日常で目にしたもので気づいたことを歌にする
──今作は全体的に音数が少なくて、シンプルな楽曲が多いですよね。だからこそ、ヴォーカルがより際立つ感触があります。
足立 : ありがとうございます。私が最近ギターやピアノの弾き語りのものをよく聴いていて、そういうのが色濃く出ているのかなって思います。落ち着くんですよね。もちろんテンション上げたいときは、激しい曲を聴くこともあるんですけど。
──足立さん自身の嗜好なんですね。具体的にはどんなアーティストを聴かれるんですか?
足立 : アコースティックのものがとにかく好きなので、シーケンスなしのライヴ・バージョンでAimerさんの声だったり、片平里菜さんのギター弾き語りだったり、女性シンガー・ソング・ライターの方の曲を聴くことが多いですね。
──なるほど。歌詞はどういうところからインスパイアされることが多いですか?
足立 : 日常生活がメインになっています。日常で目にしたもので気づいたことを歌にすることが多いですね。アルバムのなかでも、11曲目の“ライオンの居場所“は家族で動物園を見にいって「私とライオンって似てるな」って思ったところからはじまったものですし。12曲目の“雨の日は“は帰り道に虹を見て、そこから書きました。
──実生活がこのアルバムには凝縮されているんですね。
足立 : 基本的にはリアルなものを書きたいなと思っていて。例えば、友達と話してるなかで、目の前で友達のカップルたちが「本当にこの人たち仲良いな」「幸せそうだな」と思ったことを自分もあたかもその世界に入った気持ちで曲を書いたり。例えば、 “Film”は、いま一緒に住んでいる女の子がいるんですけど、その子に向けて書いた曲なので、本当にリアルな日常ですね。
──“Film”とか“ロードムービー“って男女の歌にも聴こえるし、そうじゃない解釈にもできるなと思ったんですよね。
足立 : そこはあんまり意識はしていなくて、“Film”の場合だったら、いま一緒に住んでいる彼女に向けて伝えられるものを伝えようと思って書いていたら、気づいたら性別問わず聴けるものになりましたね。“ロードムービー“は、男女でニューヨークに行っているっていう気持ちで書いてたんですけど、「相方」っていう言い方がぴったりだなと思って。性別問わずという部分は狙っていたわけじゃなくて、自然と出てきた言葉ですね。
──“ロードムービー“の「右手にアイスクリーム」「左手にアイスカフェラテ」は本当にその情景が浮かぶ素敵な歌詞だなと思います。
足立 : コロナ禍であまりどこにも行けないっていうのもあったりして、「行くとしたらみんなはどこに行きたいのかな」「私はどこに行きたいかな」って考えたときに、以前にも行ったことがあるニューヨークをイメージして、そのときの思い出も考えつつ、「一緒に行った彼女がこんな可愛らしい感じだったらいいな」と思って想像しながら作りました。
──タイトルの通り、映画のワンシーンのような歌詞ですよね。映画からも影響を受けたりしますか?
足立 : 『ディズニー・チャンネル』を結構観ることが多いんですよね。私はすごくプリンセスが好きなんですけど、それを観て「みんなが憧れる幸せってこういうことかな」って詞に落とし込んだりもします。
──“幸せ“っていうのはご自身にとって重要なポイントだったりもするんですか?
足立 : 今回の“This is a Love Story”は、ハッピーなラヴ・ソングを書きたいなと思って、そういうハッピーな映画だったり、友達との会話と自分の恋愛観を歌詞に落とし込みました。
──かなりロマンチックな歌詞ですよね。
足立 : ロマンチックというより、自分がどうしたいかを考えて「これだったらキュンとしちゃうな」「多分ニヤニヤしてるだろうな」って思えるシチュエーションで書きました。