声に人生が乗っかっている方が良い
——METTYさんはPIGGSのデザインも手がけられていますが、今回のジャケットにはどういう思いが込められているんですか?
METTY:「思いが溢れていく中で咲いていく花がある」というのが大きなテーマです。今回、咲く花がこのアルバム『RAWPIG』ですし、これを聴いてみんなに花を咲かせてほしいという思いを込めました。
——ジャケットに描かれているのは「目」なんでしょうか? それとも「芽」なんでしょうか?
METTY:ダブルミーニングです。「目」であり、「芽」ですね。ここに描かれているのは喜びや悲しみの「涙」であり、「怒り」でもあります。そこから綺麗な花を咲かせましょうという意味を込めました。実はこのジャケットには、100種類以上の動物の目を合成して重ねているんですよ。フリー素材の目も使っているし、自分で撮影した動物の目も使っています。他にも、ピグスハウスで飼っている犬のコタの目も重なっています。
プー・ルイ:え!? コタもいるの? 全然知らなかった!

——PIGGSは、SU-RINGさんとBIBIさんが加入したり、プー・ルイさんが休止していた時期に他のメンバーの歌唱力が上がったりと、歌声も以前とはかなり変化しています。Ryan.Bさんはいまのメンバーの歌声をどのように感じていますか?
Ryan.B:メンバーの歌唱力が上がったことで、選択肢が広がった感覚はありましたね。BAN-BAN はまっすぐな個性がさらに出てきたし、SHELLMEは単純に大きな声も出るようになりました。KINCHANも気迫が溢れるようになったので、パンク魂を感じさせれるようになったんですよね。それに新メンバーのふたりはロックな素養をもっているような気がしています。ふたりとも違う声質なので、違う曲でそれぞれ目立っていると思います。
——Ryan.Bさんからみて、新メンバーふたりの声質はどのようなものなんでしょうか?
Ryan.B:SU-RINGはツヤもあるし伸びやかな声ですね。そういう声質の人は歌い上げちゃう子が多いイメージなんですよ。でもSU-RINGは激しく歌うのが得意で、シンディ・ローパーやブロンディのデボラ・ハリーみたいで稀有だと思います。
プー・ルイ:知ってた?
SU-RING:わかんなかったです…。でも嬉しいです。
Ryan.B:BIBIはザラつきのある声が特徴です。骨董品屋にあるナイフみたいな感じで、磨いていったら名刀だと思いますね。ディストーションを出したときに切れ味が良くなるイメージです。魔力があるタイプだと思っていて、レディオヘッドのトム・ヨークみたいな引き込まれる歌声だと思いますね。
プー・ルイ:いいなー。全員の声質についても教えてよ(笑)。


——(笑)。ではせっかくなので、他のメンバーも聞いてみたいです。BAN-BANさんの声質はどうですか?
Ryan.B:BAN-BANは普段から器用なタイプではないと思うんですが、そういう人ってパンク的なエネルギーを持っていると思うんですよ。言葉ではない部分で音楽を表現できるのがBAN-BANだと思っていますね。僕もそういうロックが好きですし。今回のアルバムの中の新曲の部分でも、そういうエネルギーを出せていたので、これからもっと良くなっていくと思っています。
プー・ルイ:SHELLMEは?
Ryan.B:SHELLMEはパリピキャラになっているけど、ヒップホップの素養があると思っているんです。彼女からは「陽」のエネルギーをすごく感じますね。例えばレッチリのアンソニーみたいな人じゃないと、カッコよく届かない曲ってあると思うんですよ。“BOO!SHUT”みたいな曲はSHELLMEがやるからすごくエネルギーのある曲になっていて、その部分は3人で頑張っていたときに磨いてくれたのかなと感じます。
プー・ルイ:KINCHANはどう?
Ryan.B:KINCHANって実は感性がすごく捻くれているなと思っているんです。ただの綺麗事だとKINCHANの心には刺さらないみたいですし(笑)。“負けんなBABY“の最後のセリフは一周まわって辿り着く言葉だから真っ直ぐ言われると意図と違うので、KINCHANみたいな捻くれた人がいうと本気のメッセージになるなと思いました。僕はゴリ押しで感動させにいくのがあまり好きではないのかな。だからKINCHANもそういう感性でよかったなと思います。
KINCHAN:そうなんです。見抜かれていて恥ずかしかったです。
——最後にプー・ルイさんの声質はどう思っていますか?
Ryan.B:最近の歌を聴くと歌詞がすごく入ってきますよね。僕は歌詞に相当比重を置いているので、声の質が良くて何となく聴けるような歌より、声に人生が乗っかっている方が良いと思うんです。プーちゃんは年々そうなっていると思いますね。最近、僕の仲間がプーちゃんの歌を聴いて「彼女は本当にライヴの佇まいがロックスターだね」と言っていたんです。そういう意見が出るくらい、覚悟が決まっているんだと思います。
プー・ルイ:やったー! 嬉しい! みんなハードル上がったね(笑)。
——成長した姿を見れるライヴが楽しみです。
プー・ルイ:実はダンスもすごくなっているんです。今まではほとんど(カミヤ)サキちゃんが振り付けしてくれたんですけど、アルバムに入っている曲の半分は“ファイティングブレイン”を振り付けしてくれた、UFOさんが担当してくれました。UFOさんの振りは難しさが段違いで、メンバーも大変そうです。サキちゃんはライヴで盛り上がる振り付けをしてくれて、UFOさんはすごく特徴のある振りを考えてくれますね。サキちゃんもUFOさんと話し合いながら良いものを作ってくれています。

