五線紙に音符を書いて、頭の中だけに音が鳴るのが好き
――頭の中に浮かんでるイメージを曲として完成させる方法は、エレクトーンを習っていたことと、大学の作曲科で学んだことが大きいですか?
荻野:エレクトーンをやっていたことで、いろんな音色が頭の中に鳴っている感じがあったんです。それが、エレクトーンの音色だとこうだけど、実際の生楽器だとこうなんだっていうことは、オーケストラとかと触れ合うようになってわかってくるんですけど。それと同時にミュージカルで演奏する仕事を始めたので、そうするともっと間近で生のいろんな楽器の演奏を聴くことができるようになって、「この楽器ってこんな使い方があるんだ」というのはそこで学んだことが大きいですね。大学時代には、サックスとかほとんど興味なかったんですけど(笑)。ミュージカルの仕事をやるようになって、ビッグバンドとかが好きになって、「どういう響きになったらああいうアンサンブルになるのか」みたいなことを勉強していった感じです。
――今の時代は、プロミュージシャンに限らずPCで楽曲制作ソフトを使って曲を作る人もいますが、荻野さんが普段どうやって曲づくりをしているのか教えていただけますか?
荻野:デモは、「Digital Performer」っていうソフトを使ってやってるんですけど、ただそんなに完パケを作るほどの設備はないので、最低限の音が出る音源しか持ってないです。それで例えば映画の曲だったら、ここはピアノだけど管楽器っぽいものが足されますとか、ストリングスになりますとかっていうぐらいの、ガイドがわかるようなデモを使って、あとはパーカッションなんかはちょっと入れるかな。ただ、あんまりデモを作り上げすぎちゃうと、完成形がそのイメージと同じみたいになるのが怖いので、3割ぐらいの完成度のデモで、「これがもっとゴージャスになりますよ」っていうことにしておきます(笑)。それをもとに、手書きで譜面に起こして、生のミュージシャンにレコーディングしてもらうっていう流れです。
――譜面は手書きなんですね。
荻野:そうなんですよ。手書きの譜面を写譜屋さんに渡して、パート譜になったものをミュージシャンにお渡しして演奏してもらってます。コロナ禍ですることがなかったときに、譜面ソフトに手を出そうと思ってボーカル譜とか簡単なピアノ譜ぐらいだったら作れるようになったんですけど、スコアは自分でその音を頭に鳴らしながら書くのが好きなんです。ソフトにしちゃうとパソコン上で音が鳴っちゃうじゃないですか?それを聴いてそこに縛られるのが嫌なんですよね。自分で五線紙に音符を書いて、自分の頭の中だけに音が鳴るのが好きなんです。
――頭の中で鳴っている音が、五線紙に書かれてこういう音楽になってるって、すごくロマンがあっていいですね。
荻野:三谷さんがよく役者さんにセリフを当て書きされるって聞くんですけど、私もやっぱり譜面はミュージシャンへの当て書きだと思っているんです。レコーディングで誰がこの楽器を演奏するのかって決まった段階で、その人の音色とかを想像しながら作るのが好きなんですよ。もちろん、その人なりの雰囲気でアドリブなんかはもう、「好きにやってください」っていう感じでお任せすることもあるんですけど。そうするとやっぱり向こうもそれに応えてくださるので、それがすごく気持ちいいなと思っています。
――今回のアルバムにももちろん、全曲愛着はあると思うんですけど、特に聴いて欲しい部分を教えてもらえますか。
荻野:本当にひたすら苦労したオープニングの曲を、「苦労したんだよ」っていう気持ちを含めて聴いてほしいです(笑)。あとは、12曲目の“2番目の男”は、もともと全然違うシーンで「ここにも音楽があった方がいい」って言われて、そのシーンのために作った曲なんです。でも、「やっぱりそこ音楽いらないな」って言われて、聴かせる前にボツになっちゃったんですね。それでボーナストラックで入れようと思ってレコーディングだけしたら、スタジオで三谷さんが「この曲なんか使いたいな。どこで使えるかな」って言って、松坂桃李さんが出てくるシーンで流れることになったんです。そういう、拾ってもらった曲なので、自分の中には愛着がありますね。
――なるほど、松坂桃李さんが2番目の夫ということでこういうタイトルなんですね。しかし三谷監督は自由奔放にボツにしたり使おうって言ったり、じつに映画監督らしいですね(笑)。
荻野:救ってくれたのは嬉しいんですけどね。危うくボーナストラック1曲目になるところだったんですけど、そうするとサントラを買ってくださる方にしか聴いてもらえない曲になるので。本編に入れてもらえると映画館で流れるから、すごく救い上げられた曲っていう感じです。
――オープニング以外で、苦心してできた曲ってありますか?
荻野:18曲目の“黒幕登場”っていう曲は、最初は“小磯の推理”の延長上で、謎解きみたいな曲を作ってたんですけど「なんかイメージ違うな」って言われて。何が違うかわからなくてやっぱり何回か作ってるうちに、「なんかもっと浮かれた曲でいいんじゃないか」って三谷監督がおっしゃって。そこから新たな視点を教えてもらったみたいな曲でした。
――今作もそうですが、荻野さんの作品はすごくメロディーが耳に残る曲が多いなって感じます。そこは意識してらっしゃるのでしょうか?
荻野:自分はメロディーを作るのが好きっていうのと、メロディーメーカーでありたいと思ってる部分があって。「いかに印象に残るメロディーを作るか」っていうのはすごく考えるところではあるので、そう言っていただけるのは嬉しいです。
――今後やってみたいこと、夢があったら教えてください。
荻野:一度、ドラマではやったことはあるんですけど、こういう映画作品のサントラをピアノ1本でやりたいと思っています。もちろん、ミュージシャンに当て書きして、いろんな編成でいろんな方に演奏してもらうのも、すごく楽しくて醍醐味なんですけど、シンプルにピアノだけで表現できることで、映画1本を彩ってみたいなっていうのは夢ですね。
――OTOTOYではサウンドトラックの配信もされているので、改めて作品についてひと言お願いします。
荻野:是非、配信でサントラを聴いてから、また劇場で映画を観ていただきたいなと思います。そして、“ヘルシンキ”っていう曲は本当にみなさんよく耳に残るとおっしゃってくださっていて、自分でもすごく気に入ってる曲なんですけど、今回サントラには“no vocal version”も入っています。アレンジでもこだわってるところがいっぱいあって、楽器たちの仕掛けがいろいろ隠れてるので、是非それも発見していただきたいです。それと、映画を観ながら、ボーナストラックで入れた曲が本当はどこのシーンで流れるはずだったんだろうって推理してもらえれば、楽しいんじゃないかと思います。
スオミの話をしようオリジナル・サウンドトラック
公開情報
『スオミの話をしよう』
脚本と監督
三谷幸喜
出演
長澤まさみ
西島秀俊 松坂桃李 瀬戸康史 遠藤憲一 小林隆 坂東彌十郎
戸塚純貴 阿南健治 梶原善 宮澤エマ
作品概要
■タイトル :スオミの話をしよう
■公開 :2024年9月13日(金)
■製作 :フジテレビ 東宝
■制作プロダクション:エピスコープ
■配給 :東宝
■コピーライト表記 :©2024「スオミの話をしよう」製作委員会
荻野清子ディスコグラフィー
新→古






























































































































































































































![高野寛ライヴ音源DSD独占配信&インタビュ—『Live at VACANT [ONE, TWO, THREE]』](https://imgs.ototoy.jp/feature/image.php/20121009/6.jpg?width=72)






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