2013年12月、OTOTOYで行った1stアルバム『カウンター』の全曲先行フル試聴が好評を博した、或る感覚。若さ溢れる大胆不敵な発言と、確かなテクニックを基にエッジを効かせつつ、キャッチーで踊れる楽曲と熱いライヴ・パフォーマンスで一気に若い世代の心を掴んだ。デビュー作を引っさげての全国ツアーを行い、さらにパワー・アップした4人。今回、OTOTOYではツアー・ファイナルとなった4月7日、渋谷O-Crestでのライヴ音源を期間限定でフリー配信!! 勢いは確かにある、しかし迷いもある。そんな或る感覚の「今」を感じてください。
或る感覚 / 2013.04.07 反撃の小人ツアーファイナル
【配信価格】
mp3 0円
【Track List】
01. 現代のエーデルワイス / 02. カウンター / 03. 鬼
【配信期間】
2013年4月11日〜5月10日
LIVE REPORT : 2013年4月7日@渋谷O-Crest
それにしても、なんで或る感覚のロンはわざわざあんな大口を叩いてしまうのか。デビュー作『カウンター』にあてて彼らと話したときもそうだったし、この日のツアー・ファイナルを観終わった今でもこれは変わらないんだけど、僕には彼が闇雲な自信に満ちたふてぶてしいやつだとはまったく思えない。というか、楽曲への自信を口にしながらなんとか自分を鼓舞し、偽悪的に他のバンドをディスることで逃げ道を消し去ろうとする彼は、むしろちょっと心配なくらいにナイーヴだ。それは彼を囲む3人にしてもそう。ただ和気藹々とバンドを楽しむこともできたはずなのに、つい自分たちのウィーク・ポイントばかりが気になって、それを克服しようと彼らは必死だ。だからこそ、このバンドは面白い。こういうある意味めんどくさいバンドは、必ずもっと伸びる。そして自ずと注目される。その思いはこの日のライヴでさらに強くなった。
会場に詰め掛けていたお客さんは、やはり彼らと同年代が中心だろうか。ゲストにアルカラを迎えていたものの、彼らの出演を発表したのはチケットが売り切れた後だったので、この日のオーディエンスはほぼ100パーセントが或る感覚目当てになる。つまり完全なホームだ。この状況がまさに『カウンター』をリリースした成果だろう。
「現代のエーデルワイス」で幕を開けたステージは、そこから「city style alternative blues」へと流れて一気に加速していく。いい立ち上がりだ。というかやっぱりこのバンド、演奏がうまい。性急な楽曲のボトムを支えるKouと北原のリズム隊も安定しているし、大野のギター・プレイはやはり鮮やかだった。ロンも最初から饒舌で、ツアー先で買った奈良漬の話などを挟んで微笑ましい失笑を買いつつ、フロアを煽っていく。中盤のミドル・チューンで緩急をつけながら、この日のために用意したという新曲もふたつ披露。なかでも、大野がメイン・ヴォーカルを務める曲には一際大きな喝采が起こっていた。普段はテクニカルなフレージングで演奏の中核を担う彼がエモーショナルな歌声を聴かせるこの曲は、ヴァースとコーラスを繰り返す構成も無駄がなく、バンドの新しいアプローチとしてはかなりいい手ごたえを感じた。
終盤ではまたアッパーな楽曲でフロアの熱を上げていく。「最速のカッティングを見せつけてやる」というMCと共に始まった「鬼」は、やはりこの日の沸点を演出していた。本編最後は「あいらヴゆー」。疾風怒濤のステージがこれで終わった。
で、ここからがちょいとややこしい。もちろんアンコールを求める声が上がるわけで、4人はすぐステージに登場したのだけれど、ロンは神妙な表情でなにやらエモいことを語った挙句、持ち曲はもうやらないと言い出すのだ。そのかわり、1コードでセッションして、俺のギターとマイクをフロアに回すから、とにかく好きなように叫んでくれ、と。もちろん困惑する観客たち。で、いざ始まったら、マイクを持った誰かの叫び声は聴こえてくるし、ギターは飛んでくるし、途中で北原はドラムから離れてダイヴするし、もうぐっちゃぐちゃ。いやー、ヒヤヒヤした。
でも、おもしろかった。きっと彼らのこういうところを青臭いと嘲笑う人もいるだろう。実際、あのアンコールを無理に受け入れる必要もないとは思う。でも、ああいうことをヘラヘラしながらも真剣にやっちゃう彼らが僕は嫌いじゃないし、あのよくわからないエネルギーに引き付けられた人も少なくなかったはず。だから、願わくはここから先も、嫌われることを厭わずに思いついたことをどんどん実践していってほしい。敵だらけの状況を何度も何度も潜り抜けて、或る感覚には誰よりもでかいステージを目指してほしい。(text by 渡辺裕也)
<セット・リスト>
01. 現代のエーデルワイス
02. city style alternative blues
03. 道化とJK
04. masa
05. HAPPY ROBOT
06. むかしむかしあらゆるところに
07. キリコシンコペーション
09. シャゲナベイベー
10. エキセントリック★
11. カウンター
12. ヒーロー
13. 鬼
14. あいらヴゆー
En. ワンコード
或る感覚 / カウンター
【配信価格】
mp3、wavともに 単曲 150円、まとめ購入 1,200円
【Track List】
01. 鬼 / 02. ヒーロー / 03. 現代のエーデルワイス / 04. city style alternative blues / 05. masa / 06. HAPPY ROBOT / 07. むかしむかしあらゆるところに / 08. カッター / 09. カウンター
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LIVE INFORMATION
2013年04月14日(日)@神戸Event-hall RAT
2013年05月04日(土)@池下UPSET
2013年05月25日(土)@池袋ADM
2013年05月30日(木)@梅田シャングリラ
2013年06月12日(水)@福島PEAK ACTION
2013年06月14日(金)@八戸ROXX
2013年06月15日(土)@仙台MACANA
2013年06月23日(日)@渋谷5会場「TOKYO BOOTLEG CIRCUIT’13」
2013年07月14日(日)@東京晴海客船ターミナル特設ステージ「MURO FESTIVAL 2013」
PROFILE
或る感覚
2010年5月結成の4ピース・バンド。同年7月よりライヴ活動開始。
2011年9月、TokyoFM&Sony Music主催の10代限定フェス「閃光ライオット」のファイナリストへ選出され、日比谷野外大音楽堂にてパフォーマンス。 同年12月、7曲目「知性のギター」にて参加した、コンピレーション・アルバム『閃光ライオット2011』が全国リリース。
2012年3月よりDEMO CD『city style alternative』販売。タワーレコード一部店舗でも取り扱われ異例の売り上げを記録。 同月より初のツアー(名古屋、福島、仙台、盛岡)を敢行。 4月のツアー・ファイナル初自主企画@下北沢ERAはSOLD OUT! 9月新宿で開催のサーキット・フェスETERNAL ROCK CITY.2012ではイベント最大の入場規制。
2013年1月、初の全国流通アルバム『カウンター』リリース。 同月より開始したツアーは各地大盛況(東北、関東、東海、関西、計9か所)。 4月ツアー・ファイナル@渋谷O-CREST(ゲスト : アルカラ)はSOLD OUTし大盛況のうちに終了!