ちゃんと生の音を届けたい
──先行第1弾としてリリースされた “Revive feat. Katsuma (coldrain)” では、前作に続いてドラマーKatsumaさんとコラボしていますね。
DURAN : Katsumaとはすごく仲が良くて。彼がやってきたスタイルの音楽と僕は全く違うロックなんですけど、よく飲む友だちとは、一緒にやってみたら音楽も合うものなんですよ(笑)。やってることは違うけど、やってみたら割と形になるっていうのが前作のときにあって。アルバムは毎回Katsumaを呼びたいなっていうぐらいの気持ちなので、今回もお願いしました。
──“No In Between (It’s Time to Do or Die)“は、2020年8月にリリースしていますが、再録したのはどうしてですか?
DURAN : もともと、Black Lives Matter(ブラック・ライブズ・マター 以下・BLM)があったことで出した曲で現地のソングライターの人たちとコラボして作った曲なんですけど、アルバムに入れようと思ったときに、同じものを入れてもしょうがないなと思って、BLMをテーマにみんなでセッションして作った曲なんですよね。だから、レコーディング当日はノープランで、良い感じになったからそのまま曲にして、後からセリフとかを入れた感じです。
──デモが起こったことにはかなり思うものがありますか。
DURAN:だいぶありますね。僕はずっと海外に住んでいたので。14歳からフィリピンの学校に行って、その後アメリカも行ったんですけど、自分の友だちも外国の人が多いから、ああいうのって、自分の友だちが苦しんでいるような感覚になるんです。差別とかも、僕はすごく身近で見てきた方だと思うので。日本の差別とはまた違うんですよね。日本の差別って、いじめっていう感じなんですけど、海外の差別ってもっと人間を否定するようなものなので。それもあって、ちょっとこれはちゃんと音楽にしないとなって。
──そこも、ご自身のルーツが反映されているわけですね。
DURAN : そうですね。うちの父親も外国人だし、今回のBLMは黒人差別のことだけど、状況が変われば誰にでも当てはまることなので。それをちゃんと残しておかなきゃなって思いました。
──フィリピンのことで言うと、“Sampaguita”(サンパギータ)という曲名はフィリピンの花なんですね。
DURAN: そうなんです。ストリートチルドレンが止まってる車に売りにくる花なんですよ。
──“Sampaguita”はひときわジミヘンを思わせるギターですし、タイトルはフィリピンの花ということで、よりDURANさんのルーツがいちばん色濃く出てる1曲なんじゃないかなと思うんですよ。“No In Between (It’s Time to Do or Die)“も含めて、ご自身のルーツと向き合いつつ、現代に起こっていることを残していて、それが“Answers”と“Answers 2"で挟まれているって、やっぱりすごくメッセージ性のあるアルバムだと思います。
DURAN : ああ~、なるほど。じゃあそうしよう(笑)。
──(笑)。ギターって、いちばん感情が込められやすい楽器だと思いますし、『Kaleido Garden』はDURANさんの人間が全部出てる作品なんじゃないでしょうか。
DURAN : それは嬉しいですね。このアルバムを聴くと、自分も結構いろんなことを考えてるんだなって(笑)。歌詞も書いたりするから、ギターとかと一緒に言葉を書き留めていたりはするけど、こうしてバーッと聴くと、いろいろ考えてるんだなって思います。
──“God That We Praised” では約1分間の語りで「もっと違った人生の選択もできた」とう言葉が印象的でした。
DURAN: それはすげえ思いますね。僕は嫁も子どももいたんですけど、ちょっと離れちゃって。そういうのもたまに考えたりするんですよ。もしかしたら、もっと違う人生、良い選択もできたのに、なんでこんなことになってるんだろうみたいな。そういう瞬間ってみんなあると思うんですよね。それはバンドでもそうなんですけど。最初のバンドが有名なアニメのタイアップでデビューしたんですけど、そのときはすごく若かったし「よっしゃー!」みたいな感じで、でっかいレーベルとかいろいろついてもらって、そこからタイアップのために曲を書くみたいな感じになっちゃって、頭がおかしくなっちゃったんですよ。でも、それをちゃんとやり続けてたら、もしかしたらもっと良い生活ができたかもしれないんですよね。でも僕はそっちを選ばずに辞めちゃって、全然違う方向に行ったので、「もっと違った人生の選択もできたかもしれない」って思うんですよね。
──こういう短い曲を入れると25曲になるわけですが、意外と1枚聴くとそれほど長くは感じないですよね。
DURAN : そうですよね? 自分で聴いてもそう思いました。もっと長くしてやればよかった(笑)。
──なんでですか(笑)。ちなみに僕は25曲の中で “Put The Gun Down”がいちばん好きです。
DURAN : ああ本当ですか、嬉しい。この辺は、人種のことを歌っている曲が多いですね。これは、コロナ禍でアジア系の人が差別を受けているときがあったじゃないですか? それもあって、書き溜めていたものをそのまま曲にしようと思ったんです。
──先日行われたライヴ(DURAN × The fin. “QUATTRO MIRAGE 2020 to 2021”10th Anniversary Special)を配信で拝見したんですが、この曲に続いてアルバムの曲順通りに“All Is Beautiful And Fair”も演奏されました。そのときにブルース・リーの名台詞「Don’t think. Feel.」がサンプリングされてましたよね?
DURAN : ははははは! よく気付いたなあ(笑)。いやあ嬉しいっすね、それ気付いてくれたのは。
──あれはまさにDURANさんの姿勢を表しているんだろうなって。
DURAN : 本当、そうです。僕はあの映画(『燃えよドラゴン』)が大好きで、5,000回ぐらい観てるんですけど(笑)、あのシーンがすごく好きなんですよ。良いですよね、「Don’t think. Feel.」。最高だな、それだよなって。音楽やってるときにあんまり考えててもしょうがないですからね。
──ライヴでは「生音を届けるのが自分のやるべきこと」というMCもありました。リリースツアー〈DURAN ʼKALEIDO GARDEN TOUR 2021-2022ʼライブ〉ではどんなライヴを見せたいですか。
DURAN : いまはライヴの届け方はいろんな方法がありますけど、やっぱり僕は人と一緒に人前で演奏して育ってきたので。ライヴ・ハウスの人にも会いたいし、せっかくリリースしたので、生の音を届けたいです。僕も生の音に衝撃を受けた人間だから、少なからず僕きっかけでギター弾いてますとか音楽を聴いてますっていう人に、ちゃんと生の音を届けたいなと思って、こんなにツアー日程を組んじゃいました(笑)。でもまだまだ発表されていないスケジュールもあるので楽しみにしていてください。
編集:梶野有希
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LIVE INFORMATION
DURAN ‘KALEIDO GARDEN TOUR 2021-2022’
■2021年
11/21(日)千葉・千葉LOOK
11/26(金)埼玉・西川口Hearts
11/28(日)愛知・名古屋SlowBlues
11/29(月)京都・京都磔磔
11/30(火)愛知・名古屋CLUB UPSET
12/8(水)茨城・水戸ライトハウス
12/13(月)山梨・甲府KAZOO HALL
12/14(日)大阪・TWINREVERB
12/16(木)福岡・Queblick
12/17(金)大分・club SPOT
12/18(土)福岡・小倉FUSE
12/20(月)兵庫・太陽と虎
12/21(火)兵庫・CLINK
12/22(水)大阪・ESAKA MUSE
■2022年
1/22(土)埼玉・HEAVEN’S ROCK熊谷
1/23(日)群馬・高崎club FLEEZ
1/28(金)栃木・HEAVEN’S ROCK宇都宮
1/29(土)宮城・仙台MACANA
2/5(土)長野・上田Radius
2/6(日)新潟・LIVE HALL GOLDEN PIGS RED STAGE
2/15(火)京都・KYOTO MUSE
2/16(水)大阪・ESAKA MUSE
2/17(木)兵庫・神戸VARIT
■チケット:https://eplus.jp/sf/word/0000096774
PROFILE : DURAN
日本生まれフィリピン育ち。スパニッシュ系フィリピン人の父と、日本人の母の間 に生まれる。 3歳でピアノを始め、14歳でベーシストの父親の影響でギターを始める。 ROOTLESS、Made in Asia、a flood of circleなど数々のバンドで活躍する中、 稲葉浩志(B'z)、清春、スガシカオ、小袋成彬、藤井風やEXILE ATSUSHIが率いる バンドRED DIAMOND DOGSにギタリストとしても参加。 2018年にソロ・デビュー・アルバムをリリースし、本格的なソロ活動スタート。 2021年11月3日に2枚目となるアルバム「Kaleido Garden」をリリース。 現代ロック・シーンの奇才、日本の偉大なギタリストの一人と称され、そのエモー ショナルで超越したギタープレイと、美しくソウルフルな歌声で国内問わず注目さ れるアーティスト。
■公式Twitter:https://twitter.com/ARKTH5
■公式HP:https://duranguitar.com/