【手書き相関図付き】これさえ読めばフジロックが10倍楽しくなる!!ーーOTOTOYフジロック・ガイド2015

今年もこの季節がやってきました! いよいよ7月24日(金)、25日(土)、26日(日)に迫ったFUJI ROCK FESTIVAL '15。OTOTOYでは毎年恒例となったフジロック・ガイドを今年もやっちゃいます。去年は日本人アーティストにも焦点をあててガイドをお送りしましたが、今年は海外のアーティストを中心に地域、ジャンルなどの相関関係とともに隅から隅まで丁寧に紹介。これだけ多様な音楽に触れられるのは、フジロックならでは。大自然に囲まれて、美味しいものを食べながら、音楽を楽しみませんか? それでは、ライターの渡辺裕也がオススメする今年の見どころをチェック!!
FUJI ROCK FESTIVAL '15
2015年7月24日(金)、25日(土)、26日(日) @新潟県 湯沢町 苗場スキー場
開場 / 開演 9:00 / 11:00
料金 3日通し券 39,800円 / 1日券 16,800円
出演 国内外約200アーティスト
詳細 http://www.fujirockfestival.com/ (オフィシャル・サイト)
渡辺裕也がセレクトする、〈フジロック '15〉これだけは押さえろ!!
いよいよ開催が迫ってきました、〈フジロックフェスティバル'15〉! チケットのご用意がすでにお済みの方は、今頃きっと3日間のタイムテーブルを眺めながらウズウズしていることでしょう。というわけで、今年も〈フジロック'15〉の出演アーティスト、隅から隅まで一気にチェックしていきます。もう参加を決めた方はもちろん、まだ迷っているという方も、ぜひこちらを参考にしてくださいませ!
今年は英国勢が充実!!
さあ、さっそく英米のロック・バンド勢から見ていきましょう。全体的に今年はイギリスからやってくる面々が目立ちますが、なかでも昨年に18年ぶりの再結成を果たしたRideは目玉のひとつでしょうか。しかもそのライドの次はNoel Gallagher's High Flying Birds。そう、元オアシスのアンディ・ベルとノエルがつづけて登場するんです。そしてそのライドやオアシスと同じく、かつてクリエイション・レコーズからデビューしたSuper Furry Animalsは、今年から久々に活動を再開。さらにはJohnny MarrやHappy Mondaysといった80年代から活躍する大御所の名前も… って、このへんはわざわざ列挙していくまでもないですね。ここは気鋭の英国インディ・バンドから、どんどん押さえていきましょう。
まず、ファーリーズと同じくウェールズ出身のCatfish and the Bottlemenは、00年代以降の流れを受け継いだ正統なUKギター・ロック・バンド。フロントマンのヴァン・マッキャン君も端正なイケメンです。そしてソリッドなロックンロールを鳴らす東ロンドンのクールな4人組、The Bohicasにもご注目を。間もなく〈ドミノ〉からデビュー・アルバムをリリースする彼らは、早くもこれが2回目の来日。ネクスト・ブレイクが期待される新人です。2010年代にデビューした英国ギター・バンドでは頭ひとつ抜けた人気を誇るThe Vaccinesは、初日のグリーンに登場。新作『イングリッシュ・グラフィティ』ではデイヴ・フリッドマンとコール・M.G.N.(元アリエル・ピンク・ホーンテッド・グラフィティ)をプロデューサーに招聘し、USインディへの接近も測っています。
シェフィールド出身の兄弟デュオ、Drangeはセカンド・アルバム『アンダートウ』をひっさげての来日。ギター + ドラム編成の荒くれたガレージ・サウンドが超かっこいいです。そして同じ2ピースでも、こちらはベース + ドラム編成のRoyal Blood。この変則的な編成からはちょっと想像がつかないほどのヘヴィでラウドなサウンドは、ホワイト・ステージで体感したらすごいだろうなー。というか、初日はグリーンでMotörheadを最後まで見てから、ダッシュでロイヤル・ブラッドに駆けつけて、Foo Fightersのために再びダッシュでグリーンに戻る猛者が多そうな予感。
アメリカのアーティストたちもバラエティ豊か!!
さて、デイヴ・グロールの骨折した足の具合も気になるフー・ファイターズが登場した流れで、このまま現代アメリカの若きロックンロールの雄も紹介しておきましょう。そう、Benjamin Bookerが早くも再び日本にやってきます! 半年前の公演ではオープニング・アクトにシャムキャッツを迎えたこともあって、普段はほとんど日本のインディ・バンドしか聴いてないという人も、なんとなくその存在を気にかけていた方は多いはず。なので、今回はあの爆音ブルーズ・パンクを、ぜひ〈ルーキー・ア・ゴー・ゴー〉に登場するAtomic stoogesと共に楽しんでみてはいかがでしょうか!
そして、こちらもヴィンテージなロックンロールの影響を色濃く匂わせる新鋭、The Districts。セイント・ヴィンセント等との仕事で知られるジョン・コングルトンがプロデュースしたデビュー作『ア・フローリッシュ・アンド・ア・スポイル』は、ぶっきらぼうな演奏と美しいメロディ・ラインを張りのある録音で収めた好盤で、これはライヴも期待できそう。ちなみにUSインディっぽいローファイな音作りのバンドをもっと楽しみたいという方は、こちらもまた〈ルーキー・ア・ゴーゴー〉にいい出会いがあるかも。ペイヴメントを思わせるダウンテンポのギター・アンサンブルが心地よいTaiko Super Kicks 、ダビーなリズムとリヴァーブ感の強い音像が印象的なTempalay、西海岸パンクを下地にしたような爽快なポップ・ソングがくすんだ音色で奏でられるThe Full Teenzといった具合に、日本のインディ勢は今年の深夜も大充実です。
さあ、アメリカからは話題の男女ポップ・デュオ、Holychildもやってきますよ。ここで初めて彼女たちの名前を耳にしたという方も、「Apple WatchのCMでかかっている軽快なマーチング・ドラムの曲」といえばピンとくるのでは? 今回の来日はその話題の曲「ランニング・ビハインド」も収録された彼女たちのデビュー・アルバム『ザ・シェイプ・オブ・ブラット・ポップ・トゥ・カム』がリリースされたばかりという、まさに絶好のタイミング。見逃す手はないっす! そしてCMといえば、twenty one pilotsの「ガンズ・フォー・ハンズ」と「ラヴリー」も、蒼井優が出てるRight-onのCMソングに起用されてたっけ。そのトゥエンティ・ワン・パイロッツが所属する〈フュエルド・バイ・ラーメン〉からは、いまやレーベルの看板バンドであるFun.のヴォーカリスト、Nate Ruessがソロとして登場。Fun.として出演した2013年につづき、またしてもあのハイトーン・ヴォイスが広大なグリーン・ステージに響き渡ります。
そして、こちらはまさに念願! 昨年に6年ぶりのソロ・アルバム『The Voyager』をリリースしたJenny Lewisが、これまた久々な9年ぶりのフジロック出演です。しかも今回はその『The Voyager』をプロデュースしたRyan Adamsと並んで、3日目のレッド・マーキーに登場するという、なんともアツい流れ…! ジェニーとライアン、アメリカのTV番組「Jimmy Kimmel Live」でも共演しているみたいだし、これはどうしたって嬉しいサプライズを期待せずにはいられません。というか、今年のラインナップ発表で一番どよめいたのは、間違いなくライアン・アダムスですよね。雷雨と照明にイラついてステージを途中で切り上げてしまった、あの伝説の夜から10年。誰もが次はないだろうと思っていたライヴが、今年ついに実現してしまうのです。どうか今回は雷雨がやってきませんように…。
そして伝説といえば、忘れもしない2013年のグリーン・ステージ。末期のすい臓癌を患いながらもステージからマシンガン・ギターを放つ姿に痺れながら、「彼のライヴを見るのは、多分これが最後なんだろうな」と思っていたことを、僕はいま猛省しています。そう、見事に癌を完治させたWilko Johnsonが、またしてもイギリスからフジロックの地に戻ってくるのだ! ウィルコは今回も2ステージに登場。同じステージに出演する盟友シーナ&ロケッツ、および鮎川誠との共演は実現するのでしょうか。そして、こちらは文字通りの「レジェンド・オブ・ブルース」。シカゴ・ブルースの巨星、ハウリン・ウルフのバンドを支えたヘンリー・グレイとエディ・ショウが、"LEGENDS OF BLUES" A Tribute to Howlin' Wolf featuring HENRY GRAY & EDDIE SHAWとして、3日目のフィールド・オブ・ヘヴンでセッションを披露します。これも絶対に見逃しちゃダメ!
そのシカゴ・ブルースやカントリー、あるいはブルーグラスやスカなど、50年代以前のポピュラー・ミュージックを現代に受け継ぐ存在といえば、もちろんロンドンの3兄弟、Kitty, Daisy & Lewisです。クラッシュのミック・ジョーンズをプロデューサーに迎えたアルバム『Kitty, Daisy & Lewis The Third』のリリースと、それに伴う4月の来日公演、そして2010年につづく2度目のフジロック出演と、今年の彼らは話題が尽きませんね。そして日本からは今年で結成17年目を迎えたジャズ〜ジャンプ・ブルースバンド、Bloodest Saxophoneがアメリカの黒人女性シンガー、ジュウェル・ブラウンとの共演作『Roller Coaster Boogie』を提げ、Bloodest Saxophone feat. Jewel Brownとして登場。ジュウェルが日本語歌詞で唄う笠置シヅ子「買い物ブギ」のカヴァー、かなりいい味でてます。そして、こちらはブルースというよりもブルース・“ロック”といった趣でしょうか。カナダ出身のPhilip Sayceは2日目のフィールド・オブ・ヘヴンに登場。新世代ギター・ヒーローとも評されるその腕前、存分に見せつけていただきましょう。
ソウル / ファンクもおもしろい!!
さあ、ブルースから今度はソウル / ファンクへ。英国ウォーリックシャーの8人組、Stone Foundationは初日レッド・マーキーの一番手に登場。管楽器隊を擁するノーザン・ソウル直系のスタイリッシュな演奏は、開幕したばかりのフジロック'15を華々しく飾ってくれること請け合いです。そしてニューオリンズのファンク・ジャムバンド、GalacticはMacy Grayをゲスト・ヴォーカルに迎えて登場。エレクトロニクスも交えた変幻自在のアンサンブルと、メイシーの迫力あるハスキー・ヴォイスに酔いしれましょう。さらに日本からは2012年の〈ルーキー・ア・ゴー・ゴー〉に出演した7人組、思い出野郎Aチームが再びフジロックに登場。ファンクもレゲエもディスコもアフロもごった煮したにぎやかな演奏もさることながら、今年リリースされたファースト・アルバムのタイトル曲「週末はソウルバンド」は、インディ・バンドのリアルな日常を綴った歌詞が無性に泣けるのです。
2011年の〈ルーキー〉以降、早いものでこれが3回目のフジロック出場となるceroは、コンテンポラリーなソウル〜ヒップホップへの接近を果たした最新作『Obscure Ride』が現在大ヒット中。今回のホワイト・ステージにも大勢の人が集まりそうですが、そんなceroを楽しみにしている方は、ブルックリンのヒップホップ・クルー“プロ・エラ”を率いる現在20歳のラッパー、Joey Bada$$のステージもぜひお見逃しなく。J・ディラのトラックを起用するなど、90年代ヒップホップの影響をつよく感じさせる彼のビート使いからは、きっとceroとの同時代性も見いだせるはずだし、とにかくめちゃくちゃかっこいいんで!
今の時代にレフトフィールドなサウンドを次々と放っているアーティストといえば、もちろんFKA Twigsはハズせません。年明けの初来日公演が即完だったのもあって、まさに今回は待望の再来日。すこし前にミュージック・ヴィデオが公開された新曲「Glass & Patron」では、BootsことJordy Asherを共同制作者に起用するなど、早くも次作にむけて動き出している彼女の最新モードを確認するうえでも、今回のライヴは必見でしょう。そのFKAツイッグスも絶賛するJam Cityことジャック・レイサムは、初日深夜のレッド・マーキーに登場。R&Bの甘いメロディを携えたインダストリアル・サウンドの陶酔感。ちょっとこれは抗えないものがありますよ。
ダンス・ミュージック / エレクトロニカだって見逃せない
この流れでイギリスのダンス・ミュージック / エレクトロニカをざっと見ていきましょう。まずはエド・シーランとのコラボレーション曲「ブラッドストリーム」も話題のドラムンベース・バンド、Rudimentalは初日ホワイトに登場。故ボビー・ウーマックやジョージ・クリントン、ドナルド・フェイゲンらが参加しているという新作の内容もさることながら、メンバー4人によるライヴ・パフォーマンスとは一体どんなものか、非常に気になるところです。そしてUKベース・ミュージックの先端を走るLoneことマット・カトラーは、ヒップホップやデトロイト・テクノ、そして90年代レイヴの要素も組み入れた多彩なビート感覚で、フジロック最終日の深夜をさらに盛り上げてくれるでしょう。さらには「ネクスト・ディスクロージャー」とも言われるデュオ、Gorgon Cityも登場。こちらはDJセットでの出演みたいですね。
そのディスクロージャーから共作を持ちかけられたことがきっかけで再始動を果たしたという、Aqualungことマット・へールズもここで挙げておきましょう。フジロックへの出演はなんと10年ぶり。新作『テン・フューチャーズ』がモダンR&Bを通過しつつも端正なポップスに仕立てられた素晴らしい作品だったので、これは非常に楽しみですね。そしてこちらはUKダンス・ミュージックとアメリカのモダンR&Bをつなぐ唯一無二の存在、Hudson Mohawke。カニエ・ウェストに抜擢されて以来、いまや世界的なプロデューサーとなった彼が、今回は6年ぶりのフルアルバム『ランターン』がリリースされたばかりという絶好のタイミングでやってきます。個人的には、アントニー・ヘガティが参加している「Indian Steps」を苗場で聴きたいっす…!
ヨーロッパや南米からやってくる面々もしっかりチェックしなきゃ! ということで、まずはアイスランドのインディー・フォークバンド、Of Monsters and Menから。日本でもすでに高い人気を誇る6人が、2013年につづいて早くもフジロックに還ってきます。そしてこちらは6年ぶりのフジロック。スウェーデンの8人組ジプシー・パンクバンド、Räfvenは3日間を通していくつものステージに登場し、苗場のいたるところでお祭り騒ぎを演出してくれそうです。さらにはバルセロナの人気バンド、TXARANGO(チャランゴ)も3日間にわたって登場。8人編成で繰り広げられる情熱的なメスティソ・サウンドは、本国スペインはもちろん、ヨーロッパ各国や南米の野外フェスをただいま席巻中で、こちらも大騒ぎになること必至ですね。そして各ステージをにぎわせるバンドをもうひとつ。チリの兄弟バンド、Perroskyはオーセンティックなロックンロールに南米音楽の要素をまぶした2ピースのアンサンブルがめちゃくちゃ痺れます。
今年も注目のアジア勢
もちろんアジア勢もチェック。まず韓国からやってくるThe KOXXはレッド・マーキーに登場。初期フォールズを思わせるアフロ・ファンク風の忙しないアンサンブルから、メンバーの格好にいたるまで、このバンドはUKインディ・ロックへの愛着を屈託なく表してるところがとても愛らしいですね。そのコックスの前に登場する台湾のManic Sheepは、昨年のルーキーから見事に出演権を勝ち取ったバンド。アノラックと90年代オルタナを掛け合わせたようなキラキラしたポップ感がキュートです。同じく台湾から、ここ日本でも高い支持を受けている結成20年目のブラックメタル・バンド、ChthoniCが登場。しかも今回はいつものような激音ではなく、民族楽器を用いたアコースティック編成での演奏になるそうですよ。
ネパールからはUpendra and friends plus Mr. Sunil and Babuが2013年につづくフジロック出場。民族楽器を主体とした編成にキーボードやターンテーブルなどのエレクトロニクスも加えたフュージョン風のジャム・セッションがとても心地良さそう。そして同じくネパールからもう一組、bobin and the mantraもやってきます。ヴォーカルのボビンを中心とする彼らはもともと日本で結成されたバンドなんですが、2010年からはネパールに拠点を移して活動を展開中。民族楽器によってレゲエやファンクなどを織り交ぜたミクスチャー・サウンドは、ここ日本とネパールはもちろん、台湾でも高く評価されています。

さあ、駆け足でお届けしてきましたが、いかがだったでしょうか。「Jim O'RourkeがまたしてもGaman Gilberto(ガマン・ジルベルト)なんて変な名前のバンドを組んでるぞ」とか、「最近のTodd Rundgrenはエレクトロニクスの導入にも意欲的だけど、今回はどんなライヴを見せるのかな」とか、例のごとく触れられてないところがまだまだいっぱいありますが、とりあえず今回はここまで。直前の予習に役立ててもらえれば幸いです。今年は苗場の奥地にあるステージ〈オレンジ・コート〉がなかったり、ちょっと気になる話題もありますが、果たしてそれがフジロックにどんな変化を生むのか、しっかり見てきたいと思ってます。では、今年も苗場でお会いしましょう!
FUJI ROCK FESTIVAL '15
2015年7月24日(金)、25日(土)、26日(日) @新潟県 湯沢町 苗場スキー場
開場 / 開演 9:00 / 11:00
料金 3日通し券 39,800円 / 1日券 16,800円
出演 国内外約200アーティスト
詳細 http://www.fujirockfestival.com/ (オフィシャル・サイト)