BACK DROP BOMB / Coming re:Action
過去の音源をメンバー自らコンパイルし、全編アレンジ&再レコーディングした全38曲のパーツを再構築。20分強の壮大なるダイジェスト・メガ・ミックス音源となってリリース。
【ゲスト・アーティスト】
DJ BAKU(Turn Table)、JON-E(MC)、山縣 賢太郎(Trumpet)、空中紳士(Darbuka)、Martin Kinoo(MC)、武嶋聡(Sax)、Tinnen(Timbales)、UNURAMENURA(Programing)
【特典】30曲を越えるトラック・リストが同梱されます!!
音楽に向ける隔たりのない愛情
僕はこのバンドの活動をもう既に10年以上は追い続けている。つまりただのファンだ。一方で、彼らの新作を待つ時の気持ちは、単純に「楽しみ」の一言では片付けられないものだったりもする。つまりそこには期待だけではなく、必ず不安があるのだ。なぜならバック・ドロップ・ボム(以下BDB)が新しいマテリアルを出すということは、同時にそれまでの彼らとは全く別の姿に変わったことも意味するからだ。
90年代の後半に、彼らは当時隆盛を極めつつあった“ミクスチャー系”と呼ばれるバンドの一角としてまず注目を集めた。しかし同系列で語られるバンドのほとんどが派手なバンド演奏にラップを乗せる程度のものだったのに対して、レゲエとファンクから黒いグルーヴをたっぷりと吸い込んでスタイリッシュに昇華したBDBの存在は明らかに異質だったし、とにかく各メンバーのプレイヤビリティが飛び抜けていた。96年のファースト・ミニ・アルバム『The New South Hand Blows And North Kick Blows』の時点で、彼らの音楽性は既に突出した完成度とオリジナリティを確立していた。そこからいわゆる“AIR JAM世代”と呼ばれるシーンの盛り上がりとも相まって、周囲からの期待も最高潮の中、彼らは最初のフル・アルバム『Micromaximam』をリリースする。極端なまでにサウンドの情報量を増やしつつ、ツイン・ヴォーカルを中心に置いて整合性を持たせた楽曲はもはや発明に近い領域で、「BDBは別格」という認知もここで一気に広まった。彼らの最初の到達点を示した作品は間違いなくこれだろう。
しかしこのバンドはそこからの展開が強烈なのだ。まずは02年にリミックス・アルバム『Refixx』をリリース。サーストン・ムーア、toe、マイティ・クラウン等といったアーティストにリミックスを委ねたこの作品は、今思えばBDBが更なるビルド・アップに向かうサインにもなっていた。そして満を持してリリースされたセカンド『Nipsong』で、彼らは前作の過剰にも思えたサウンドの情報量をあっさりと更新。その後も異種アーティストとのコラボレーションを続け、EP等のリリースも挟みながら、彼らの音楽性はよりトゥー・マッチになり、混沌を極めていく。エレクトロニクスを導入しながらビートの革新を試みた『Breakdawn』、メンバーそれぞれの趣向性が開陳された結果、よりメタリックなサウンドに迫った『Venometeoric』に、初期BDBの面影を見つけるのはもはや困難だと言っていい。
誤解されないように一応言っておくと、彼らはただ節操なくジャンルを横断している訳ではない。そこには音楽に向ける隔たりのない愛情と、未知のサウンドへの渇望がある。だからこそBDBは結成から15年以上が経過した今もエッジを失わず、ただひたすら過剰になっていくのだ。
今回配信限定でリリースされることになった『Coming re:Action』とは、これまで彼らがリリースした楽曲を再録し、アレンジが施された上で、それぞれのパーツを繋ぎ合わせて作られたダイジェスト・メガ・ミックスだ。1曲の中に5曲分のアイデアが詰まったようなBDBの楽曲が約20分の尺に凝縮されるという、もはや暴挙にも思える試みだが、これが聴き終えた後に鼻血が吹き出すほどの興奮状態が続く凄まじい仕上がりになっている。ただでさえ、その音楽性を言葉に置き換え辛いBDBを手っ取り早く知ってもらうには、ベスト盤よりもはるかに有効な作品だと言ってもいいだろう。またこれは元ZUINOSINの寿千寿が加入して6人編成となった現在の布陣による最初のレコーディング作でもあり、過去作からの楽曲にも新たなダイナミズムが生まれている。日本が生んだ孤高のハイブリット・モンスターが、またしても進化を遂げようとしている。『Coming re:Action』を聴くと、そんな予感が抑え切れなくなってくる。そしてまたしても、固唾を呑んで彼らのアクションを待つことになるのだ。(text by 渡辺裕也)
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information
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2011/05/28(土)@福岡 KIETH FLAG
open : 21:00
entrance : ADV : 2,500yen / DAY : 3,000yen (1DRINK ORDER)
guest live : BACK DROP BOMB、THE PRACTICE
guest dj : OHNO(FLJ)
Coming re:Action
2011/07/13(水)@渋谷 OーEAST
open : 18:30
entrance : ADV : 3,200yen
w/磯部正文BAND
PROFILE
BACK DROP BOMB
Takayoshi Shirakawa(Vocal)
Masashi Ojima(Vocal)
Jin Tanaka(Guiter)
Chitoshi Kotobuki(Guitar)
Toshiki Kagohashi(Bass)
Masanori Takeda(Drums)
1994年10月バンド結成。1995年1月、渋谷GIG‐ANTICにて初ライヴを行う。以降、東京都内を活動の拠点としコンスタントなライヴ活動をスタートする。12月、GREEN GIANT、SHERBET、HUSKING BEEなどが楽曲提供を行ったオムニバス『something else』に参加。1996年6月ターボズゴック(後のECHO)とのスプリット・シングル『MIXTURE FREAKS EP』をリリース。この後も彼らは精力的にスプリットという形態に手を染めることになる。1998年は彼らにとって最初の大きな転機となった。WARPED TOUR'98およびH2O(USA)のジャパン・ツアーをサポート。1999年1月、TOY'S FACTORYよりマキシ・シングル『ROUGH INTRODUCTION FOR THE NEXT』を発表。同年8月「FUJI ROCK FESTIVAL'98」に出演の後、12月には彼らの初期代表作といっても過言ではないアルバム『MICROMAXIMUM』をリリース。メジャー・リリースという舞台は変わるなか、その存在感はますます強いものとなる。この頃から分厚いバンドのアンサンブルをベースにしながらも、DJ HASEBE、DJ WATARAIといったヒップ・ホップのトラック・メイカーとのコラボレーションなどを通じて、クラブ・ミュージック愛好家にもその名を知らしめる。