
US / UK / 世界各国のインディー・ロック・オルタナティヴ・バンド事情を、濃厚・濃密に語りつくす座談会企画!! アイドル / ロキノン全盛の昨今、洋楽の特にインディーが全然紹介されなくなって久しい……。しかし、各国のローカル・シーンでは、いまだ良質なインディー・ロック / オルタナティヴ・バンドは誕生し、活動を続けているのです!!
集まってもらったのは、カッティング・エッジな海外バンドを日本に紹介し続ける、インディー・ロック・アンバサダー、カトマンさん、Pヴァイン・レコードの小林さん、そして、レコード・バイヤーの視点からディープな音源を紹介しつづける、ワルシャワの柳沢さん。司会は、Limited Express (has gone?)の飯田仁一郎と吉野 敬一郎。ブラックメタルからシューゲイザー、ガレージ、サイケまで、縦横無尽に”今”おもしろい音楽について語りつくしていただきました。また座談会中に、カトマン氏が紹介している、スリー・ピース・ガールズ・バンド、ZZZ`sのOTOTOY限定パッケージ配信もございます!
司会進行 : 飯田仁一郎(Limited Express (has gone?)) & 吉野 敬一郎
文 : 吉野 敬一郎
スリー・ピース・ガールズ・バンド、ZZZ`sのOTOTOY限定パッケージ!!
世界を視野に入れて活動を続け、実力でその名をニュー・ヨーク・シーンに知らしめつつあるZZZ`s。プログレッシヴで、アヴァンギャルドなサウンドが封じこめられた必聴盤! ザ・ラプチャーやラ・ティグレを手がけるエンジニア、ジョナサン・クレイニックによる録音!
ZZZ`s Official website
ZZZ`s / 『Magnetica/Prescription』
【配信価格】
WAV 単曲価格 250円 アルバム購入 1,500円
MP3 単曲価格 200円 アルバム購入 1,500円
【Track List】
1. DNA
2. Busy Bee
3. (A Man Looks Into) The Hole
4. Drippin'
5. dystopia
6. G's
7. suicide
8. cut it out
9. red light
2013年のインディー / オルタナティヴ・バンド事情座談会
ーーまず3人の経歴をお願いします。
カトマン : 自分はもともとポップ・ビズっていうディストリビューターで働いてて、その後に新宿のナットレコード、高円寺のレコード・ショップのベースで働いたりって感じですね。
小林 : 一番最初は吉祥寺のレコード屋のワルシャワで働いてて、そのときにカトマンさんと柳沢くんもお客さんできてたよね。10年目くらいでワルシャワ渋谷店ができたのでのそこの店長になって、そのまま独立してサムオブアスってお店を作って、コントラリードに入って、今はPヴァインですね。
柳沢 : ワルシャワですね。小林さんの異動のちょっと前に入りました。
ーー皆さんレコード屋上がりなんですね。海外だとレコ屋とかはもうあんまりないんですよね?
小林 : レコ屋は今増えてますよ。アナログですけど。
カトマン : タワレコとか大手はもうないけどね。あとここ5年くらいだとテープとか多いよね。
柳沢 : レコードストア・デイみたいなカセットストア・デイってあるんですよ。
小林 : 大きいレーべルもいっぱい参加してるよね。
カトマン : カセットはいいよね。

カトマン : だからずっとカセットって感覚はあるよね。
ーー車でカーステなんですね。海外はCDとアナログだとどうなんですか?
カトマン : CDはもうみんな買わないかな。ほとんど作らないところも多い。
小林 : インディレーベルはほとんど作らないかな。
カトマン : ダウンロードとアナログ。コンピューターでCD聴けないからね。
柳沢 : ダウンロードはフリーで、あとはアナログだよね。
小林 : どうせ持ってるならアナログのほうがいいかなって思う。
カトマン : 結局は音楽ファンって何か持っていたいっていうのは変わらないじゃないかな。
DFAは色々からみがあって、よくチェックするんですけど、大体ハズレはないですね
カトマン : 自分が元々好きで、ファクトリー・フロアと、ホーリー・ゴースト! ですね。全部DFAレコードっていう。LCD Soundsystem周りのレーベルのアーティストなんですけど、来月の頭にアルバムがでるので、それをよく聴いてますね。ホーリー・ゴースト! はもともとヒップホップをやっていたんだけど、今はニュー・ウェーブな感じで、すごくいい曲書くバンドですよ。ファクトリー・フロアも最初はエクスペリメンタルだったんだけど、いい感じにそり落とされて、ポップになったかな。ファクトリー・フロアーもう6、7年になるんですけど、今まではEP扱いって感じで、今回がはつのフルアルバムですね。DFAは色々絡みがあって、よくチェックするんですけど、大体ハズレはないですね。レーベル買いしてもいいと思いますね。
ーーカトマンさんは結構レーベル単位で聴いている感じですか?
カトマン : いや、今は曲単位って感じですね。まぁ昔から曲単位なんですけど、何かを聴いてそれがよかったらバンドにむかう。
ーーカトマンさんは昔から早いですよね。ネットのない時代から「どこで見つけてきたの?」みたいなひと見つけてきますよね。ミカミコとか。
カトマン : ミカミコは、にせんねんもんだいのアメリカ・ツアーで、はじめたばかりのバンドがいるっていうので見たんですけど、それを友達として追っていったら、どんどんよくなっていったって感じですね。最初は結構ひどかったんですけど、近いところで一緒に見ていくっていうのが、インディの楽しみでもあるかな。最初からいいってわけじゃなくて、ちょっと光るものとかあると、興味わきますよね。
ーー他にも色んなバンド紹介されてますよね。カトマンさんが紹介したアーティストって覚えてます?
小林 : 最初は、ザ・ロカストかな?
カトマン : そう、ザ・ロカスト。でもその前に自分の企画で日本のバンドのブッキングやっていたので、日本のバンドもありましたよ。ENVYとか、彼らの海外ツアーのきっかけを作ったかな。自分もバンドやってたので、彼らといっしょに、スウェーデンのプライドボールと3バンドで中国をツアーしましたね。でも一番最初にオフィシャルで呼ぼうっていうのが、ザ・ロカストかな。その流れで、サンディエゴの、アルバム・リーフと、トリステーザとかですね。あと、バトルスもそうですし、マイナス・ザ・ベアーとか、ディスコード周りのバンドとかも。マーズ・ヴォルタも(日本に紹介する)きっかけは自分でしたね。
小林 : 確かにカトマンさんを通って巣立っていったバンド多いですよね。バトルスなんて何の音源もでてなかったのにね。
カトマン : バトルスはバンドじゃなかったときからですからね。バトルスに関しては、昔に遡ると、ヘルメットってバンドがあって、ヘルメットの最初の来日のきっかけを作ったなかのひとりなんですよね。ジョン(ステニアー)が年も近くて、仲よくなって。基本はだいたい仲間の話からって感じですね。
ブラックメタルの連中がノイズと交配したり、シューゲイズになったり
ーー基本は友達周りからなんですね。小林さんの今おもしろいバンドはどうですか?
小林 : 2013年って色々考えてきたんですけど、全然2013年じゃないんですよ(笑)。最近一番聴いてるのが、スモッグのアルバムで、2013年とはかけ離れまっくてるし(笑)。店やってるときは全然、スモッグ(注1)とか、嫌いじゃないけどそんなに好きじゃなかったんで、ここにきてガッツリはまって、年取っちゃったかなって。あっ、今は名前変わって、ビル・キャラハンですね。
小林 : あとはカトマンさんも好きな、デフ・ヘブン(注2)。
カトマン : あぁ、デフ・ヘブンね。
小林 : やばいっすよね。
小林・カトマン : ブラックメタル・シューゲイズ。
カトマン : デフヘブンは格好いいですね、今年みんなが盛り上がったアーティスト。
柳沢 : リタージー(注3)もこういう感じのブラックメタル・シューゲイズかな。
カトマン : あと最近だとヴァウラ(注4)とか。ここ5、6年でアンダーグラウンドだったのが、どんどん認知されてきたかな。ブラックメタルの連中がノイズと交配したり、シューゲイズになったり、これとか聴くとポップだよね。

ーー僕らは、ENVYとか聴いてるからこういうの聴いてもポップに聞こえるけど、普通のひとはどうなんですかね。
小林 : なんかこう、ブラックメタルだとかシューゲイズだとか洋楽だとか、取っ払って、ジャンルとかうんぬん関係なくヤバいよって渡したら若いひとも聴けるんじゃないすかね。
カトマン : たぶん、最近は先入観ってあんまりないから、ただ聴かせちゃえばいいんじゃない。
柳沢 : うん、先入観ないね。
小林 : そのほうがフラットに聴けるからおもしろいんじゃないかな。
カトマン : でも一番ブレイクしたのは、アルセ(注5)だよね。本当にブラックメタル界隈で有名になったのは。
小林 : アルセって日本盤はギターポップとかメインで出している、QUINCE RECORDSからリリースしてるんですよね。バックボーンはブラックメタルなんだけど、音だけ聴いたらきらめきシューゲイズっていう感じだから。それってさっきの先入観じゃないけどおもしろいなって。
一同 : いい話(笑)。
カトマン : 昔からブラックメタル・シューゲイズみたいなのはいたよね。
柳沢 : ブラックメタルは色々ありすぎて、ちゃんと説明できるひといないよね。
注1 : スモッグ / ビル・キャラハン(SMOG / BILL CALLAHAN)
2005年までスモッグ名義で10枚ほどのアルバムをDRAG CITYから発表、それ以降はビル・キャラハン名義で同レーベルなどからアルバムをリリースしており、DRAG CITYの看板アーティストとして周知されている。また、ジム・オルークやジョン・マッケンタイア、キャット・パワーなどとも仕事をこなす職人気質なアーティスト。
注2 : デフ・ヘブン(deafheaven)
サンフランシスコのエクスペリメンタル・ブラックメタルバンド。確かな演奏力とシャープな音作りで奏でられるサウンドは、クラスト系との近似性を言及された初期USブラックメタル勢とは真逆のアプローチ。徹底的なまでに貫かれるトレモロ・リフは昨今主流になりつつあるシューゲイザー的アプローチを踏襲している。
注3 : リタージー(liturgy)
ブルックリンのブラックメタルバンド。テクニカルなトレモロ・リフとブラスト・ビートが従来のブラックメタルにはないスタイリッシュなサウンドを作り上げている。トータス、シー・アンド・ケイクを擁する名門レーベル、Thrill Jockeyからのリリース。
注4 : ヴァウラ(VAURA)
2009年、ブルックリンにて結成。異種交配プログレッシブ・エクスペリメンタル・メタル・バンド。2011年にWierd Recordsから1stアルバムをリリース。ALCEST,DEAFHEAVEN,CASTEVET,BLOODY PANDAなど一筋縄ではいかないバンドとツアーを重ねてきた。2013年、Profound Lore Recordsと契約して2ndアルバム『The Missing』を10月29日にリリース予定。
注5 : アルセ / アルセスト(Alcest)
アルセスト(Alcest)は、2000年にフランスで結成されたブラックメタルプロジェクト。バンド名自体に特に意味はないが、言葉の響きが音楽性に合うという理由で命名された。日本ではフランス語風にアルセと呼ばれることが多く、日本盤のバンド名表記もこちらを採用している。シューゲイザーやポストロックの影響を感じさせる新しい音楽性でブラックメタルに革命をもたらした。
今90年代に戻ってるんで、ノイジーなバンドがポピュラーになってくるんじゃないかな
ーー柳沢さんのオススメありますか? ちなみに今のワルシャワの形って柳沢さんの個人ブログ的な形なんですか?
柳沢 : 今はそうですね。あんまり自分の好みを入れすぎないように割とフラットにやってます。自分がガレージっぽいのが好きなんで、ジャクジー・ボーイズ(注6)かな。
小林 : この前飲みに行ったんですけど、そのとき劇的にプッシュしてきて(笑)。
カトマン : ジャクジーボーイズ、格好いいよね。
柳沢 : サウンド・クラウドでアルバムありますよ。スリー・ピースのマイアミのバンド。
柳沢 : アメリカのインディはこういう風なガレージっぽい、タイ・シーガル(注7)とかが上にいて、下にもいっぱいいるんだよね。オーシーズ(注8)とかがトップだと思うんだけど最近タイ・シーガルも大きい存在になってる。
カトマン : カート・ヴァイル(注9)とかもじゃないかな。
一同 : ガレージが多いよね。
柳沢 : 2000年代ってどっちかっていうと、エモっぽいポストロックとかが多かったと思うんだけど、もっとロック、バンド・サウンドがシンプルなほうに向かったんじゃないかな。
カトマン : あとまた90年代みたいなファズっぽくなって、それが新しい形になってる。それで昔からやってるひとが上がってきてるよね。好きなバンドで、たとえば、デストラクション・ユニット(注10)とか。
柳沢 : もっとノイジーな感じですよね。
カトマン : まぁでもガレージに入るかな。元々ジェイ・リータード(注11)とかロスト・サウンド(注12)でやってた連中だからね。
柳沢 : フィラデルフィア辺りが多いっすよね。あとコロンバスとか。
カトマン : あとアメリカはソウルとかブルースの地盤があるから、そういう流れのブラック・キーズ(注13)、ハンニ・エル・カティーブ(注14)とかね。でも時代は今90年代に戻ってるんで、ノイジーなバンドがポピュラーになってくるんじゃないかな。オルタナティブって言葉が合う時代になってきてる。
注6 : ジャクジー・ボーイズ(Jacuzzi Boys)
マイアミのスリー・ピース・ローファイ・ガレージポップ・バンド。ガレージ・テイストのローファイ・サウンドを特徴とする。同名のハウス・プロジェクトは別人。
注7 : タイ・シーガル(Ty Segall)
ソロ活動の他、Epsilons、Party Fowl、The Traditional Fools、The Perverts、Sic Alpsといったバンドで活動している。ソロ活動以前は、アメリカのオレンジ・カウンティやサンフランシスコで、さまざまなアンダーグラウンド・バンドのメンバーとして演奏していた。
注8 : オーシーズ(The Oh Sees⇒現Thee Oh Sees)
ジョン・ドウアーのエクスペリンタルな宅録作品をリリースするためのソロ・プロジェクトとして開始された。その後、いくつかの作品をへて、フル・バンドへと進化をとげた。最先端のアレンジはサイケデリックでありながらも、スタイリッシュでキレのいい新しい音楽として、リスナーに強く印象づけているのである。
注9 : カート・ヴァイル(Kurt Vile)
フィラデルフィア出身。同郷のニール・ヤングやボブディラン、ブルース・スプリングスティーンといったSSWの系譜に連なるアーティスト。
注10 : デストラクション・ユニット(Destruction-Unit)
アリゾナ砂漠が生んだ、ザ・リーターズ(the Reatards)の元メンバー、ライアン・ルソー率いるサイケデリック・パンク / ガレージ5人組。オリジナル・メンバーにはUSガレージ・パンク界のレジェンド、故ジェイ・リータード、そして彼のバンド、ザ・ロストサウンズのアリシア・トラウトも在籍。
注11 : ジェイ・リータード(Jay Reatard)
アルコール中毒の父親と暴力的な継母の間で幼少時代をすごしたという彼は、ものごころついたころから、思い浮かんだメロディを録音していたとのこと。15歳の時に作ったデモ・テープがGoner Recordsの目にとまり契約を結ぶ。ソニック・ユースやBECK、アーケイド・ファイアらが賞賛するなど、アーティストにもファンは多く、USインディ・ロック界を担う人物として今後の活躍が最も期待されるアーティストのひとりだった。2010年1月13日、オーヴァードーズにより、29歳という短い人生の幕をとじる。
注12 : ロスト・サウンド(LOST SOUND)
テネシー出身のロックバンド。1999年3月に活動を開始。もともとガレージロックから、ニューウェーヴ的なシンセ使いは、後のダーク・ウェイヴに影響を与えているらしい。バンドは、頻繁にヨハネの黙示録や、コロンバイン高校銃乱射事件までの暗い終末論的なテーマを扱っていた。
注13 : ザ・ブラック・キーズ(THE BLACK KEYS)
アメリカ・オハイオ州アクロン出身のふたり組ロックバンド。ガレージ・テイストのローファイなサウンドを特徴とする。2013年現在までに、グラミー賞を7回受賞している。
注14 : ハンニ・エル・カティーブ(Hanni El Khatib)
カリフォルニア生まれ、サンフランシスコ育ち。スケーター、キース・ハフナゲル(スケートボード・ブランドREALのライダー)のプライベート・ブランド、HUFに長年在籍し、チーフ・デザイナーとしても活躍。2011年のナイキやコンバース、STUSSYの世界キャンペーンCMソングに抜擢され、注目新人としてデビュー。
チルウェイブはネットのなかから生まれてきた音で、ガレージとかは現場のほうから
柳澤氏

ーー最近、世のなかチルウェイブとかに向かいだして、ちょっと退屈になったんですけど、今はまたガレージとかオルタナとかに戻ってきてる感じなんですか?
カトマン : そう、だから結局は若い連中が、「チルウェイブとかかったるいな」っていうのから、もっとパンチのあるやつに走ったんじゃないかな。
柳沢 : チルウェイブはネットのなかから生まれてきた音で、ガレージとかは現場のほうからきてる。現場は徐々にだけど、ネットだと早すぎるからはやってもふわーっていっちゃう。
カトマン : 実際は、はやってないんだけどね(笑)。やっぱりチルウェイブみたいなムーブメントは特になくて、レコ屋が押しやすいんだよね。でもガレージはずっと脈々に続いてるし、そこを見て感化された若い連中が下手でもいいからやるぜみたいなノリはあるかな。
ーーオルタナ、ガレージでこれからくるっていう新しいバンドはいますか?
カトマン : それがジャグジーボーイズですよ(笑)。
柳沢 : 僕の中では最近盛り上がってますよ。
カトマン : リヴァイバル的なのでいうと、ガン・アウト・フィット(注15)とか、メッツとか昔のSUB POPっぽいのがいるかな。まぁ若くはないんだけどね。
柳沢 : あとカナダとかオーストラリアのシーンがすごいおもしろいっすね。カナダはニューウェーブっぽいのが多いかな。暗いのが多い。オーストラリアは完全ローファイですね。昔の90年代頭ぐらいの音をそのままやってますね。
小林 : ペイヴメントがいっぱいだよね(笑)。
カトマン : そのままだよね。
柳沢 : ビッチパーフェクト(注16)とかね。
柳沢 : あと小林さんの出している…。
小林 : スコット&シャーレンズ・ウエディング(注17)。
柳沢 : っていうのをオーストラリアのベッドルームサックっていうレーベルから出してるんだけど、そのレーベルのひとたちなんですけど。ローファイな感じの結構いますよ。
小林 : スコット&シャーレンズ・ウエディングは11月にO-NESTに来るんですよ。
柳沢 : あと今年、はやってるのはデンマークのパンク。
カトマン : アイスエイジ(注18)ね。あと、ワー(注19)とか。アイスエイジ周りはおもしろいね。
柳沢 : イギリスも割とローファイが多いっすよね。
ーーそのなかで突然変異っていうか、アニマルコレクティブ、パンダベアーとか「今まで聴いたことないサウンド!」みたいなのとかありますか?
柳沢 : 80年代っぽいのがすごく多いかな。ベタなキャッチーなエレポップみたいなのをバンドでやってるひとも多いと思う。普通にフィル・コリンズじゃんみたいな。若い子たちが新鮮でやってるんだと思う。
小林 : 僕が最近気になってるのは、アイスランドの、アスゲイル(注20)っていうシンガーソング・ライターがいて、まだ21歳なんですけど、一昨年か去年にアイスランドでアルバム出して、アイスランド人の10%がCD持ってるっていうくらい売り上げて、それの英語ヴァージョンが今年でるんですよね。それを、ジョン・グラントが翻訳したやつが、すごく完成度がよすぎてビックリなんですよね。 もろに、ボン・イヴェールなんですけど、20歳くらいでなんでいきなりこういう音楽できるのかなーって。
カトマン : アイスランドって本当にコミュニティが狭いから、ビョークもシガーロスもみんな仲間っていうか、ムームとかもみんなサポートし合ってるよね。
ーーなるほど。では今の日本のシーンをどう思いますか?
小林 : ちょっと前までは海外とリンクしてない部分とか、日本のなかだけで結論出して終わらせちゃうバンドが多いのが嫌だったんですけど、最近は海外の動きと一緒じゃなくてもいいのかなって思いますね。あと海外のバンドの招聘をやっていて、日本のバンドの対バンを付けようと思ってるんですけど、僕らの世代だったら、みんなそこらへんに憧れてた世代だから「ノーギャラでもやります!」みたいな感じだったんですけど、今は「そのバンドよく知らないんで」という感じで断られちゃうこともあるんですよね。まぁ紹介できてないからこういう状況になっちゃってると思うんで、とにかく紹介し続ける。選択能力がなくなってきちゃってるから、メディアがそれをやらないといけないと思うんですよね。
カトマン : 自分が紹介できるなら、好きなものをもっとだしていって、ひとりでも、ふたりでも分かるひとがでてくればいいかなって思いますね。今は、とにかくZZZ'sが気に入っています。兵庫の女の子3人組。
柳沢 : 僕は海外の音楽しか聴いてないので、日本のシーンを知らないんですよね。 そこまで頭が回ってないってのもあるんですけど(笑)。まぁ単純に海外のほうが好きなんですよね。
ーー逆に海外のシーンがおもしろいと思うところはなんなんですか?
柳沢 : 本当にただミーハーなだけなんですど、聴くジャンルも広いので、常に好きなものがでてくるからかな。
注15 : ガン・アウト・フィット
Reuben Storey、Dylan Sharp、Carrie Keithの3人から成る、ワシントンのバンド。MEAT PUPPETSや、DINOSAUR JRの影響下にある。SEX VID and SISTERSなど、アメリカ北西バンドのひとつ。
注16 : ビッチ・パーフェクト(Bitch Prefect)
オーストラリア・インディ・レーベルR.I.P SOCIETYの新人。ポップでパンクなギター・ポップ・サウンド。
注17 : スコット&シャーレング・ウエディング(scott-charlenes-wedding)
オーストラリアから現在はNYにて活動しているクレイグ・ダーモディーのバンド。オーストラリアの長寿ドラマ『ネイバーズ』の登場人物、スコット・ロビンソンとシャーレン・ミッチェルが第523話で結婚したのをそのままバンド名に。サウンドはローファイ・ギター・ポップス。
注18 : アイスエイジ(ICE AGE)
2008年にデンマークのコペンハーゲンで結成、全員がまだ10代という4人組。ポスト・パンク、ハードコア、ガレージロック等の要素を取り込んだサウンド。1stアルバム『ニュー・ブリゲイド』は、当初デンマーク国内のみのインディー・リリースであったが、またたく間に世界中で話題となる。
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注19 : ワー(VÅR)
アイスエイジのエリアスと、レーベルPOSH ISOLATIONの主宰者でありハードコア・シーンでも絶大な支持を受けるバンドSEX DROME、そして現在はLust For Youthのメンバーであるロークのふたりを中心とした4人組VÅR(ファーストシングル時はWARだったのを今回VÅRと改名。読みかたはWARと同じ、意味は「春」)。コペンハーゲン・シーンの中心人物達によるスペシャル・ユニット
注20 : アスゲイル(Ásgeir)
2012年の秋からアイスランドではラジオヒット中とのこと。メロディは本人、歌詞は父親が担当(兄はアイスランドのレゲエ・バンド、ヒャルマルのメンバー)。嫌味のない歌声で、ファルセットのハーモニーも美しく聞きやすく、ルックスもいいため、女性ファンからはアイドル視されている。
こういうのをみんなが普通に聴いてくれてたらいいな
ーーなるほど。では今って探しかたがすごい難しいと思うんですけど、どうやって探したらいいと思いますか?
小林 : 僕はネットは便利だなって思う。フェイスブックとかで気になったバンド全部お気に入りにいれて、海外のサイトとかも全部いいねしておけば、朝電車のなかで全部みれるじゃないですか。そしたらすぐ聴けるし。あと夜寝るときは、ラジオかな。ラジコとかフルストリーミング・ラジオとかたくさんあるし、ジャンルごとにあるからいいよね。掛かってきたときの偶然の出会いっていうのは、めちゃめちゃおもしろいし。寝れないですね(笑)。
カトマン : 僕はなんかこう、本当に降りてくるっていうか(笑)。フェイスブックもツイッターもそうなんすけど、俺的には、よさげなやつを聴きまくる。ピッチフォークとかステレオガムとか海外の音楽ブログは必ずチェックしてて、大なり小なりを全部聴く。新しい音源が出るよっていったら、じゃあ聴きましょうってね。大体ニュースはどこも一緒だから、そのなかで違うやつ、その媒体のオリジナリティをチェックする。
小林 : 分かる分かる。媒体によって違うよね。なんでそこ! みたいなのあるよね。
カトマン : ラジオは、スポティファイとかラジコとかiTunesのラジオでもいいし。
小林 : あとはアキューレディオね。
カトマン : アキューレディオはオルタナティブとかブルースとか、ジャンルが色々あるよね。
小林 : 便利なんですよね。
カトマン : あとは最近はミックスクラウドとか。みんなが個人的にアップしたミックスを上げてるんだよね。 自分もそろそろ上げようかなって。
柳沢 : サウンドクラウドのサブメニューね。
カトマン : 当たったら、そのひとのテイストでくるから間違いない。
柳沢 : 僕の場合はレコ屋を引きずってるんで、リリースの視点で見ちゃうんですよね。ブログはものすごい数登録してますね。あとはワルシャワのブログですかね(笑)。
小林 : ワルシャワ・ブログはおもしろいですよ。
カトマン : ワルシャワ・ブログは間違いない(笑)。
ーーワルシャワ・ブログは自分もチェックしてます。では、最後に3人の選ぶ2013年一番オススメのバンド教えてください。
小林 : 僕はもう何年かずっと日本の、テニスコーツですね。
カトマン : 俺はさっき言った、ファクトリー・フロアかな。国内では、ZZZ's。
柳沢 : 普通に誰でも聴けるってところで、ミカル・クローニンですかね。こういうのをみんなが普通に聴いてくれてたらいいな。
ZZZ's LIVE INFORMATION
group A new album "INITIATION" launch party
supported by Reclash Entertainment
2013年10月11日(金)@super deluxe
OPEN 20:00 / CLOSE 20:00
【出演】
Band
group A
NISENNENMONDAI
Miila and the Geeks
ZZZ's
DJ
wizzjones
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