Mammo 『General Patterns』
Short Span / Dub, Techno
冷え冷えの冷製ダブ・テクノのアルバム。アムステルダムのマンモさんの待望のアルバム。アンダーグラウンドかつ匿名性の高い、自身のレーベル〈Nduja〉での実験的なダブ・テクノのシングル群のリリースを経て、こちらの名義よりもさらに抽象度の高いFabiano(本名らしい)でもノンビートのアンビエント・ダブ・アルバムを先頃リリースしたばかりのタイミング。レーペルはSA PAの作品もこれまたダブ・アンビエントの良作だったシェフィールドの〈Short Span〉から(アナウンスされているSA PA次回作も最高そう)。絶妙にコントロールされた微細なエコーがテクノのグルーヴとともに空間を埋めていく。サイケデリックなダブの快楽を追求したテクノ・アルバムの傑作。
ex_libris (A Made Up Sound) 「001」
ex_libris / Dub, House
2000年代後半、2562名義でポスト・ダブステップ期におけるダブ・テクノとダブステップの融合を用意したデイヴ・ハイスマンス。エクスペリメンタルなローファイ・ハウス寄りのア・メイド・アップ・サウンズの復活とともにレーベル〈ex_libris〉を立ち上げた模様です。すでに2枚シングルが出てますがどちらもすばらしい内容のダブ・ハウス〜アンビエントとなっていて、どちらの盤も曲によってはアンディ・ウェザオール&キース・デニスウッドのトゥ・ローン・スウォーズメン、1990年代後半のイン・ウォーター・サウンドなディープ・ダブ・ハウス路線を彷彿、というか今様にリズムと音響処理両面でアップデートさせたかのようなサウンドも。つまりは最高。
Toru 『Rescue At SW4』
The Trilogy Tapes / Techno, Noise, Electronic
最高にエッぐくてスリリングな、レフトフィールドなエレクトロニック・ミュージック、テクノ体験をしたけりゃ本作を避けては通れません。ロンドンで長らくレコード・バイヤー、DJとして活躍、そして凄まじいディガーとしても知られるトオル・ヨネヤマによるアルバムがまさかのリリース。ここ数年は、ココ日本でも一時期帰国時に凄まじいDJプレイを披露し、アンダーグラウンドにて話題に。アルバム冒頭、不穏なノイズの応酬から数分、ダンスホール的なビートが立ち上がる瞬間にはとにかく鳥肌が。するとあっという間に、90分の、仄暗いエネルギーを放ちながら、アンビエント、ハーシュノイズ、エレクトロ、テクノと縦横無尽に絶妙なる変化とともにかけ抜けていく。そのサウンドが放つ中毒性の高さは、おそらく音の変化と時間感覚の相互作用が生み出す快楽性を熟知した、DJの鋭敏な感覚が生み出せるものではないかと。いや、本当にすごい体験を提供してくれるアルバム。傑作。