キュウソネコカミ / 大事なお知らせ

1stアルバム『10代で出したかった』のリリースから9ヶ月、早くも第2作となるセカンド・フル・アルバム『大事なお知らせ』をリリース! 前作発表後、様々なイベントに出演し、多くのバンドとの共演を重ねて勢いを増し続けてきた彼らが、鬱憤や皮肉をビートにのせて放った全11曲。

1. JP / 2. サブカル女子 / 3. 友達仮 / 4. ウツロウココロ / 5. 死なんかなー / 6. 音楽やめたい / 7. オリジナリティ / 8. ファッションミュージック / 9. たば狂 / 10. シャチクズ / 11. TSUTSUNUKE BOYS

”ゆとり”と呼ばれた窮鼠の反撃

感情的になる前に、先にちゃんと紹介しておこう。キュウソネコカミは、2009年に大学の軽音楽サークルで結成された自称エモ・ブルース・バンドである。”エモ・ブルース”と言いつつも、音楽性は、近い世代で言うとオワリカラ、ザ・ミイラズやザ・テレフォンズなどを思わせるダンス・ロック。言いたい放題の歌詞と、ポップなメロディーが予想外の化学反応を起こしている。彼らのホームはライヴ・ハウス。勢いまかせのMCと、エネルギーを解き放つようなパフォーマンスで、若い世代の心を掴んでいる。関西を中心に活動している彼らだが、今年3月に1stアルバム『10代で出したかった』をリリースした後、全国ツアーを展開。COMIN'KOBE、BAYCAMPなどの大型イベントや、対バン形式のライヴから刺激を受けて、早くも2枚目のアルバムを発売した。リリースのテンポも早く、関西から全国へ飛び出そうという勢いがある。そして、アルバムを『大事なお知らせ』と名付け、重大発表を匂わせておきながら、レコ発ツアーのタイトルは”僕たち解散しませんツアー”。まさに茶番。気になるアルバムの内容も、前作以上にジャンルやモラルはお構いなし。やりたい放題である。

皮肉たっぷりな表現を使いつつ、でも好きさと歌う「サブカル女子」、タバコ依存を歌う「たば狂」、社会の歯車となる辛さと切なさを歌う「シャチクズ」など、掲載を憚られるようなテーマを歌う彼ら。確かにそう思うけど、それ言っちゃダメでしょ! と突っ込みたくなるような内容が満載である。しかしその一方で、<歌詞もメロディも秀逸なあの売れてるバンドを目指したら 結局新しさなんて消えて 有象無象の輪廻に>と切なげに歌ったり、<音楽やっても得はないから 出来るなら音楽をやめたい>とこぼしたりもする。強気なことを歌うなら、もう何もかも吹っ切って言いたいことを言って、やりたい放題やってくれればいいのに。実態が掴めず、こっちがもやもやしてしまう。でもその等身大な感じが、ポジティブなキラーチューンを連発してパーティー・ピーポーの一体感を煽るような、ダンス・ロック定番のノリとは違っていて、聴けば聴くほど気になる存在になってくる。

同じ時代を生きてきて、同じ音楽を聴いてきた世代が、次々と世に出て行くタイミング、というものがある。それまではずっと、憧れの対象は年上で、自分より経験があり、手の届かない世界にいるものだと思っていた。しかし、20代に突入すると同時に、同世代が「若手」とか「ニューカマー」と呼ばれて、「新世代」という看板を背負って、華やかに表舞台へ飛び出していく。そんな風に飛び出していった同世代を、素直に応援するもよし、俯瞰するもよしなのだが、キュウソネコカミの音楽を聴いた時、同世代の筆者は単純に、やられた! と思った。自分が聴いてきた音楽のおいしいところを詰め込んだ音楽が、そこにあったのだ。悔しい。歌詞に気を取られてしまいがちだが、コール・アンド・レスポンスを交えたライヴ映え必須の曲展開。勢いまかせに見せかけつつ、狙い澄ましたフレーズの応酬。嫌いになれる訳無いじゃないか。

同世代にはもちろん、他の世代にも聴いてほしい彼らの音。どんな反応が返ってくるのか楽しみだ。現在20歳前後のキュウソネコカミの世代は、バブル崩壊と共に生まれて不景気続き、”ゆとり”と呼ばれ、大学を卒業しようと思ったら就職難。でも言われっぱなしでは終われない。たまにはこっちの話も聞いてくれ!!(text by 櫻井希)

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PROFILE

Vo/Gt ヤマサキ セイヤ(ex セルフボラギノール)
Gt オカザワ カズマ(ex セルフボラギノール)
Ba カワクボ タクロウ
Key/Vo ヨコタ シンノスケ(ex BLANK MAP)
Dr ソゴウ タイスケ(ex バカ力)

2009年12月関学にて結成!!! 2010年より関西を中心に活動中!!! 2011年11月25日 Baはがね丸脱退。テクノブレイカーの道へ。同時にカワクボタクロウ加入。

FFーX-2より
「キューソネコカミ」
何のへんてつもない珠だが ピンチの時その力は解放される……
ピンチ(死にかけ)になると攻撃・回復共に9999になる

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レヴュー

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by 西澤 裕郎
筆者について
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