POP、個別インタヴュー・カミヤサキ編「今は1番目立ちたいし、棟梁みたいな感じでいたい」
POPを生み出した張本人でありリーダーでもあるカミヤサキ。キャリアも経験も多いがゆえにメンバーとの距離感を埋めることに対して人一倍意識的であるものの、POP結成2ヶ月にして無期限活動休止期間に突入してしまうなど、彼女なりに大きな壁に立ち向かうことになった9ヶ月間。その期間のなかで、カミヤサキは自分を見つめ直し、POPがどういうグループでありたいか、そして自分はどうありたいかを掴みつつある。
自身で分析しているように、いい意味でも、悪い意味でもカミヤサキは頑固だ。そしてストイックでもある。その生真面目さがPOPをPOPとして引っ張っている部分であるが、ひとつ抜け切れるかどうかをわける悩みでもあることを彼女は理解している。いまPOPは試されているんだ。そんなカミヤサキのPOPへの気持ちが込められた「QUEEN OF POP」について、そして現状についてカミヤサキに訊いた。
取材&文 : 西澤裕郎
写真 : 大橋祐希
POPの2ndシングルを配信スタート!
POP / QUEEN OF POP
【配信形態】
ALAC、FLAC、WAV、AAC、mp3 単曲 200円 / まとめ 800円
【Track List】
1. QUEEN OF POP
2. 走る!!
3. QUEEN OF POP(inst)
4. 走る!!(inst)
人が感じ取ってくれるものを産み出せたと思う
ーーPOPの活動をはじめて約9ヶ月が経ちましたけど、サキちゃんはいまのPOPをどのように評価していますか。
カミヤサキ(以下、サキ) : 満足とまではいかないですけど、自分たちも周りの人も、何事に対しても以前より前向きになれているかなと思います。ちょっと先の未来が考えれるようになったのかなって。
ーー前は、ちょっと先の未来も見えなかった?
サキ : 目の前のことをしっかりやらないと先が見えないような感覚でした。それは関わってくれる人もそうだったんじゃないかなと思っていて。いい意味で、ちょっとずつ期待してもらえるようになってきたのかなって気がします。
ーー2015年12月4、5日には、無期限活動休止からの復帰をかけて富士急ハイランドから下北沢SHELTERまで100kmマラソンを行いました。今振り返ってみると、あのマラソンはどんな体験でしたか?
サキ : あれをやらないでPOPに戻っていたら、全然違う結末になっていたんじゃないかなと思うので、やってよかったです。あの日のマラソンが、今まで経験してきたなかで間違いなく1番大事な日だったかなって思います。
ーーBiS時代も含めてマラソン企画を3回やってますが、そのなかでも1番?
サキ : だんとつでトップです。復帰する機会をいただいた企画だったから、ストーリー性を計算して走りたくなかったんですよ。でも、おもしろくしなきゃいけないっていう葛藤もあって。結果的に計算をしないでもドラマ性というか、人が感じ取ってくれるものを産み出せたと思うんです。それが、自分のコンプレックスでもある、ドラマを産み出せないかもっていう気持ちを越えていけたのかなって。
ーー走りながらどんなこと考えてたんですか?
サキ : とにかく早くゴールに辿り着きたいと思っていました。それがやっぱり1番強かったし、山の時は本当にきつくて…。
ーーお腹と背中がくっつきそうな痛みがあるって話をしていて、辛そうでしたね。
サキ : 途中から痛いとか辛いって気持ちばかりだったけど、1回その気持ちを乗り越えたら、早く着きたいなとばかり思っていました。同時に不安もあって。4ヶ月間、表舞台から抜けていたので、走り切ったら復活できる喜びもあったけど、正直、大丈夫かな… みたいな不安もありました。
ーー最後、下北沢SHELTERへの直線道路でサキちゃんに向かってメンバー4人が走ってきました。あの時、どういう気持ちでしたか。
サキ : 嬉しかったです。ああいうふうに公道で向かってきてくれることってなかなかないし、素直に純粋なメンバーだなと思って嬉しかった。
ーーそしてゴールしてほとんど休む暇なく、ワンマン・ライヴを行いました。活動休止期間を経てのライヴということで、POP自体に変化は感じましたか。
サキ : 全然違いましたね。活動休止前は、みんな何もわからないから、とりあえず必死にやろうって感じだったので。もちろん、それもすごいことなんですけど、復帰してからは、ちゃんとPOPを考えながらライヴに臨んでいると思います。
ジャニーズさんみたいになりたいんです
ーーサキちゃん自身のパフォーマンスにおいてはどうですか?
サキ : 変わりましたね。それまでの自分は、ある程度、自分に限界を感じていたんじゃないかなと思っていて。「私はこうだから」とか「こういうふうにしかできないから」みたいに、自分で自分に囚われちゃっていたのかなと思うんです。活動休止中、スタッフとして4人を見ていく中で、外から見たら自分はこういうふうに見えてるんじゃないかと考える機会も多くて、自分の本当にやりたいパフォーマンスを考えるようになりました。
ーーカミヤサキが見たカミヤサキってどういうふうに見えていたんですか?
サキ : 頑固(笑)!!
ーーあははは。どういうところで頑固?
サキ : 変えようとしないんですよね、まったく。
ーーこれって決めたことは貫くみたいになるってことですよね。
サキ : 渡辺(淳之介)さんに、「真っ直ぐだね」ってよく言われるんですけど、いい意味でも悪い意味でも真っ直ぐなんですよね。ライヴ制作をしてくれているKM MUSICの佐藤さんにも「計算することもちょっとは覚えないとね」って、よく言われたりもするし。そういうところが好きだって言ってくれる人もいるけど、そこがダメな時もすごいあるので、もっと器用にできたらいいんですけどね。
ーー外から見ていて、活動休止を経て、サキちゃんも変わったんじゃないかと思います。
サキ : 見られたい自分の像がはっきりできたんです。これまで、かっこよく見られたいと思っていたけど、どうかっこよく見られたいのか? っていうことはあまり考えていなかったから。そこがふわーっとしていたから、自分も苦しかったというか… この世界でどういうふうにやっていこうっていうのが確立できていなかったけど、今はその基盤ができたのかなって。今のほうが前より自分自身のことを好きになれた気がします。
ーー前はあまり自分のことを好きじゃなかった?
サキ : 下手くそだなって思ってました(笑)。前は自分自身をうまく見せられなかったというか、そこのポジションをやりたい子がいるならどうぞ、みたいな感じで譲っていたけど、今は絶対このポジションは自分がやりたいって欲が出てきたんです。欲がなかった分、どうしたいのかが自分で分からなかったけど、欲が出てきたおかげで、どうしたいかが分かって、人間らしくなったと思う(笑)。
ーーサキちゃんが、理想とかモデルにする人っているんですか?
サキ : 男性ですけど、ジャニーズさんみたいになりたいんです。
ーー歌だけじゃなく、トークやバラエティなど、なんでもできるってこと?
サキ : うん。ジャニーズさんの中でも特にスキルが目立つ人がすごい好きなんですけど、やっぱり自分の見せ方をわかっているじゃないですか? 顔を覆いたくなるくらい、逆にこっちが恥ずかしいくらい、見せ方がすごくしっかりしている。活動休止期間中は、ジャニーズさんとかK-POPとか、とにかく男性アイドルさんを聴いてみようと思って、映像を見たりして研究していました。
ーー自分たちとしてのスタイルもありつつ、お客さんが求めているPOP像にも応える。その両方があるって感じなんですかね。
サキ : 個人としては、お客さんを気にしすぎちゃっていたのかなと思っていて。もちろん求められていることに対して大事に応えたいけど、全部を気にしすぎて流されていたんですよ。ある程度どう見られたいかとか、どういうパフォーマンスをしたいかっていうのを考えて、クオリティ高くやっていったものが、ちゃんとお客さんに伝わるようにしたいなといまは思います。
ーーそれじゃあ、POPっていうグループ自体をどう見せたいですか?
サキ : 私個人の感じとすごく似ていて、POPのメンバーもお客さんの反応を気にしやすいんです。でも、そこはお客さんの反応を受けてすべてを返すんじゃなくて、自分たちがやりたいことを最初に出すってことが、今の1番の課題かなと思いますね。
この5人にしか表現ができないんだってものが加わらないと
ーーちなみに、ライヴの振り付けはサキちゃんがメインで考えているんですよね?
サキ : そうですね。曲によっては他のメンバーも考えてくれたりとかもあるけど。
ーーライヴごとに、かなり細かいマイナーチェンジがあってストイックだなって思います。
サキ : 活動休止中、スタッフとしてライヴを見ているうちに、変えないといけないと思ったんです。それで復帰してから、どどどどどって変えたりしているんです。
ーーなんで変えなきゃいけないと思ったんですか?
サキ : お客さんに盛り上がってもらうことを期待した振り付けをしすぎているとか、そういう部分がめちゃめちゃ見えたんですよ。曲をちゃんと活かせていないのかなと思って、1回曲全体を見てバランスを決めていこうって。だから、ガラっと丸々1曲変えたフリもあります。
ーー代表曲「Plastic 2 mercy」の振り付けも、まだ変わるんだって、毎回びっくりします(笑)。観てる側としては、クオリティが上がっている感じがするけど、自分たちの手ごたえはどうですか?
サキ : 私は人に言われないとそうなれたんだと思えなくて。自己評価で褒めるみたいなことを全くしないんですよ。だから、そこは自分ではちょっと分からないけど、見に来てくれた人とかが「すごくよくなったとかね」とか言ってくれるのを聞いて、間違ってなかったのかな… っていう感覚になれます。
ーーそうしたパフォーマンスが研ぎ澄まされれば研ぎ澄まされるほど、エンターテイメント性も一緒に強化していかないとアイドルとしてのバランスも崩れてしまうのかなと思っていて、そこはPOPの課題なのかなと思うんですよ。
サキ : そこは、本当に難しいですよね。ダンスも、ただ揃えればいいわけじゃないし、ただフリを変えればよくなるっていうことでもないから。そこに、POPのこの5人にしか表現ができないんだってものが加わらないと誰がやっても一緒になっちゃうので。そこはみんなにも「自分がどう見せたいのか、どう見られたいのかを考えたほうがいいよ」って言っています。
ーーメンバーとのコミュニケーションも増えましたか?
サキ : 増えましたね。変な言い方ですけど、半分マネージャーみたいなぐらいの感覚でしゃべったりもします。どう見られたいのとか、あんまり聞かれたくないようなことをどんどん聞いてる感じ(笑)。
今は1番目立ちたいし、棟梁みたいな感じでいたい
ーー今作のリード曲「QUEEN OF POP」は、サキちゃんの作詞です。これはどういう気持ちで書いた歌詞なんですか?
サキ : 歌詞のまま受け取ってもらえれば大丈夫なんですけど、激動の1年で感じたことと、過去の自分と2016年のPOPについて思っていることを自然に出せる歌詞がいいなと思って書いたんです。Aメロで歌っている〈計算上手な大人になれぬままなんて〉って部分は私のことなんですけど(笑)。2番の〈言い訳探しちゃ 逃げ出した 後戻りして 笑おう〉とか、去年あったPOPのあまりポジティヴじゃないニュースも、いつか笑い話にできるくらいにできたらいいよねってことを伝えたくて。もちろん、お客さんに対してもパワーを与える曲になったらいいなと思って書いたんですけど、1番はメンバーに言いたいことがサビに詰まっています。〈僕らは今試されてんだ〉とか〈止まることなく進め〉とか、私が4人に言う感じで書いている。活動休止を経て、完全に1対4じゃなくなったかというと、まだ私は違うと思っていて。若干1対4な感じもあるので、早く均等になりたい。同時に、このグループは私が作った身だし、引っ張っていきたいとも思うので、4人がもうダメかもとか感傷的になった時に頑張らなきゃと思ってくれる曲になればいいなと思っています。
ーー自分たちで歌っていて自分たちもポジティヴになれる曲なんですね。そう考えると、最初に「キング・オブ・ポジティヴ」っていうテーマを付けたのは、実は励みになっているのかなって。
サキ : そうですよね。だんだん深いテーマになってきていて、それがよかったとすごく思っています。
ーー最近は東京以外でのライヴも増えたじゃないですか? 地方でのライヴはどうですか?
サキ : はじめて行った土地だとリアルな反応が帰ってくるから、すごくためになります。すごく落ち込む時もあるし、逆にこことPOPの相性めっちゃいいなみたいなときもあって。大阪にはプラニメの時にもいっぱい行かせてもらっていたので、応援してくれている方も多いのかなと思ったり。〈ANARCHY TOUR〉で、九州とか名古屋、仙台にも行って、初めて見てくれる人をどれだけ掴むかが難しいと感じるんですけど、1個1個確実によくしてこうっていう目標が分かりやすくできるので、回を重ねるにつれて、だんだんライヴはよくなっているんじゃないかなって思います。
ーーサキちゃんが思い描く理想のPOP像を教えてもらえますか?
サキ : まず第1に、しっかり5人が肩を並べること。1対4じゃなくて、1人1人が自分の見せ方を考えられるようにならないといけない。自分も含めて、まだちょっとライヴのブレが多いと思うので、そこをまずしっかりしたいです。以前、誰かがアベンジャーズみたいなPOPのコラージュを作ってくれたんですけど、そういう感じがいいんですよ(笑)。各映画の主人公がきた!! みたいに、オールスター感がほしいなって思います。もちろん自分としては、このグループの中では1番目立っていたい。BiSのときはそんなこと全く思っていなかったんですけど、今は1番目立ちたいし、棟梁みたいな感じでいたいので、5人肩を並べたいけど、みんなに負けないでやりたいなと思います。
ーー5人それぞれの強みがあるとしたら、サキちゃんの1番の強みってなんだと思います?
サキ : わたしは、とにかくハンサムさかな(笑)。
ーーいろんな意味のハンサムってあると思うんだけど、どんなハンサム(笑)?
サキ : わたしは、限りなく男性に近づければいいんですよね(笑)。自分で付けた担当だから、かっこよさっていうのをちゃんとみつけて全うできればいいなって思うんですよ。でも、かっこよすぎる人にはなりたくなくて。それだけじゃつまらないから。
ーーハンサムって、かっこいいだけじゃなくて、いろんな意味がありますからね。
サキ : これまで、おもしろくなれないとか、自分を前に出せないっていうところをずっと気にしていて、1番イヤだったので、そこをどんどん壊していける人になりたいです。大変ってあんまり言いたくないんですけど、この1年間はめちゃめちゃ濃くて、頭が忙しい時で、自分自身を考える機会も発信していけることも増えたから、それがすごく嬉しかったんですよ。だから、いろんな人に興味を持ってもらえるくらい発信力のある人になっていけたらいいなと思います。
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OTOTOYの定期ライヴ・イベントにPOPが出演!!
nest20周年記念公演 オトトイのススメ! vol.5
日時 : 2016年3月29日(火)@TSUTAYA o-nest
開場 : 18:30 / 開演 : 19:00
料金 : 前売 : 2,800円 / 当日 : 3,300円(1drink別)
出演 : DE DE MOUSE / アカシック / POP
問い合わせ : o-nest
主催・企画制作 : オトトイ株式会社 / ATFIELD.inc.
連絡先 : ticket@ototoy.jp(担当 : 西澤)
>>>特設ページはこちらから
POPの2ndシングルを配信スタート!
POP / QUEEN OF POP
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1. QUEEN OF POP
2. 走る!!
3. QUEEN OF POP(inst)
4. 走る!!(inst)