でも俺、“なつみ” も大好きなんですよ
――わかりました(笑)。調子を取り戻した勢いで、5thアルバム『週刊青春』(2019年12月25日)がリリースされます。完全受注限定生産のプレゼント盤として、「『週刊青春』柴田責任編集BOOK付CD」も発売されました。

柴田:これはめちゃくちゃ手応えがありました。本当にいいものを作ったなって。リリースしてから、年明けにZepp DiverCityでワンマンをやって(2020年1月24日〈Zepp DiverCityワンマン“がんばれ柴田”〜こっからもっかい青春はじめる〜〉)、のんちゃんが出てくれて、提供曲の “わたしは部屋充”を一緒にやったりしましたね。あと “だっせー恋ばっかしやがって”、“YouTuberになればモテると聞いた”もやってるし、良いライヴだったんじゃないかな。あと、“なつみ”。


――“なつみ”は、MVに菅田さんが出演している曲ですね。
柴田:そうです。すごく良い曲だと思うし、いまだに好きな曲ですね。この曲もZepp DiverCityワンマンでやってるし、お客さんも2000人くらいは入ってるので、ずっと順調に成長してきてはいたんですよね。『週刊青春』にもめちゃくちゃ手応えがあって、集客もずっと良かった。ネガティブなことと言えば、プライベートでこのとき好きな女の人に彼氏ができて、相当参ってたんですよ。それまでは呑気に曲をいっぱい作って、好きな子もいて楽しいぜってなってたらそういうことが起きて、“なつみ”という曲ができて。たぶんそれまでは、“みんなもともと精子”とかを楽しく作ってたんですけど(笑)。
――〈JayJayJayJayJay Zも 問いただしたら精子〉って、なんでJay Zに問いただしてるんですか?
柴田:あいつ、最初ほんとのこと言わなかったからですね。「いや、俺は違う。精子じゃない」って。でも問いただしたらやっぱりそうだったっていう。いい歌詞だなあ(笑)。
――そうやって楽しく歌詞を書いてたのに、途中から落ち込みだして “なつみ” ができるという幅の広さ(笑)。
柴田:でも俺、“なつみ” も大好きなんですよ。これ本当良いアルバムだなあ。バカバカしさと、落ち込んでいる気持ちが混在したアルバムだけど、それもリアルなドキュメンタリー感があるというか、ロックバンドのアルバムとして良いなと思います。
――“あの子に俺が分かってたまるか” もドキュメンタリーですか?
柴田:これは当時、幻冬舎plusで連載エッセイ(「おしぼりを巻き寿司のイメージで食った」)を改訂して、創作した物語を歌に落とし込むようなことを、“君は乾杯のとき俺とだけグラスを合わせなかった”でやってみて、その流れでもう1曲やってみようかなと思って書いてみた曲です。だからドキュメンタリーというよりショートストーリー的な作り話なんだけど、リアルな出来事にインスピレーションを得て書いた感じです。“君は電話に一切出ない” も、あんまりライヴでやってないけど良い曲ですよね。これも作り話のおもしろエッセイみたいなイメージで作ってます。なんかいろんなバリエーションがあるんだよなあ。“だっせー恋ばっかしやがって” もちょっとヒットしたし、とてもバランスがいいアルバムだと思います。『プレゼント盤』の【柴田責任編集BOOK】もすごく面白いものができたし(菅田将暉、山本さほ、マンボウやしろ、福岡晃子との対談/萩原聖人×梅津拓也×澤藤弘一との座談会etc…を収録)。これもみんなに見てほしいですけどね。


――アルバム最後を飾る “喜ばせたいんです” は、とても素直な感じの曲で、尚且つちゃんと柴田さんらしさもあるっていう、忘れらんねえよの到達点ぐらいの1曲じゃないかと思うんですけど、どう思ってますか。
柴田:気に入ってますよ。元々この曲は銀杏BOYZの“BABY BABY”を作りたかったんですけど、そんな感じにならなかったんですよね。でも、こういう曲って今までなかったですよね。力強くて明るくて、だけど言ってるキャラクターは今までと変わらずにフラれてるっていう(笑)。
――歌詞の通り、〈単純に君を 喜ばせたいんです〉って、本当の気持ちじゃないですか?それがいいなって。
柴田:そうなんですよ。本当のことなんですよね。