Teal 『Original Watercolour』
Spiritual World / Dub, Down Tempo
レイドバックしたダブ・ダウンテンポのリリースで最近注目を集めるトロントの〈Spiritual World〉から、白昼夢のようなダウンテンポの逸品を。直近に同レーベルからチープなオールドスクールなドラムマシンの響きを生かした、その名も『Din Sync Dub』をリリースしていたN1_Soundがプロデュースを勤め、ザ・ボール・シスターズなる女性ヴォーカル・ユニットによる柔らかなヴォーカルがふわふわとダブ・ダウンテンポの上を舞う、サイケでライトなポップ・ダウンテンポ。セントラル&DJスポーツ・プロデュース時代のエリカ・デ・カシエのファーストなんかが好きな人にはたまらないチャーミングなドリーム・ポップ・ダブなダウンテンポに仕上がっていますね。
Anji 「Reggae UFO / 雨の日の散歩 - EP」
Blind Beats Sound / Dub, Reggae, Hiphop, Techno
全盲の中学生アーティスト、ANJIによるファーストEPが7インチとともに配信でも登場。生まれつき全盲で幼い頃から楽器に興味を持ち、現在は打ち込みを中心に制作 / ライヴ・パフォーマンスも。3月に行われたコンピューマのワンマン・ライヴにて、フロント・アクトとして登場したのライヴ出演からの縁もあり(くわしくはコチラのインタヴュー・ページで)、今作ではプロデュースに。オーガスタス・パブロ、QYでの打ち込み時代のこだま和文のソロ作品にも通じる雰囲気を持った、凜としたレゲエ鍵盤インスト“REGGAE UFO”、美しいダウンテンポ“雨の日の散歩”、そのビートレス・ヴァージョンには金子みすゞの詩の朗読も。また野外イベントでの体験を元にしたというダイナミックなテクノ・トラック“レイヴで聴いた曲”も収録(デジタル版ボーナス・トラック)。
Ehua 『Panta Rei』
3024 / Bass Music, Techno, R&B
イタリア出身ロンドン拠点(最近ベース・ミュージックに多いですよね、このパターン)のDJ、セリーヌ・アンベレッチによるプロジェクトのファースト・アルバム。レーベルはドラムンベース~初期のポスト・ダブステップ期の重要プロデューサー、マーティンの老舗〈3024〉から。レーベルらしい、テクノとUKガラージを結ぶ感覚をさらにモダンにアップデートといった感じで、ブロークン・ステップ“Albicocca”、エネルギッシュな正調テクノ“Aria”“Sola”といったインストたちもさることながら、どこかR&Bサイドの2ステップ復権を感じさせる自身のブルージーなヴォーカルの“Amarena”や“Bumju”などなど、ヴォーカルものも収録。先鋭的なビートとアルバムとしてのバランスがすばらしい。この人、そのうちもっとメジャーに行くのではという。
Primal Scream 『Come Ahead: The Remixes Vol 2 (Dubs)』
BMG / Dub, House, Disco
デヴィッド・ホルムス・プロデュースによるディスコ・ビートに彩られた昨年末のアルバム『Come Ahead』。テリー・ファーレなどUKハウス・シーンなどのベテランのリミックス集に続いて、今度は「Dubs」ということでまさか全編ダブ盤? 『Echo Dek』の再来? と思ったたら上記リミキサーとほぼ同じ人選。だからいわゆるハウスのリミックス・インストかと思ったら(そういう曲もある)が意外とほっこりダブ・ハウス感強め。ロンドンのラヴフィンガー、またウェザオールの片腕としてパーティ〈A Love From Outer Space〉を共同主催するショーン・ジョンストンのハードウェイ・ブラザーズによるリミックスあたりは、ズブズブのダブ・ディスコでなかなかのダブ風味強めです。やっぱりウェザオールがいたら……と思ってしまう人選でもある。