オンナだらけの灼熱スウィンギン!!——女子18人組ビッグバンド・ジャズ、たをやめオルケスタが2ndアルバムを配信開始

たをやめオルケスタというビッグバンドをご存知だろうか? 「水分不足のビッグバンド界に華麗なる殴り込み」というキャッチ・フレーズを掲げ、都内を中心にライヴ活動をおこなう女子18人組の大所帯バンドだ。OTOTOYでは、そんな彼女たちの2ndフル・アルバム『紺碧レジーナ』を配信開始。
バンド名の「たをやめ」とは、しとやかで優美な女性を表す言葉。その言葉とは裏腹に、彼女たちの音楽はもっとタフでパワフルで、溢れんばかりのヴァイタリティに満ちている。12人の強力なホーン隊が弾き出す、熱気ムンムンのメロディ。ラテンから昭和歌謡まで歌いこなす、こぶしの効いたヴォーカル。そしてそれらを支えるピアノ、ベース、ドラム、パーカッション。アルバムを通して聴いたとき、そこにはひとつのショーを見たあとのような満腹感がある。今作の配信に際して、都内のスタジオでリハーサル中の彼女たちを直撃した。ぜひ音源を聴きながら楽しんでほしい。
たをやめオルケスタ / 紺碧レジーナ
【配信形式 / 価格】
ALAC / FLAC / WAV / mp3 : 2,057円(税込、単曲は205円)
【収録曲】
01. たをやめREVUE
02. ステージ
03. マンチカン
04. 新しい恋
05. オンナ Sunny side of the street
06. 貴婦人と一角獣
07. coffee time
08. Mr.ピーナッツの逆襲
09. さざ波
10. ドレミのうた
11. ありがとうのうた
12. pavane
INTERVIEW : たをやめオルケスタ
総勢18名の女性プレイヤーによるビッグバンド、たをやめオルケスタがニュー・アルバム『紺碧レジーナ』を完成させた。「女将」こと岡村トモ子を中心に2008年から活動を続けるこのバンドは、ジャズの素養をもつプレイヤーはもちろんのこと、音大でクラシックを学んだ者からライヴ・ハウスを中心に活動してきた者まで、性格も音楽的背景もバラバラなプレイヤーたちが集う場所となり、気がつけばビッグバンドの定型にとらわれない自由なスタイルを確立。活動5年目にしてリリースされた1stフル・アルバム『緞帳プレリュード』で彼女たちの評判はさらに広がり、その注目度はますます高まっているところだ。
それからおよそ1年を経て新作がリリースされるということで、リハーサル前の彼女たちに取材を申し出た。当初は岡村を中心とした2〜3名に話を訊くつもりが、少しずつ参加者が増えていき、最終的にはずいぶんとにぎやかなインタヴューに。岡村がこのバンドにかける強い想いと、彼女たちの並大抵ではない結束の固さを感じ取ってもらえる内容になったので、ぜひ現場の和気藹々とした雰囲気を想像しながら読んでいただきたい。

インタヴュー & 文 : 渡辺裕也
写真 : 有田昌弘
当時はかっこいいギャルバンなんていないと思ってたから(笑)
――リーダーの岡村さんは「女将」と呼ばれているそうですね。僕も今日は「女将さん」と呼んでもいいですか。
岡村トモ子(A.Sax)(以下、岡村) : そうしてください(笑)。そう呼ばれるのがいちばん嬉しいです。
――じゃあ、そうさせていただきます(笑)。たをやめオルケスタはメンバー18人全員女性ということですが、やっぱりバンド内の統率をとるのはけっこう大変だったりするんでしょうか。
岡村 : バンド内いじめがあったり、派閥に分かれたりってこと?
SAKKO(Tp) : ないない(笑)。
すず奴(Tb) : 女性だけのバンドっていうと、なんかそういうイメージになるみたいだけどね。
岡村 : たしかにそれ、よく言われるんです。女性が集うと大変そうだって。でも、多分それってドラマとかの悪影響なんですよ(笑)。むしろ、みんな女子ならではの気遣いがあるから、それぞれがそこまで自由すぎる行動しないし、ちゃんと連絡もマメにとってくれる。まあ、たをやめは18人もいるので、そのなかで趣味ごとに「カレー部」とか「手芸部」みたいなものはあるけど(笑)。バンド活動においては何も問題ないですね。

――そもそも女将さんは、なぜ女性だけでビッグバンドを結成しようと思ったんですか。
岡村 : このバンドを組むまで、私は自分が紅一点みたいな位置づけのバンドしかやってこなかったんです。男所帯のなかでちやほやされながらやってた(笑)。で、その頃はギャルバンっていうものにすごく抵抗があって。
――というのは?
岡村 : なんかあまりいい印象がなかったんですよね(笑)。だから、以前はむしろ女の子だけでバンドをやることに対して「なんだかなぁ」みたいな気持ちだったんです。
――以前はむしろ女性バンドに偏見があったんだ。
岡村 : うん。それが、あるときに私の師匠である向井志門さん(オーサカ=モノレール)から、「俺、ビッグバンドをつくろうと思っているんだよね」と言われて。そこで私も「だったら、私もつくるから一緒に旗揚げ公演をやりましょう」みたいな話になったんです。それで公演の日にちを決めてから、その日に向けてメンバーを集めはじめて。
――まずはライヴをやることから決めたんですね。女将さんにとって、ビッグバンド編成でやりたいという気持ちは前々からあったものなんですか。
岡村 : ありました。東京キューバン・ボーイズとか原信夫とシャープス&フラッツみたいな歌謡ビッグバンドが私は大好きだったから、いつかそういうものをやりたいとはずっと思ってて。でも、もともとそれは「ビッグバンドに加わりたい」ってことだったので、まさかこうして自分でバンドをつくろうとは考えてなかった(笑)。でも、よくよく考えたらそれって自分で始めちゃった方が早いなと思って。かっこよくて、スタイリッシュで、自分も輝けるビッグバンドをやるなら、これは自分で始めるしかないだろうと。
大西まみ(Pf)(以下、大西) : 音楽に限らず、なかったものはなんでも作っちゃうんだよね(笑)。
岡村 : うん(笑)。この衣装も自分で作ってますから。
――衣装もそうだったんだ! でも、そこでギャルバンに抵抗があった女将さんが、なんで女性だけでバンドを組むことにしたんですか。
岡村 : やっぱりどこかで自分も「かっこいい女性ミュージシャンだけのバンドがあってもいいな」みたいな気持ちがあったんでしょうね。もちろん今はそんなこと思ってないけど、その当時はかっこいいギャルバンなんていないと思ってたから(笑)。で、まずは友達ふたりに声をかけて。あと残り10数名はそれぞれ紹介で加わってもらったんです。
――ちなみにその最初に声をかけたふたりはどの方?
岡村 : あ、そのふたりはもうこのバンドには残ってなくて。今にして思えば、それでよくこのメンバーが揃ったよね(笑)。
これまでビッグバンドをやったことのないメンバーがすごく多かった
――じゃあ、今日は女将さん以外にもこの場にたくさん集まってくれているので、ここはおひとりずつバンドに参加した変遷をうかがってみましょう。じゃあ、まずは中村さんから。
中村かおり(B.Sax)(以下、中村) : えーっと。私は去年たをやめに入ったばかりなんですけど、それまでは大学でビッグバンドの勉強をしてたんです。だから、こういう大所帯バンドのなかでバリトン・サックスを吹きたいという気持ちはその前からずっとあって。ここに誘われたときはホント嬉しかった。

岡村 : 泣いてたもんね(笑)。
中村 : 泣きましたね(笑)。最初はサポートで参加させてもらってたんですけど、「もう辞めたくないです」って(笑)。
岡村 : そうそう。あれはたしかファースト・アルバムのレコ発のときだったよね? ライヴが終わって楽屋に戻ったら、かおりんが泣いてたから、「もう泣かせないよ、メンバーになってください!」みたいな感じで、めでたく加入してもらいました。
――素敵な話ですね(笑)。では、お次はかなすさん。
かなす(Tb) : 私はもともと、女将が最初に声をかけていたトロンボーン奏者から何度か声をかけていただいてたんですけど、その頃は自分のバンドが忙しかったんです。でも、そのバンドを辞めることになって。それでボーっとしてたら、また声をかけていただいたんです。ただ、それまでの私はというと、ビッグバンドはもちろん、ジャズすらまったく聴いてこなかったから、譜面と音源をいただいたときは正直「これ、私、できるのかな?」みたいな感じで、すごく心配でした。
――それまでかなすさんがプレイしてきた音楽とはまったく違ったんですね。
かなす : 全然違いました。それまで、私はスカパンクっていう激しい音楽で暴れまわりながら楽器を吹いてたから、譜面をちゃんと立ててキリッと吹くなんてこと、自分にできるのかなって。しかも、その譜面だってぜんぜん読めなかったし(笑)。だから、最初はそんな調子で恐る恐るリハに行ったんですけど、実際に会ったら皆さんホント優しくて。それで何回かリハとライヴを重ねて、あらためてまた「メンバーになろうよ」と誘ってもらえたときには、ものすごくこのバンドが楽しくなってました。

岡村 : なによりもまず、彼女はこのキャラがいいじゃないですか(笑)。こういう娘がビッグバンドのなかで魅せるステージングをしたらかっこいいなと思ってたんです。それに、たをやめには彼女みたいなバンド出身の人もいれば、音大でクラシックを学んでいた子もいたり、経歴がホントさまざまで。でも、そういうバラバラな感じの方が、きっと新しいアイディアがたくさん集まって、すごい化学反応が起きると思ってたんですよね。
かなす : 大したアイディアを提供できていなくて申し訳ないです(笑)。
岡村 : いやいや! まずその見た目とキャラが最高だから!
――(笑)。では、お次はSAKKOさん。
SAKKO(Tp) : 私は初期メンです(笑)。最初のメンバーだったトロンボーンの子と私は同じ音大の同級生で、ふたりで漠然と「クラシック以外の世界も見てみたいよね」って話をよくしてたんです。それでネットのメンバー募集サイトを探してたら、ここをキャッチして(笑)。とはいえ、まさかこのバンドがこういうカタチになるとは、その当時はまったく思ってなかった。そのネット上での誘いも「ラテン・バンドをやります」みたいな感じだったし(笑)。
――ジャンルは問わず、とにかくそれまでやってこなかった音楽に取り組んでみたかったってこと?
SAKKO : そうなんです。在学中はクラシックしか聴いてなかったし、ジャズも4年生のときにマイルス・デイヴィスをようやく知ったくらいで(笑)。だから。当初はけっこう受け身な感じでやってたんです。でも、こうしてたをやめのメンバーとして活動していくなかで、だんだんと自分がやりたいことも生まれてきて、少しずつ自我が目覚めたというか。

——自我の目覚め(笑)。では、お次はすず奴さん。
すず奴(Tb) : 私はSAKKOの次に入ったメンバーですね。で、その当時の私はサラリーマンをやりながら、ビキニでトロンボーンを吹くバンド(太ももサティスファクション)をやってたんです。たをやめにはそのつながりで誘ってもらって。大学のときは女の子を20人集めて水着のビッグバンド(フェロモン共和国)もやってたんですけど。
——基本は水着なんですね(笑)。
すず奴 : とはいえ、私がやってきたのはいわゆるスタンダードなジャズのビッグバンドだから、たをやめはそれと吹き方も見せ方もまったく違ってて(笑)。それで最初はけっこう戸惑ってたんですけど、やればやるほどおもしろくて。今は晴れて脱サラしました。

――おめでとうございます(笑)。では、お次は大西さん。
大西 : たしか2007年頃に私が別で参加してるYapani!っていうバンドと、当時彼女(岡村)がやってた寿アーバンメイツっていうスカバンドで対バンして。そのときに、「なんだ、この達者な娘は!」と思ったんです。サックスもホントうまかったし、しゃべりも強烈で。それで、たをやめの初ライヴを私はお客さんとして観に行ってたんですけど、2回目のライヴからはするっと加入してました。
岡村 : 気がついたらそこにいた感じだったよね(笑)。彼女は私と一緒にこのバンドの作曲もしてくれてるんです。私とはまったく違うタイプのものを作ってくれる。
大西 : ふたりとも、当時はビッグバンドの編曲をやったことがなかったから、私は誰にも習わずに本と耳コピだけでひたすら勉強しまくって、最初の3ヵ月はホント泣きながらがんばってた(笑)。管楽器の音域や役割もよくわかってなかったから、自分なりにそれを勉強して。やっぱり3人でやれる音楽と18人でやれる音楽ってまったく違うから、ビッグバンドでやることに意味がある楽曲とアレンジにしたかったんですよね。
――この編成のアレンジが独学だったとは。驚きました。
岡村 : 私も含めて、たをやめにはこれまでビッグバンドをやったことのないメンバーがすごく多かったんですよね。いま思えば、よくそれでやろうって気になれたな(笑)。それこそアレンジに関する知識なんかも全然だったし。でも、そのおかげでいろんなことが勉強できました。
大西 : それに既成概念がなかった分、ステージングなんかも他のビッグバンドにはないものがつくれたと思う。途中でお芝居が入ったりとかね(笑)。

――大西さんは制作面でかなり大きな役目を担っているんですね。では、お次は沼尾さん。
沼尾木綿香(A.Sax)(以下、沼尾) : 私はテナー・サックス担当の加藤順子さんの音大の後輩で、順子さんから「よかったらやらない?」と声をかけていただいたのがきっかけですね。
大西 : でも、こっちは1年前くらいから木綿香ちゃんに目をつけてたんだよ。最初にライヴを見たときから、「この子はいい!」って。
岡村 : 彼女はモテますからねぇ(笑)。彼女もまた別のバンド(カンタス村田とサンバマシーンズ)で活躍している、すごく素敵なプレイヤーなんですよ。だから、最初はサポートでやってもらってたんですけど、何度かやってもらっていくなかで晴れて正式に参加してもらえて。
沼尾 : いやいや(笑)。私は学校でビッグバンドのアレンジを勉強してたので、一応書くことはできるんですけど、たをやめはみなさんが独学でやってると聞いて、びっくりしちゃいましたね。これを独学でやるのはホントすごいと思う。
大西 : まあ、習うっていう発想がなかったんだけどね(笑)。
岡村 : でも、私は一度だけ習いに行ったんですよ。その頃は自分がなにを知らないのかもわからなかったから、とりあえず知り合いのアレンジャーさんに「ビッグバンドの楽譜が書きたいんですけど、何がわからないかもわかりません(笑)」って訊きに行って。そしたら「最初は僕も独学だった」ってひたすら精神論を語られたあと、まずは500曲くらい書けと言われて結局何も教えてもらえなかった(笑)。でもたしかに、疑問は自分で解かなきゃ成長できないし、まずは楽器の音域を自分で調べて、バンド・メンバーからどんどん話を聞いていけと。
このメンバーは私の恋人なんですから!
――本当にゼロからのスタートだったんですね。
岡村 : まさにそうなんです。自分が使う楽器以外のことはなにも知らなかったから、それこそコードの理論とか、今まで曖昧だった部分を学び直したり、実際にそのパートを演奏する人に質問しながら覚えていこうと思って。ただ、リズム・セクションに関してはみんなと一緒に作ってる感じを出したいから、「これはスウィングで」みたいな大きな括りしか指定してないですね。あとはみんなに任せてます。

――アレンジはそれぞれのメンバーとコミュニケーションを取りながら覚えていったんですね。
岡村 : そう。だから、メンバーが辞めちゃったりするときはホントつらくて。逆にそれ以外のことはまったくつらくないと思えるくらい、メンバーが抜けちゃうときはつらいです(笑)。でも、やっぱりそれぞれの事情で続けられなくなる子はどうしても出てきちゃう。それこそアレンジを考えるときって、たとえばトロンボーンの譜面を書くときは、トロンボーンのメンバーそれぞれがライヴで吹いていることをイメージしながら書くんですよ。だから、メンバーが代わると自分の心構えがどうしたって変わっちゃう。その瞬間はかなりズーンときますね。
SAKKO : 失恋みたいなもんだよね(笑)。
岡村 : ホントだよ(笑)。私、必ず泣いてるからね。毎回「こんなにつらいことがあるなんて!」みたいな感じ。
大西 : でも、すぐあとにまた新しい恋が始まるからね(笑)。新たに加わってくれる人は必ずたをやめに新しい風を吹き込んでくれるんです。新しいキャラクターや演奏を提示されると、こっちもその子に向けて何かしらのイメージを思い浮かべるようになっていく。衣装もそれぞれのキャラクターに合わせてつくってるんだよね?
SAKKO : しかもこれ、採寸なしなんですよ! 渡された時点でぴったり。「なんで身体を触ってないのにサイズわかってるの!」って(笑)。
岡村 : みんなのことをめっちゃ見てるからね(笑)。やっぱり誰かが抜けるときはその人のことばかりを考えちゃうんですけど、そうやって自分が落ち込んでいるときも他17人のメンバーが支えてくれてるわけで。そのことを思うと、キューンとしちゃうんですよ(笑)。がんばってくれてるみんなをもっと大切にしなきゃって。それこそ、私のアイディアだけだったら、間違いなくたをやめは今のようなスタイルにはなってなかったと思う。
——女将さんのイメージしてたバンド像をメンバーのみなさんが膨らませてくれたんですね。
岡村 : そうなんです。このバンドは6年目に入ったんですけど、今にして思うと結成3年目くらいまではけっこうみんな控え目で。でも、アルバムを出すことになってからみんなとミーティングの機会を設けたり、それぞれのメンバーと連絡をとりだしたら、みんなからすごくたくさんの意見が出はじめたんですよね。そのときはホント「このバンドやっててよかった」って思いました。
――アルバム制作にとりかかったのがいいきっかけになったんですね。
岡村 : うん。みんなのこだわるところもよくわかってきたし。
SAKKO : たしかにバンドはすごく変化してきたよね。初期とは別のバンドと言ってもいいくらい。メンバーが入れ替わってるから少しずつの変化ではあったと思うんですけど、こうしてみんなと一緒の時間を共有が長くなっていくと、バンドの関係性も少しずついい方に変わっていくんですよね。
大西 : それにたをやめの女の子はみんな、入った頃より可愛くなっていますからね(笑)。やっぱりメンバーが女子ばかりだと、服装にしてもメイクにしても、女子同士ならではの磨かれ方があるんじゃないかな。

岡村 : たしかに! 舞台メイクも、みんな明らかに以前より盛れてるよね(笑)。写真に撮られるのもそれぞれ上手になってる気がする。女の子同士だと情報交換もみんな上手だから。
――じゃあ、1年前にリリースされたファースト『緞帳プレリュード』に対して、今回の新作『紺碧レジーナ』はどんなテーマをもって臨んだ作品なんでしょう。
岡村 : まず、私のなかでは3部作みたいなイメージもあるんですよ。まずはその3部作のなかで全力を尽くして。それが終わったら次の展望を考えたいなと思ってて。で、今回はその中間にあたる2枚目の作品なんです。
――なるほど。
岡村 : で、1枚目は全員で一気に録ったんですけど、今回はパートごとに分けて録ってて。結果的に今回の方が時間はかかったぶん、効率的にやれた気がしてます。前作よりもっと変化球があったり、ゲストでヴァイオリン(銘苅麻野)を招いたり、いろんなスパイスを入れつつ、作曲やアレンジ、演奏面で前作よりもぐっとクオリティの高いものをつくりたかった。そこにこだわれたのが今回はすごくよかったよね。
――ファーストよりもディテールを突き詰めた作品なんですね。ちなみに3部作ということは、女将さんのなかでは次の構想なんかも見えてるんですか?
岡村 : ぼんやりと(笑)。でも、そこはメンバーから刺激を受けていくうちに少しずつ変わっていくんじゃないかな。今回のアルバムにだって、メンバーのことを想いながら作った曲がいくつかあるし。
大西 : 女将はメンバー愛がものすごいからね(笑)。
岡村 : もちろん。このメンバーは私の恋人なんですから!
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たをやめオルケスタ / 緞帳プレリュード
1stミニ・アルバム『ワタシ至上主義』、2ndミニ・アルバム『月夜のショウ』に続いてリリースされた、待望の1stフル・アルバム。ラテン、ジャズ、カリプソ、ブルース、スカ、歌謡といったさまざまな要素が、"たをやめフィルター"を通過することでワクワクの贅沢サウンドに生まれ変わる。ビッグバンドの概念を覆す、たのしい音楽が詰まった1枚。
画家 / 嬉しい音楽
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Orquesta Libre with スガダイロー with タップ・ダンサー / Plays Standards vol.3 -LIVE at PIT INN 2012.06.22- (24bit/48kHz)
ROVOや大友良英ニュー・ジャズ・オーケストラのドラマーとして活動する芳垣安洋によるプロジェクト、Orquesta Libre。「さまざまなジャンルのスタンダード・ナンバーを片っ端からやってみる」というコンセプトを掲げ、自由でのびのびとした演奏を聴かせてくれる総勢10名の大所帯バンドが、2012年6月22日、スガダイローとタップ・ダンサーをゲストに迎えておこなった新宿ピットインのライヴを高音質で配信。
LIVE INFORMATION
〈『紺碧レジーナ』レコ発ワンマンショウ! 〜18人のオンナの18音の物語〜〉
2014年7月3日(木) @六本木 morph-tokyo
開場 / 開演 : 18:30 / 19:30
料金 : 前売 3,000円 / 当日 3,500円 (ドリンク代別)
詳細 : http://www.morph-tokyo.com/live_schedule/2014-07/03.html (六本木 morph-tokyo)
〈ズクナシ presents "SOUL BOOK"〉
2014年7月20日(日) @吉祥寺 SEATA
開場 / 開演 : 18:00 (終演 : 翌5:00)
料金 : 早割 2,500円 / 前売 3,000円 / 当日 3,500円 (ドリンク代別)
出演 : ズクナシ / 韻シスト / 加藤登紀子 / keyco / ギターパンダ / The Cavemans / THE JAPONICANS / SHOW441 / たをやめオルケスタ / FULL SWING / らぞく / ONE TIME BRASS BAND 他
詳細 : http://seata.jp/live.html?ItemId=14422&y=2014&m=7&d=20&action=form (吉祥寺 SEATA)
〈第5回すみだストリートジャズフェスティバル〉
2014年8月16日(土) @錦糸公園 メインステージ
料金 : 無料
出演 : 荒武裕一朗トリオ / 飯田久美子バンド / EIKO / H ZETTRIO / 大友良英スペシャルビッグバンド + 長見順 / 大橋美加 / 菊地成孔 Presents HOT HOUSE / Keijin Shu Original Trio / Dream Session for SUMIDA 2014 / THE MAN / the MOST Guest 岡崎好朗 / 椎名豊 Trio / ジェイコブ・コーラー Jacob Koller / 篠塚ゆき / jaja / jammin' Zeb / ザ・ショッキング / 白石幸司トリオ / 鈴木勲OMASOUND / 鈴木勲スペシャルトリオ フィーチャリング 渡辺香津美 本田珠也 / ソラリスエイコ Eiko Solaris Group / SOLZICK / GUETAITO CARIBBEAN QUARTET / たをやめオルケスタ / つのだ☆ひろ / T-SQUARE / TRI4TH / トレス・パッサリーニョス / Vermilion Field / PATRICK CHARLES MAKANDEL GROUP / +Plus / Hong soon dal jazz band With Park raon / Mackaruffin / 牧山純子 guest 横田明紀男 (Fried Pride) / meg with Stray Dogs / 山崎千裕 + ROUTE14band
詳細 : http://sumida-jazz.jp/sj/ (すみだストリートジャズフェスティバル)
PROFILE

たをやめオルケスタ
水分不足のビッグバンド界に華麗なる殴り込み。
2008年結成、18人の女子から成るトロピカル楽団。18人という大所帯とはいえ、どのバンドにも負けない団結力とパッションでもって、しみったれたジャズとは一線を画す、ポップな魂を込めたド迫力のステージを展開中。まさにビッグバンドの常識を覆す新感覚ビッグバンド。
楽曲はもちろん全曲メンバーのオリジナル・アレンジ。さらに舞台演出や衣装制作、グッズのデザイン、 YouTube動画までもメンバーの手でプロデュースしているこだわりぶり。「手弱女」と書いて「たをやめ」と読むが、そんなか弱く儚いネーミングとは裏腹に、18人のタフな オンナたちはぐいぐいと前に進んでいく。
2013年7月に1stフル・アルバム『緞帳プレリュード』を発売。そして2014年7月2日に2ndフル・アルバム『紺碧レジーナ』をリリース。