やってみたら、闇の深さが一緒だった
──どんなときに、曲のイメージが浮かぶのでしょうか。
菅ちゃん : ギターを弾いてるときとか。あとは生理前とか。
かなりあん : 急に生々しい(笑)。
菅ちゃん : 生理前が、いちばん「うわー!コノヤロー!」ってなる(笑)。でも、生理が終わると元気になっちゃうので、不平不満が減って行って。それでまた生理前になるとイライラしてきて曲ができる。
──共感します?
なつみかん : 曲は、自分が落ち込んでるときにしかできない。楽しいとなんも思いつかない。
──じゃあ、音楽は自分のそういう気持ちを発散するもの?
なつみかん : ワカラナイ。
菅ちゃん : 宇宙人か(笑)。
かなりあん : ははははは(笑)。
菅ちゃん : 発散ていうか、一番思っていることがでてくるのが、落ちてるときな気がする。
──曲はひたすら、ネガティブな気持ちを叫んでいる感じですが、3人の中には共通した不平不満がある?
菅ちゃん : 3人とも共通してるよな?
なつみかん : 落ち込む原因は違っても、同じかもしれないです。
──例えば最近落ち込んだことは?
なつみかん : 恵方巻が食べられなくて。一緒に恵方巻を買いに行った人が、「なんか高いね」って言うから、「ああ~、もう食べられないや」と思って、そこからお家に帰るまでひと言も喋りませんでした(笑)。
──自分で買えばよかったのでは(笑)?
なつみかん : シャットアウトしてひねくれちゃうんですよね。その一言で「もう無理」ってなって、一点を見つめて何もできなくなっちゃう。
──「恵方巻、食べたいんだけど」ってもう一押ししてみれば良かったじゃないですか。
なつみかん : ……。
菅ちゃん : ヤバい、シャットアウトしちゃう!
一同 : (笑)。
──かなりあんさんは、普段、落ち込むことってありますか?
かなりあん : なつみかんと同じで、誰かのひと言でどん底まで落ちます。バイト先で、仕事しない人がいると、文句を言わずに代わりに全部やって、家に帰ってから「ああ~」って眠れなくなります。
──そういうことがあると、他の2人にそれを話したりするんですか。
かなりあん : しないです。歌詞にまんま書いてます。
──歌詞はひとりで書くんですか?それともみんなの歌詞が混ざっているときもある?
かなりあん : 混ざってるときもあります。“夜明け”とか“日記”がそうです。
──歌詞で自分の気持ちをみんなに知られるのは、恥ずかしい気持ちはないですか。
菅ちゃん : このふたりにはないです。でもこのふたりだから、「だいたい思っていることは同じだろうな」っていう感じで曲を渡せるので。
──「だいたい思っていることが同じ」というのが、昔から仲が良かった理由でもある?
かなりあん : バンドを始めるまでは、2人のこともそんな風に思ってなかったです。やってみたら、闇の深さが一緒だった(笑)。
──なつみかんさんと菅ちゃんさんは、どうして仲良くなったんですか。
なつみかん : 中学のときから、行きも帰りも一緒にいて。ね?
菅ちゃん : この人は、めちゃくちゃ歌詞を書いていて、それを見せられていて。
なつみかん : 「私、歌手になりたいんだよね~」って。
──どうやって曲を作っていたんですか?
菅ちゃん : まさかの、アカペラです(笑)。なつみかんはギターを弾けないので、「じゃあ私、ギター弾くわ」って言って、ハードオフでゲロ安のアコギを買って、一緒にやってました(笑)。
──菅ちゃんさんが伴奏をつけていたわけですね。今回のミニ・アルバムにもアカペラから始まる曲“だれかの”がありますね。これはなつみかんさんが書いたんですか?
なつみかん : そうです。
かなりあん : このバンドになってからできた曲です。
──この3人になってから初めて作った曲は、今作に入ってるんですか。
なつみかん : 最初からやってる曲は、いまやってないですね。
かなりあん : “だれかの”と“20”が、このなかでは古い曲です。
──“20”はどなたが書いた曲ですか?
菅ちゃん : 私が20歳になる前に書いた曲です。
──〈20歳を超えたら死にましょう 子供のまんまで死にましょう〉という歌詞ですけれども。
菅ちゃん : 前に働いてた会社がキツくて。「早いとこ死にたいな」と思って書いた曲です。
──歌詞の内容についてメンバー間で話したりするんですか。
かなりあん : 歌詞になったら、あんまり思いがなくなるというか、意味がなくなるというか。
菅ちゃん : 前は、「死」とか「セックス」とか、そういう直接的な言葉を使った曲が多かったんですよ。それを1回、知らないバンドの人にボロクソに言われたことがあって。そこで曲を作るときの結構考え方が変わったというか。だから、ありがたかったよ、あれを言われたのは。最初は「うるせえ」って思ったけど。
──なつみかんさんは、どんな気持ちで“20”を歌っていますか。
なつみかん : 「死にたい」とは思ってないですけど、その歌の感じを自分で理解して、いっぱい「おりゃー!」ってやってます。歌っているときに考えているかはわからないけど、でもその言葉に寄り添って歌ってるつもりです。
──自分が書いた歌詞じゃなくても、寄り添って歌える?
なつみかん : なんか、理解できる。
──そこを理解できるというのが、バンドを始めてからみんなが感じていることなんですね。
菅ちゃん : そうですね。
かなりあん : 気持ちを発散する方法が音楽しかないと思ってやってます。
──人前で自分たちの曲を演奏して歌うというのは、どう思ってやっているんですか。曲の世界観からは、「わかってたまるか」みたいなものも感じるのが正直なところです。
菅ちゃん : いや、知ってほしいし、わかってほしいという気持ちが強いかもしれないです。承認欲求じゃないけど、「私たちが歌っていることをわかってほしい」みたいなところはあります。「この歌がおまえのためになれ」とかそういうのはないし、コネクリの曲はネガティヴだからこの曲で誰も救われないと思うけど、わかってくれる人はいるだろうなと思ってやってます。