精神状態がやばすぎて、たまにそれが垣間見える
――それを経て翌年にリリースされたのが、5枚目のシングル『ばかもののすべて』(2015年2月4日)でした。表題曲はどんなイメージで書いた曲ですか。
柴田:これはクリープハイプを意識していたんです。サビを連呼するところとか、アレンジもバッキングにプラスして単音のフレーズを入れるとか。結果、仕上がりはとても似たものにはなりませんでしたけど(笑)。
――前作もそうでしたが、本人の音楽志向とか精神状態とは裏腹に、アートワークはどんどんバカバカしくなっていきます。もう支離滅裂というか(笑)。
柴田:ははははは(笑)。すごいカオス状態でわけわかんない。だからこの頃、本当に混乱してたんだなって思います。表ジャケは単純に馬と鹿のイラストで「バカ」っていうのと、裏はメンバーの肖像画になっていて、普通に面白いですよね。このシングルはあんまり苦しんで書いてないんじゃないかな。“ばかもののすべて” と “俺たちの日々” は、おとぎ話の有馬(和樹)君、牛尾(健太)君に参加してもらって一緒に作りました。一方で、“ここじゃないけどいまなんだ” なんてまさに地獄みたいな歌詞ですけど(笑)。

――“ここじゃないけどいまなんだ” はライヴで初披露したときに、すごく評判がよかったんですよね?

柴田:すごく良かったし、今思うとすごくいい曲なんですよ。だから曲は何も問題なく書いてるんですけど、精神状態がやばすぎて、たまにそれが垣間見える曲がありますよね。
――“今夜いますぐに” は映画「日々ロック」の劇中歌で、作詞は原作の漫画家・榎屋克優さんと共作になっています。
柴田:良い曲だし、「日々ロック」はいまだに家でちょくちょく読みますよ。今の榎屋先生の画力と違ってヘタウマなんだけど、めちゃくちゃ魅力があるんですよね。多分、榎屋先生的には「勘弁してくれよ」って言うと思うけど、そこがいいんですよね。今も最新作の「ブルーブルーそしてブルース」を読んでるんですけど、画がもっと上手くなっているしもちろん超面白いんですけど、「日々ロック」はまた違う味わいなんですよね。だから榎屋先生にとっての「日々ロック」は、たぶん俺らのファーストアルバムみたいなことなんでしょうね。
――続いてリリースされたのが、サードアルバム『犬にしてくれ』(2015年6月24日)。これもある意味バンドのターニングポイントのひとつではないでしょうか。

柴田:『ばかもののすべて』の次が『犬にしてくれ』かあ~、どんな精神状態なんだ(笑)。そうだ、ここでNARASAKIさんとやったんだ。『ばかもののすべて』がやっぱりあんまりウケなくて、また違うことをしなくちゃいけないと思っていたんです。当時はニルヴァーナをすごく聴いていたんですけど、そりゃ聴きますよね、そんな精神状態だったら(笑)。当時は苦しかったから、あのギターの音とか、カート(・コバーン)の言ってることとかがすごく沁みたんですよね。それで、グランジを取り入れたいなと思って、ディストーション・ギターの音をいろいろ研究していて。そんなときに、BABYMETALでNARASAKIさんがやってる曲を聴いて感動したんですよ。「これ以外ねえ!これが今出したい音だ!」みたいな感じで、COALTAR OF THE DEEPERSを聴いてみたら、めちゃくちゃかっこよくて。さらに「これこれこれ!」みたいに思って、ダメもとでプロデュースをお願いしたらOKしてくれて、新曲のレコーディングはNARASAKIさんに全部プロデュースしてもらったんです。
