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INTERVIEW : 水曜日のカンパネラ

水曜日のカンパネラの凄いところは、詩羽の才能が開花していく様。そしてケンモチヒデフミの最先端の実力と、Dir.Fの決して前には出ないが的確すぎるプロデュース力。それらが三位一体で我々にボールを投げてくるから、外す球がない。二代目みたいな肩書が乗っても、こんなにうまく進むプロジェクトは見たことがないぞ。彼女たちは、一体どこまでいっちゃうんだ!!!???
インタヴュー : 飯田仁一郎
文 : 西田健
撮影 : 大橋祐希
譲りたくない部分があるんです
——詩羽さんが二代目主演・歌唱担当として加入して、1年半が経過しました。加入当時と比べて今の状況についてどう思いますか?
詩羽:気づいたらバズってたり、テレビや大きなフェスに出ていた感じです。でもその「気づいたら」ということを1年半経って考えると、「あのとき頑張ったんだな」と思うし、「やっと水曜日のカンパネラになれた」と感じます。
——水曜日のカンパネラになれたと感じたのはなぜですか?
詩羽:今までは与えられたものに対して、「いい点数で返そう」と思っていただけなんですけど、最近は「もっとよくなるにはどうしよう」と視野を広く考えられるようになったかな。自分の意見を持てるようになって、意識も変わりましたね。
——ケンモチさんと意見がぶつかりあうことはありますか?
詩羽:ぶつからないですね。
ケンモチヒデフミ(以下、ケンモチ):僕の分野に関しては、信頼してくれているんだと思います。
詩羽:だいたい食い気味で「いいんじゃないんですかね」って言ってる気がする。
ケンモチ:そうそう。だから逆に心配になりますよ(笑)。
詩羽:でもMVやジャケット写真のようなヴィジュアル面では、譲りたくない部分があるんです。そこに関してはガッツリ意見を言うことが多いです。
——ケンモチさん、Dir.Fさんのお2人は水曜日のカンパネラの現状についてどう考えていますか?
ケンモチ:詩羽を迎えて、改めて頑張る心意気ではありましたが、こんなに上手くいくとは思いませんでした。おかげでやりやすくなったかなと。
Dir.F: “エジソン”がバズったのは嬉しかったですね。でも先日〈ツタロックフェス〉に出たんですが、そこに来ていた多くの若いお客さんたちにはまだリーチできていない実感もあったんです。今年はまだまだ開拓しなきゃと感じています。
——よく質問されると思いますが、なぜ“エジソン”はあんなにバズったんでしょうか?
詩羽:全くわからないですね。私はTikTokをあんまりやらないので、やっている人の考えていることは正直わからないです。
ケンモチ:僕もわかっていない部分がありまして…。“エジソン”はすごくシンプルに作ったし、正直他の曲の方がいろいろと仕掛けがあったので、「この曲がバズるのか!」と驚いています。
Dir.F:元々バズらせたいという話はしていたんです。頭サビ、キャッチーなメロディー、といったTikTokのマナーは一応守りましたが、偶然の要素もあったと思います。ある程度知っている人と知らない人が良いバランスでいないと、SNSでバズは起きづらいんですよ。加えて詩羽のヴィジュアルといったバズ要素があったから、あそこまでリーチしたんだと思います。

——4月26日に2nd EP『RABBIT STAR ★』がデジタルリリースされます。今作はどういう作品になりましたか?
詩羽:前作の『ネオン』ではポップに振り切っていたんですけど、今回のEPは、“エジソン”で浸透してきたこともあって、クールな素の一面も見せられるようになりましたね。
——タイトルは誰が考えたんですか?
詩羽:私です。去年“エジソン”がバズったから、「今年こそ勝負していこう」と話していたんですよ。それで2023年について調べると、中国由来の陰陽五行説では、今年は「癸卯(みずのとう)」という年らしいんですよね。「癸卯」には「水曜日」の「水」の要素が入っていたのでこれは縁があるなと思い、うさぎを意味する「ラビット」をタイトルに入れました。「STAR」はスピード感とかキラキラ感をイメージしています。「★」は今っぽいポップさも大事かなと思って最後に入れました。
——ジャケットもすごく目を引きますね。

詩羽:これはデザイナーのMasako Hirano(平野正子)さんに、私がやりたいことを実現してもらいました。EP自体が結構カオスな内容なので、画像1枚でそれを表現できたらなと。うさぎと星を入れつつ、スピード感がある画にしたかったので、3Dグラフィックと合わせて前に飛び出るようなものになりました。
——サウンドはどういうものを目指したんでしょう?
ケンモチ:前作の『ネオン』は、今までのカンパネラと新しいカンパネラのよさをバランスよく取り入れた曲を揃えたんです。本作は今までやらなかったアプローチにフォーカスしました。1曲1曲が個性的で、いい意味でとっ散らかったEPになっています。
