ジョアンナ・ニューサム@代官山UNIT
text by 渡辺裕也
約3年半ぶりとなる新作のリリースを目前に控えたジョアンナがまさかの来日公演決定! 昨年の公演がキャンセルになってしまった後だっただけに、これは見逃せません!
という事で、行って参りました代官山UNIT。会場はオープニング・アクトのドライ・リヴァー・ストリングが演奏している段階で既に超満員。少しでもジョアンナ様の麗しいお姿を近くで拝見しようという人の群れでごった返してました。ジョアンナの優雅な音楽を堪能するには、正直似つかわしくないシチュエーションでしたが、これも今の彼女に対する注目度が如何に高いかの表れですね。
スタートがけっこう遅れている。早まる気持ちを抑え切れなくなってきた聴衆の前に、いよいよジョアンナがにっこりと笑顔で登場。こりゃ確かにかわいいです。序盤は彼女一人がハープを抱えての演奏。その最初の一声で、彼女が歌い手として格段に成長した事がわかる。かつての小鳥がさえずるような細くて高い歌声は、より澄み渡って、凛とした力強いものになった。
そしてトリオ編成での演奏がスタート。もうここからが壮絶でした。脇を固める二人の楽曲構成能力がとにかく高い。様々な弦楽器、吹奏楽器を次々と持ち替えながら曲に更なる色合いを加えていくライアン・フランチェスコーニ。ただビートを乗せるのではなく、音響的な効果を与えながら曲中のストーリーを演出していく、ドラマーのニール・モーガン。二人の演奏がジョアンナの声とハープに相まっていく様は、トリオとは思えないほどに緻密でダイナミック。ジョアンナよりも二人の演奏にくぎ付けになった人がいてもおかしくはないでしょう。
この日のハイライトは、ジョアンナがハープからピアノに移って最初に演奏された「Easy」。今回は間もなくリリースされる新作からも多くの曲が披露されましたが、その中でも最も強いインパクトを与えていたのはこれでしょう。ピアノの緩やかな導入から、4連のリズムに移り、徐々に不穏な雰囲気に転調していく。そこにドラムが入ってきてからのドラマティックな展開と言ったら! 冒頭に収録されるというこの1曲だけで、新作への期待感は存分に膨れ上がります。これがアルバムではフル・オーケストラで演奏されてるんだから、もうえらい事になりますよ。終盤は代表曲も次々と披露。本編最後の「Peach, Plum, Pear」は、アレンジによりいっそう磨きがかかっていました。そのあとアンコールで1曲演奏して終了。いや、あっという間。
やはり今、オーケストラル・ポップの極致にいるのはやはり彼女です。そう確信するのに十分すぎる程のステージでした。大満足。このまま新作の詳細にも触れていきたいところですが、それはまた後日にしましょう。でもやっぱり一言だけ言っておこう。ステージに向かって右側にいたあのマルチ・プレイヤー。あの男が来るべき新作のキーマンだと断言します!!