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今年4月に全国発売されたデビュー作『ループする』に続いて、早くもふくろうず2作目のアルバム『ごめんね』が届いた。エンジニアを担当したのは前作に引き続き益子樹。今回も見事に楽曲の粒を揃えてきている。やっぱりこのバンドはいい。一聴するとなんの変哲もないポップ・ソングのようでいて、例えばメロディはそのままにコードを変えてムードを一変させたり、演奏の抜き差しで起承転結をつけたりと、実はかなりアクロバティックな展開がたくさん用意されていて、聴く度に驚きと発見がある。前作同様、ニュー・ウェイヴ〜80年代のバブリーなポップス辺りが作品の基調となっているが、そういった参照点をアレンジとして加えるのではなく、きっちりとソング・ライティングにも反映させているところにこのバンドの勤勉さ、懐の深さを感じる。特にバンドのフロントに立つ内田万理は、歌い手としての資質の高さはもちろんだが、ソング・ライターとしてももっと評価されていい。目を通すことが出来たいくつかのインタヴュー記事によると、内田が曲作りを始めたのはこのバンドを結成してからだそうだ。それでこのクオリティはちょっと驚異的と言っていい。
たまにテレビとかでチャートものの番組をチェックしてはこの国の将来を憂いている僕のような人間からすると、ふくろうずは今そこに一石を投じる事が出来る、数少ない存在のように感じる。どこかフリーキーなのに、放っておいたらいつの間にかお茶の間レベルにまで浸透していそうな、飄々とした雰囲気と力量を感じさせる充実作の完成だ。(text by 渡辺裕也)
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PROFILE
2007年に東京で結成された4人組New J-POPバンド。昨年末、スーパーカー、クラムボンやキセル等を手掛けた益子樹(ROVO、ASLN、DUB SQUAD)をレコーディング&マスタリング・エンジニアに迎え、バンドにとって初の音源となる5曲入りミニ・アルバム『ループする』(期間生産限定盤)を、ライヴ会場とdisc union限定で発売。そして新たにLOVES.、LEO Imai等のギタリストとして活躍する岩谷啓士郎(LOVES.、BROKEN BOY)をエンジニアに迎え、新曲2曲を追加したデビュー・アルバムを初の全国流通盤として4月7日にリリース。
ごめんねワンマン
2010年11月28日(日)@代官山UNIT
開場 : 17:00 / 開演 : 18:00
料金(税込) : ¥2,800(D別)