伝えきれてないことがいっぱいある
──“WiTH YOU”はモモコさん作詞で。
めっちゃモモコですよね。デモが来たときからこれはモモコだろうなと思ってて。モモコは心底優しい人間なんで、破壊に対しても優しさがあるんですよ。大きな破壊ではなくてすごく可愛らしい破壊… ピンクとか淡いオレンジみたいな破壊という感じがする。アイナのは赤くて水色が混ざってる感じ。愛とか恋とかって言えるのはBiSHの中でモモコだけだと思うんです。私が愛とか恋とか言ってもお前が言うなよって感じだし、“DA DANCE!!”もそうだけど少女の可愛い恋を表現するのが上手で、少女漫画をみてるような気持ちにさせてくれるから、これもその一つですごく好きです。
──アユニさんは“STAR”と“Beginning, End and Beginning”ですね。
“Beginning, End and Beginning”もアユニっぽいですよね。破壊からの創造を一番体現してるのはアユニなのかもしれないと思っていて。パンチラインがあるんですよね。「道玄坂のワンルームから」ってめっちゃいい言葉やんって。でも道玄坂のワンルーム、私たちが生まれたあの部屋にアユニは行ったことないんですよ。でも行ってないのに書くってことは、自分じゃなくてBiSHとして生きてるんだと思って感動したんです。他のメンバーと一緒に生きてる感じがするじゃないですか。だからすごく好きなところで。彼女はいつでも戦闘態勢なので、優しいときもあるけど戦うときはとことん戦うから、それがすごい表現されてていいなと思う。「1000年後もきっと会おう」ってところが私はめっちゃ好きで。魂は一回終わっても何回も転生するから、1000年後ももう1回会うかもしれないじゃないですか。その時にはまた一緒に音楽をやっているかもしれなくて、そう考えたらすごくワクワクするなって。
──アユニさんの歌詞も変わってきましたよね。
一人で生きていないですよね。人間として身がついてきた感じというか。“STAR”は、こんなに優しいことを自分だったら書きたくないけどBiSHだったらこう書きたいってものにしたって言ってて、それは大きな成長だし、BiSHをこういうふうに見てくれてるんだと思ってすごく嬉しかったんですよね。母親かって感じなんですけど(笑)。「何者にもなれない」っていろんな人たちが思うことだと思うんですよ。でも“STAR”は「何者にならなくたっていいんだよ」って言ってる気がして。たくさんの人が救われる曲だと思うし、ライヴでやってもあったかくなってお客さんと繋がってる気持ちになれる優しい曲。BiSHにとっては久しぶりにできた、繋がっているものを感じる曲というか。BiSHと清掃員の曲が増えたなって思います。

──チッチさんは何者かになったのか、まだ何者にもなれていないのか、どちらだと思っていますか?
ひとりの人間としては何者でもないけど、BiSHの中にいる自分は何者かをちゃんと受け止めて覚悟して表現しないといけないと思ってる感じですね。スイッチとかはないんですけど、BiSHでいると言えることがあるから、伝えないといけないことがたくさんある。何者にもなれてない私もいるから叫びたくなることもあるけど、歌ってるときにはそういうふうに感じながら歌ってて。うん、いい曲です。
──リリックビデオがまた良さを倍増させていますよね。
あれいちばん好きかもってくらい好きで。ダッチ(山田健人)とミヤジ(エリザベス宮地)さんが一緒に撮ってくれて、あとずっと一緒にやってきた中川さんって制作会社の人とエイベックスのスタッフと私たちで。心許している人と少人数で作ったからこそできたリリックビデオだと思っているし、メンバーもなんの芝居もなしにひとりの人としての表情が出ていて、人肌を感じるものができました。
──アルバムを出して、アリーナツアーがあって、ここからどういうふうに進んでいきたいと思っていますか。
止まらないで走るし、感情も抑え込まないで全部出せたらいいなと思います。伝えきれてないことがいっぱいあると思うんですよ。いろんなライヴがなくなっちゃって伝える場所も少なくて。ツアーとかライヴとかひとつひとつを大事にして、丹精込めてやっていけたらいいなと思ってます。
──もうこれ以上止まりたくないですよね。
うん、止まるのはBiSHの性に合わないから。この前のTIFで、BiSHが6回連続"BiSH-星が瞬く夜に-"をやったことに驚いてる人が結構いたんです。当たり前にやってきたことを知らない人がたくさんいることにすごくびっくりして。全部ちゃんと新鮮に感じ取ってくれるんだと思ったし、もっといろいろ考えて表現していきたいです。

編集 : 西田健
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LiVE iNFORMATiON
BiSH SPARKS “the FiNAL BATTLE of REVENGE” EPiSODE 3
【公演日時】
■2021年12月4日(土) マリンメッセ福岡A館
open/start 17:00/18:00
■2021年12月5日(日) マリンメッセ福岡A館
open/start 15:00/16:00
ボロフェスタ2021~20th anniversary~
【公演日時】
11月6日(土)
時間:open11:00/start11:25
19:55~ ORANGE SIDE STAGE
場所:京都KBSホール
AGESTOCK2021 in TOKYO DOME CITY HALL
【公演日時】
2021年11月12日(金) OPEN 18:00 START 19:00
2021年11月13日(土) OPEN 17:00 START 18:00
2021年11月14日(日) OPEN 15:00 START 16:00
会場:TOKYO DOME CITY HALL
詳しくはこちら
https://www.bish.tokyo/news/
PROFILE

アイナ・ジ・エンド、セントチヒロ・チッチ、モモコグミカンパニー、ハシヤスメ・アツコ、リンリン、アユニ・D からなる“楽器を持たないパンクバンド” BiSH。
2015年3月に結成。5月にインディーズデビュー。2016年5月avex traxよりメジャーデビュー。
以降、「オーケストラ」「プロミスザスター」「My landscape」「stereo future」等リリースを重ね、横浜アリーナや幕張メッセ展示場等でワンマンを開催し、ロックフェスにも多数出演。