう面ではよかったのかな。
Ryan.B:あの日は、グループとしていちばんよくなかった時期を通り越して、上がっている途中だったという実感があります。アルバム『RAWPIG』ではPIGGSの核の部分を考えたような楽曲を書いたつもりだったし、新メンバーふたりもアグレッシヴで他の4人もさらに引き上げられていた。この1年半くらいが忘れられるようなライヴに見えました。
METTY:ライヴ自体は、悪くなかったですね。PIGGSは良いライヴをしていると思います。でも「PIGGSにしかできないライヴ」が、まだできていないなという感じでした。ずっとチームで考えてることではありますが。
Ryan.B:確かに。後から振り返って、RCサクセションの野音でのライヴのような「キャリアの中での明らかな転換点だったな」みたいなものでは正直なかったですね。次のツアー・ファイナルがそういうライヴになったらいいなと思っています。

——「PIGGSにしかできないライヴ」の答えはもう見つかっているんですか?
METTY:見えかけてきてはいると思ってます。
プー・ルイ:PIGGSの中で「良かった」と言われるライヴの中にヒントはあると思っています。例えば徒歩ツアー(〈WALK or PORK TOUR〉)のファイナルとか、EX THEATER (〈DEAR HUNTER TOUR〉のファイナル公演)、スー(SU-RING)やBIBIのお披露目は、自分たちとしても良いライヴだったんですよ。「PIGGSにしかできないライヴ」は、もっと精神的なところから出てくるんじゃないかと。
METTY:糸口としては、チーム感が大事なんじゃないかと思っています。PIGGSにおいては特に現時点ではもっとバンド的なスピリットで活動していくことが強みになると思います。それは「他の作家、クリエイターはいれない!」という意味ではないのですが。改めてこのチームでやっていくという部分を突き詰めることが、「PIGGSにしかできない」ことにつながっていくのかなと。

——ひとつのチームでプロデュースをしていくことが、PIGGSらしさに繋がるという結論にいきついたのはなぜですか?
METTY:やっぱりそこは熱量が大事なのかなと思うんですよ。チーム全員がPIGGSのメンバーという気持ちで、作品を作ることで熱量が生まれると思っています。その炎を大きくしていきたいです。
プー・ルイ:「もっと売れたい」ってよく言っているんですけど、ぼんやりしている言葉じゃないですか。例えばTikTokで流行るような曲を作ってバズってぶーちゃんズを取り残したまま売れるとか、すごいタイアップが決まったけどMETTYとRyan.Bを外さないといけないとかは、私たちにとって幸せな売れ方ではないと思うんですよ。この前、ちゃんみなさんのライヴで、バンドメンバーやスタッフさん、ダンサーを涙ながらに紹介しているシーンがあったんです。私が目標とする売れ方はこれだなと思いましたね。
Ryan.B:まあ売れたから幸せというわけではないし、売れることだけを目標にするのは今までで1度も考えたことがないですね。いろんな障壁がありながらも、このチームでやっていくという自分たちの姿勢を貫くのが、本当にかっこいいことなのかなと思います。でもよくなかった時期のPIGGSはその意志が流され、中途半端になっていたのかなと。
プー・ルイ:それはメンバーも含め、私たちチーム全員の精神性の話でもあるんですよ。『RAWPIG』のクオリティはすごかったですけど、『JUICYY』(セカンド・アルバム)を出した時期の一体感というか、うちら最高っしょ!?っていう一種の無敵感みたいな気持ちがまだ足りていない気はしています。気持ちはあるけど大人になってしまったというか、初期衝動を思い出したい気持ちが強いです。
Ryan.B:ここからあの頃の気持ちを取り戻すためには、まず「トガり」を思い出さないといけないと思っています。「私たちは攻めているんだぞ」という気持ちをまずは作らないと、熱い気持ちを生み出せない。もう1回その気持ちを作るための土壌を耕していくために『RAWPIG』というアルバムを作ったんです。
