出来れば芸能人でいたくないんです
──5月で27年周年を迎えられますけど、20代と現在で曲を作ることや歌うことについて、考えが変わったことはありますか?
岡本 : 私は、曲を作れる時期と作れない時期が交互にありまして。初期の頃は作れない時期が来るとスランプだと思って焦ったり落ち込んだりしていたんです。だけど年数を重ねると、そういうものなんだと分かるようになって。曲が作れない時期はなにも考えずに、人と会ってお話ししたり旅へ行ったり、なにかしらインプットをすることで、自分のなかで歌詞となりメロディとなって出てくる。それが分かってからは、安心して向き合えるようになりました。あと、昔は色々と考えながら「無理してでも作らなきゃ」とか「こういう曲を作らなきゃ」とか、色々な想いがあったんですけど、最近は自然と曲が生まれるようになっていて。気づけば曲作りが習慣になりましたね。
──曲を作らなきゃと追い詰めていた時期があったんですね。
岡本 : “TOMORROW”のイメージが強すぎて、応援歌を求められていたのがデビューから5年間はありました。そこは苦しいというか「私、バラードを歌いたいんだけどな……」みたいな気持ちもあったし、絞り出しても中々アップテンポの曲が作れなくて。バラードで作っていたメロディを無理やりアップにしたこともありました。それによって、こんな作り方もあるんだなと発見ができましたし、その辺はうまくお付き合いできるようになりました。
──20代に関連すると言いますか、すごく蛇足な話ではあるんですけど(笑)。真夜さんが「TOMORROW」ではじめてお給料をもらって、自分へのご褒美に買った物って覚えています?
岡本 : それって「うたばん」で言った話ですか?
──あ、そうです。
岡本 : フライパンでしたっけ?
──はい。1300円のフライパンですね。
岡本 : そうそう。その話をしたら、貴さん(石橋貴明)に「1300円のフライパンが買えないほどだったのか!」とツッコミをされました。
──あとはデビューしたての頃に、SMAPと共演されて「自分がここにいていいのか」と戸惑ったなんて話もありましたね。
岡本 : ふふ、そうですね。
──真夜さんって昔から芸能人っぽさが無いですよね。
岡本 : できれば芸能人でいたくないんですよ(笑)。CDを発売できたら、それだけで幸せだった。だからこそ最初に「私はメディアにも出ないし、顔出しもしません」という約束を事務所としたんですよ。それがいちばんの願いだったんです。人前も苦手でしたし、自分の作品さえ認めてもらえれば幸せだったから、自分が前に出るとかスポットライトを浴びるとかがいまも本当に苦手で。出来れば、音楽を作って静かに暮らしたいっていうのはずっとありまして(笑)。だから芸能人と言われることが、嫌というかしっくり来ないですね。
──真夜さんが芸能人に見られることを避けようとしても、周囲は「あの岡本真夜」として接するというか。
岡本 : ふふふ、そこはしょうがないですよね。
──それでも本人は変わらずにいられているのがすごいですよね。
岡本 : すごいのかは分からないですけど、それが本心というか。「CDを出して、人前に出るのはライヴのみだったら嬉しいです」といまだにスタッフさんに言ってますからね。だから私を説得するために、スタッフさんがいちばん苦労していますよ(笑)。
──おもしろいなあ。
岡本 : テレビに出て、カメラを向けられるのが本当に苦手なんです。今日も午前中に番組で歌ってきたんですけど、いまだに歌っている最中に顔がひきつりますからね。やっぱダメだ!と思って(笑)。
──ふふふ。これだけ出演を重ねても慣れないっていう。
岡本 : 向いてないんですよ。だから静かに暮らすのが夢ですね。
──思わぬところでいうと〈ハライチのターン〉で「ハピハピ バースディ」が何度も取り上げられたことですよ。
岡本 : あ、そうなんですよね! ありがたいことにハライチさんが「ハピハピ バースディ」をすごいかけてくださって。おもしろい使い方をしてくださったおかげで、若い方が聴いてくださったりとかSNSにメッセージが来たりとかで、本当に嬉しいですね。
──真夜さん自身も生歌で出演されて。
岡本 : そうそう! ……というか私よりも私のことを知ってくださってますよね!? ビックリしちゃう(笑)。
──細かい話もいっぱいありますよ。握手会の直前に食欲を抑えられずラーメンを食べた話とか。
岡本 : そんなことまで!
──最初にお伝えした「抜けたところがない」という印象がいまでは大分変わって、知れば知るほど飾らないしチャーミングな方なんだと思いました。
岡本 : アハハハ、実際は抜けてるところばっかりですよ。
──将来はパリに住みたいと言っていましたけど、何歳までにこれはやり遂げたい、という目標はあります?
岡本 : 30周年までは活動をしたいのが1つ。それからなにをしたいのかは色々と考えてはいます。でも、あまり無理をしない生き方をしたいなって。若い時はお仕事も含めて、多少は無理をしなければいけない場面がたくさんあったから頑張っていましたけど、そろそろ心にゆとりのある生活を送れたら良いなと思います。
編集:梶野有希
ライヴ音源〈25th“+1”ANNIVERSARY Concert 2021~Thanks a million~'〉配信中!
〈25th“+1”ANNIVERSARY Concert 2021~Thanks a million~'〉
■形態
Blu-ray / CD (2枚組) | ¥9,900(税込) DVD+CD(2枚組)| ¥8,800(税込)
■映像(Blu-ray / DVD)
01.泣けちゃうほど せつないけど
02.そのままの君でいて
03.宝物
04.ハピハピバースディ
05.YELL~君の声~
06.離れていても
07.Destiny
08.サヨナラ
09.笑顔のおまじない
10.Smile
11.アララの呪文
12.TOMORROW
13.FOREVER
14.Alone
15.想い出にできなくて
16.旅人よ
17.ANNIVERSARY
■音源(CD/配信)
01.泣けちゃうほど せつないけど
02.そのままの君でいて
03.宝物
04.ハピハピバースディ
05.Destiny
06.サヨナラ
07.笑顔のおまじない
08.Smile
09.アララの呪文
10.TOMORROW
11.FOREVER
12.Alone
13.ANNIVERSARY
過去作もチェック!!
PROFILE : 岡本真夜
1995年にデビュー曲「TOMORROW」で、200万枚のセールスを記録。3rdシングル「Alone」は初のバラードとしてロングセラーに。以降、「そのままの君でいて」「サヨナラ」「宝物」「ハピハピバースディ」「アララの呪文」などCMソング・アニメ・ドラマ・映画の主題歌など次々にヒット曲を輩出。一方で、広末涼子、平原綾香、沢田知可子、岩崎宏美、中山美穂、中森明菜、相川七瀬などへの楽曲提供も多数手掛けており、コンポーザーとしても活躍している。2012年3月には、自身のデビュー曲「TOMORROW」を再録音し、東日本大震災で傷ついた人々の復興のためにとALBUM「Tomorrow」を発表。2015年8月にデビュー20年周年を記念して「岡本真夜20th anniversary ALL TIME BEST〜みんなの頑張るを応援する〜」を発売。 2016年3月2日にはmayoとしてピアノインストアルバム「always love you」を発売し、念願のピアニストデビュー。今までに2枚のアルバムを発売。今年でデビュー6周年になる。2016年7月6日に発売した岡本真夜4年振りのオリジナルアルバム「Love Story」では、デビュー以来、初のmayo(岡本真夜)自身による全曲ピアノ演奏もアレンジに取り入れ収録。2020年5月10日にデビュー25周年を迎え、25周年記念ライブツアーやイベントを予定していたが、コロナパンデミックのため全て中止。それでもファンの声に応え7/12(渋谷eplus LIVING ROOM CAFÉ & DINING)と10/10(目黒ブルースアレイ)で自身初の無観客オンラインライブを開催した。現在もシンガーソングライター岡本真夜、ピアニストmayoとして活動。
■公式Twitter:https://twitter.com/mayookamoto510
■公式HP:https://www.mayo-okamoto.com/