「グランプリは……あ」という一文字目を聞いて、その時点で泣き出してしまいました
──グループ名が決まって、次にオーディションが開催されました。
三葉 : オーディションはミクチャさんにご協力いただいて、まずは動画審査を行ないました。
萩田 : 配信期間が20日間くらいあって結構長かったんだよね。
三葉 : そもそもアイドル経験のない子が、2週間以上も顔出しをして配信するっていうのがすごくハードルが高いと思ってて。結果的にそれが功を奏しましたね。配信を続けてくれた子たちだからこそ、やっぱり根性があるんですよ。
萩田 : 配信ってその子の雰囲気とか素が見れるのが良いと思っていて。最初に猫をかぶっていたとしても、最後の方になると素が出るじゃないですか。私たちも本当の人間性を見ることができるから、配信の審査は大事だったよね。
──最終審査では何をしたんですか?
萩田 : 歌唱とダンスのテストをやって、面談では事前に送ってくれた資料を元に「なんでこれが好きなんですか?」「なぜ、アイドルになりたいんですか?」などを聞いて。普通にアイドルのオーディションでやる審査でしたね。
──最終候補者は何人いたんですか?
萩田 : 20人ぐらいですね。
──それだと審査する側も体力を使いますよね。
三葉 : 歌、ダンス、面談と1人に対しての審査時間も長かったので、結構疲れましたね。
萩田 : 自分もオーディションを受けてアイドルになった側だから、緊張する気持ちは汲み取れるんですよね。ただ、ご時世的に私たちはマスクを付けていて、候補者には目しか見えない。だから私は目でニコニコしながら「大丈夫だよ」という温かい気持ちで見ていました。オーディションの子たちも「ここちゃんがニコニコしてくれていたから、緊張が和らいだ」と言ってくれて。
三葉 : しかもオーディションのときは、私たち以外に大人もズラーっといて。そのなかで、参加者の子は自分をアピールしなければいけない状況だったから、めっちゃ怖かったと思います。それを乗り切れたのも、各々の覚悟があったからこそですね。
──特に、印象に残ってる子っています?
萩田 : 楠城ひめかちゃんです。髪にピンクのインナーカラーを入れて、見たことないくらい真っ赤なキャリーケースをコロコロさせて会場に来たのがすごく印象に残っています。
三葉 : まだ16歳なのに、大阪からひとりでこのオーディションのために来てくれたんです。本当にありがとう!って思っていました。
──まだ16歳なんだ! 最年少ですか?
萩田 : そうです!
──大阪出身ということは、今も実家から東京に通っているんですか。
萩田 : iSPYの活動をするために上京しまして。今はこっちで生活をしています。
──すごいなぁ。ちなみに、グループ内で年齢差があると思うんですけど、どこで打ち解けました?
三葉 : デビューライヴの前に2泊3日の合宿をしたのが大きかったですね。
萩田 : 山中湖へ行ったんですけど、振り入れを朝から晩までやっていました。
三葉 : ダンス経験がない子もいて、本当に大変だったんですけど、みんな頑張ってたね。
萩田 : ひたすらレッスンをして、夜になるとお風呂入り行ったり、寝る前に話したりして仲を深めました。
──初ライヴってプレッシャーはありました?
三葉 : ありましたね。みゆとここを好きでいてくれたファンの方は、かみやどの藤田みゆと萩田ここを好きだったから、新しいグループになっても来てくれると限らないじゃないですか。みんなが来てくれるものではないって思ってました。
萩田 : 久しぶりのステージだし、iSPYを発表してからファンの方とちゃんと会う機会もなかったので、どう思われるかとか、みんながどういう気持ちで来てくれてるかも分からなかった。グループのコンセプトを前面に出してなかったから、曲調もどう思われるのかも予想がつかない。何も分からない状態だったんですけど、作った身としてはちゃんと──。
三葉 : そうだね。私たちがやりたいことをこの場所で示したいと思って。
萩田 : ここで見せないといけないし、初見で良かったと思ってもらわなければいけない。自分たちが決めたことを全部出しきらないとな、という気持ちでした。でも、かみやどの時に来てくれていたファンの方、待っててくれた方々の顔を見て、少し安心しました。
──大きなトピックと言えば、今年3月に「NEXT IDOL GRANDPRIX 2022」でグランプリに選ばれたことですね。
萩田 : グループを代表して私がステージに立たせていただいてたんですけど、みんなでリレー配信とか毎日配信続けて、ファンの方も凄く協力しくれて。本当に頑張ったので、絶対にグランプリを取れるっていう自信はありました。だけど、もし呼ばれなかったらどうしようという気持ちもあって。しかも、グランプリが呼ばれるのは最後じゃないですか。グループの代表としてステージに上がっている私が信じてなきゃダメじゃんって思いながら、ちょっと手が震えていて。「グランプリは……あ」という一文字目を聞いて、その時点で泣き出してしまいました。その時に後ろでみんなの喜んでくれている声も聞こえて。
三葉 : 袖で発表を聞いた瞬間、みんなが全力ダッシュで、ここの所に駆け寄りました。絶対に自分たちが一番頑張った自信があったからこそ、グランプリで呼ばれなかったら何が残るんだろうって怖かったんです。だから選ばれた瞬間は、嬉しいよりも安心感が強かったです。
──その後、結成半年記念ワンマンライヴで新メンバーの藍波ももかさんと辻ゆうかさんが加入しました。どうしてメンバーを増員しようと思ったんですか?
三葉 : 〈NIG〉で大きな目標は成し遂げたものの、先々のことを考えたら危機感があって。
──危機感?
三葉 : 自分たちは、パフォーマンス力で〈NIG〉のグランプリを取ったとは思っていないんです。ファンの方が応援してくださった配信ポイントとか動画LIKE数とか、色んなことの総合でグランプリになった。だから、実力だけで勝ち取ったものじゃないという不安があって。今後、対バンに出た時に「グランプリになったグループです」と紹介されて「あ、こんなもんか」って思われるのがすごい嫌で。だから「グランプリにふさわしいね」と思われるようになりたい。そこで急成長するために「早急に経験者を入れて、パフォーマンス力を上げよう」という考えに至りました。
──どういう流れで二人が加入することになったんですか?
萩田 : (辻)ゆっちは前のグループで一緒に活動していたんですけど、かみやどの活動が終わってからは全然活動していなくて。私たちの情報も見ていなかったんですよね。SNSはたまに更新するけど、別にアイドルやるつもりはなかったと思うんですよ。
──うんうん。
萩田:でも、〈NIG〉のグランプリを取ったことがLINE NEWSのトップに上がって、それをたまたま見たゆっちが「おめでとう!」と連絡をくれたんです。そこから三人で食事へ行くことになり「なんらかの形で協力したい。マネージャーは募集してないの?」「裏で支えるよ」と言ってくれて。そしたら、みゆが「メンバーはどう?」ってさらっと言い出して「え……いいよ」みたいな(笑)。
三葉 : でも「大学4年生で就職が決まっているから、3月までで良いならいいけど」という返事だったんですよ。
──それって、やんわり断ってますよね。
三葉 : 「3月までしかできないから無理だよ」って意味だったのかもしれないけど、私からしたら「3月まででいいからやろうよ!」って。
──藍波さんの場合は?
三葉 : ももかちゃんと会うまでに、他で元アイドルの子と会ったりしていたんですけど、私たちと合う子がいなくて。アイドルを辞めたってことは、もうやらないと決めたのか、もしくは次が決まって辞めたパターンが多い。そうすると、今すぐ入れる即戦力みたいな子がなかなかいなくて。で、アクアノートが今年の3月には解散していたから、ももかちゃんはどうかなって。
──反応はどうでした?
三葉 : ももかちゃんはアイドルをやりきったと思って、卒業しているパターンだったんです。だから最初は全然戻る気はなかったんですよ。
萩田 : だけど「話だけでも聞かない?」みたいな感じで、ゆっち経由で会わせもらって。そのときに「新メンバーを探してて、ももかちゃんに入って欲しいんだ」みたいな話をしました。
三葉 : そこから「まだ18歳だし、これからはなんだってできるんだよ!ツアーも行けるし、大きなフェスも出れるよ」って話して。「じゃあ、まだまだやり残したことあるし、もう1回アイドルをやりたい」と言ってくれました。