内省的なところから外へ
――最新曲の“Song to live”を聴くとそういう岡田さんの内省的な面がわかる気がします。
岡田:バンドを始めてだんだん自信もついてきてはいるんですけど、なんかまだ繊細すぎるのか……自分で言うなって感じなんですけど(笑)。“Song to live”で言うと、僕の家は甲州街道のすぐ近くで、ちょっと歩いたら車がブーンって行き交っていてすごくうるさいんですよね。だからもう365日AirPodsをしない日はなくて、1日のうち数時間は “デジタル耳栓” として絶対つけてるんですよ。人混みを歩くときもAirPodsで聴く音楽が強くしてくれるっていうか、僕はそうやって自分の武器とか武装として使っているときがあって。音楽ってそういう力があるし、Giraffe Johnの音楽も誰かにとってそうなってくれたらいいなと思って書いたのが、“Song to live”です。
――一見、派手で楽しいバンドに見えますけど、そのフロントマンが内省的で葛藤してるっていうのが、僕はすごくいいなと思いますよ。
マルシェ・金澤:ははははは(笑)。
岡田:そうですか(笑)。これをどうやって表に出そうかなって。パッと見、「太郎くん、陽キャやんね?」って100%言われるんですよ。
マルシェ:パッと見は陽キャですよ。
金澤:中身も陽キャですけど、ただ太郎さんの話を聞いてると、やっぱりボーカリストっていうところだけに関しては、別の人格がいるのかなっていう気はしますね。
岡田:自分でも、どうしたらいいのかなって悩んでるんですよ。もっとグイグイ行きたいんやけど。
金澤:でもそれも個性じゃないですか?僕は昨日、とあるシンガーと一緒の大きめの現場だったんですけど、なんかもうパワーがすごいんですよ。女性なんですけど、すごく背中がでっかく見えて。そうするとこっちはもう、やることを確実に一生懸命やろうっていうことを頭に入れて仕事できるんだけど、太郎さんになると、これは悪い意味じゃないですよ?いい意味でちょっと背中に物足りないところがあるんです。だからこそ、「肩を組んでいこうぜ!」っていう気持ちになれるっていうか。そこは太郎さんの後ろでやっていて面白いところかなと思いますね。
マルシェ:後ろから押さなあかんからね?「もうちょっとカッコつけてええで!」って。彼は最近1人で弾き語りをしたりして歌ってるんですよ。それもこの間観に行ってめっちゃ良かったし、日々進歩してボーカリストになっていくところを見ることができてるんかなみたいな気持ちはありますね。
岡田:そうかあ、ありがとう。
――“Song to live”という曲についてはどう感じていますか。
金澤:恋愛じゃない愛の歌だとすごく思います。心が満たされてないところを、「行こうよ!」って前向きになれる歌詞だなって僕は解釈しています。
マルシェ:だから、どっちかって言ったら他の曲よりは外に向けた言葉かなって思います。
――自分の葛藤もありつつ、歌で誰かの気持ちに寄り添いたいみたいな気持ちがあるのでしょうか。
岡田:そこも今、育てているところです。“アウトサイド宇宙旅行” なんかは、多分自分へのセラピーとして書いたところもあったと思うんですよ。そこから徐々に外に向いてきたかもしれないですね。

――今後はライヴ活動も積極的にやっていく予定ですか?
岡田:そうですね。さっきもお話したように僕は音源主体でやってきたんですけど、他のメンバーはステージに立ってきた人たちだし、僕も楽しいのでライヴはグイグイやっていきたいですね。
マルシェ:ライヴをやっていかないと、このバンドの箔が付かないからね。音源もいいんですけど、今日ここにいない他のメンバー3人もみんなそれぞれライヴで育ってきてる人たちなので、ライヴはやっていきたいです。
金澤:お客さんの声で、「本当に(去年の)5月に始めたの!?」っていうお褒めの言葉をいただくことがあるぐらい、みんな確固たる力がある人が集まっているので、音楽的にもすごくベクトルが上に向いてるっていうか。これは僕の心の中の話なんですけど、さっき言った「ただいま」っていう感覚をこのバンドに帰ってくるとまた味わえるので、そういう意味では僕がこのバンドをやっていくのはやっぱり大事だなって思います。いろんな方と共演させていただいてるけど、「俺はGiraffe Johnの人だよ」っていう感覚です。
岡田:僕は大きい野外のフェスに出たいですね。今日はすごく歌詞に焦点を当てて訊いてくださったんですけど、サウンド的にはスカとかレゲエとかって歌詞とか関係なしに踊りまくっていても良いと思っていて。気持ち良い野外の広い会場でみんなでワーッとやるのは夢ですね。
マルシェ:やっぱりフェスには出たいですね。お客さんを踊らせるバンド・サウンドだとは思うので、そこはやっていきたいです。
――音源も引き続き定期的に出したいわけですよね。
岡田:はい、今年もどんどん出そうと思ってます。
マルシェ:ちょっと今は3月8日のイベントのことで手一杯で(笑)。
――3月8日(土)下北沢THREEで行われる自主企画〈Giraffe John presents Dancing Zoo!! vol.1〉ですね。
岡田:そうです。何やかんやで今までも2ケ月に1回以上は絶対ライヴをしてたんですけど、お呼びいただいてやる形だったので、ずっと自分らで企画して好きなバンドを呼びたいなって。あと、もっとガッツリやりたかったということもあります。
マルシェ:これまで、持ち時間30分のステージとかばっかりだったので、ちょっと長めに「自分たちはこういうバンドやで」っていうのを見せられる日にはなるとは思うので、そこに向けて今準備しています。
――プロフィールにある “ニュー・エモーショナル・ミュージック”を体現するのがこの企画だと思っていいですか。
岡田:そうですね。あとはミクスチャー・バンドって言われることも多いんですけど、このインタヴューを読んだ方にはサウンドも歌詞も、両方気にして聴いてもらいたいなと思います。よろしくお願いします!

編集 : 石川幸穂
Giraffe John、秋冬3部作を連続リリース!
ライヴ情報
2025年2月24日(月・祝)
@池袋Adm
TBA
Giraffe John presents〈Dancing Zoo!! vol.1〉
2025年3月8日(土)
@下北沢THREE
OPEN & DJ START 18:30
ticket : adv 3,000円 / door 3,500円
【LIVE】
Giraffe John
lawind
Navajo
【DJ】
OKU(Funkcuts)
Giraffe Johnの作品はこちらから
PROFILE:Giraffe John
2024年5月始動。
スカ・レゲエ・ダブ・オルタナティブ・ロックの精神をかき混ぜて出来た燃料に、現代を生きる感情で着火して出来る「ニュー・エモーショナル・ミュージック」を鳴らす、東京を拠点に活動する6人組バンド。巻き起こすはDancing Zoo。
それぞれ他のフィールドでも活躍するメンバー達による楽曲とライブパフォーマンスは世界標準。
Gt./Vo. 岡田太郎
Pf./Key. 玲兎
Tb. ヤマモトショウコ
T. Sax. issa
Ba. 金澤力哉
Dr. マルシェⅡ世
■X : @_Giraffe_John_
■Instagram : @giraffe_john
■YouTube : @giraffe_john