ワンコインでハイレゾ!! 変則リズム×暴走する轟音!! camellia、バンド初のライヴ音源をリリース
2013年に待望の1stフル・アルバムを発表し、その実験的かつストイックなスタイルで高く評価されたcamelliaが、バンド初のライヴ音源をリリース。昨年10月に大宮ヒソミネで行われたライヴの模様を、当日の熱量そのままにパッケージした。変拍子、奇数拍、ポリリズムを多用した一筋縄ではいかないアレンジ、それでいてダンス・フロアにも対応する高揚感に溢れたサウンドは、彼らにしか鳴らせないものに他ならない。OTOTOYでは、この音源を24bit/48kHzのハイレゾで独占配信。しかも、収録曲の中から「“13'27” part2」をフリー・ダウンロードでお届けする。camelliaらしい計算しつくされた構築美とライヴならではの迸る熱量を体感せよ!!
「“13'27” part2」のフリー・ダウンロードはこちら!!
(2015年3月3日 23:59まで)
計算された構築美とライヴならではの熱量が融合!!!
camellia初のライヴ音源をハイレゾ配信!!!
camellia / show at 大宮ヒソミネ 2014/10/13
【配信形態】
24bit/48kHz (ALAC/FLAC/WAV/AAC)
※ファイル形式について
※ハイレゾとは?
【価格】
540円(税込)(単曲は各108円)
【収録曲】
01. “13'27” part1
02. “7'56”
03. “10'10”
04. “7'37”
05. “5'40”
06. “8'14”
07. “13'27” part2
※1曲目冒頭にノイズが収録されておりますが、これはマスター音源に起因するものです。
INTERVIEW : camellia
楽曲の完成形とはどの状態を指すのか。通常、我々はそれをスタジオで録音し、作品化されたものだと思いがちだが、果たしてそれがすべてのケースに当てはまるのかというと、必ずしもそうとは言えないのだ。つまり、こう考えることもできるということ。スタジオ・ワークで収めた音源はあくまでも途中経過、あるいはベーシック・フォームであり、楽曲とはそこからさらに進化させていくべきものだ、と。
千葉県を拠点とするバンド、camellia。彼らのスタジオ作品に収められた長尺のインストゥルメンタル・トラックを聴いていると、その緻密に計算されたポリリズムや変幻自在の楽曲展開、そして一糸乱れぬ演奏力の凄まじさに、思わずクラクラしてしまう。しかし、どうやらそれらの楽曲はリリース後も着々と成長を遂げていたようだ。
camellia初のライヴ・アルバム『camellia show at 大宮ヒソミネ 2014/10/13』は、その事実をリスナーにまざまざと突きつけてくる。ある意味、これはcamelliaというバンドの真価をスタジオ盤よりも正しく伝える作品と言ってもいいと思う。
正規メンバーにPAエンジニアがクレジットされていることにも顕著なように、このバンドにとってのライヴとは、ただ既発曲や制作過程の新曲をお披露目する場ではなく、むしろ楽曲をさらにアップグレードさせる手段でもあるのだろう。そのあたりの真意もうかがうべく、リーダーのtakashiishiwataに話を訊いた。
インタヴュー & 文 : 渡辺裕也
「いつ来てもらっても、これくらいのことはやってるよ」ってガイド
——今回のライヴ音源は、こうしてリリースすることをあらかじめ見越してレコーディングされたものなんでしょうか。
takashiishiwata(以下、tkc) : いや、元々これは「入場者特典として、後日データをプレゼントする」というイヴェント主宰側の主導で録られたものなんです。で、お客さんに配布した後は、こちらでその音源を自由に扱っていいということだったので、友人連中には軽く配ってたんですよ。それである日ふと、「せっかく素材あるんだからだから配信だけでもしておくかな、そうだよ、俺、貧乏性じゃん」と。
——ああ、そういうことだったんだ。音質もバランスもすごくいいから、これはしっかりした環境で録ったんだろうなと思って。
tkc : うん。今回は主催側に演奏データをパラでもらえたので、自分主導でしっかりやった、とは言わないまでも素材はよかったんですよ。それでミックス、マスタリングを自分でやり直して、金田(PA / Syn)と最終チェックした感じ。「まあ俺らの演奏なんてこんなもんだけど、音はまあまあだからとりあえずmp3は無料配布、高音質はOTOTOYさーん!!」しておこうと。言ってしまえば中身は、「いつも通りぐだぐだ」で本当は削りたい曲もあったんだけど、我慢して当日演奏した曲はすべて入ってる。7トラック、6曲で約60分。
——これが最低限の演奏ですか…。どんだけ水準が高いんだって感じですけど。
tkc : そのへんは個人の感覚にお任せ(笑)。簡単に言えばこの音源は、うちらのアルバムやEPは聴いたことあるけど、まだライヴを観たことがない人に「いつ来てもらっても、これくらいのことはやってるよ」ってガイド。これとスタジオ盤を聴き比べてもらえれば、ある程度の違いもわかってもらえる気がするし。つまり、これで初めて我々に興味を抱いてくれた方々は「正規音源も買ってね(はあと)」ってこと。
——たしかにこのライヴ・アルバムでは、スタジオ盤とは違ったアレンジがいくつも展開されていて。そこがものすごくスリリングでした。
tkc : 完成した作品でやったことには興味ないんですよ。同じ楽曲の演奏を何度も重ねていくと、パフォーマンス含め「こうやればこうなる」みたいな平均点以下にならないある程度は確立されていくんだけど、そんなの飽きるから。もちろんその瞬発的な行動が思い通りにならないときもあるんだけど、多少滑っても許してくれって、そっと思ってる(笑)。
——実際、camelliaのライヴでは即興演奏がたくさん見られますよね。ただ、その一方でジャム的なゆるい展開はまったくない。楽曲の構築性が常に保たれているというか。
tkc : そうですね。ジャムは聴くのは嫌いじゃないけど、そういう要素はほとんど入れてない。尺がルーズになるのはイヤなんですよ。各々が別々で演奏してる拍が揃ったところ、全体がきれいな小節数で次に展開する場合は必然的に大枠ができるから、それには準じてる。3/4×4小節と4/4×3小節(12拍)、とか、7/8×6 + 4/4×2小節と4/4×7 + 1/4小節(29拍)とかね。それをだらだらジャムやってるくらいの長さにしてる時もあるけど、数は決まってる。
いくつもの要素を構築しなおして、自分なりの形にしていく
——なるほど。改めて訊くようですが、そもそもcamelliaは主に何から影響を受けて、現在のような長尺の複雑な楽曲を志向するようになったんですか。活動初期の頃は、比較的奇数拍が多いとはいえ、ギター・ロックと言えるものをやっていたんですよね。
tkc : その(ギター・ロックをやっていた)頃から、今みたいな作曲方法をとりたいという気持ちはずっとあったんですよ。それが音楽活動を長くつづけていく過程で、どうせなら好きなことをやっておこうと思うようになった。で、それにあたって具体的に参考になっているのは何かと言えば、やっぱり70年代のプログレッシヴ・ロックが大きいかな。とは言っても、俺は自分にとって良い音楽であれば何でも好きなんですよ。適当に色々聴いてるんだけど、結局好きなのがビートルズ、ブライアン・ウィルソン、現代音楽とかジャズになってしまうだけ。まあ、作曲においてはできるだけ好き嫌い、古い新しい関係なくいくつもの要素を構築しなおして、自分なりの形にしていく感じですね。言い方を変えると、「俺は新しい音楽を作っているんだ!」みたいな気持ちは特にない。
——つまり、tkcさんはさまざまな音楽の要素を組み合わせるような感覚で楽曲をつくっているということ?
tkc : そうそう。ひとつの楽曲にそこそこの要素を注ぎ込んで、要はパクってるんだけど、皆と趣味が違うからパッと聴いた感じだと元ネタに気づいてもらえない。いくつかインプットしたものを自分のなかでばらばらにしてから、それをひとつにしてアウトプットするような感じ。そもそも俺は誰もやっていないことを自分ができるとは思ってないので。
——それはなぜ?
tkc : 皆が思ってるより謙虚ってこと(爆笑)。まだまだ知らないことの方が多いし、結局自分がやってる程度のことだから。1曲のなかに3〜4つのネタがあるとして、それがすべて自分の発想から生まれた楽曲なのかというと、やっぱりそうは思えないんですよね。基本は今言ったみたいに意図的に影響を表に出してるし、無意識でもそうなっているはずだと思う。くだらない例えで言えば、「7拍子と11拍子のポリリズムがあったから、俺たちは9拍子と13拍子でやってみよう、こんなの聴いたことねーじゃん!」とかでテンションあげられても結局これは手法同じだから。こういった類いのことで自分は新しいことをやってると思うのは安いでしょ。
——じゃあ、アヴァンギャルドなことをやっているという意識も特にない?
tkc : 定着してしまった音楽性を表す言葉としてではなくて、純粋な意味では好きだけど、自分で「俺、アヴァンギャルドだから」とか何それ、気持ち悪い(笑)。そういったことは受け手が決めてくれることであって、自分がどう思われるかと言うことには興味を感じないですね。アヴァンギャルドなアプローチになるかわからないけど、ひとつのオマージュとして「あの曲好きなんだ、これわかるだろ? 俺これ好きなんだよ!」みたいなフレーズを本当に大袈裟に入れてみたりするのはよくやるけど。そうすると一部の人(本当に少ない)がそこに気づいて「あれ、絶対にそうだよね?」みたいな反応を返してくれるときはある。それでお互いにちょっとニヤッとしてみたり。
「俺ら程度もわかんねーようじゃお前らまだまだだな」って
——演奏者側と聴衆側のちょっとしたやり取りですね(笑)。では、camelliaの近況についてもいくつか訊かせてください。前作『”42'23”』のリリースからだいたい1年半が経ちましたが、新作にむけた動きなどはあるのでしょうか。
tkc : 新作のレコーディングはもう始まってます。今ちょっと作業が止まってしまっている状況ではあるけど。まあ、リズム隊が録り終わっちゃえば、後は俺がやるだけなので。場合によってはドラムを録るより先に俺のパートを録ってるところもあるし。
——それはドラムより先に上モノを用意しちゃうってことですか。
tkc : そう。1曲の尺がわりと長いから、ガイドになるような音がない状態でドラムだけを録るのは、かなりしんどいんですよ。だから、まずはピアノ、ギターやベースを先に用意して、それを聴いてもらいながらドラムを叩いてもらう。そのまますべてがOKになるときもあるし、パートによっては録りなおすときもある。
——なるほど。どちらにしてもcamelliaの場合は楽曲の特性上、かなり労力のかかるレコーディングになると。ただ、そもそもtkcさんはマルチ・プレイヤーだから、全パートを自分で録ることもある程度は可能なわけですよね?
tkc : デモくらいだったら、ドラムは雑に打ち込んで後はぜんぶ自分で弾いちゃいますね。ただ、演奏するのがそこそこめんどくさい。
——そこそこなんてもんじゃないですよ!
tkc : そのへんは個人の感覚にお任せ(笑)。まあ、せっかくなので自惚れ含みで言わせてもらえれば、難しいこと=素晴らしいことではないけど そうやって言ってもらえることは多いですね。でも、1つ1つのことはそこまで難しくない部分もありますよ、合わせるの面倒だけど。「俺ら程度もわかんねーようじゃお前らまだまだだな」って一応言っておきます。イライラした皆様、ぜひ聴いてください、コピーバンド募集中(爆笑)。
——メンバーに求められる演奏の難易度も、作品を重ねる毎にどんどん上がっていますよね。
tkc : そうですね。作曲に関して、少しずつ手法を増やせてはきてるので、今までとは違う印象の曲も意図的に書いていこうとは思ってます。ただ、一方で最近よく考えてるのが、ちょっと矛盾してしまうんだけど、楽曲に自分らしさも必要なんだなってこと。それはさっきのプログレの話の延長で言えばピンク・フロイドの新作(『永遠(TOWA)』)を聴いて思ったんですよね。
——というのは?
tkc : 各バンド特有の“らしさ”って、聴き手からすれば嬉しい部分なんだな、と思ったんです。俺も新譜を聴いたときに「ああ、やっぱりフロイドはこの感じだよな」と。良く言えば安心、逆に言えば目新しさはないわけなんだけど。まあ、自分はかなり盲目的に好きな方なので、普通に聴いたらつまんないんでしょうね。もし自分たちの音楽にもそういう“らしさ”を感じてくれている人がいるんだとしたら、そういう部分はなくしちゃいけないなと思ったり、意図的にそうしても意味がないと思ったり。
——なるほど。では、そこでtkcさんがcamelliaの楽曲を見つめ直したとき、どんな“らしさ”が見つかりましたか。
tkc : うーん。そこはなかなか難しいところで。自分の音源聴かないから、わかんない。さっきも言ったけど興味ないので、自己判断とかね、具合悪くなっちゃう。面倒だから聴き手に決めてもらえれば良いか、と。どんだけ違うことしようと思ってもどっか似てしまう部分もあるだろうし。
自分の人間としての能力を伸ばさないといけない
——じゃあ、ちょっと訊き方を変えてみます。camelliaとは違ったアプローチのバンドを組んでみたいと思ったりすることはありますか。
tkc : 自分主導でってことですか? それでしたら可能性は限りなく低いですね。たとえば、シンプルな3分半くらいのロックをやりたくなって、それをcamelliaでやったら面白いと思うのかもしれないし、別のところでやるのかもしれないし。
——そういうシンプルなロックがやりたいと思うこともあるんですか。
tkc : 可能性は限りなく低いですね(笑)。ソロ名義でアコースティックの音源をつくりたい、とは思ってたりする。それはもうずっと言い続けてるんだけど、さぼってる。たまに弾き語りもやらせてもらってるんだけど、歌ものですよ、それだってもともとの自分の要素だし。真逆のアプローチでやってみようという意図もありますけどね。さっきも言ったけど、自分にとって良い音楽は好きなので、方向性と言うよりかは質の方が重要。
——ソロ活動で得たものがcamelliaの音楽にフィードバックされることも大いにありますからね。それにtkcさんの場合は、プレイヤーとしてcamellia以外のバンドにも参加されていますし。
tkc : そうですね。一時期はほとんどやらなくなってたんですけど、最近はまたやってます。去年からトロンボーンの増井朗人さん(ex-MUTE BEAT)がやっているCodex Barbèsというユニットに誘っていただいて、そこでチャップマン・スティック(70年代初頭に発明された10弦のタッピング楽器、camelliaでも使用)をメインで演奏してます。それは男性トロンボーン3人と俺、あと女性の和太鼓が2人という、かなり変則的なバンドなんです。後はオワリカラのツダと試しにスタジオ入ってる、すぐ終わるかもしれないけど(笑)。
——それはおもしろそう。そして今はそうした活動と並行しつつ、camelliaの新作に取りかかっているところだと。ちなみにこれまでの作品はジョン・ケージに倣って収録時間がそのまま楽曲名になっていましたけど、その方針は今後も継続されていくんですか。
tkc : 時間タイトルについては、このあたりで一度離れようかなと思ってます。というのも、今までに3枚出して、とりあえず一区切りはついたので。プログレッシブの基本は3部作(笑)。前作までは1曲単位で書いたものを並べてつくったようなところがあるんだけど、次回はもっとコンセプトに倣った音源を出すつもりで。実際、その構想はけっこう前からあって、メンバーに伝えていないものも含めれば、もうアルバム2〜3枚分の曲数は揃ってます。
——そんなにストックがあるんだ!
tkc : 演奏できるかは別だけど(笑)。どうしても1曲を書くのに2年くらいかかっちゃうから、昔から並行して常に曲は書いてるんですよ。2年前くらいにできていた曲を今みんなで練習してます。
——1曲に2年ですか…。考えただけで気が遠くなりそう。
tkc : そのへんは個人の感覚にお任せ(笑)。「新しいものをつくりたい」とは思わないけど、「近所では聴いたことがない」くらいのことはね、それくらいは見栄張らないと。時間かければ良いわけじゃないけどひたすら考えてる。もちろん先に自分の人間としての能力を伸ばさないといけないので、その結果作曲、表現にかかる時間も短くなったら幸いですね。
——ストイックだなぁ。じゃあ、tkcさん個人が目下のところ伸ばさなければいけない能力って、具体的にはどんなものですか。
tkc : うーん。やっぱり“基礎”、かな。つまりすべて。
——じつにtkcさんらしい答えですね(笑)。いつ質問しても同じ回答が返ってきそう。
tkc : あるいは“精度”(笑)。
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camelliaの記念すべき1stフル・アルバム。長尺のインストゥルメンタルに美しい歌という、相反する要素を独自の感覚で纏めあげる手法はそのままに、音の並びはさらに綿密に、言葉はより素直に、彼らの持ち味が絶妙のバランスで融合した1作。変拍子、奇数拍、ポリリズムといった技法が完璧なまでの計算のもと取り入れられた。
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PROFILE
camellia
2005年1月、楽器隊3人にて結成、2006年1月より活動開始。2010年1月よりPAを加え4人編成となる。圧倒的に自由な精神はcontemporary music〜popsを自在に行き来し、構築、破壊を繰り返す。無秩序な演奏とも相まり純粋に結果的avant-garde。 >>camellia Official HP