USインディーのプリンス、待望の新アルバム完成!!
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最高傑作として大絶賛を浴びた『モダン・ギルト』から6年、遂に待望の最新作が登場しました! また、代表曲「ルーザー」の世界的大ヒットから20年ということもあり、なんとも感慨深い。アトムス・フォー・ピースのドラマーとして活躍中のジョーイ・ワロンカーをはじめ、ジャスティン・メルダル・ジョンセン(B)、スモーキー・ホーメル(G)、ロジャー・ジョセフ・マニング・Jr.(Ky)、ジェイソン・フォークナーら、2002年のアルバム『Sea Change』に参加したメンバーが再集結。不整脈や脊椎のケガなど、年なりの厄を乗り越え完成させた大作です。
Beck / Morning Phase
【配信価格】
WAV、mp3とも : アルバム購入 1500円
WAV、mp3とも : 単曲購入 250円
【Track List】
1. Cycle
2. Morning
3. Heart Is A Drum
4. Say Goodbye
5. Blue Moon
6. Unforgiven
7. Wave
8. Don't Let It Go
9. Blackbird Chain
10. Phase
11. Turn Away
12. Country Down
13. Waking Light
長い暗闇を抜けて、差し込む朝の暖かい日差しのような作品
もうずっとこの音楽に浸っていたい。優しくて暖かくて涙が出た。約6年、待ちに待ったベックの新作『モーニング・フェイズ』は長い暗闇を抜けて、差し込む朝の暖かい日差しのような作品だ。冒頭41秒のストリングスのイントロ曲「サイクル」から始まり、ラストの「ウォーキング・ライト」まで、美しい音と歌のハーモニー、そしてメランコリックなメロディーと歌声からにじみ出る感情がグッと心に響いてくる。全体的にアコースティック・ギターやピアノなど生楽器の音色を生かし、シンプルなフレーズをオーケストラで彩ったフォーキーなヴォーカル・アルバムとなっている。
雰囲気は02年にリリースされた傑作『シー・チェンジ』に近い。それもそのはず、アトムス・フォー・ピースでも活躍しているドラマーのジョーイ・ワロンカーを始め、参加ミュージシャンはほぼ『シー・チェンジ』と同じだという。オーケストラ編曲も同じ、父親のデヴィッド・リチャード・キャンベルだ。ベックの顔を全面に出したジャケットも瓜二つ。しかし制作背景や重きを置いた部分が違う為、聞こえ方は全く違ってくる。
恋人との離別を背景にしていた『シー・チェンジ』と比べ、どこか優しく、温かな雰囲気が感じられる今作は、脊髄の怪我で思うように演奏が出来ない時期を乗り越え、演奏できることの喜びが反映されているのだろう。音響面に関してもとても素晴らしい。空間的で浮遊感がありながらも音にしっかりと輪郭があり、音の重なりがとても心地よい。リヴァーヴ、音の広がりや奥行きなど、随所に彼のアーティスティックな一面が伺える。前作『モダン・ギルド』から今作までの間に、楽譜のみの販売という異例のアルバム『Song Reader』の制作やシャーロット・ゲンズブール、元ペイブメントのスティーブ・マルクマスや元ソニック・ユースのサーストン・ムーアのプロデュースといった課外活動の経験が存分に生かされている。
1stアルバム『メロウ・ゴールド』からちょうど20年。作品毎に音楽性を変化させ、90年代のUSオルタナティブ・シーンを引率してきたベック。他のメディアのインタビューで、これからどんどんレコードを出したいと発言しており、今秋にもう一枚アルバムのリリースを予定しているという。その他にも80%程完成しているアルバムが3~4枚あるというから驚きだ。デビュー20年目にして充実期を迎え、まだまだ尽きない創作意欲。次はどのような作品になるのか全く想像つかないが、それが楽しみなのである。今後もベックの動向から目が離せない。
(texy by 吉野敬一郎)
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PROFILE
BECK
1970年生まれ、カリフォルニア州ロサンゼルス出身。本名ベック・ハンセン。93年にインディーで発表したシングル「ルーザー」が話題となり、レーベルによる争奪戦の末、ゲフィンと契約。94年に発表した「ルーザー」は全米モダン・ロック・チャートで5週連続1位を獲得し、同年に発表したメジャー・デビュー・アルバム『メロウ・ゴールド』は全米13位を獲得。96年に発表した『オディレイ』が世界各国で驚異的なセールスを記録し、グラミー賞2部門を受賞。98年の『ミューテイションズ』から、『ミッドナイト・ヴァルチャーズ』(99年)、『シー・チェンジ』(02年)、『グエロ』 & リミックス・アルバム『グエロリート』(05年)、『ジ・インフォメーション』(07年)、『モダン・ギルト』(08年)まで、コンスタントにアルバムを発表。『モダン・ギルト』は全米4位 / 全英9位を獲得し、第51回グラミー賞「最優秀オルタナティヴ・アルバム」にノミネートされた。90年代から現在に至るまで第一線で活躍を続け、名実ともにアメリカの音楽シーンを代表するアーティストとして確固たる人気と評価を誇る貴重な存在。