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さあ、未知なる重力の都へ!
ここしばらくはリリース・ラッシュが続くようで、今僕の手元にも大量の新作が届いてきています。充実作はなるべくこのrecommuniで紹介していきたいと思っているのだけれど、その中でも、もしあなたが「説明臭いのはいいから、瞬時に彼方までぶっ飛ばしてくれるようなやつが聴きたい」と感じているのなら、もう迷わずこれを推したい。間もなくリリースされるsgt.の新作『Capital Of Gravity』は、とにかく過剰なまでに壮大でスリリングな快作だ。
このインストゥルメンタル・バンドが鳴らすサウンドを簡単にレジュメしていくと、ポスト・ロック的なリズム・アプローチにギターやピアノが重なり、その上でヴァイオリンが主旋律を奏でるという、ともすればかなり雑多でとりとめのないものになりそうなのだが、そこから浮かぶ音像、光景はすこぶる明確だ。インダストリアルなビートから唐突にフィードバック・ノイズとヴァイオリンの旋律がなだれ込んでくる冒頭2曲の展開だけで、まるでヨーロッパから中近東を経由して、そのまま空高く吹き飛ばされたような気分にさせてくれる。こういうスピード感は映像作品なんかには出せない、マジカルな音楽にしか宿らないものだと感じるのは僕だけなのだろうか。リズムと和音が重なるその先には、まだ見ぬ景色が広がっている。そう信じる者だけが、聴き手を新たな領域に誘う事が出来るのだ。彼らはそれに成功している。
今作のリリースを目前に控え、本サイトでは彼らの1stミニ・アルバムに収録されていた「銀河の車窓から」のリメイク・ヴァージョン「銀河の車窓から -reprise-」を入手。『Capital Of Gravity』には収録されない、かなりレアなトラックだ。しかも24bit/48KHzの高音質配信。これは是非手に入れてほしい。現在の彼らの好調ぶりを実感できるのはもちろん、今までの作品では捉え切れなかった細やかなサウンドをあなたの耳で拾ってみてほしい。そして『Capital Of Gravity』への期待を存分に膨らませてもらいたい。(text by 渡辺裕也)
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NEWS
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sgt.のLIVE盤を、レコミュニ限定でリリース!
新宿ロフトを舞台に、30日間にわたって繰り広げられるライヴ・イベント"DRIVE TO 2010"。レコミュニでは、10月15日 (木)に出演する彼らのライヴを収録し、ライヴ盤としてリリース予定。この日はROVOの勝井裕二が全面参加し、ツイン・ヴァイオリンと鍵盤を入れたスペシャル編成でのライヴとなるようです。お楽しみに!
2nd mini Album『capital of gravity』10月7日リリース!
前作のフル・アルバムから僅か1年。4人編成に戻った新生sgt.の新作は、バンド全体で新たな方向性を提示し、斬新な創造力とアイデア、そして潜在的な能力を十二分に発揮し新境地を開拓した意欲作です。
ゲストはPianoに「中村圭作」(kowloon、stim)、SaxにMAS、simを中心に音楽家としての活動と、音楽批評の執筆や菊地成孔との共著など作家としても活動する「大谷能生」が参加し、楽曲に彩りを加えています。また、本編ラストには2005年発表の『perception of causality』に収録されている「銀河の車窓から」を、降神やツジコノリコなどのコラボレートやプロデュースを行いっているヤマダタツヤ(MAS)のソロ名義「Tyme.」によってremix versionとして収録。
壮大なサウンド・スケープを体感するならこちら
Spectacle / Clean Of Core
2005年、高校の同級生であった武田と加藤を中心に千葉で結成。インストゥルメンタルというスタイルをとりながらも、そこにエモーショナルな要素を吹きこみ、タイトかつハードな音を掻き鳴らしたたみ掛けるプログレッシヴな展開は圧倒的。そして緻密な構成の中に時折みせる叙情的な旋律は、彼等が“創造”する世界を更に拡大させます。
Clean Of Core特集
SEA THAT HAS BECOME KNOWN / middle 9
生演奏のダイナミズムに加え、作品に見られる繊細なサウンドへの高い創作性を併せ持つインスト・バンド。サポートにトランペットを迎え、ファンクやジャズを中心に織り交ぜたパーティ・チューンを始めとする持ち前のサウンド・センスでスタイリッシュに展開する1stフル・アルバム。
landscape / little phrase
matryoshka等を輩出したレーベルNovel Soundsよりリリースされた1stフル・アルバム。丁寧に重ねられたひとつひとつの音が心地よく、9つの風景を紡ぎ出す。それはささいな日常、いつかの記憶、そしてまるで見たことも無い世界のよう。ポスト・ロックを基盤にエレクトロニカ、アンビエントやクラシック等の要素が織り交ぜられたやわらかく静かなサウンドは、決して内省的なものに留まらずに広がりを持ち続けています。
little phrase特集
LIVE SCHEDULE
- 9月23日 (水)@下北沢 BASEMENT BAR
- 9月25日 (金)@熊谷 BLUE FOREST
- 9月26日 (土)@前橋 DYVER
- 10月4日(日)@大阪 SUNSUI
- 10月15日 (木)@新宿 LOFT
- 11月23日 (月)@仙台 Zepp Sendai
sgt. "capital of gravity" RELEASE TOUR!!
- 11月3日 (火)@名古屋 CLUB ROCK'N'ROLL
- 11月8日 (日)@大阪 SUNSUI
- 11月25日 (水)@下北沢 ERA(ワンマン)
PROFILE
sgt.
1999年結成。2003年より現在のメンバー編成にて活動。映画音楽的な手法にロック、ジャズ、ノイズ、エモや即興といったサウンドが融合したマルチ・インストゥルメンタル・バンド。2005年11月に1st mini album『perception of causality』でデビュー(mastering engineer : mino takaaki/toe)。翌年11月にgood music! とのSplit CD『sggmt!!』を発売。これまでにオリジナル、ライブ盤、DVD、オムニバスも含め8作品を製作/参加。
主にライブを活動の主軸に置くスタイルで、ジャーマン・プログレの“CAN”のボーカリストDamo Suzukiと共演(60分の即興ライブ・セッション)や、山本精一(ROVO)を中心に千住宗臣(ボアダムス,ウリチパン郡)やEXPEも参加するPARA、中村達也×勝井祐二とも共演。また、The World Heritage(勝井祐二, 鬼怒無月, ナスノミツル,吉田達也)、芳垣安洋(ROVO、ONJQ)率いるVincent Atmicusや、54-71、twin electric violins band(勝井祐二,定村史朗,芳垣安洋,益子樹)とのツーマン・ライブも開催。近年はOTONOTANI、アラバキ・ロック・フェスに出演や、rega、nhhmbase、Saxon Shore(us)等のツアー・サポートも勤める。 2008年9月には約3年振りとなるオリジナル作品を初のフル・アルバムとしてリリース。また作品の全てのアート・ワークを新進気鋭のクリエイター迫田悠が手掛け、楽曲とリンクしたコンセプチアルな内容となり話題に。作品自体も海外で高い評価を受ける。現在はサポートだったギターの田岡が正式メンバーとなり4人編成に戻り精力的に活動中。
またメンバーの成井幹子は、大友良英率いるONJOのライブでストリングスへの参加や、木村カエラ、ILL(ex.SUPERCAR)のバック・バンド参加などの経歴がある。ソロとしても勝井祐二とのデュオや、坂本弘道や巻上公一などと共演。
- official web : http://sgt-web.net