私たちはひまわりとかじゃなくて、ラフレシア
──4〜5月にかけて対バンツアー〈FAMILY BUTCHERS TOUR 2024〉が開催されました。SSW、アイドル、バンド、様々なグループとの対バンでしたが、いかがでしたか?
SHELLME : めっちゃ楽しかったです! プーちゃん(プー・ルイ)から「名古屋で対バンするthe twentiesさんは、SHELLMEから連絡してみてもらえない? 」と言ってもらったので、私がDMを送ってオファーしたんです。自分の地元の愛知県で好きなバンドを、自分たちのライヴに対バンで呼べるって、すごいことだと思いました。
──the twentiesはいつ頃から好きだったんですか?
SHELLME : 去年の11月に〈FULL BIT Vol.2〉というマスタリングエンジニアのタッキーさんのフェスがあって、最終日の3日目にPIGGSは出させていただいたんですけど、PIGGSは3日間ぜんぶ観に行かせてもらったんですよ。そこで2日目に出ていたthe twentiesさんのライヴを観て、「ヤバ! 」って思ったんです。そのあと自分でチケットを買ってワンマンにも行きました。SNSをフォローしたらフォローが返ってきて、「いつかツーマンお願いします」、「ぜひ」ってDMでやり取りをしていたんです。今回〈FAMILY BUTCHERS TOUR 2024〉でそれが実現してよかったです。
──ライヴ当日はどうでしたか?
SHELLME : わたしももちろん楽しかったですが、ぶーちゃんズも盛り上がってくれていて、「やっぱすごいな、ぶーちゃんズ」と思いました。その時の特典会で、「かっこいいバンドを教えてくれてありがとう」と言われたんです。自分の好きなものをたくさんの人と共有できるのって、こんな素敵な気持ちになるんだと思いました。みんなが楽しんでいる姿を見れたのが、いちばん嬉しかったですね。もしPIGGSがこの先、メンバーそれぞれの好きなバンドやアイドルを呼んで大きいフェスができるようになったら、マジで幸せだろうなと思いました。

──このタイミングで対バンツアーをしてみて、学んだことはありましたか?
SHELLME : 2021年にやった最初の〈FAMILY BUTCHERS〉は、対バン相手にただ圧倒されるだけだったんです。あれから2年以上経って、今回は相手のリハを観ながら「今日はこの曲やるんだ」とか、本番のMCで言ってくれたことを煽りとして使うとか、その日だからできるライヴや、ツーマンだから出るグルーヴ感を大事にしました。
──最近のSHELLMEさんのMCは、型にとらわれてなくて、内容もすごく良くなった印象があります。
SHELLME : ありがとうございます! 話す言葉を事前に決めなくなったんですよ。最初の挨拶とかはみんなのテンションを見てある程度決めるんですけど、他は決めずに出ます。あとは、ひとりでやらない。前はみんなを感じる余裕もなかったけど、周りを見れば助けてくれるみんながいるので。
──余裕が生まれたんですね。最近のPIGGSのライヴはどうですか?
SHELLME : 悪くないと思います。でも、もっとできることはあると思います。
──どこが課題だと思っていますか?
SHELLME : もっと6人でいろんなことを積極的に会話することですね。こないだプーちゃんが1本1本のライブに対してもっと6人みんなで考えようという話をしてくれて。ライヴ作りは当日だけじゃなくて、練習するところから勝負がはじまっているんですよ。だからそこに向けてもっと挑戦してみたり工夫してみたり、ライヴ1本1本に対してもっと考えていこうよって話しています。いまは怖がらずに挑戦していって、攻め攻めでもいいと思う。こういうことをやってみたいとか、いろんな意見を聞いて、後から入ってきたスーやBIBIからも吸収できるようになりたいです。

──7月17日には最新EP『1ミリでも』がリリースされます。今作はSHELLMEさんにとってどんな作品になりましたか?
SHELLME : インディーズに戻ってからの一発目だから、ぶーちゃんズも気になることがたくさんあったと思うんです。その答えの詰まったEPだと思います。
──歌詞もメッセージ性が強いですよね。まず先行リリースされている“ラフレシア”は、どういう曲になりましたか?
SHELLME : インディーズに戻って一発目に出す曲はこれしかないよなってくらい、いまのみんなの葛藤と本音が詰まった曲ですね。
──モチーフの「ラフレシア」に対してはどういう解釈をしましたか?
SHELLME : ラフレシアって世界でいちばん大きいお花だけど、確かめっちゃ臭いんですよね。臭いくせに1番を狙っていく感じがPIGGSらしいなって思います。私たちはひまわりとかじゃなくて、ラフレシアなのかなって(笑)。
──MVもすごく青春を感じる作品でいいですよね。
SHELLME : これはマジで恥ずかしいから実はあんまり見たくないです(笑)。でもすごくいい空間ですね(笑)。メンバーを抱きしめるなんてなんだか恥ずかしいのに、だんだん涙が出てきてきました。
──涙は自然と出てきたんですか?
SHELLME : そうです。監督さんにはハグしてくださいとだけ伝えられて、「泣いてください」なんて言われてないんです。私は最初にプーちゃんとギューしたんです。私にとってプーちゃんは、言ってみればママみたいな存在なんですよね。オーディションで私を選んでくれたから、SHELLMEとしての人生が生まれたわけで。それなのに私はママを困らせて泣かせて、いつまでも子供なわけですよ。抱きしめたときに「プーちゃんは、このちっちゃい身体でいろんなものを背負ってるんだ」と思ったし、いろんな感謝とか申し訳なさを感じました。そんなことは本人には一生言えないけど(笑)。それぞれにいろんなことを思い出しましたね。「なんで泣いちゃったんだろう? 」って思うけど、これが自分の感情なんだなとも思います。
