今の“Dear.a”は聴く人々の涙腺を誘う要素が全部が入ってる
──ハハハ、二人の距離感が温かいっていう(笑)。ちゃんゆ胃さんは音楽一本でやっていきたいんですか?
ちゃんゆ胃 : 今、保育学の大学に行ってるんですけど、保育でも音楽は本当に必要とされているもので。音楽をはじめたときはギターで保育をしたいって思っていて。ピアノと違ってギターは外でもどこでもできる。なので活動の中でも保育を学んでるっていうことで、保育関係の方とお話をさせてもらったり、幼稚園に行ってみんなと一緒に歌ったりしてきたので、この音楽をやっている中でも、子供たちと関わることはしていきたいと思っています。
──決してステージで歌うことだけに固執していないと。それこそコロナ禍になって、音楽を表現する幅が広がりましたよね。
古閑 : そうだと思いますね。先ほどの話と違うかもしれないですけど、SNSが日常的になってきて、どこでも表現ができるようになりましたよね。子供が居る所もそうだろうし、ライヴハウスもそうだろうし。どこでも表現ができるっていうのは、いい意味で音楽が多様化されてるって思います。
──ちゃんゆ胃さんが注目されたTikTokもそうですし、SNSという新しいカルチャーについてどう思いますか?
古閑 : いろいろと聴き方が変わってきましたよね。僕らの頃はカセットテープだったり、MDだったり、もっと言えばレコードだったのがCDになって。今やCDもなくなるんじゃないかって言われて、Spotifyのようなストリーミングサービスが出てきた。僕はそこに順応し対応してきたつもりなんですよね。結局は音さえあれば、どんな聴き方も僕はアリだと思っているので、時代によって変わるのはしょうがないというか、当たり前の話だと思います。一方で、昨日のライヴのように生でやる良さっていうのもあるわけだから、よりライヴと音楽のデジタル的な聴き方が分かれてきたのかなって感じですかね。
──TikTokは数十秒でどれだけ聴く人を増やして、話題を作るかが課題で。そのためにはいかにキャッチーなメロディーを作るか、スキップされないようにいきなり歌い出しから始めたりとか、策略的な意識も必要なのかなって思うんですよね。その点に関して、ちゃんゆ胃さんはどうですか? 曲作りにおいて戦略的な視点はあります?
ちゃんゆ胃 : 短い時間で伝わることを書かなきゃいけないっていうのは、もちろんあるんですけど、1曲通して初めてわかる曲もあるじゃないですか。私はそっちのほうが好きなんです。オリジナル曲を作った時に、どこを切り取って、どこをあげたらみんなに伝わるのかなっていうのもすごい考えるけど、やっぱり難しい。なので自分は生の方が向いてますね(笑)。
──とはいえ“Dear.a”はTikTokで大きな注目を浴びました。その楽曲を改めてバンドアレンジで出すことにしたのは、どういう経緯があったんですか。
ちゃんゆ胃 : 2年前に“Dear.a”を出した時から、ずっとバンドアレンジで出したいなって思っていたんです。あとは当時の音源を聴いたら、ギターも歌も下手くそだなって思っちゃうところもあって。それならアレンジして、もっと良い形でリリースしたいと思ったんです。
──初めて曲投稿した時と今で、曲に対する想いだったり解釈って違います?
ちゃんゆ胃 : 高校の同級生に向けて書いた曲なんですけど、高校だからほぼ毎日会うわけじゃないですか。そこから3年ぐらい経って、同じ大学に行ったものの、その子は短大に進んだから、もう卒業して就職もしたので全く会えないようなところに行って。連絡も必要な時以外はしないようになっていたんです。だけど“Dear.a”のリアレンジをリリースすることが決まって「リリースされるよ」って報告と「ジャケ写はどれがいいと思う?」というお話をして、改めて曲も聴いて。ちょっと離れたところにいて、あまり連絡が取れなくなっていた友達とも連絡を取れるようになって、この曲は友達と自分とのつながりとしても大切なものだなって思いました。ギターの弾き語りでリリースされているのと、今回のバンドアレンジに加えて構成もかなり変わってたりして。それによって心にグッとくるというか、より沁みる曲になったので、改めて「あ、いい曲だな」と自分でも思えるようになりました。
──古閑さん、バンドアレンジver.ってお聴きなりましたか?
古閑 : すみません、まだ聴いてないんです。
──それは好都合です! 良かったら、この場で流してご感想を聞かせてください。
(“Dear.a”を流す)
古閑 : ……完璧ですね。聴く人々の涙腺を誘う要素が全部が入ってる。そもそもがいい曲かもしれないけど、そこに昔っぽいアレンジが加わってグッときましたね。なるほど、すごいと思いました。
ちゃんゆ胃 : やっぱり改めて聞いて、最後の転調の持って行き方もすごいグッとくるなって思いました。
古閑 : いいアレンジというか、僕もプロデュースをした時にやりたいアレンジって感じがしました。
──最後に告知や伝えたいことはありますか?
ちゃんゆ胃 : 1月11日から13日にわたって、大阪の心斎橋で『新春!〜MIKKE!はじめ〜』というイベントがありまして、12日に私が出演します。あと3月18、19日に開催される「SANUKI ROCK COLOSSEUM 2023」の18日に出ることが決まりました。ぜひ、来てほしいです!まだSNSで活動をしているイメージを持たれる方が多いんですけど、画面の中の人ではなくて、どんどん生で自分の歌を届けていきたいなって思ってます。で、来春も下北沢でワンマンをやるので、ぜひ皆さんに足を運んでほしいです!
編集 : 西田健
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