普通にフェアにやりましょうということが、シンプルなメッセージです(竹中)
森 : OTOTOYさんからみて、これから実際に配信は伸びていくものと考えていますか、それともその都度、DSDに代わるような新しいフォーマットと共に伸びていくのか、そのあたりはどうお考えですか?
竹中 : 配信フォーマットの刷新は、販売ということだけいえばカンフル剤みたいなもので、繰り返し打ったら死んでしまうんですよ。つまり、映画のパッケージ業界が、DVDをあれだけ売ってですね、今度はブルーレイだということ買い替え需要を掘り起こそうとしたんですけど、DVDで持っているものをブルーレイで買うということを馬鹿にされてると感じる消費者が多いわけですよ。
森 : あぁ、なるほど。
竹中 : それと同じで、音楽もCDやMP3があって、AC、AAC、HE-AACがありました。でもそれじゃ限界があるからWAVにいきましょう、と。WAVでも24bit / 48kHzとか96kHzとか上を望めばいくらでもある。けどDSDが出た時点で限界だと思うんですよ。もちろん僕らはDSDを音楽を聴く環境として普及させられるといいな、とは思っているんですけど、一方で消費者視点では追いかけ続けるのはしんどいんですよ。だから、自分の孫に「この時おじいちゃんの聴いたライヴはこんなによかったんだよ」って届けられるフォーマットであれば、とてもいいような気がするんですよね。それはおそらくMP3でもCDでもなくて、DSDくらいの品質がふさわしいんだろうなと思うんです。それ以上は必要か? って言われたら疑問ですね。
森 : じゃあ少なくともこれから先はOTOTOYとして音質をさらに追及する可能性はないだろうと?
竹中 : そうですね。DSDの音声を手に入れたら、他の音源とコンバートできるとか、将来的に「DSD2」みたいなものが出てきたとしても、そっちに移行できればいいじゃないか、と。僕らは元々、コピー・コントロールを極端に嫌ってきたサービスなんで、変換はご自由にやってくださいと。お客様はOTOTOYを介して、音源をアーティストと契約し、聴くという権利を手に入れたんだから、どうしようが勝手です、というのが僕らのスタイルです。「そうしないと駄目」っていう強迫的なマーケティングはしないですね。
森 : OTOTOYとして社会貢献という観点で、“こういうことを一番提供していきたいんだ”というものはどういうものなんでしょうか。
竹中 : すごく大きく簡単に言うと… う~ん、今の音楽会社ってお客さんを信用してないんですね。
森 : レーベルがですか?
竹中 : いや、レーベルじゃなくて、大手のメジャーのレコード会社が。だからアップルみたいな野心的な会社が札束でほっぺたをビンタしないとDRM解除に応じない、と。 米国市場ではiPodが普及しきって、初めてメジャー・レーベルがiTunes Storeで2004年位に販売を始めました。もちろんDRM付で。そのあと、2007年にAppleから公式にDRM解除の働きかけが始まって2009年になってやっと無くなりました。そういう外圧でやっているんですよ。そうじゃなければ今でもコピー・プロテクトはかかったままなんですよね。お客さんを信用せずに、音楽を単なる商材とみて、単にお金を増やすことを目的としたビジネスを、“それは違うんだ”って世の中に言いたい。
森 : なるほど、はい。
竹中 : もちろん経済的な意味でも力も持ちたいんですけど、それよりも大きいのは、僕らのようなメディアや販売会社が「この人はこんな理由でスゴいんだ」と合理的に箔付けをする。で、そこに関してお金を発生させるということが、僕は健全だと思っているんです。演奏している人が自分ですごいって言っても「何言ってんの?」「自演乙」ってことになりますから(笑)。
森 : そうですね。
竹中 : 1,000円とか1,500円の妥当な値段を決めて、それに納得した人はお金を払って、結果として音楽を演奏する人たち、関わる人たちが生活していけるというのがベストだと思っているんです。一回手に入れたらそれは宝物になるわけですから、そのときそのときの状況に応じて、スマホに転送するのでも、PCの中でもコンバートしまくるでもいいんですけど、倫理の範囲で自分の中で使ってもらえばいいと考えてます。それを実現したいんです。
森 : なるほど。これはまさに、kilk recordsとよく似てるじゃないですか(笑)。
竹中 : あ、そうなんですか(笑)?
森 : スタンスや販売形態は違うかもしれないですけど。文化の発展のために必要とあらば既得権益を切り崩したいですしね。全ての音楽が公平に世の中に届いたらなと。
竹中 : フェアね、フェア。
森 : そう、フェアだと思うんです。フェアな文化にしたいですね。
竹中 : そうですね。なんかズルをするとか隠すとかいうことが基本にあるというのはキツイですよね。
森 : そうですね~。
竹中 : 著作権の話でいえば、JASRACに入ったお金が、メジャーじゃない人達に、どう分配されているのかは、ほぼブラック・ボックスじゃないですか?
森 : そうですね。
竹中 : だから、それが変わっていかないと、YouTubeで音楽聴けばいいじゃんとか、BitTorrentで探せば大抵あるよね、とかそういう魅力に負ける人ばかりになって、わざわざ自分が音楽体験をすることにお金を払って投資しようという人が増えないんですよ。自らマーケットを小さくしてしまう戦略を取ったのが今までの音楽業界だったとしたら、普通にフェアにやりましょうということが、シンプルなメッセージです。
森 : なるほど。同感です。
竹中 : 時々音楽に関する考え方を技術者としての僕にインタビューしてくれるという機会はあって、そういうときにチクチク言ってはいるんですけど、みんな「そうだよね」とは言ってくれるんだけど、音楽業界に飛び込んでアーティストときちんと交渉して、お客さんからお金を頂いて、お金を戻すというのをやるのって面倒臭いじゃないですか。
森 : はい。
竹中 : 本当に面倒臭いことなので、味方は増えても一緒にやろうとしてくれる人は、なかなかいなくて(笑)。
森 : (笑)。
竹中 : 例えば「CINRAが音楽のサービスのコマース始めました。どう思いますか?」って聞かれるんですけど、もう大歓迎なんですね。一緒にそういうことを考えてくれるのであれば。選択肢が沢山あれば、ユーザーはどこかを選んで買うわけですし。ひとつしかなければ仕方なくそこに行くわけですし。
森 : 確かに。お金をどういう状態で出すかというのは、連載第一回から共通の話題で、応援する気持ちだとか、そのアーティストを本当に好きだという気持ちがあるときじゃないと、もうお金出さないんですよね。いま、悲しいことにCDってビックリマンみたいに思ってる人もけっこういるじゃないですか。
竹中 : ビックリマンってビックリマンチョコのことですか?
森 : そうです。シールだけ抜いて、お菓子を捨てるみたいな(笑)。
竹中 : あ~。CDを買って、リッピングして、「もうこれいらないんだけど」ってなってるんですよね(笑)。
森 : 僕自身「えっ? 」とは思うものの、受け止めるしかないなと思っていて。CDが完全に消えるとは思ってはいないんですけど、YouTubeでいいやって済ませる人も受け入れた上で、「こんな素晴らしいのもあるんだよ」って言いたいというか。お客さんを敵としてしまったら駄目だなと。
竹中 : そう、お客さんを敵としてしまったら弾を撃つしかないわけで、どうお金を獲るかってなっちゃうじゃないですか? そうじゃないんですよ。
森 : なるほど。ところで「TV♭」を始めようと思ったきっかけってなんなんですか?
竹中 : こんな内容でいいんですか? OTOTOYの話ばっかりしてますけど(笑)。
森 : ええ(笑)。
竹中 : 僕とスタッフで、もしかして想いが違うかもしれないんですけど、僕が何を狙っているかというと、新しい時代・メディアに慣れた若い人も多いというこの状況だけど、慣れていないような人達も沢山いるでしょうと。
森 : はい。
竹中 : YouTubeで探せば情報がいっぱい出てくるけど、ご飯を食べながらだったり、勉強しているときに、いちいち探して(音楽を)かけてられない時に、TV♭のURLを叩いて出しておけば、音がどんどん出てくる、と。それが単なる雑音じゃなくて昔のMTVみたいに、なんらかの形でキュレーションが働いているものが出てくれば、初めて意味のあるものとして聴いてる人の脳に刺さってきてですね、それがkilkの音楽だったり、落語だったりしてもいいと思うんですけど。
森 : ええ。
竹中 : とにかく受動メディアとしてのWebの利用方法を、一回TV♭でやってみたい、と。だから敢えてTVっていうタイトルを付けてるんです。
森 : そういうことなんですね。確かに情報を能動的に探すことに割と疲れてきてる傾向もありますしね。
竹中 : しんどいですからね、探し続けるのはね。ユーザーが勝手に作った2時間位見れるプレイリストもYouTubeにはあるんですけど、そのリストすら一杯ありすぎて、わからないんですよね。例えばEXILEだったらEXILEばっかりなんですよ。よっぽど好きな人ならいいんですけど、普通の人はそんなにEXILE漬けって嬉しくないじゃないですか(笑)。
森 : そうですね(笑)。
竹中 : 確かにうちのスタッフが作るアイドル番組はアイドルばっかり出てきてアイドル漬けになっちゃうんですけど、その次には洋楽の面白めの物がいくつか出てきたり、(高橋)健太郎さんがやっていた「MemoryRoll」では古いものがセレクトされたいたり、番組としての色が出るので、テレビっぽいかなと。
どう興味を掻き立てられるかっていう(竹中)
森 : 先程、CD屋さん的な役割という話がありましたけど、例えばある方面にとても詳しい、この店長が言えば間違いないというお店ってありますよね? そういう受動的でも、受け取る側がなんとなくでも信頼できる情報って、Webだと今や個人のブログやSNSの方がもはや多い気がするんですね。それはそれで全然悪くないことなんですけど。それを踏まえた上でのOTOTOYさんへの要望なんですけど、「ここに載ってるものはどれを買っても新しい発見ばかりで素晴らしい」というものが発信出来るメディア媒体があればこちらも嬉しいんですよね。それを現実的にやるとしたら、載せる音楽をジャンルや精神性やテーマなどで細分化して、いくつかのサイトに分けるとかになるかもしれませんが。
竹中 : 僕もその大事さというのはひしひしと感じているんです。これは愚痴みたいになっちゃうんですけど、そういうものの下敷きとして前提にするために各アーティストとかアルバムにはタグをつける、キーワードを付けるというのを、ずっと言ってるんですけど、付いてないことがあるんですよね。それでこの前激怒して、僕のシステム・サポートを一切止める、と。改善が僕の目に見えない限りは絶対にやらないというふうに怒って、初めてそのタグ付け態勢が整ったみたいなことがあったんですけど(笑)。
森 : ええ(笑)。
竹中 : そういうベースとなる情報がないと、このアルバムの素性がシステム的にはわからないわけです。で、システムで合理的にやらないと追いつけない部分ていうのはあるんです。やっぱりWebサイトですから、「JAZZ OTOTOY」でも「OTOTOY JAZZ」でもいいんですけど、そういう細分化サイトをやろうとしたときに、ジャズにジャズのタグが付いていなかったら、抽出できないんですよ。音源の自動解析もそんなにあてに出来ないんです。
森 : ええ、そうですね。
竹中 : だからそこらへんはこれからの課題です。
森 : なるほど。じゃあ、いずれで言うとその可能性も?
竹中 : あるとは思いますよ。それに最初から特化したWASABEAT(ワサビート)さんなんかは、それなりの成果が上がっているみたいなんですけど、でもアイドル好きがWASABEATに行くかって言ったら、いかないわけで。
森 : そうなんですよね。
竹中 : アプローチの違いは各サービスごとにあるとは思うんですけど、OTOTOYのアプローチは、将来的にはそういうWASABEATさんのように細分化している余地を残していることだと思います。
森 : なるほど。楽しみですね。僕もいちリスナーとしてOTOTOYを見ることがあって、トップページを見て知らないバンドがいるときに、たまにチェックして「なかなかいいな」という時もあれば「ああこういう音楽か、あんまり興味ないな」とかあるんですけど(笑)。
竹中 : はい(笑)。
森 : 暇じゃなければそんなチェックもしないですけど、OTOTOYが自分に興味のある音楽ばかりのサイトだったら、トップ・ページで、「あ、これ新しいやつだ」って見かけた時に、時間がないときでもチェックする割合は増えるかなって。レーベルとかアーティストとかいうよりも、リスナーとしての意見かもしれないんですけど(笑)。
竹中 : 音楽は難しいんですよね。例えば、Webメディアでいうと、そういうものに非常に上手くはまっているのが、カメラとか携帯電話とか、それから新しいPCの周辺機器ですね。そういう物ってガジェットっていわれて、ガジェット全体に興味がある人は一杯いるんですよ。だからそのメディアは成り立っていて、PVもそこそこあって、フィードバックもあるんですけど。音楽って「音楽(全部)が好きです! 」っていう人は少なくて。
森 : あぁ~。わかります。
竹中 : やっぱり細分化されるんですよ。
森 : そうですね。
竹中 : 個人の中で成熟してしまっているので。だからOTOTOYはオルタナティヴとかインディーズみたいな切り口で始まったわけですけど、色々と実績が積まれていくと、こう今までと違ったジャンルの人たちが入ってきたり、「どうしてもこれやりたい」といって取り扱ったときに、音楽全体に興味があるすごい人がそんなにいない以上、今森さんの言ったような、「あ、これ興味ないな」事件が絶対起こるという。
森 : はい。
竹中 : そういう、不幸なジャンルなんですよね。音楽は。だからタワレコのフロアも分かれてるし。
森 : 例えばamazonの「あなたにおすすめ」みたいな形で出るのはやっぱり良いんですかね?
竹中 : うん、そうですね。でもそれはそれで押し付けられてるみたいで気持ち悪いと思う人も多い。プラットフォームを作るのはアメリカ人は上手いんですけど、iTunesだけじゃなくてですね、サブスクリプション・サービスのSpotifyやrdioなどでも、「こういうのがおすすめですよ」機能を見てると苦しんでる感じはします。だってわからないですからね。ユーザーが今何を求めているのか。Adeleが出てても、人によってはそんなの全然興味ないとか。でも全世界で一千万枚売れてるなんてことはありますよね。
森 : なるほど。
竹中 : そこはね、どういうふうに興味を掻き立てられるかっていう。その人が今日どんな本を読んだとか、どんなテレビをみて友達とどんなことを話したとかも含めて把握することができれば、レコメンデーションは成り立つのかもしれないですけど、そうじゃない以上は押し付けになる感じもするので、まだ随分先かなという気はしますね。
森 : そんなわけで、能動的なものと、TV♭という受動的なもので、両方を提示しているということですね。
竹中 : ええ、そうですね。
森 : あと細分化を要望しておきながら、ちょっと矛盾するようですが、OTOTOYのいいところは、「調べたいものを調べる」という能動的な作業の中で、元々は興味のない新しい音楽にたまたま出会うことはあるかもしれませんね。
竹中 : そうそう。出会いって面白いですよ。僕たち、日々OTOTOYを見ているスタッフでさえ、うわ、全然知らなかった、みたいなことがあって。例えば、去年デジタルで一番売ったゴティエ。
森 : ええ、はい。
竹中 : ゴティエは、OTOTOYでは初期の頃に配信してるんですよ。僕も何度も聴いてるんです。で、スティングに似てるな~とかいう記憶がすごく残っていて、でも突然デジタルで680万枚アルバム売りましたというニュースが出て「おお、すげえ! 」ってなってから改めて聴いてみると、これ確かに売れるよねって改めて気づく。
森 : ああ~。
竹中 : そういう、頭に何かのスイッチが入った上で聴くことが常に起こるんですよ。ゴティエのアルバムが違って聴こえる原因となる出来事が、OTOTOYの外で起こってるんです。だから、OTOTOYの中だけで出会うんじゃなくて、外での出来事をなんかこう、まとめあげることはもちろん、いちウェブ・サイトですからできないんですけど、なんとかそのムードを一緒に作れるようなことをしたいと思っているんです。海外で注目されてるけど日本では知られてないイベントに実際行って、カメラで撮って、ガシガシ記事を書く。それをみんなが読んで、「おお、すげえ」っていうことが日常的に出来るようになると、OTOTOYも一人前になったな、と思えるかもしれないですね。
森 : なるほど。
竹中 : で、そういう箔付けみたいなことをOTOTOYの中に入れ込めるようになれば、もっと広告のビジネスも伸びるような気がします。ただ、難しいですよ。フェアを保つには押し付けではいけないので。OTOTOYがいいと思ったものを自然におすすめするという文脈を外すと、とたんに信用を失いますから。そこはレーベルも同じですよね、恐らく。
森 : そうですね。それは、はい。話題を変えますが、やっぱりOTOTOYさんのように新しいことを始めようとすると敵の数も多くなるものですか?
竹中 : うんうん。やっぱりありますよ。僕は今44歳なんですけど。
森 : え、若いですね!
竹中 : 見た目は若いんですけど(笑)。僕は元々プログラマーなんで、物言いが直裁的というか率直すぎるというか、人とぶつかることも多いんです。僕のことを嫌いな人もいっぱいいるのはわかってますし、そういう人達が僕の苦労をめしウマだと思ってる話は時々小耳に挟むんですよ。そんなことをいちいち気にしてたらやってられないからスルーするんですけどすごく凹みます。けど、へこんでたら負けなので(笑)。
森 : そうですよね。僕も一瞬へこむんですけど、いつか仕返ししてやるって(笑)。見返してやるぞって。
竹中 : (笑)。デスノートじゃなくて見返しノートですね。なんか、たぶんそういう癖のある人が集まっているのがOTOTOYなので、飯田君にしても、健太郎さんにしても闘ってきた人たちなので、ずっとこれは続くんだと思います。 iTunes Storeが弱小から始まって、メジャー・レーベルが言うことを聞かざるを得なくなったように、OTOTOYがそんなふうになれたらいいなとは思います。
森 : そうですね。
竹中 : 願わくば、それはkilkさんを筆頭にですね、色んなレーベルと、僕らがうまくいったらお金がどんどん行くみたいな。
森 : (笑)。
竹中 : (笑)。そういうことが一番いいんですよ。まだ、出来ていないけど。それは心の底からそうなりたいと思っています。
森 : 素晴らしいですね。OTOTOYの認知度って僕の中でも明らかに上がってきていて、2年位前に「OTOTOYに載るんだ」って言っても、「え? 何それ?」って言われてたんですけど。
竹中 : はい(笑)。
森 : 最近は「kilkってOTOTOYに載ってますよね? kilkってすごい」みたいな意見も、だんだん目に見えてわかってきて、よく直接言われることもあります。
竹中 : それは、よくもあり、気を付けなければいけない部分でもあるんですよね。権威になっちゃったら駄目で、気楽に声を掛けて貰えないといけないんですよ。だからそれはすごく嬉しい反面、戒めにもしなきゃなと思いますね。なんかね、TwitterやBlogを見てるとOTOTOYのことをまるで権威かのように書く人が現れ始めてるんですよ。「PCサイトでは国内で第2位のOTOTOY」とかね(笑)。
森 : えぇ~。
竹中 : 言われたこちらがビックリしているという(笑)。でも気が付いたら競合がやめちゃってるということもあって。数字の上では本当に事実上2位なのかもしれないですけど、それはあんまり嬉しいことじゃないです。2位っていっても僕らは余裕があるわけじゃないんだし、裕福になればレーベルにお返しするお金が増えたり、僕らも人を増やして、もっと多面的な活動ができるんですけど、相変わらず「タグ付けろ!」とか怒ってるわけですから(笑)。
森 : (笑)。
竹中 : なんか周りが死んでいくというのはあんまりよいことじゃないんですよね。
森 : そうですね。
竹中 : ですから、そうやってほめてくれる人も増えてきてはいるんですけど、あんまり喜び過ぎずに地道に頑張りたいと思います。
森 : 楽しみにしています。
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kilk records session vol.1 森大地(kilk records)×虎岩正樹(残響塾)「新しいアーティストの考え方」
kilk records session vol.2 森大地(kilk records)×木戸崇博(Ricco Label)「新しいレーベルの考え方」
kilk recordsの連続企画「kilk records session」公開中!
kilk records session vol.1 野心の可能性
kilk records session vol.2 歌姫達の女子会
kilk records session vol.3 クロスオーバーの可能性
kilk records session vol.4 2012年レーベル座談会 レーベルの野心
kilk records session vol.5 2012年レーベル座談会 未来への野心
kilk records session vol.6 CDショップ座談会
kilk records session vol.7 ライヴ・ハウス座談会
kilk records session vol.8 Deep Moat Festival座談会
kilk records session vol.9 オーガナイザー座談会
kilk records session final レーベル・メイト座談会
PROFILE
kilk records(森大地)
2010年、Aureoleの森大地により設立。「精神に溶け込む、人生を変えてしまうほどの音楽との出会い」。kilk recordsはそういった体験を皆様にお届けすることを第一に考えております。オルタナティブ・ロック、ポスト・ロック、エレクトロニカ、テクノ、サイケデリック、プログレッシブ、フォーク、アヴァンギャルド、アンビエント、ヒップ・ホップ、ブレイクコア、インダストリアル、ジャズ、クラシカル、民族音楽... 。魂を震わせるような音楽であれば、ジャンルは一切問いません。kilk recordsが最もこだわりたい点は「独創性」です。信じられないほどの感動や興奮は「独創性」から生まれるように思えます。これから多数の作品をリリースしていきます。末永くkilk recordsにお付き合いくだされば幸いです。
竹中直純
福井県敦賀市出身。イレギュラーズアンドパートナーズ(I&P)取締役、未来検索ブラジル代表取締役大統領(創業者)、タワーレコード取締役兼最高情報技術責任者(グループCTO)、ナップスタージャパン取締役などを歴任。現在はディジティミニミ代表取締役社長(創業に関わる)、2ちゃんねるIRC管理人、武蔵野美術大学非常勤講師。ニワンゴ取締役、株式会社BCCKS取締役(創業に関わる)、株式会社レコミュニ代表取締役(創業に関わる)。他デジタル・スタジアム(NHKBS2)で2003年からキュレーターを務めるなど、活動は多岐に渡る。