遠いはずなのにすごい距離が近い感じ
──対バンツアーはいかがですか。
ハシヤスメ : 今回のツアーでは、対バンの方のリハーサルとかも観に行ったりしていて。本番前にどういうことをして体を温めているとか、ストレッチをしている方もいらっしゃれば、声を出しで自分たちの曲じゃない曲を歌っている方もいらっしゃったりとか。いままで、BiSHはBiSHしか見てなかったので、先輩たちはこういう風にして何年も何十年も続けてきたんだなって、勉強になったり得るものが大きいツアーでしたね。フェスで一緒になることはあってもそういう裏側まで見ることはできないので、対バンならではの光景を見ることができて嬉しかったです。
──まだツアーの途中ですが、印象に残っていることはありますか。
ハシヤスメ : 去年コロナ禍で何もできない中で、『CDTV ライブ! ライブ!』でサンボマスターさんと“できっこないを やらなくちゃ”をセッションしたのがすごく楽しかったんですよ。久々にBiSHのメンバーとも先輩アーティストさんとも会えて、ライヴとかフェスとかこういう感じだったよなって思い出して。そこから1年経って、対バンしてお客さんの前で 同じ曲をやれて、感極まるものがありました。あと、氣志團さんのおもてなし力。私たちがおもてなししないといけないのに、逆にサプライズをいっぱい用意していただいて。氣志團万博以外でもこんなにおもてなし力があるんだなって
──スカパラとのライヴを観に行かせてもらいましたけど、この日もかなりコラボ曲をやっていましたよね。
ハシヤスメ : スカパラさんには結構お世話になっていて、対バンツアーに呼んでいただいたり、Mステに出たり、トリビュートに参加したり、めちゃめちゃ一緒にやっている中で、いつも招かれてばっかりだなって思っていたんですよ。だからBiSHとBiSHバンドで“Paradise Has No Border”をやって、逆にスカパラさんをもてなすことはできないかなって。結構無茶なお願いだったんですけど、BiSHバンドといろいろお話して練習してもらって、私たちもカウベルとかスプリングドラムとかマラカスとか、いっぱい身動きができるものを用意して。谷中(敦)さんが「この曲で招かれるのははじめてだ」っておっしゃってくださったのがすごく嬉しくて、やってよかったなって思いました。
──セットリスト1曲目から “beautifulさ”で、意外なところから始まったのもよかったです。
ハシヤスメ : スカパラさんは絶対ハッピーに終わるだろうなと思ったので、私たちはハッピーに始めようと思って、あえていつも最後にやる曲を最初に。演出じゃないですけど、いろいろ提案をさせてもらったりしました。
──アリーナ公演と対バンツアーを一緒にやるグループってなかなかないですけど、そのあたりバランスは取れていますか?
ハシヤスメ : いまは完全に 〈BiSH’S 5G are MAKiNG LOVE TOUR〉モードで。前に3日間で6公演分のリハーサルを詰めたときはちょっとテンパりました。ひとつのリハーサルが終わってすぐ「明日は誰とリハーサルしてコラボ曲も完璧にして 」っていう。やってるときはどうしようってなりますけど、その分得るものも多くて。
──もうすぐ大阪城ホール2DAYSですね(取材日7月8日)。
ハシヤスメ : そうですね。なので感覚を取り戻しつつ。単純なことを言うとセットリストも当然違いますし、ステージも広いから見せ方も変えていかないといけないですし。大阪はボケじゃなくてツッコミで輝く文化でしたっけ?
──そうですね(笑)。ハシヤスメさんにとってはプレッシャーのかかる場所ですね。
ハシヤスメ : 来る方は楽しみにしていてほしいなって思います。
〈BiSH SPARKS "My BiSH Forever" EPiSODE 6〉@大阪城ホールのライヴレポート
──5月のガイシホールはどんなライヴになりましたか?
ハシヤスメ : アリーナ・ライヴが代々木第一体育館ぶりで、再起動してからやっとのライヴだったので、日常に戻れた気がしました。今回はじめて外周を用意していただけたので、より清掃員の方の顔を間近で見ることができて、遠いはずなのにすごい距離が近い感じがしましたね。もともとこういう風にまわろうっていうのがあったんですけど、本番前にリハーサルをやって、変わった点もいっぱいあったり、BiSH6人で一緒に作り上げてる感じがあって。発見もいっぱいあるライヴでしたね。
〈BiSH SPARKS "This is not BiSH except BiSH" EPiSODE 4〉@日本ガイシホールのライヴレポート
──アルバム『GOiNG TO DESTRUCTiON』がリリースされますが、どんなアルバムになりましたか。
ハシヤスメ : シングル級にいい曲が多いなっていうのが第一印象ですね。あと、原点回帰みたいなアルバムだなって思ったんですよね。BiSH、帰ってきたなって。“ZENSHiNZENREi”っていう”DEADMAN”を彷彿 とさせるようなパンクな曲があったり、“BEREADY”っていう曲に「化け物だっていいじゃん」っていうフレーズがあって、“BiSH-星が瞬く夜に-”と似ているシーンがあったり、モモコさんが書いた “WiTH YOU”のいちばん最初のフレーズに「 繰り返される思い出に どうして僕は泣くんだろう」っていうセリフがあって、そのワードも旧BiSの“primal.”やBiSHの“Primitive”につながるものがあって。過去を振り返りつつもファーストを思い出せるようなアルバムじゃないのかなって私は勝手に解釈しました。
──パワフルな曲が多いですよね。
ハシヤスメ : アルバムのタイトルが『GOiNG TO DESTRUCTiON』ということで破壊系の曲ももちろんあるんですけど。でも“破壊”って結構強い言葉で、マイナスに捉える方もいらっしゃると思うんですけど、破壊のその先には優しさだったり新しい希望が見え 隠れしていて。アルバム自体もそういう破壊系の曲もあれば、“MY WAY”っていうホワイトな破壊の先にある優しさ みたいな曲があったりとか、このアルバムの中に強さも優しさも詰まっているなって思いますね。