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2005年にデビュー、モダンなブルーズ・ロック・サウンドを中心に、作品ごとに違う色を取り入れ変化し続けるイギリスの3人組、リトル・バーリーが3年ぶりとなる新作『シャドウ』をリリース。ライヴ感を大事にしたという今作は無駄な音が極限まで削ぎ落とされ、そのストイックな出来に思わず唸る一枚となっている。共同プロデューサーには長年タッグを組んできた敏腕、エドウィン・コリンズが迎えられ、サウンド面も万全な体制で製作。さらにダイナミックに進化した音をご堪能あれ。
Little Barrie / Shadow
【価格】
mp3、WAVともに 単曲 200円 / まとめ購入 1,500円
【Track List】
1. Bonneville / 2. Fuzz Bomb / 3. Sworn In / 4. Stop or Die / 5. Deselekt / 6. Pauline / 7. It Don't Count / 8. Everything You Want Will Be Yours Tonight / 9. Realise / 10. Eyes Were Young / 11. Black Mind (Bonus Track) / 12. Shadow / 13. Clone 24 (Bonus Track) / 14. Fuzz No 6 (Bonus Track)
変幻自在のギター・プレイはスリリングでエキサイティング
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最近昔のロックを聴いていて思うことがひとつある。ギター・ヒーローと呼ばれる人が少ないということだ。2000年代に入ってからギター・ヒーローと呼ばれているのはジャック・ホワイト(ホワイト・ストライプス)くらいではないだろうか? ホワイト・ストライプスが出てきた2000年代初頭のロックンロール・リバイバルも数年で終わり、最近はローファイやエレクトロ、ポップで踊れるロックがメイン・ストリームとなっている。そのような時代の流れから、ギタリストが華々しく全面に出ているバンドが減っているのだ。私のなかでロックはやはりギタリストが輝いてなんぼ。ギタリストが一番格好良く、華のある存在でいてほしい。
そんな時代に私の中に現れたギター・ヒーローがバーリー・カドガンだ。2005年のリトル・バーリーのデビューから、モリッシー、プライマル・スクリームのギタリストを務め、ポール・ウェラーやのアルバムに参加するなど、大物アーティストから引っ張りだこなバーリー・カドガン。ファズで歪ませたブルージーでロックンロールな彼のギターは鳥肌もの。クールでありながら色気を帯びたロック・スター然とした佇まい、もはや2000年代のギター・ヒーローと言っても過言ではないだろう。
そんなバーリー率いるリトル・バーリーが、3年ぶりのニュー・アルバム『シャドウ』をついにリリース。ロックと60年代のブルースを基調とし、1stではソウルやファンク、2ndではよりブルース中心なヴィンテージ・ロック、3rdではヘヴィーでソリッドなロックンロールと毎回違う味を出し、進化し続けてきた彼ら。今作では前作以上にヘヴィーに、そして『シャドウ』の名の通り、ブラック・サバスなどのストーナー・ロックのようなダークな雰囲気も垣間見れる。そして何よりギターの格好良さはいままでで一番だ。バーリーのファズとワウを駆使した変幻自在のギター・プレイはスリリングでエキサイティング。まるで生のライヴを聴いているかのようだ。そしてその変幻自在のギターに合わせるベースのルイス・ワートンと常にブレずに芯のあるドラミングを魅せるヴァージル・ハウ。バーリーが自由に演奏できるのもこの2人が後ろでしっかりとバンドを支えているからだろう。今作を通してバーリーのギタリストとしてのさらなる進化、そしてなによりバンドの成長がしっかりとうかがえる。ギタリストだけが上手くてもバンドとしては成り立たない、ギターが輝くには後ろで支えるメンバーこそ重要なのだ。ジミー・ペイジとジョン・ポール・ジョーンズ、ジョン・フルシアンテとフリーやピート・タウンゼントとジョン・エントウィッルス然り。
ギター・ヒーローなんて時代遅れなのかもしれないが、そんな風に思わせてくれたリトル・バーリーの今作。ぜひ聴いてほしい。そしてバーリーのギターに酔いしれてもらいたい。(text by 吉野敬一郎)
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PROFILE
Little Barrie
バーリー・カドガン(Vo,G)、ルイス・ワートン(B)、ヴァージル・ハウ(Dr)の3人組英ロック・バンド。05年のデヴューから現在までに3枚のアルバムを発表。サマソニ06ではビーチ&アクア・ステージでトリを務めた。バーリーはプライマル・スクリームやモリッシーのバック・ギタリストとしても活躍し、ポール・ウェラーやケミカル・ブラザーズのレコーディングにも参加するなど人気ギタリストとしての顔を持つ。