1stアルバム先行販売開始! イチ早く聴いて、リリース前哨戦ツアーへ行こう
2011年、Vo&Gt磯谷直史(monokuro)、Ba朱雀佑輝(NANANINE)、Dr大坪徹志(hare-brainedunity)により結成された3ピース・バンド、THE ANDS。結成後、突如ミニ・アルバム『ONE』を発売し、その後も自主企画やコンピレーション・アルバムへの参加を果たしてきた彼らが、満を持してファースト・アルバム『FAB NOISE』を完成させました。1曲平均3分以下、全ての無駄を削ぎ落としたシンプルでソリッドな直系サウンド計12曲35分。60年代のブリティッシュ・ロック、90年代のオルタナティヴ・ロックやブリット・ポップをバックグラウンドにあげる彼らがミュージシャンとして築いてきた経験値はそのままに、ぶつかりあうサウンドは新鮮な衝撃に満ちています。また、今作は磯谷の故郷である福島に拠点を置くレーベルNomadic Recordsからのリリース。サウンドのみならず、意識面でも原点回帰した作品となっています。
OTOTOYでは、なんとCDの発売より約2ヶ月先駆けて販売開始。6月21日からは『FAB NOISE』プレ・レコ発ツアーがはじまります。夏へ向けてTHE ANDSが動き出す。まずは、新曲を予習してライヴへ!
THE ANDS / FAB NOISE
1. Dakota / 2. Fog / 3. Sleeping In The Only Love / 4. March Of The Night / 5. No Song / 6. Good Bye Music / 7. Very Strong / 8. Home / 9. Hand&Hand / 10. Top Of The Hill / 11. Once Upon A Time / 12. Re Motions
Label : Nomadic Records
★『FAB NOISE』についてつぶやこう!
THEANDS INTERVIEW
結成から約1年にして、ついにTHE ANDSのファースト・フル・アルバム『FAB NOISE』が到着した。2枚のEPを聴いた時点でこのバンドへの期待は十分に高まっていたが、こうして実際に届いたものを耳にすると、このギミックなしのスケール感には改めて圧倒されてしまう。というか、こんなに衒いなくグラマラスなロックを鳴らせてしまうバンドも、最近ではちょっと彼らの他に思い当たらない。様々な手法や言葉、そしてジャンルのクロスオーバーで溢れた末に中心を失った現ポップ・シーンにおいて、ただサウンドの強度だけで挑んだ『FAB NOISE』のインパクトは実にストレートで潔く、だからこそ鮮烈だ。monokuro、NANANINE、hare-brained unityでそれぞれ活動してきた3人だが、そうした過去のキャリアを引き合いに出すのもこれで終わりにしよう。そのすべてを凌駕するTHE ANDSの快進撃が、ついにここから始まるのだ。
インタビュー&文 : 渡辺裕也
いい曲を一枚のアルバムに詰め込むっていうプリミティヴな作業をずっと続けたい
――とにかく結成からここまでの展開が早かったですよね。ちょっと急ぎすぎじゃないかと心配になるくらいだったんだけど。
朱雀 : (笑)。たしかにmonokuroが活動休止してすぐだったもんね。
磯谷 : monokuroが活動休止を発表したのは2011年の2月下旬で。その数週間後に震災があったから、正直しばらくは新バンドどころじゃないかなっていうところもあったけど、自分としてはもうやるって決めてたからさ。とにかくそんな状況でも音楽に向かう活力は失ってなかったんだ。メンバーもすぐに決まったよ。
――EPのリリースもテンポが良かったし、かなり戦略的に攻めてるような印象もあったんだけど。
磯谷 : そこまで考えてたわけじゃないけど、自分が止まってない感じは出したかった。だって活動休止っていう言葉からは、どうしたって負のイメージしか沸かないでしょ(笑)? それを背負った上で新しい音楽を作っていこうってことは、自分の中でもう決まってたから。そこでソロっていう選択肢もあったかもしれないけど、やっぱり自分はバンドありきで。そこで前から交流があった朱雀さんに、酒を呑みながらよく相談してたんだ。で、同じく朱雀さんの方からも「俺もバンドがなくてさ」って言われてて(笑)。朱雀さんはNANANINEを2007年に休止させてるから、つまり5年間は自分のバンドがない状態だったんだよね。
朱雀 : サポートではやってたんだけど、いわゆる「俺はこのバンドで勝負してるんだ!」っていうのはなかったね。
――お互いに本腰を入れて臨めるバンドを求めていたところだったと。
朱雀 : 僕は完全にそうですね。
大坪 : 僕の場合はその時点で他にもバンドをやっていたからちょっと事情が違うんですけど。磯谷は休止からの動き出しがホント早かったよね。
磯谷 : とりあえず朱雀さんとやるってことは3月の前半に決めてた。
朱雀 : すぐにスタジオで曲作りを始めたんだよね。それこそリズム・マシーンを使いながら、簡易的にどんどん録音していって。
磯谷 : とりあえず俺がネタを大量に持っていって。いま思うとバンドを活動休止させた反動もあったのか、震災前のあの時期はちょっとありえないくらいのスピードで作曲してた。そうやって書き溜めてたものを基に、10曲くらいのデモをすぐ作って。そのふたりで始めた段階で、もうバンドみたいな音を出してたよ。ファズ踏んで(笑)
――その、ありえないくらいのスピードで作曲していた時期をいま改めて振り返ってもらいたいんだけど。なにがモチヴェーションになって当時の磯谷くんを突き動かしていたんだろう。
磯谷 : とにかく曲作りだけは休みたくなかったんだと思う。それに、その朱雀さんとバンドやろうとなった時のファースト・インプレッションを大切にしたかったんだ。そこでとりあえずふたりで散々がんばって曲を書いてみて、出た結論が「やっぱドラムほしいよね」ってことで(笑)
朱雀 : (笑)。もうとにかく打ち込むのが面倒くさくてさ。そういう機材を使いこなす技術も俺はまったくないから、ぜんぜんパターンも広がらなくて(笑)。そこで早くドラマーを加えようとなって。
磯谷 : で、ある時hare-brained unityの大樹くん(和田大樹)のイヴェントに俺がDJで誘われて。その時の打ち上げでテッチ(大坪)が俺と朱雀さんのところにきて「俺も混ぜてよ」みたいに声かけてくれたんだよね。
大坪 : そもそもふたりとは以前から交流があったんです。
朱雀 : それどころか何年か前は一緒に住んでたもんね(笑)
大坪 : そうそう(笑)。だから朱雀さんとはなにか一緒にやりたいって、昔からよく話してたんです。磯谷のこともmonokuroを観てた時から「あいつとなにかやれたらいいな」っていう気持ちは漠然とあって。そうしたらふたりがバンドを始めるっていうから、思わず声をかけて。とはいえその時点ではhare-brained unityもバリバリ活動していたし、俺も本腰入れたバンドをふたつも同時にできるかなっていう不安はあったんだけど、まずはデモを聴かせてもらって。
磯谷 : 正直、誰にも聴かせたくないようなお恥ずかしいデモだったんだけど、テッチは聴いてすぐに「これはすごいことになるね!」ってメールをくれて。
大坪 : いやぁ、めちゃくちゃいいなと思ったよ。もうその時点でバンド像がはっきりと見えた。だからどうしてもそこに加わりたくなったんです。
朱雀 : たしかにどういうことがやりたいのかはあの時点ですでに明確だったと思う。さっき展開が早いって言ってくれたけど、もうとにかくめちゃくちゃスムーズだったんです。とにかく曲はどんどんできていく一方で、すぐに「これもうレコーディングできるんじゃないの?」って話になって。
磯谷 : そうそう。4月に初めて3人でスタジオに入って、最初の1音でもうばっちりで、5月末にはもうレコーディング・スタジオを押さえて。
朱雀 : 7月に最初のライヴを決めてたから、もうそこに音源のリリースを間に合わせちゃおうってことになったんだよね。
磯谷 : たしかに改めて思い出すと、それは傍から見たら急いでるように感じるかも(笑)
朱雀 : でも、無理はまったくしてなかったよね。
――デモの時点で像が見えたということですが、具体的に「こういう音楽がやりたい」みたいな言葉のやりとりはあったんですか。
磯谷 : とりあえずこのバンドでは僕が曲を書くってことが決まってて。で、その僕だけでなく、この3人は同世代でみんな90年代にバックグラウンドを培ってたから「こういうのを本気でやってみようよ」っていう共通言語がたくさんあったんです。単純にニルヴァーナとかスマパンとか「ここはウィーザーっぽく!」みたいな言葉がスタジオではよく出てきますね。そこですぐイメージを共有できるのはすごく大きくて。
朱雀 : オアシスとかもね(笑)。音楽の好みはみんな近いんだよね。
磯谷 : 残念ながら僕にはリアムやカートみたいな声は出せないんだけど(笑)。自分に焼き付いている音楽ってなると、もう自然とその辺になっちゃう。
――こうして新しいバンドとしてスタートを切るにあたって、たとえば自分たちよりも若い世代のバンドを意識されたりはしませんか。
朱雀 : オレは最近になってそういうのを聴くようになって(笑)。っていうのは、THE ANDSを始めることになって「最近の日本のバンドってどんな感じなんだろう」っていう興味がまた沸いてくるようになったんですよ。逆に言うとそれまではもうさっぱりだった。
大坪 : 自分たちの音楽を貫いてやる以上は、やっぱりそこには目を向けておかないと大きな波には乗れないだろうっていう気持ちは確かに僕もありますね。
朱雀 : でも、それってすごく単純な話で、そういう自分たちよりも若い世代の人に聴いてほしいっていう気持ちがあるからなんです。で、今ってめっちゃ細かいフレーズでキメが多い、テクニカルなバンドが多いんですよねぇ。
――ああ、アークティック・モンキーズみたいな。
磯谷 : あれはたしかに時代性を感じるよね。でも、同時に僕は90年代ほどロック・ミュージックで市民権を獲得できたアーティストが生まれた時代ってなかったとも思ってて。そこに迷いはまったくなかったな。
――THE ANDSの3人はそれぞれオルタナティヴと呼ばれた時代の音に強く感化された世代だと思うんです、そこでみなさんが考えるオルタナティヴとはどういうものなのかを教えてください。
朱雀 : これはNANANINEの話なんだけど、あのバンドはみんな、とにかく普通のことがやりたくないっていう人達の集まりだったんです。海外のバンドから影響を受けた楽曲に日本語で挑もうってことを意識的にやりつつ、とにかく今までになかったものを形にしたいっていう気持ちが強かった。つまりそれをオルタナティヴとして捉えていたんです。
――それを体現していたバンドをひとつ例として教えてもらえますか。
朱雀 : (笑)。そこで挙げるのがR.E.Mとかじゃなくて申し訳ないんですけど、僕にとってはユニコーンですね。僕が音楽を始めるきっかけのバンドでもあるし、まさにあの集まりでしか出せないものをあのバンドはやってるから。俺のオルタナっていう感覚はそういう感じを指してて。
大坪 : 僕もこれまでひねくれた奴らと一緒にやってきたので、とにかく他と違うことがやりたくなってしまうんです。そこで影響を受けたのが、やっぱりスマパンとかで。それこそロック・バンドのドラムっていうと、デイヴ・グロールやジミー・チェンバレンが真っ先に思い浮かぶんですよね。同時に僕はこれまで打ち込みのリズムをずっと研究してやってきたんです。それがこのバンドに入ってから、そういう10代の頃に夢中になってたものからの影響が一気にでてきた感じがしてて。
磯谷 : 僕にとってはそのオルタナティヴな音楽がポップスと共存しているってことがなによりも大きくて。つまりそれって、本当の意味でクオリティの高い音楽を指しているんだと思ってる。
――磯谷くんの音楽に通底しているのは、まさにそのポップネスに尽きると僕も思います。いろんな参照点はあるけど、どれもショート・レンジのポップ・ソングに完結させるところだけは譲らないというか。
磯谷 : 音楽を作るにあたって僕が常に気にするのはそこだから、もはやそれは変えられないんだよね。自分の耳が気持ちいい方に向かっていくと、自然とそういうものになっていっちゃうんだ。今回はどの収録曲も同じくらいの熱量をもって生まれてきたから、ものすごく安産で(笑)。もっと早く出来上がってもよかったくらいの勢いだった。むしろ、これくらいのクオリティに仕上がるには、やっぱり1年はかかっちゃうんだなっていう気がしているくらい。
――作品全体像としてはなにかイメージがあったんですか。
磯谷 : コンセプトはないけど、とにかく疲れるアルバムを作ろうと思って。
――(笑)。どういうこと?
磯谷 : 12曲で約35分でしょ?とにかく曲間なく忙しなく展開していって、気づいたらリピートしているみたいな、いかにもファーストらしいテンションのアルバムにしたかった。
――で、みなさんはこの作品以前にもファースト・アルバムのリリースという経験をすでにされている方々ですよね。そこにはなにか特別に意識するものもあったんじゃないかと思ったんですが。
大坪 : やっぱりそこに掲げる意欲は相当でしたね。ただ、みんなここまでのキャリアがあるから、楽曲の組み立てや音作りの作業はホント早いんですよ。そういうところがぽんぽん決められるから、3人のモチヴェーションが途切れることなく高まっていった感じがこの1年間はすごくあって。それをアルバムにぎゅっと押し込めたような手応えはありますね。
朱雀 : とにかくこのバンドは始まった時のテンションがものすごく高かったので、その空気感は絶対に収めたいと思ってました。つまりそれこそがファースト・アルバムだと思ってるから。この歳でこんなことを言うとおかしいかもしれないけど、「こいつら好きな音楽を好きなようにやってんなぁ」っていう瑞々しさをそのまま出したかった。その、音から出ている鮮度や勢いをとり逃したくはないっていう気持ちは、バンドのスピード感にもつながったと思う。
磯谷 : スーパーグラスの『アイ・シュド・ココ』みたいなアルバムにしたかったんです。あの人たちがあれを作ったときって18歳くらいだけど(笑)。そういうテンションのものをいま作ってみたいと思って。あとは単純に、自分がその時点で形にしていたものを1クールとしてまとめたかった。それが今回は12曲としてうまく収まってくれて、これでちょうど一区切りつく感じがしたというか。あとは聴いたときにとにかく「速いなこのアルバム!」っていうインパクトを残せるものにしたかった。それは自分がそういうものを聴きたかったっていうのも大きくて。
――この『FAB NOISE』というタイトルも、3人の共通項から生まれた言葉なのかなと思ったんですけど、どうでしょう。
磯谷 : 単純に自分たちとマッチした言葉だと思って。いわゆるノイズ・バンドではないんだけどさ。とにかく戦闘モードってことだね(笑)
朱雀 : 人間的にもノイジーなやつらが集まってるからね(笑)。他の人からするとただの歪みにしか見えないようなところにこのバンドの芯があって、僕らはそこを大切にしているんです。そもそもここまでバンドっていうものにこだわってるってことも、ちょっとおかしいくらいじゃないとできないと思うし。
――バンドって、メンバー間のやりとりを重ねていく中で音楽性をゆっくりと定めていくものじゃないですか。みなさんのように最初に決めた指針をまっすぐ進んでいけることって、実はそうないことだと思うんだけど。
磯谷 : そこは確かにまったくぶれないし、とにかくスムーズですね。実際に曲を作っている俺が「こうしてくれ」みたいなことをほとんど言わないで済んじゃうし。
朱雀 : (笑)。たしかに普通はそういうやりとりに時間を費やしてもいいはずだね。でも「ちょっとこれ合わせてみようよ」っていうところから30分くらいすると、だいたい「すげえいいじゃん!」ってなってて。でも、そこがこのバンドででかいところだと思う。曲作りがとにかくこのバンドは早いから。変な話、スタジオに入っている時間がいまは一番楽に感じているくらいで。
磯谷 : 無駄がないよね。いま自分で振り返って、それが当たり前に感じ始めているのが怖くなってきたくらい。
朱雀 : それもこの3人が集まった時点ですべて決まったことだったんだと思います。ひとりメンバーが別の人間になっていたらまったく状況は違っていただろうし。ピースがうまくはまった感じがする。
磯谷 : 実はもう意識が次に向かい出してて。ファースト・アルバムのマスター・テープをもらった時点で、次のアルバムのイメージはもう決まったんです。
――というのは?
磯谷 : もう一枚ファーストをつくる(笑)。そういう気持ちでいま曲作りを始めています。
朱雀 : もうネタも揃ってきているよね。しかも今回のアルバムとはモードが違うものができている。完全に次のシーズンに移った感じがしていますね。
磯谷 : 俺はあんまりモードとかは意識しないようにしているよ。いい曲を一枚のアルバムに詰め込むっていうプリミティヴな作業をずっと続けたいだけだから。それに曲って自分の身体から生まれてくるものだから、同じものなんて出来ようがないし、そのなかからいい曲を取り出していくことくらいしか考えないんだ。それもバランスというか、適材適所ってところが大切で。打順が1番から9番まできちんと揃ってるアルバムがいいと思ってる。だから曲を作るときは、いつもその曲が収まる位置も考えてて。
朱雀 : それが僕らから見ててもわかるから、明らかに次の展開がきたってことがわかるんだよね。
大坪 : 3人それぞれが考えてきた曲順にも、ほとんどズレがなかったんだよね。
磯谷 : 1回ミーティングしてすぐだったよね。「この打順ならローテーションでも余裕で3点はいけるな!」みたいな感じで(笑)。状況のいい時って、シナリオが出来上がっているかのようにどんどん転がっていくもんなんだね。それをいまこのバンドで僕は体感してます。
プレ・リリース・ツアー決定! "FAB NOISE " TOUR -FIRST STAGE-
2012年6月21日(木)@下北沢SHELTER
2012年6月22日(金)@名古屋CLUB ROCK'N ROLL
2012年6月23日(土)@京都MOJO
2012年6月24日(日)@岡山PEPPERLAND
2012年6月29日(金)@仙台LIVE HOUSE enn 3rd
2012年6月30日(土)@福島OUT LINE
THE ANDS PROFILE
磯谷直史 / Naofumi Isogai (vocal & guitar) from FUKUSHIMA
朱雀佑輝 / Yuki Sujaku (bass) from FUKUOKA
大坪徹志 / Tetsushi Otsubo (drums) from NAGASAKI
2011年結成。磯谷直史(monokuro)、朱雀佑輝(NANANINE)、大坪徹志(hare-brained unity)による3ピース"THE ANDS" (ジ・アンズ)。60年代ブリティッシュ・ロック、90年代オルタナティブ・ロックをバックグラウンドにもつ彼等の新プロジェクト。