THE ANDS / ONE
磯谷直史(monokuro)、朱雀佑輝(NANANINE)、大坪徹志(hare-brained unity)による新プロジェクトTHE ANDS(ジ・アンズ)。60年代ブリティッシュ・ロック、90年代オルタナティブ・ロックをバックグラウンドにもつ彼等が、ファースト・セッション音源をドロップ。今この瞬間を詰め込んだ、清々しいダイナミクスに溢れた一枚!
【トラックリスト】
1. Home / 2. No Song / 3. Very Strong / 4. Once Upon A Time / 5. Re Motions
駆け引きなしの強力なアンサンブル
バンドの音楽性なんてキャリアが長くなれば自然とアップデートされていくもの… とも言い切れない。むしろJポップの最前線で高い人気を保つ面々を見ていると、あまり音楽性を更新しない方が息の長い活動を続けられるようにも見える。まあそれはそれとして、メンバーと演奏し続けてスキルを身につけていくうちに、新たなサウンドに挑戦したくなるのはミュージシャンとしては至って自然な姿だと思うし、音楽から得る興奮、あるいはリスナーとの間に生まれるテンションを高く保ち続けるためにも、ほとんどのバンドは常に音楽性の更新を図ろうとする。中にはラモーンズみたいにあえてアップデートさせないことが個性となるバンドもいるけど、それはかなり稀な例で、誰もがそう簡単に目指せるものではないだろう。
今年2月にmonokuroの活動休止を発表したばかりの磯谷直史が、早くも新バンドTHE ANDSを結成し、大きく動き出している。あくまでもポップ・ソングとしての強度は保ちながら、3ピースの可能性を探って着実にサウンドを作り変えていくmonokuroに筆者は行き詰った様子を感じていなかったので、休止宣言を耳にした時はとても残念に思えたが、このTHE ANDSがデビュー・ライヴの会場で早速販売を開始したミニ・アルバム『ONE』を聴いて、彼が今ひとりの音楽家として何を求めていたのかがようやく少し見えてきた。とにかくこのアルバムにはデビュー作然とした清々しさがあるのだ。
その磯谷と共にこのバンドを形成するのが、ベースにNANANINEの朱雀祐輝、ドラムにはhare-brained-unityの大坪徹志という、それぞれプレイヤーとしてキャリアを築いてきた二人だ。ともすればこのバンドは主導権をフロントマンの磯谷が握り、二人がそこに演奏家として応えていくという、ある意味「大人な」バンドにすることも可能だったわけだが、彼らはそうではなく、まずこの3人が素直に音を重ねた時のダイナミクスを重視した。その結果として、恐らくこの3人の最大公約数だったのだろう、パワー・ポップや90年代のオルタナティヴ・ロックといった辺りからの反響を強く感じさせる、かなり明快なポップ・ソングがこのアルバムには並んでいる。つまり彼らはバンドを再びゼロから始めることによって、作家/演奏家として次なる方向性を探るプレッシャーから完全に解き放たれているのだ。ギターとベースとドラムが混然となってぶつかり合う。それ以外には何の邪心もかけ引きもない、ただただプリミティヴなアンサンブルが、この『ONE』の時点で聴けるTHE ANDSの面白さだ。そしてきっと彼らはここからTHE ANDSのアップデートを始めていくだろう。早くも新たな音源のリリースも決まり、バンドの創作意欲も高まる一方のようだ。もう次の展開が待ち遠しい。(text by 渡辺裕也)
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THE ANDS LIVE SCHEDULE
THE BLONDIE PLASTIC WAGON presents "BATTLES TOUR 2011〜AUTUMN STORMY KIDS〜" 2011年10月13日(木)@渋谷STAR LOUNGE
w / THE BLONDIE PLASTIC WAGON / The coridras / LAZYgunsBRISKY
shimokita round up 4
2011年11月3日 (木・祝)@下北沢CLUB Que/SHELTER/GARAGE/CLUB251/440/ReG/Daisy bar/Laguna
w / アシガルユース / the ARROWS / EG / Any / ELEKIBASS / シュリスペイロフ / STAn / テツコ / ハネムーン / ヒツジツキ / hare-brained unity / POP CHOCOLAT / 未完成VS新世界 / ミックスナッツハウス / 村田知哉 / ヤーチャイカ / THEラブ人間 / WONDERVER / e-sound speaker / カミナリグモ / SAKANAMON / 真空メロウ / Sorrys! / 太平洋不知火楽団 / タニザワトモフミ / D.W.ニコルズ / BYEE the ROUND / BAND A / 門田匡陽 / LOVE LOVE LOVE / 0.8秒と衝撃
THE ANDS presents "FOOL GOES ON"
2011年11月13日(日)@下北沢CLUB Que
w / TBA…
2011年12月3日 (土)@仙台LIVE HOUSE enn 3rd
w / PLASTIC GIRL IN CLOSET / DEADMANS / colossal youth / and more…
THE ANDS
磯谷直史 / Naofumi Isogai (vocal & guitar) from FUKUSHIMA
朱雀佑輝 / Yuki Sujaku (bass) from FUKUOKA
大坪徹志 / Tetsushi Otsubo (drums) from NAGASAKI
2011 年結成。磯谷直史( monokuro )、朱雀佑輝( NANANINE )、大坪徹志( hare-brained unity )による3ピース" THE ANDS " ( ジ・アンズ )。60年代ブリティッシュ・ロック、90年代オルタナティブ・ロックをバックグラウンドにもつ彼等の新プロジェクト。