INTERVIEW : OHAYO MOUNTAIN ROAD
さあ、あの男が久々に帰ってきましたよ! かつてBREAKfASTとEXCLAIMというふたつのハードコア・バンドを牽引し、ここまでTHE BITEのフロントマンとして活動してきた酒井大明が、今度はOHAYO MOUNTAIN ROADという名の新バンドを結成! ついにファースト・アルバムが完成です。しかもこれ、やたら渋いと言われたTHE BITEのアルバム『ポケットにブルース』をはるかに凌ぐレイドバックしたサウンドで、なんとエレキ・ギターすら未使用だって言うんだから、この徹底ぶりにはもうお手上げだ。吉田仁をプロデューサーに迎えた『ポケットにブルース』が、かなりダイナミックなロック・アルバムに仕上がっていたことを思えば、まさに本作こそが酒井大明の本領発揮である。つうか酒井さん、ディラン好き過ぎ!
さて、そこでまず素朴な疑問。なぜ酒井はOHAYO MOUNTAIN ROADを結成したのか、である。言い方を変えると、なぜこれをTHE BITEではやらなかったのか。その真意をうかがうべく、酒井、そしてTHE BITEのギタリストであり、OHAYO MOUNTAIN ROADではなんとベースを担当している伊藤敬のふたりをお招きし、たっぷりと語ってもらった(ドラムの佐藤“マコッチェ”允は欠席)。いやー、それにしてもこのふたりはあいかわらずだった。
インタビュー&文 : 渡辺裕也
カメラマン : 野沢直哉
酒井大明を中心にした新バンド!
OHAYO MOUNTAIN ROAD / OHAYO MOUNTAIN ROAD
【配信価格】
mp3 単曲 150円 / アルバム 1,200円
wav 単曲 200円 / アルバム 1,500円
※アルバム購入者には、歌詞のブックレットが付いてきます。
本作には、BREAKfASTのセルフ・カヴァー(1曲)、THE BITEのセルフ・カヴァー(2曲)、ジェリー・ガルシア(グレイトフル・デッド)「Mission In The Rain」の日本語カヴァー「雨のミッション通り」を含む、全11曲が収録。ひなびた居心地の良さを感じさせる、アコースティックな音の数々をたっぷりと楽しみましょう。
何年先になるかはわからないけど、いつかはやるよ(酒井)
——前回おふたりにインタヴューさせてもらったのが、THE BITEの『RADIO WALTZ』がリリースされた時で、もう3年以上前のことになるんですよ。
酒井大明(以下、酒井) : あれから3年かぁ。歳とったなぁ。
——むしろおふたりを見ていると、まったく時間の経過を感じないんですが(笑)。
酒井 : もうちょっと成長しろってね(笑)。だってお前、3年っていったら、クラッシュなんてもう『ロンドン・コーリング』つくってるんだぞ。
伊藤敬(以下、伊藤) : そう言われるとホントに複雑な気持ちになりますね。
——みなさんはバンド名まで変わってるわけですから、ある意味クラッシュより展開が早いのかもしれないですよ。
酒井 : あ、たしかに。3年でビッグ・オーディオ・ダイナマイトまでいったんだな(笑)。
——(笑)。まず基本的なことを確認させてください。THE BITEとOHAYO MOUNTAIN ROADは、まったく別モノという解釈でいいんですか。
酒井 : うん。まったく別のバンドです。
——では、なぜTHE BITEが活動休止したのかを改めてお伺いしたいんですが。
酒井 : まず、ベースのコゾウくん(岡林大輔)が辞めることになって。そこで新しいベーシストを入れる予定だったんです。けっこういいベーシストがいたんですよ。でも、ちょうどそのタイミングで彼に子供ができて、バンド活動にそこまで時間が割けなくなったんです。それで、ライヴや練習にたくさんの時間をかけたい我々としては、ちょっと難しいかなって。実際、すごくいい感じだったんだよね?
伊藤 : スタジオの手ごたえもよかったし、キャラクターもいい感じで。この人だったらぜひ一緒にやりたいなと思ってましたね。
——じゃあ、当初はあくまでも新メンバーを加えてTHE BITEを継続させるつもりだったんだ。
酒井 : でも、それが難しくなって。
伊藤 : で、バンドはそういう状態だったんですけど、それとは別で酒井くんは弾き語りをやっていたので、その延長にあるような、もっとシンプルなバンドをやろうとしていたんですよね。
酒井 : というのも、THE BITEはけっこうエレキ化していたから。でも、俺はアコギを弾くバンドをやりたくて。ちょうどそのタイミングで、Answerというバンドのドラムをやっていた佐藤くんが就職で仙台から東京に来たから、一緒にやろうと。さらにちょうど活動がストップしていたMOD LUNGの矢田くんと安原くんを誘って、その4人でバンドをやろうとしていたんです。で、安原くんにベース、矢田くんにエレキ・ギターを弾いてもらって。だけど、普通にエレキを使うとあまりTHE BITEと変わらなかったから、安原くんと矢田くんに抜けてもらうことにして、俺とドラムの二人になったところで、よく知っている伊藤ちゃんを誘って(笑)。
伊藤 : ようやくここで僕は登場なんです (笑)。
酒井 : 伊藤ちゃんはギタリストだけど、俺はそこまで複雑なベースを弾いてもらおうとは思ってなくて、とりあえずアコギに合わせてくれればよかったんです。それで、ちょっと低音を鳴らしてみてくれよ、と。それで3人が揃いました。
——THE BITEとはまた違った、もっと弾き語りに寄り添ったバンドにしようと。とはいえ、大変じゃないですか。伊藤さんなんてパートが変わっちゃってるわけで。
伊藤 : ああ、確かに。でも、正直あんまり深く考えてなかったのかもしれないです。酒井くんも言っていたように、ベースというより、ちょっと低音を鳴らしといてくれって感じだったので(笑)。そんなに難しいことは求められてなかった。酒井くんがすごくシンプルにやろうとしているのがよくわかったので。
——確認なんですが、THE BITEは別になくなったわけではないんですよね?
酒井 : 特に解散はしてないからなぁ。何年先になるかはわからないけど、いつかはやるよ。
伊藤 : 特になにも区切ってないんですよね。
酒井 : そうだね。そういう気持ちではないね。
“酒井大明楽曲集2000~2013”みたいな感じですね(伊藤)
——よくわかりました! では、ここからは新バンドについて訊きます。このOHAYO MOUNTAIN ROADという名前は?
酒井 : アメリカのウッドストックに、“オハヨー・マウンテン・ロード”っていう場所が実際にあるんですよ。で、ボブ・ディランがね…。
——やっぱりきましたね(笑)。酒井さんと言えばボブ・ディラン。
酒井 : (笑)。60年代にボブ・ディランがそこで住んでいたんですよ。“Bob Dylan Ohayo Mountain Road”で画像検索すると、当時の写真がたくさん出てくるんです。
——このバンドの音楽性って、もしかするとその時期のディランとをなぞらえているところもあるんですか。
酒井 : そうなんですよ! その頃のディランは『ジョン・ウェズリー・ハーディング』っていうアルバムを作っているんですけど、それはディランのアコギとハーモニカとヴォーカル、あとはベースとドラムだけで作られてるんです。つまり、OHAYO MOUNTAIN ROADと同じ編成。その当時のディランのイメージなんです。
——実はめちゃくちゃコンセプチュアルなバンドだったんですね。
伊藤 : サウンドもまさにそのアルバムと近いものをつくるって、僕らも言われてますからね。目指すところが決まってたんです。実際にレコーディングでもすごく参考にしたし。
酒井 : でも、そのまま参考にしようとしたら、今これをやるのは危険なんじゃないかという話になって(笑)。
伊藤 : そう。ただ音のしょぼいアルバムになっちゃうって。
酒井 : あれはディランだからセーフになるんですよね。今とは録音技術が違うからねぇ。
伊藤 : それに、エンジニアの方いわく、ああいう音は録りたくても今は録れないって。現代では作りきれない音でもあったんですよね。
酒井 : ただ、演奏に関しては弾き語りにシンプルなベースとドラムを付けているだけだから、そんなにアレンジを気にせずにやれていて。そのへんはTHE BITEより気楽だな。
伊藤 : うん、確かにTHE BITEよりずっとスムーズですよね。それは僕がリード・ギターじゃないっていうところがでかいんだと思います。いや、これは別に悪い意味じゃないんですけど(笑)。
酒井 : エレキ・ギターは俺も弾いてきた分、こうしてほしいっていう要望がすごくあってね(笑)。でも、ベースに関しては特にないからさ。
——接し方が優しくなった、とか?
伊藤 : そういうこと(笑)。ギタリスト同士だと、それぞれのイマジネーションがあるし、俺もけっこう自分のキャラクターを出そうとするタイプなので。そこが合わないと申し訳なくなるんですよね(笑)。
酒井 : 俺が頭のなかで鳴らしている音と、伊藤ちゃんが弾こうとしているエレキの音が違うのは、よくあることだからね。
伊藤 : でも、THE BITEでもOHAYOでも一貫しているのは、酒井大明の世界観に寄せていくっていうことで。これが曲づくりの大前提で、そこはベースだろうとギターだろうと変わらなくて。酒井くんがイメージしているものをしっかり形にしていく。そのフィルターがそれぞれ違うっていう感じですかね。
——ドラマーの佐藤さんに対してはどうですか。
酒井 : 彼はもともとボブ・ディランとかニール・ヤングとか、そういう古い音楽が好きなやつだったので、普通に趣味が合ってたんです。だから、指示は普通にガンガン出していますけど、そこもTHE BITEの頃よりはスムーズかな。
伊藤 : 酒井くんはリズムパターンにすごくうるさいんですよ。アレンジとしていろんなリズムパターンを使ってきますね。そういう面で佐藤くんは酒井くんと古い音楽の共通項が多いのでスムーズなんだと思います。
——今回のアルバムには、そのTHE BITE時代の曲も再録されていますよね。しかも『RADIO WALTZ』収録の、いわばTHE BITE初期の楽曲。どんなきっかけでセルフ・カヴァーをやることになったんですか。
酒井 : もしOHAYO MOUNTAIN ROADのアルバムが売れたら、いま家に残っている原曲入りのやつも売れるんじゃないかなと思って。
伊藤 : 在庫が掃けますよね。
——(笑)。そこ!?
酒井 : まあ、それは冗談として(笑)。ギターの新しいチューニングを覚えたんですよ。オープンEっていう、まあよくあるやつなんですけど。その時に覚えたコードがTHE BITEの曲とちょうど当てはまったんです。それで演奏してみたら、THE BITEの原曲とはまた違った、すごくきれいな響きになって。で、今回はその2曲だけ、ドラムを入れてないんです。ちなみにそのオープンEチューニングっていうのは、ボブ・ディランが…。
——絶対そうくると思いました(笑)。
酒井 : またマニアックな話になっちゃうんですけど(笑)。『血の轍』っていうアルバムがあるじゃないですか。あれ、完成盤の前に実は別ヴァージョンが録られていて。“ニューヨーク・セッション”と呼ばれているもので、今では未発表音源集で聴けるんですけど(『ブートレッグ・シリーズ第1〜3集』に収録)。そこでディランはオープンEを使って弾いているんです。ディランがこのチューニングで弾いているアルバムって、それだけなんですよ。で、だから、これなら70年代のディランっぽい感じでやれるな、と(笑)。しかも、その“ニューヨーク・セッション”は、ほぼギターとベースだけなんです。だから、今回のアルバムのTHE BITEのカバー2曲をディラン・マニアが聴いたら、きっと「『血の轍』とまるっきり同じチューニングとコードだ!」って気づくはずですよ(笑)。
——なるほどー! あと、もう1曲。ジェリー・ガルシア「Mission In The Rain」のカヴァーもよかったです。しかも、酒井さん自身が日本語詞に置き換えたんですよね。
酒井 : それもまた話が長くなるけど、いいのかな(笑)。もともとグレイトフル・デッドが好きで、ガルシアのソロもやっぱりいいんですよね。それで、えーっと… あれはガルシアの何枚目だっけ?
——サードですね。76年の『Reflections』に収録されてます。
伊藤 : おお! さすがに細かく突っ込んできますね!
酒井 : なんかうれしいな(笑)。サンフランシスコにミッション・ストリートっていう通りがあるんですよ。そこはいわゆるカラー・ギャングなんかが縄張り争いをしていたりして、それこそヒスパニック系の人がヘタに赤いシャツを着ていたりすると撃たれちゃうような場所なんです。で、そこには“ミッション・レコード”というライヴ・ハウスも兼ねたレコード屋さんがあって。そこで僕が昔やっていたEXCLAIMとBREAKfASTっていうハードコア・バンドはどちらもライヴをやっているんです。
——実際にミッション・ストリートに行ったことがあったんですね。
酒井 : で、あるときに「Mission In The Rain」の歌詞を読んだら、“10年前の僕は夢を抱いて歩いていたんだ。この景色は昔とまったく変わらない”みたいな、ミッション・ストリートを懐かしむような内容だったんですよね。俺がアメリカに行ったのは2001年と2003年で、ちょうど今から10年くらい前。まさに当時の自分は夢を抱いてあの通りを歩いていたんです。音楽を聴いていると、「これって自分のことを唄っているんじゃないか」と思えるようなことってあるじゃないですか。まさにそれがこの曲だったんです。で、これはやるっきゃないなと。
——かっこいい! しかも今回はそのBREAKfASTのセルフ・カヴァーも入っていて。なんか、酒井さんのキャリアを総括しているような作品ですね。
伊藤 : たしかに。“酒井大明楽曲集2000~2013”みたいな感じですね。
酒井 : それは意図してなかったなぁ。なにも考えてはいなかったんだけど、言われてみればたしかに総括楽曲集ですね。言われて気づいた(笑)。
伊藤 : これは作品の売りになりますよ(笑)。でも、僕も言われるまで気づかなかったなぁ。特にTHE BITEとOHAYOに関しては、楽曲を分けて考えてなかったから。名義が違うってだけで、作詞作曲はあくまでも酒井くんですからね。
——じゃあ、BREAKfASTのこの曲を選んだのはなぜ?
酒井 : BREAKfASTって、基本的に速い曲ばっかりなんだけど、実はそうじゃない曲もあって。で、当時BREAKfASTとして演奏していた頃も、この曲はアコギだけでやったりしてたんですよ。あとはまあ、自分で書いた曲なんだし、やろうかなって。
伊藤 : 酒井くんの中ではなにも区切られてないんでしょうね。こうなったらそろそろOACの曲もOHAYOでやりますか。
最新型のアメリカン・ミュージック、ウィルコの影響をすごく受けてます(酒井)
——(笑)。酒井さんのミュージシャン活動は、すべて地続きってことですね。で、それを共有しているのが伊藤さんで。
伊藤 : まあ、僕はTHE BITE以降ですけどね。ご一緒させて頂いています(笑)。
酒井 : 「ご一緒」って(笑)。まあ、お前は今日でクビだけどな。
伊藤 : ここ、ちゃんと脚注入れといてくださいね(※前日のライヴで伊藤がなにかやらかし、どうやら頭が上がらないらしい)。さっきからいろいろ円熟とか総括とかって話をしているのに、俺なんて、つい昨日酒井くんに怒られたばっかりですから(笑)。
酒井 : それも、音楽をやる心構えとかそういうことだからね(笑)。
——(笑)。フレッシュさを失ってないってことですよ(笑)。それに、演奏は常に酒井さんの世界観に寄せているわけですから。
伊藤 : そうですね。ただ、ベースに関してはちょっと遠慮気味に話してましたけど、けっこう自分のやりたいようにガンガン弾いていますから。その上で、レコーディングの前にちゃんと酒井くんの私見を通してもらって。
——でも、アルバムを聴いた印象だと、実はそこまでシンプルっていう感じはしなかったんです。むしろ録音に遊びがあるというか。単純にいろんな楽器の音が入っていますよね。形態にこだわらずにやれたんじゃないかなって。
酒井 : うん、自由気ままですね。フィドルとマンドリン、バンジョーを入れることもできたし。なによりも、エレキ・ギターを一切入れないアルバムがやっとできたから(笑)。
——逆に言うと、今まではそれが難しかった?
酒井 : ずっとやりたかったんだけどね。『ポケットにブルース』ではそれを禁止されてたんですよ。アコギを弾くことをね。
——そう、僕もあのアルバムを聴いたときにびっくりしたんです。思っていたよりはるかにハードな演奏だったから。
酒井 : あれはプロデューサーとレーベルからの意見を汲んでそうなったんです。一緒につくってくれた方々がみんなプロだったから、『ポケットにブルース』はホントにプロフェッショナルな作品になったと思う。それはそれでぜんぜんOKだったんです。ただ、あそこに入っている曲の半分くらいは、あまりやりたいものではなかった。あのアルバムの曲で、今でも好きなものは半分。やっぱり僕がやりたいのはゆっくりした曲で。激しくてリフのある曲はあまりやりたくなかったんです。
伊藤 : 元気な曲ですね(笑)。
酒井 : まさにそれ(笑)。そういうのはやりたくなかった。
伊藤 : その作品をつくる前の酒井くんは、ものすごくレイドバックしたサウンドをやりたがってたんです。実際に酒井くんはアコギでライヴをやっていましたし。そんな最中に、作品はもっとガツンとしたものでいこうかなって。そこでみんなと曲づくりから見つめ直して作ったのがあのアルバムで。
酒井 : 『ポケットにブルース』はすごくいいですよ。ただ、今回のアルバムはホントに自分のやりたかったことがやれてるなぁっていう感じがする。
伊藤 : これはメンバーとしてもうれしいんですよ。レコーディングってどうしても消化不良な面が出てくるけど、これで酒井くんのやりたかったことがやっと形にできたんだと思うと、すごい達成感があります。もちろん『ポケットにブルース』の仕上がりも、僕はすごく気に入ってますし。
酒井 : だから、今回は素人感のあるアルバムってことで(笑)。『ポケットにブルース』は音も現代的だったしね。でも、OHAYOのアルバムはそういう感じじゃないんです。自分の好きな世界観は、今回のアルバムに100パーセント出てると思う。だから、それはそれでプロとも言えるかな。なんと言ったらいいのか難しいけど。
——酒井さんは『BBCセッションズ』が好きだって以前おっしゃってましたよね? つまり、けっこうラフなプロダクションで、ちょっとのミスや会話が入り込んでいたり、そういう不完全さも含めて愛したい、みたいな感じなのかなって。
酒井 : その通り。まさにそういう感じなんです。言われちまったな(笑)。
伊藤 : ホントですね。実際にちょっとした雑音も普通に残しちゃってますからね。でも、酒井くんってやっぱりでかいというか、寛大というか、僕ともちゃんと向き合ってくれるので、ホントにありがたいんですよ。ドラムの佐藤くんなんて、僕よりひとまわり近く若いから、まさにその世代の“酒井くんっ子”って感じで。年代別の酒井くんフリークがいますからね(笑)。
酒井 : 僕はイエスマンに囲まれながらやってるってことだね(笑)。
伊藤 : だから、パートやバンドが変わったとか、そういう問題じゃないところに僕と酒井くんの関係性ってあると思うので。
——いいなぁ。
酒井 : あ、でも、変わってなくはないよ。今回のアルバム、実はボブ・ディランだけじゃないんです。最新型のアメリカン・ミュージック、ウィルコの影響をすごく受けてますから! ここは重要なポイントですね。
——(笑)。ウィルコが最新型!
伊藤 : いや、これをはっきりと酒井くんが言い切るって、実は革命的なことなんですよ! 酒井くんって、圧倒的にオールド・ミュージックが好きな人だから。その酒井くんがウィルコからの影響をはっきり公言したこと。これはすごいですよ!
酒井 : まわりからはずっと勧められてて。でも俺は「そんなもの聴かなくていいよ。だって、ボブ・ディランのニュー・アルバムがあるじゃないか」って(笑)。それがあるときに『Sky Blue Sky』が500円で売っているのを見かけて、実際に聴いたら、これはマジですげえぞ、と(笑)。ツイッター上でみんなに謝ったからね。いや、まさかこんな最新型のアメリカン・ロックを好きになるとは思わなかったよ。
伊藤 : あくまでも酒井くんから見た最新型ですからね(笑)。
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LIVE INFORMATION
POWER ELEPHANT presents Ohayo Mountain Road 1stアルバム レコ発
2013年2月24日(日)@下北沢 ERA
Open / Start :18:00 / 18:30
Adv / Door : 1,800 / 2,300
Live : Ohayo Mountain Road / perfectlife / hello hawk / SADDLES / DIRTY SATELLITES
PROFILE
OHAYO MOUNTAIN ROAD
BREAKfAST、THE BITEなど、ジャンルを越えた可能性と豊かな音楽性を披露してきた音楽人・酒井大明を中心に、伊藤敬(b、THE BITE / CROCODILE COX / ex-JOHNS TOWN ALOHA)、佐藤“マコッチェ”允(ds、perc / ex-ANSWER)という顔ぶれによるフォーク・ロック・バンド、OHAYO MOUNTAIN ROAD。1stフル・アルバム『OHAYO MOUNTAIN ROAD』を、「POWER ELEPHANT!」(power-elephant.com/)より2月27日(水)発表。