The Birthday、MO'SOME TONEBENDER、ART-SCHOOLなどからリスペクトされるオルタナティヴ・ギター・ロック・バンド、dip(ディップ)。彼らが4年振りにリリースしたのは、POPな『HOWL』、サイケな『OWL』の2枚のアルバム。前作から4年間の”リハビリ期間”とは何だったのか。ギター&ヴォーカルのヤマジカズヒデにインタヴューを行い、ソロ活動や楽曲提供を経て、4年の間に生まれたdipの変化について、話を聞いた。
dip / HOWL
【価格】
mp3、wavともに 単曲 200円 / まとめ購入 1,800円
【Track List】
1. Hasty / 2. Stars, Stars, Stars / 3. Telvet / 4. Saturnine / 5. Cyan / 6. Off The Sun / 7. Spider In My Hair / 8. Fly By Wire / 9. Howl / 10. Stroke / 11. Siamese Fin
dip / OWL
【Track List】
1. Owl / 2. Mole Soul / 3. Flow That Crown / 4. 9souls(trek)
※アーティスト、レーベルの意向により、同時リリースの『OWL』の配信はございません。
配信を楽しみにしていただいた皆様、申し訳ございません。
INTERVIEW : ヤマジカズヒデ(dip)
ヤマジカズヒデ率いるdipがようやくシーンの最前線に戻ってきた。およそ4年ぶりの新作。しかも2作同時リリースである。キャッチーだがどこまでも鋭利なロックンロールが詰め込まれた『HOWL』。そして永遠に続くかのようなサイケデリアに目が眩む4曲入り『OWL』。昨年にリリースされた『dip tribute ~9faces~』への参加ミュージシャンはいうに及ばず、近年はこのバンドからの影響を語る者が後を絶たなかったが、そのリスペクトの理由はすべてこの中にあると言っていい。結成22年目にして、dipはまたキャリアの最盛期を迎えようとしている。
インタヴュー & 文 : 渡辺裕也
他のミュージシャンとの共演を経て、音を出すのが楽しくなった
ーー前作『afterLOUD』をリリースしたあと、dipはしばらく活動をお休みしていましたね。あれはどういった思いから?
あれは、リハビリですね(笑)。身体の調子を戻そうと思ってたんです。
ーーリハビリですか。いっぽうでソロ活動は活発でしたよね。他のミュージシャンと共演する機会も多かったし。
それはもう本当にたまたま、誘ってくれた人がいてくれたおかげで。池畑(潤二)さんとかね。そういうことをやろうと自分から思って、そうなったわけじゃないんだ。
ーーそうした他のミュージシャンとの共演からdipの活動に還元されたものはなにかありましたか。
それはすごくあるよ。具体的になにがと訊かれると困るけど。音の出し方にしても、dipへの影響はあったと思う。おかげでバンドに対してすごく前向きになれたしね。
ーー前向きになれなかった時期もあったということですか。
うん。でも、それからは音を出すのが単純に楽しくなったんだ。他のミュージシャンのやり方を見て、「なるほど」と思わされることも多かったしね。だから、精神面と音楽的な面の両方に影響があったよ。今回のアルバムに関しては、そこまで大きくは反映されてないかもしれないけど。たとえばベンジーさん(浅井健一)と一緒にやったときなんかは、やっぱりシンプルな音の出し方がすごいんだよね。あの人ってバンドのなかでも単音弾きがすごく多いんだよ。でも、ぜんぜんスカスカな感じはしないでしょ? そういうすごさを知れたのは、やっぱり大きいよ。
ーーそういえばヤマジさん、Twitterでつぶやいてましたね。「ギターソロなんて1音でも弾ける。その瞬間の空気をぶち込めばいい」って。今の話もそこと通じるなと思いました。
そういえば、そんなことを言ってたね(笑)。まあ、それはまた別の意味で言ったことで、しかもちょっと極端な言い方でもあるんだけど、確かに若干はつながるかもね。徐々にそういうことを自然と思うようになってきたんだ。もちろん、俺だってテクニカルにギターを弾くのが好きなところもあるんだよ。でも、実際に1音だけでもぜんぜんやれちゃうよなって感じるときもあってさ。
ーーなるほど。新作の話にいきましょう。まず、今回こうしてdipの作品を出そうという機運はどのようにして立ち上がっていったんでしょうか。
本格的に動き出したのは2年くらい前かな。最初にアルバムを作ろうと言い出したのは俺じゃなかったかもしれない。まわりから言われ出してようやく動くっていうことが、俺はけっこう多くてさ(笑)。だから、状況がようやく整ったんだよね。俺の体調もようやく回復して、調子も上がってきたことだし、そろそろ作ってもいいんじゃないかって。一時は完全に生活が破綻してたからね。やらなかった主な理由はホントにそれなんだよ。それってバンド内の人間関係にも、音に対する集中力にも、すべてに影響しちゃうからさ。そこを立て直すのに2年かかった。
ーー2年ですか。きっとヤマジさんにとっては長い期間だったんでしょうね。
でも、俺自身はほとんど寝てたからさ(笑)。待ってくれている人達にとってはすごく長かったと思う。
ーー自分が待たれているという実感もずっとあったんですか。
それも徐々に、かな。最初の頃はまわりのことを考える余裕もなかったし。いまこうしているときの気分とはまったく違う感じだったよ。
メンバーとのセッションは自分にないセンスが入り込んでくる
ーーいざレコーディングに臨もうという段階で、楽曲は揃っていたんですか。あるいは作品の構想とか。
まだなにもなかったね。ただ、断片的なものはリハビリ期間中にも90曲分くらいはあったんだ。ちゃんとしたかたちのあるデモは3曲くらいだったかな。で、まずはそれらをみんなでぜんぶ聴いて、どれを曲にしていくかを決めていく作業から、今回のアルバム作りは始まりました。
ーーじゃあ、実際にこうして作品に収録された楽曲は、そのときの断片的なアイデアが基になっているもの?
うん。あとは曲づくりのために合宿をして、そのときにできた曲もあります。
ーーそれが今回はこうして2作品同時リリースとなりました。この2作品の制作プロセスにはどんな違いがあったんですか。
大きな違いはないんだ。でも。いま考えると『OWL』のほうはセッションからできあがった曲が多いね。
ーーやっぱりヤマジさんの曲って、ギターの出音から練っていくものが多いんですか。
うん。ほとんどそうだと思う。セッションもよくやるんだけど、自分ひとりだけで作る場合も、ひとりセッションみたいなところはあるね。自分で録音したものを流して、それに反応してまた音を重ねていくっていう作業だから。でも、やっぱりメンバーとのセッションは自分にないセンスが入り込んでくるから刺激的なんだよね。まず自分のなかになんかしらのイメージがあって、なんとかそこに近づけようとするんだけど、メンバーとやっていくときはそこからずれていくことを楽しんでいるんだ。
ーーメンバーの発想によって自分が想定したものとは別のかたちに仕上がるようなことに、ヤマジさんはけっこう寛容なタイプなんですね。
どうしても譲れないところがあったりはするよ。でも、そこはちゃんと言えるしね。あとはたまに他のミュージシャンとインプロでライヴをやったりするんだけど、やっぱりそういうのはすごく楽しいんだよね。
ーーもしかすると『OWL』はそのインプロ的な発想から生まれた作品なんでしょうか。それともこれもある程度の計画性に沿って作られたもの?
2曲目(「Mole Soul」)に関しては、目指しているかたちがある程度はあったかな。それ以外は完全にセッションだね。それが『HOWL』に入っている曲と同時進行でレコーディングが進められていったんだ。こうして曲を分けることに決めたのは、出来たあとのことだからね。1枚のつもりだったんだけど、入りきらなくなっちゃったからさ。で、どうせ分けるんだったらまったく違う雰囲気のものにしたかったから、こういうかたちにしたんだ。
次はもっと暗い雰囲気のものになるだろうな
ーー断片的とはいえ、レコーディング前に90曲分くらいの素材があったと聞いて、もしかするとヤマジさんのなかではもうすでに次の作品も見えているのかなと思ったんですが、どうでしょう。
そうだなあ。いま漠然と思っているのは、次はもっと暗い雰囲気のものになるだろうなってことで。
ーー確かに今回の作品はとてもブライトでポップですよね。
うん、なんかそうなっちゃったんだよね。明るい感じのものを作ろうというつもりはなかったんだけど、その断片的なアイデアのなかから残ったものは、結果的にそういうものばかりになったというか。
ーー今回の2作品に関しては、聴いていた音楽からの影響とかってありましたか。
それはすごくあるよ。今回はいままでに自分が受けてきた影響が、時代や流行に関係なくすべて表れているような気がするんだ。過去に出してきたアルバムに関しては、そのときに聴いていたものや、気にかかっている音楽に影響されることがすごく多かったと思うんだけど。そういう意味では、いまは昔よりいろんなこだわりがなくなってきたのかもしれない。
ーーたとえば『afterLOUD』はなにから感化されたんですか。
あれは、ソニック・ユースかな。ソニック・ユースはやっぱり大先輩って感じだよね。
ーーそういえば、dipが活動を始めるときにキーワードとして挙がった名前が、ドアーズとレッド・ツェッペリンだったという話をどこかで聞いたことがあるんですけど。
そんなことあったねえ(笑)。結果的にまったくそうならなかったね(笑)。あとになってくると、なにかそのあたりに影響されたところがわかってくるのかもしれないけどね。
ーーでは、近年のヤマジさんはどんな音楽に関心がありますか。やっぱりキャリアが長くなってくると、新しいものを聴く機会をそこまで積極的には設けなくなりがちだと思うんですけど。
そうだね。俺もそうかもしれない。曲単位では新しいものもけっこう聴くよ。でも、アルバム単位になるとあんまり聴かなくなったかも。
ーーじゃあ、音楽以外でなにか関心を持っているものってありますか。ヤマジさんってやっぱり音楽にどっぷりっていうイメージもありますけど。
漫画なんかはそうかな。手塚治虫とか、藤子不二雄の短編集とか。特にそのふたつはでかいよね。
ーーそういうものに創作意欲を掻き立てられることもある?
漫画を読んでそれについての曲を作るってことはないけど、その漫画のタイトルを曲名にいただくことはけっこうあるよ。前に「barbolla」っていう曲を出してるんだけど(07年作『feu follet』収録)、それは手塚治虫から頂いたものだから。それ以外で自分が興味を持つものっていうと… NHKのドキュメンタリーとかかな。テレビだね。
ーーあ、それはちょっと意外かも。
ここ最近はあんまり見てないんだけどねえ。少し前だと、冷戦とか第2次世界大戦のドキュメンタリーがよくやっててさ。ああいうの、けっこうよく見てるんだ(笑)。おもしろいんだよね。興味深いと言った方がいいのかな。その時代に行われていた駆け引きとかって、いまの時代に行われていることと、実はそんなに変わらない気もするし。
ーーそういうドキュメンタリーものって、ここ最近だとやっぱり震災関連とか、時間軸的に近い出来事を題材にしたものが多くなってますよね。
そうなんだよね。そうなるとやっぱり落ち着いては見れないというか、どうしても身に詰まされるんだよね。あと、単純に白黒の映像が好きっていうのもあってね。
ーーじゃあ、いまの時代の空気に自分が影響を受けているという実感はありますか。
たぶんあんまりないんじゃないかな。そういうところと切り離されたところで生きているっていうつもりはまったくないけど、たとえば地震があったことで聴く音楽のタイプが変わったりはしてないと思うからさ。
テレキャスターの歯切れの良さと、ジャズマスターの倍音を同時に出したい
ーーでは、今回のアルバムはどのくらいの期間を設けて作っているんでしょう。
その断片から選ぶ作業まで含めると、だいたい2年かな。そこから曲を構築するまでにはけっこう時間もかかるからね。でも、いざ始まったらけっこう順調だったよ。集中力も高かったし。
ーー今回の制作でなにか困難なことは特になかったんでしょうか。
今回に関してはそんなになかったと思う。いままでになく順調だったんじゃないかな。
ーーたとえば過去作からテクニカルな面で変えたところはありますか。
エフェクターなんかは一新したんだよ。たぶんひとつ前のアルバムと比べると、変わってないのはファズ1個くらいだと思う。ギターはずっと同じなんだけどね。いかれた生活をしていた頃はそれどころじゃなかったけど、いまになってやっと音にこだわれる環境ができたんだ。そういう音について話せる人も最近はまわりに増えたし、セッションとかを重ねていくうちに、人から影響されることも俺はけっこうあるからさ。
ーー今作においては実際にどんなギター・サウンドをヤマジさんは求めていたんですか。
すごく具体的にいうと、テレキャスターの歯切れの良さと、ジャズマスターの倍音を同時に出せるような環境があると、すごくいいなと思ってるんだ。
ーーひとつのセッティングで?
うん。俺、オール・イン・ワンがすごく好きだから(笑)。
ーーそこでどうやって理想に近づけていったのか、ぜひ知りたいです。
でも、そういうのって突き詰めていくと、やっぱり弾き方が一番重要になってくるんだよね。どんなギターを使っても、結局はそこに行きつくような気がする。だから、自分なりの弾き方でいま言ったようなニュアンスを出したいんだよね。そう言いつつ、とりあえずいまはピックアップを変えたいと思ってるし、新しいアンプもほしいんだけど(笑)。アンプだったら、いまはオレンジがほしいな。あれがちょうどよさそうな気がする。ツイン・リヴァーブとマーシャルのちょうど真ん中くらいの感じがするというか。
ーーヤマジさんにとってグッとくる音のポイントって、なかなかひとつの機材ではまかなえないんですね(笑)。
そうなのかもね。でも、人からはどれを弾いても「同じ音じゃん」って言われるんだよね(笑)。以前にレコーディングで、ジャズマスターを持っていくつもりだったのが、間違えてテレキャスターを持ってきちゃったことがあってさ。それでTwitterで呼びかけて、近所に住んでるファンの子にジャガーを借りたんだよ(笑)。でも、それでもちゃんと自分の音にはなったんだ。そうなると、俺がいつもこだわってることってなんなんだろうって思うよね(笑)。ジャガーも悪くないなって思えたしさ。しかもそのへんって、レコーディングとライヴでまた違うんだよね。レコーディングに向いているけど、ライヴではイマイチなアンプとかもあるからさ。その時の状況に合わせてセットできるようにならないと。
ーー3ピースという形態にこだわっているところもあるんでしょうか。
そこに関してはあまりなくて。これは前に気づいたことなんだけど、自分が好きなバンドって、ギターがふたりいることがほとんどなんだよね(笑)。
ーー(笑)。たとえば?
テレビジョンなんかそうだよね。ソニック・ユースだってそう。そのふたつがやっぱり大きいかな。なのに、なんで自分は3人でやってるんだろうって思うことはけっこうありました。いまだにその理由がわからないや。俺が「ギター2本ほしいな」と思ったときに参加してくれて、それ以外の場面では黙っていてくれるギタリストがいたら、もしかすると加わってもらうかもしれないけど、そんな人いないからね(笑)。ライヴで演奏していくうちにだんだんと変化していく曲もあるし。やっぱりずっと同じことをやってると飽きちゃうからさ。
ーーレパートリーに残っていく曲とそうじゃない曲の違いって、どういうところに表れていくんでしょう。ただ曲の良し悪しだけには限らないと思うんですけど。
それは単純に自分の気分的なものが大きいとは思うよ(笑)。でも、「スラッジ」っていう曲があるんだけど、あれはルー・リードの「スウィート・ジェーン」みたいなものでさ。「スウィート・ジェーン」って必ず演奏される曲なんだけど、時期によって形がぜんぜん違うでしょ? 「スラッジ」もそういう気分の曲。それに、あれはDIP THE FLAGっていうバンドをやっていたときにはじめてできた曲でもあるから、思い入れもけっこうあるのかもしれないね。
ーーそのDIP THE FLAGの頃から数えると、もうキャリアも25年になるわけですが、ヤマジさんはこのdipというバンドを続けることに困難さを感じたことはなかったんでしょうか。ーー
音で揉めたことって、ほとんどないんだよね。ただ、さっき言ったように、いかれた生活を送っていると、お互いが破綻してきて距離ができちゃったときはあって、そういう難しさはあったよ。精神状態によって、言わなくてもいいことを言い過ぎちゃうときがあったりね。でも、dipに関してはそれくらいかな。
ーーバンドよりもソロのほうがいいと考えたことは過去にありませんでしたか。
ないこともないけど、やっぱりそれって別の楽しみなんだよね。ひとりでやってたら、バンドの楽しさは味わえないからさ。
ーーいまのヤマジさんは、ソロも含めていろんなかたちで音楽活動をされていますよね。そのなかでもdipでやる音楽のどういうところにヤマジさん自身はおもしろさを感じていますか。
やっぱり、他のセッションでは感じられない一体感があるんだよね。自分が弾きたいと思っているギターを一番自由に弾ける場だからさ。
ーーじゃあ最後に。ヤマジさんがやりたいと思っている音楽のなかで、dipで実現できる音楽はどれくらいの割合を占めていますか。
dipでやりたいことはほとんどできると思うよ。そこもやっぱりさ、俺はオール・イン・ワンが好きなんだよ(笑)。
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PROFILE
dip
ヤマジカズヒデを中心に1987年から活動していたDIP THE FLAGを母体に、91年にdipとしてのライヴ活動をスタート。93年、ミニ・アルバム『dip』をリリース、インディー・チャートで1位を獲得。同年シングル『冷たいくらいに乾いたら』で東芝EMIよりメジャー・デビュー。
その後、EMIからは4枚のアルバム(『I'LL』、『love to sleep』、『TIME ACID NO CRY AIR』、『WEEKENDER』)と2枚のミニ・アルバム(『13FLOWERS』、『13TOWERS』)をリリース。『love to sleep』が『ぴあ』"90年代の名盤100"に選出されるなど、各方面にて高い評価を得る。
01年、V.A『natural born errors』(UK Project)に参加するほか、映画「ポルノスター」(監督 : 豊田利晃、主演 : 千原浩史)の音楽を担当。のちにナガタが脱退、新たなメンバーにヨシノトランスを迎え、03年7月にはリトルモアレコーズよりアルバム『underwater』とオリジナル・サウンド・トラック『9souls』(監督 : 豊田利晃、主演 : 松田龍平)を同時リリース。
04年にはニューヨークで行われた録音によるアルバム『funmachine』を、05年にはライヴ・アルバム『pharmacy』をリリースするほか、斉藤和義・MO'SOME TONEBENDER・bloodthirsty butchersらとTHE ROOSTERSのトリビュートアルバム『RESPECTABLE ROOSTERS→Z a→GOGO』に参加。同年、ヤマジは、UAへの楽曲提供(監督 : 豊田利晃、主演 : 小泉今日子による映画「空中庭園」主題歌)を手がけるなど、ソロでの活動も再開するようになる。
07年には、ナガタがギターでカムバックし、アルバム『feu follet』をリリース。その後、ヨシノトランスが脱退、ナガタがベースに戻り、09年、オリジナル・メンバー3人によるアルバム『afterLOUD』をリリース。
10年2月からバンドは約1年の充電期間に入り、その間、ヤマジはソロでの活動を活発化。自身のソロ・ライブのほか、花田裕之・大江慎也・池畑潤二・井上富雄(THE ROOSTERS)、中村達也(LOSALIOS・FRICTION)チバユウスケ・クハラカズユキ(The Birthday)らとのセッションのほか、トム・ヴァーレイン(ex. TELEVISION)ら国内外のミュージシャンとの競演を果たす。
充電期間を終えた11年4月には、バンド結成20周年ちなんだライヴ・イベント"trick star"を展開。以降、都内各所でライヴを行う。12年には、EMI時代にリリース / すでに廃盤となっている作品4タイトルが同時一斉発売(4月)となるほか、そのリイシューを記念した国内3カ所をめぐるツアー、そして、同年6月には錚々たる参加ミュージシャンによるdipのトリビュート・アルバムの発売。13年、制作期間4年を経てニュー・アルバム発売を予定しているが、フル・アルバム2枚という過去最大のボリューム。