「頑張りたい気持ちは変わらないです」って言ったら合格でした。
──PIGGSには、いつ頃出会ったんですか?
KINCHAN : PIGGSができるときから知っていました。BiSも見てましたし、プーちゃんのことはずっと知っていたんです。PIGGS結成のオーディションのときは、行きたくてもさすがに学校があるからと思って行かなかったんです。“PIGGS-モナ・リザ-”っていう曲でプーちゃんが「それでも! 」って歌っているところを聴いて、「かっこいいな、この人たち」って思っていました。
──今回のオーディションを受けようと思ったのはなんでなんですか?
KINCHAN : ちょうど就職活動をしているときで、書類は通ったりするんですけど、面接の日の朝は絶対お腹が痛くなって、行かないっていうのを繰り返していたんです。その当時、PIGGSの活動を見ていて、オーディションがありますって発表された次の日に応募しました。受かりはしないだろうけど、もしかしたら書類ぐらい通っちゃうかもなって思って。そういう気持ちで応募したら通りました。ちなみに、親には内緒にしてました。
──書類審査が通って、次の審査はどうでしたか?
KINCHAN : 次は3人ずつの面接でした。「福岡から出てきました! 頑張ります! 」みたいなことを言ったと思います。そのとき、プーちゃんとメンバーとカミヤサキさん、サウンドプロデュースのRyan.Bさん、METTYさんとかいろんな方がいらっしゃって、すごく緊張しちゃって泣きました。そのとき、プーちゃんが「大丈夫だよ」って言ってくれたのを覚えています。
──歌唱審査ではどの曲を歌ったんですか?
KINCHAN : “フューチャー・スターダスト”を歌いました。いまのメンバーの方とキャラが被っていたら絶対に通らないだろうなと思ったので「私はぶりっ子ができます」って書いちゃって。めっちゃ泣いてたんですけど、ぶりっ子に極振りして歌いました。
──手応えは、どうだったんですか?
KINCHAN : 本当に泣いちゃってグダグダだったので、「ああ、これはもうダメだな」って思って。プーちゃんもメンバーも見れたからよかったって思おうと思って飛行機で帰りました。
──合否の連絡はどういう風に来たんですか?
KINCHAN : 飛行機に乗ってるときに機内モードにしてたんですけど、プーちゃんから電話がかかってきてて、あとからかけなおしたら、「プー・ルイです。通りましたよ」って言われました。奇跡が起きたんだなと思って。でも、そのときは「飛行機代どうしよう」だけ思っていました。7月上旬に三次審査があるから、そのために日雇いのバイトをして、当日はホテル代もないので、渋谷のネカフェに泊まることにしました。このときも、親には黙って行きました。
──三次審査はどうでしたか?
KINCHAN : プーちゃん以外の3人のメンバーに候補生10人が割り振られて、“とらえる”と“PIGGS-モナ・リザ-”を発表しました。私は最初、“とらえる”を、 BAN-BANと同じチームで教えてもらいました。
──教えてもらってどうでしたか?
KINCHAN : 私は、その場で物事を覚えるのがすごく苦手なんです。緊張してフォーメーションを全然覚えられなくて、私がすごい不安そうな顔をしていたのか、BAN-BANがずっと「大丈夫だよ」って言ってくれてました。
──“とらえる”の出来はどうだったんですか?
KINCHAN : 頑張ったんですけど、時々不安な顔をしちゃいました。CHIYO-Pのグループの子たちがすごく元気いっぱいで「ああ、これは無理だな」って思ってました。
──“PIGGS-モナ・リザ-”はどうでしたか?
KINCHAN : “PIGGS-モナ・リザ-”は、CHIYO-Pと同じチームでした。間違えたりはしたんですけど一生懸命やりました。終わってから、私ともうひとりの女の子だけ、プーちゃんに「ふたり残って」って言われたんです。残っていたら、「大体想像ついてると思うけど、ふたりが三次審査通過です」って言われて。びっくりして「なんでですか?」って聞きました。そしたら「銃口突きつけられたみたいな顔をしてるから」って言われました(笑)。
──そのときは、まだ両親には言ってないんですよね?
KINCHAN : 終わってちょっとしてから、プーちゃんから電話かかってきて「両親に言った?」って言われて、「明日言います」って伝えました。お母さんに電話したら、最初はあんまり受け入れてもらえなくて、「突然の話すぎて言ってることが理解できない」って言われて。でも、私は行動力があるほうじゃないので、ひとりで東京にお金を貯めて行ったことがすごく衝撃だったみたいで、「ホテル代はちゃんと出してあげるから、バイトせず練習して行きなさい」って言ってくれました。お父さんは、好きにしなさいっていう感じだったんですけど、両親での話し合いもあったと思います。
──最終審査はどんなことやったんですか?
KINCHAN : 最終審査は“PIGGS-モナ・リザ-”、“VISITOR”、“フォーエバー・ヤング、“フューチャー・スターダスト”、“とらえる”の課題曲5曲をメンバーの方と一緒に発表しました。もうひとりの子が前にアイドルをやってた子で、歌もすごく上手だったんです。でも、負けたくないなって思って、自分なりの歌詞の解釈や気持ちを届けられるよう頑張りました。
──合格発表はどういう風に伝えられたんですか?
KINCHAN : とりあえず解散して、合格したら電話がかかってくるって言われて公園のベンチに座って待っていました。その後、電話で「戻ってきて」って言われて、緊張して行ったらメンバーとプーちゃんが横一列で座っていて、私はそこに向かい合って座って「どうだった? 」って言われて「頑張りたい気持ちは変わらないです」って言ったら合格でした。
──そのとき、どんな気持ちでしたか?
KINCHAN : びっくりしてなにも言えなかったです。そのあと一緒に家に帰るからって言われて、PIGGSハウスに泊めてもらいました。その数日後、CLUB CITTA'でのライヴを見せてもらったんですけど、正直「こんなことできない! 」って思っちゃいました。みんなダンスとかもすごいし歌も上手だし、「私がこの中に入るの? お荷物でしかならないでしょ」って思って絶望を感じました。
──PIGGSのメンバーと生活してみて、どうでした?
KINCHAN : ファンとして見ていたので、一緒にいることに実感が湧かなかったです。嬉しい気持ちもあったんですけど、これから先の不安のほうがずっと大きくて。東京のバスも電車もわからないし、人がたくさんいて、建物が高くて、毎日帰りたいって思ってました。夜、シャワー浴びながらシクシク毎晩泣いてました。