今年も苗場はアツかった!! 現場の感動、伝えます——OTOTOYフジロック・レポート2014

フジロック、今年も終わっちゃったなぁ… なんて気が抜けちゃってるみなさま! そんなみなさまに、あのアツい3日間を思い出させてくれるレポートをお届けします! ついついお酒が進んじゃって見逃したあのシンガー、やっと生で見られたあのグループ、たまたま通りかかって好きになっちゃった、そんな数々の出会いをライターの渡辺裕也のレポートとともに思い出しつつ、またアツくなっちゃいましょう。今年のラインナップは少し派手さに欠ける、なんて言われていましたが、終わってみれば結局感動しちゃうのがフジロック。早く来年になれ〜!


FUJI ROCK FESTIVAL '14
2014年7月25日(金)、26日(土)、27日(日) @新潟県 湯沢町 苗場スキー場
出演 国内外約200アーティスト
詳細 http://www.fujirockfestival.com/ (オフィシャル・サイト)



渡辺裕也と一緒に今年のフジロックをおさらいしよう

2014年の〈FUJI ROCK FESTIVAL〉が終了してから、早いものでもう2週間が経ちました。参加されたみなさん、そろそろ"フジロス"からは抜け出せましたか? 「ぜんっぜん無理! むしろ早く苗場に帰りたい!」という方もきっとまだ多いことでしょう。そんなわけで、2014年もしっかり遊び呆けてきたワタクシ渡辺が、ここでは苗場で過ごした3日間の動きを辿りつつ、ざっと今年のフジロックをおさらいしたいと思います。なんならもう今から来年のフジロックに思いを馳せちゃえばいいじゃん! ということで、しばしお付き合いくださいませ。

文 : 渡辺裕也
写真 : 雨宮透貴

1日目 : UKベース・ミュージックの最先端に痺れる

開催前日の激しい雷雨から一転、雨どころか雲ひとつない晴天のもとでスタートを切った2014年のフジロック初日。あまりの暑さにさっそく汗だくになりながら、つんのめったガレージ・サウンドに導かれてレッド・マーキーへ向かうと、演奏しているのはブルックリンからやってきた若き4人組、Parquet Courtsだ。荒くれたギターのディストーションに気分をよくしたところで、お次は初日の出演者中かなり楽しみにしていたバンド、Wild Beastsを観にホワイト・ステージへ。ヘイデン・ソープの鬼気迫るファルセット・ヴォイス、やっぱり最高。「野獣」というバンド名とは裏腹のミニマルなリズム・ワークとパンチのあるツイン・ヴォーカルにひかれたのか、通りがかりで足を止めている人もちらほら。デビュー以来、その素晴らしさがなかなか日本に伝わらなくて歯がゆかったけど、今回のライヴはきっと本人たちもいい手ごたえを感じたはず。


Wild Beasts / A Simple Beautiful Truth

いったん荷物を置くために宿泊先へ移動し、すぐさま会場に戻って今度はグリーン・ステージへ。いまやすっかりビッグ・アクトのFOSTER THE PEOPLEは、マーク・フォスターがずいぶんと精悍な髭面になってて、もう完全にスターでしたね。シンセサイザーを主体とした音づくりながら、70年代のソウル / ファンクを受けた横ノリのグルーヴが実にセクシー。そのままダッシュでレッドに移動し、お次はBOMBAY BICYCLE CLUB。今回は4作目にして初の全英1位を獲得した最新作『So Long See You Tomorrow』を引っ提げての来日ということで、会場も後方までギッシリだ。そして彼らのパフォーマンスはその期待感をはるかに凌ぐものだったと思う。エスニックな要素を多く含んだエレクトロニック・サウンドがフィジカルなバンド・サウンドと一体になって放たれていく様はまさに圧巻のひと言。ボンベイ・バイシクル・クラブ、あんなにすごいバンドだったんだー。

お次はマーク・リボウ率いるThe Young Philadelphiansを観るためにオレンジ・コートへ。初日のベスト・アクトはこれかも。70年代フィリー・ソウルの名曲群をマークの指示に合わせて変幻自在に展開させていくアンサンブルが、とにかく強烈すぎた。ファンキーなギターを聴かせるマーク、そしてベースのジャマラディーン・タクマとドラムのカルヴィン・ウエストンが生み出す強靭でしなやかなグルーヴはもちろんめちゃくちゃかっこよかったけど、個人的に大発見だったのが、メガネをかけた女性ギタリスト、メアリー・ハルヴォーソン。着席しながら顔色ひとつ変えずにアヴァンギャルドなフレーズを繰り出し続ける佇まいがめちゃくちゃクールでした。


The Young Philadelphians (Japan Tour 2014 Club Quattro)

ヤング・フィラデルフィアンズがよすぎて満足しちゃいそうだけど、やっぱりUKベース・ミュージックの最先端を見逃すわけにはいかないということで、DISCLOSUREのためにホワイト・ステージまでダッシュ。そして、これがまた痺れるステージだった。てっきりプログラミングを主体とした演奏になると思ってたんだけど、まさかあんなにリアルタイムでベースやパーカッションを鳴らしていたとは知らなかった。予想以上に黒っぽいグルーヴを感じたせいか、あのライヴを機になんとなく音源の聴こえ方も変わった気がする。

DISCLOSURE

いよいよ初日も夜が更けてきたけど、まだまだ元気に動き回ります。お次はまたオレンジ・コードに戻って、大友良英スペシャルビッグバンド・フェスティバルFUKUSHIMA!オールスターズ大盆踊り大会。ステージの環境上、さすがに櫓を輪になって囲うような盆踊り大会とはいかないものの、1曲目の"あまちゃん音頭"から振り付きの踊りでオーディエンスをどんどん巻き込んでいく展開は最高にピースフルだった。そして初日の深夜帯はロンドンの謎めいた白人デュオJUNGLEからスタート。人懐っこい日本語MCに拍子抜けしつつ、ファルセットを基本としたヴォーカルとディスコなビートが今っぽくて、これまた楽しい。その次に見たDARKSIDEは音源よりもビートを前面にだしたパフォーマンスがよかった。ノン・ビートのまま漆黒のアンビエントが流れる序盤から、ゆっくりと4つ打ちが鳴り始めてギターと絡んでいく展開がなんとも耽美でかっこよし。そのあとはJACQUES GREENEのプレイでもうひと踊りして、早くも初日は終了。

2日目 : 世界最高のライヴ・バンドにブチのめされる

さあ、2日目も照りつけるような日差しのなかでスタート。というか、昨日より暑くなってないか? 初日から張り切りすぎたせいで軽く出遅れつつ、THE NOVEMBERSの雄姿は見届けねばとレッド・マーキーにダッシュ。真っ黒な服を着込んだ4人の佇まいもさることながら、彼らの耽美な世界観はやはり昼間の苗場でも揺るぎなかった。そのままレッドで観たTHE THREE O’CLOCKは、昨年に再結成して今回のフジロックが初来日。80年代の彼らを知る人にとってはもちろんたまらないライヴだったはずだし、当時を知らない世代にもこのバンドの晴れやかなパワー・ポップはエヴァーグリーンな魅力を放っていたと思う。そして80年代から活躍するバンドといえば、マイク・スコット率いるThe Waterboysも今回のフジロック出演が日本での初ステージ。1曲目から“The Whole Of The Moon”で沸き上がり、フィドルを前面に出した彼らのイビツなトラッド・ミュージックをのんびり楽しみました。後半のちょっとグロテスクなマスクを被ったシネマティックなステージングもおもしろかった。

The Waterboys

滝のような汗を拭いながら奥地のオレンジ・コートへ。ソロモン諸島からやってきたNarasiratoは、竹製の楽器を用いたポリリズミックな演奏に合わせてみんなで手を叩き、踊り、歌って大盛り上がり。もはやフジロックの鉄板と言いたくなるようなお祭り騒ぎでした。続けてフィールド・オブ・ヘヴンで見たJonathan Wilsonは、フリートウッド・マック「Angel」のカヴァーにはじまり、70年代の西海岸ロックを思わせるサイケなギターが、もうめちゃくちゃかっこよかった。タイダイ染めのタンクトップでサングラスをかけたウィルソンの立ち姿も実にハンサムでほれぼれ。陽が落ちはじめる頃の時間帯にばっちりハマる、ゆったりとしたジャム・セッションが極上でした。

Jonathan Wilson

そしていよいよお待ちかねのSt. Vincentことアニー・クラークはレッド・マーキーに登場。今年リリースしたセルフ・タイトル作にあてて自らのヴィジュアル・イメージをガラッと変えたアニーは、そのライヴ・パフォーマンスもステージ中央に置かれた祭壇を使ったアクションなどを含めた総合アート的なものが展開されていて、とにかくエレガント。その動作のひとつひとつから目が離せなかった。そのセイント・ヴィンセントを前方で楽しんだらすっかり体力を奪われてしまったのか、Damon Albarnのライヴ中はすっかりへばってしまい、通りがけに楽しみつつ奥地の方に移動。あとになってブラーの「End of a Century」をやったと知ったときはさすがに後悔したけど、アヴァロン・ステージでイスラエルからやってきたサーフロック・バンドBoom Pamがかっこよかったので、よしとします。


Boom Pam / Malibu

もうそろそろグリーンに向かわなきゃなと思いつつ、やっぱりこっちも見逃したくない! オレンジ・コートで見たルーマニアのジプシー・ブラス・バンドFanfare Ciocarlia、マジで最高でした。大太鼓1台と管楽器隊が高速でリズムを刻んでいく。その演奏の音圧とパワーには完全にノックアウト。女性ダンサーが登場する中盤の見せ場も最高に楽しくて、「なんか、今日はここで締めても後悔しないかも」と少し思ってしまった。とはいえ、さすがにArcade Fireを観ないわけにはいかないよなと思い直し、泣く泣くファンファーレ・チョカリーアを途中で去ってグリーンへ。そして、ついにアーケイド・ファイアがフジロックのヘッドライナーとして登場。名実ともにいま世界最高のライヴ・バンドとされる彼ら、間違いなく本物でした。単純にあの大所帯のアンサンブルを広大な野外ステージで堪能できるというだけで贅沢なことだけど、それにしてもあの大きなステージであそこまでクリアな演奏ができるバンド、世界中でこの人たちくらいじゃないのか。めちゃくちゃ音デカいのに、ひとつひとつの音色もしっかり明白に聴こえてくるというあの凄さ。間違いなくフジロック史上に残る名演だったと思います。

Arcade Fire

Arcade Fireの余韻に浸る間もなく、2日目の深夜は急いでルーキー・ア・ゴー・ゴーに移動。ギッシリ詰めかけたお客さんたちの前で吉田ヨウヘイgroupが見せた熱演、グッときました。そのあとはちょっと一休みしつつ、もいっちょルーキー・ア・ゴー・ゴーに向かって、2日目の締めは韓国の男女デュオWedanceで。パソコンから流れるオケに合わせてハードロッキンなギターを鳴らしながら、歌って踊る。言ってしまえば彼女たちのパフォーマンスはそれくらいのチープなものなんだが、これが実際に見るとびっくりするくらいにグル―ヴィなのだ。この日のWedanceも最高だったけど、フジロック翌日に行われた渋谷WWWのライヴはもっとすごかったらしい。行きたかった。

3日目 : 若大将、77歳の「ノッてるかね?」

ここまでまったく雨が降らないまま迎えた2014年のフジロック最終日は、午前中に集中して雨が降りはしたものの、午後にはすっかり止んで暑さも落ち着き、結果的にはかなり過ごしやすい陽気になりました。1発目に観たのは、ストリングス・アレンジを担当するアーケイド・ファイアのライヴにも参加していたOwen Pallett。Tシャツ短パンにキャップとずいぶんラフな格好だったけど、ヴァイオリン1台でこまかくループを重ねていくオーウェンの姿はやっぱりエレガント。見ているだけでワクワクするようなライヴだった。つづいてレッドに登場したOK GOは、1曲ごとに大量の紙吹雪を噴射する派手なステージで、お客さんをガンガン沸かせてましたね。


Owen Pallett / The Riverbed

雨模様が少しずつ落ち着いてきた頃、ヘヴンのステージに立ったNorman Watt-Royは、ウィルコ・ジョンソンのバンド・メンバーとして出演した昨年に続いて、2年連続のフジロック出演。フュージョン色の強い洒落たアンサンブルのなかで蠢くノーマンのベースラインはやはり唯一無二で、曲間で挟むさまざまな引用フレーズも粋だった。そのままオレンジに移動して、今度は若大将こと加山雄三ひきいるTHE King ALL STARS。名うてのバンド・メンバーらと共にスピード感のあるロカビリーを次々と披露していく若大将、77歳ってマジですか。「ノッてるかね?」などのMCも最高だ。ラスト2曲は「君といつまでも」、「海 その愛」で大団円。いやー、すんごい現役感だった。

陽が落ちてきた頃、グリーン・ステージはThe Flaming Lipsの登場を待つ人でいっぱいに。そして、ド派手な装飾を施したステージ上に現れたのは、ほぼ全裸のウェイン・コイン(実際は筋肉がプリントされた全身スーツを着ていたようです)。カラフルな風船や紙ふぶきが飛び交ったり、きのこの着ぐるみが踊っていたり、とにかくどこを見てもおかしなところだからけのサイケデリック空間は、圧巻のひと言。フジロックとリップスの相性、やっぱり抜群でした。それとは打って変わってひたすらストイックなパフォーマンスで見せつけたのが、17歳の歌姫LORDE。音数を絞ったダウンテンポのリズムに合わせて、長い髪を振り乱しながら激しく踊る彼女のあのカリスマ性! 1曲ごとにオーディエンスからあがる歓声も一際大きく、そのクールな歌声に酔い、スピリチュアルな佇まいに思わず息を飲んだ。驚異の17歳、ロード。これが今年いちばんの衝撃だったかも。

ウェイン・コイン(The Flaming Lips)

ロードにやられてすっかり恍惚としたあとすぐに観たOUTKASTは、もうパーフェクトでした。エロネタ満載の華やかな映像と、アンドレ3000とビッグ・ボーイのソロ・ステージも含めた4部構成による完成されたエンターテインメントで、2時間近くのステージがあっという間だった。準メンバーのスリーピー・ブラウンを加えたパフォーマンスも最高で、すっかり大満足。クロージング・アクトとして登場したシェイン・マガウアン率いるThe Poguesの(恐らく日本では)最後のライヴをじっくり見ながら、2014年のフジロックを締めくくりました。

OUTKAST

終わってみればほとんど雨も降らず、3日間を通じて好天に恵まれた今年のフジロック。あまりの暑さに体調を崩した方もいたかと思うけど、水分補給と日除け対策さえしておけば、かなり快適に過ごせる3日間だったと思います。ただ、これといった混雑に巻き込まれることもなく動き回れた反面、集客の面で例年より若干少な目だったような気もするのは、ヘッドライナーをはじめとしたラインナップに少し派手さがなかったからなんだろうか。ここまで振り返ってきたとおり、実際にはものすごいライヴが各ステージでたくさん展開されてたので、来年はチケットが瞬時に売り切れるようなインパクトのある大物アクトの出演にも期待したいところです。そうそう、今年は終了直後に来年のフジロック開催日がもう発表されてるんだ! 次回のフジロックは2015年の7月24日、25日、26日。今からカレンダーに「フジロック」と書き込んでおきましょう! ではまた来年!

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