混沌とした時代に盟友たちと鳴らす、混沌な音楽──崎山蒼志『good life, good people』

崎山蒼志が6月12日、東京・Spotify O-EASTにて最新アルバム『good life, good people』のリリースライブを開催。約1年ぶりとなる本格的なライブ活動再開の場となった本公演には、アルバム制作に参加した、Mega Shinnosuke、紫 今、原口沙輔、諭吉佳作/menも集結。新作の世界観をステージ上で鮮やかに描き出しながら、崎山蒼志の現在地を示す特別な一夜となった。その模様をレポートする。
崎山蒼志、4枚目のフルアルバム!!
LIVE REPORT : 崎山蒼志 『good life, good people』
取材 & 文 : 風間一慶
撮影 : KEIKO TANABE
『good life, good people』、実に雄弁なタイトルだ。崎山蒼志が仲間と共に作り上げた最新作、そのリリースライブとなる同名の公演が6月12日(金)に開催された。夏を目前に久方ぶりのライブ活動復帰となる崎山、その姿を見届けようと渋谷・Spotify O-Eastは満員御礼だ。
定刻の19時を過ぎると暗転し、万雷の拍手に迎えられて崎山がステージへと登場する。アースカラーのゆったりとしたセットアップ、フォーマルながらリラックスした雰囲気で「よろしくお願いします」と一言告げると雷鳴のようなコードストロークから「五月雨」が始まった。何度となく披露され、ライブ毎に形を変えてきたナンバーだ。以前よりも幾分か抑揚が強調されて柔らかくなったメロディの動きから伝わる、シンガーとしての成熟。そして低音弦のゴツゴツとした音を畳み掛けるプレイが誇る、センスの先鋭化。その二つの軸が崎山蒼志の身体を通して交わる。息継ぎもなしに泳ぎ切るような約4分間、会場の空気が隅々まで澄み切っていった。
歓声が鳴り止まぬまま、冨樫マコト(Ba)と髙橋直希(Dr)が迎えられる。『good life, good people』の制作にも携わり、崎山とも世代の近いプレイヤー二人だ。トリオで息を合わせ、四畳半フォークを意識したという「悪魔」が往年のカントリー・ナンバーのようなゆったりとしたアレンジで奏でられる。キャリアを象徴する「五月雨」から最新作の冒頭のナンバーに繋げられる構成で「アーティスト・崎山蒼志」のボキャブラリーを誇ると、「人生ゲーム remix (prod. 原口沙輔)」」と「Pale Pink」のマッシュアップでエレクトロニカの方面にまで足を伸ばす。ギター一本で即興的に魅せる才と既存の楽曲を再構築するアイデア、近年の崎山を象徴するようなシーンがライブの序盤にして早速訪れる。


「立っちゃってください」と着席していたフロアに声をかけ、3ピースの無骨なサウンドによる「覚えていたのに」で変拍子のリフを弾きこなす崎山。メガネが吹き飛ぶほどの没頭具合で沸かせると、メンバー紹介を挟んで「燈」を奏でる。この時点で崎山蒼志のらしさは十分すぎるほどに強調されているのだが、ここから『good life, good people』の「good people」を担うキーパーソンたちが登場する。
まず呼び込まれたのは諭吉佳作/men。同世代、共に静岡出身で中学校の頃から親交があったというふたりが「むげん・」を歌う。瑞々しいデュエットにはティーンエイジャーの頃に綴った彼らの影が滲み、一層沈みこむように歌われる「ghost」では変わらぬ美的感覚が浮かび上がる。《会いたいよ なんだか/不条理な世界の話》という一節には、歳を重ねて生活の影響を歌うようになった崎山の素朴さが表れているかのようだ。

続いて登場したのは紫 今だ。昨年バイラルヒットを飛ばした「ウワサのあの子」を崎山のバッキング・ギターと共に披露、上手から下手までステージを大きく使って一瞬で会場のムードをジャックする。崎山のファンキーなプレイにオールスタンディングのフロアが歓声で応えると、アコースティック・ギターに持ち替えて「人生ゲーム」に突入。カラフルなライトが炊かれる中で紫 今と共にフィーチャリングで参加したMega Shinnosukeが登場する。ステージ上の派手な光景と人生の素朴な実感を映し取ったそれぞれのリリック、崎山もハンドマイクに持ち替えて会場のテンションを最高潮に引き上げる。
「普段飲んでる人間と1000人の前に立たされるって不思議な気持ち」というMega Shinnosuke。プライベートでも親友のふたりがふんわりとした雰囲気で話す様には、「good people」に囲まれて涵養されたアルバムの柔和な雰囲気が滲んでいるようだった。Mega Shinnosukeが名残惜しそうにトークを続け、空気が落ち着いたところで「海をみにいこう」をゆったりと歌う。日常からの逃避にも聞こえるその響き、観客はしばしの間着席して聞き入っていた。


次なる「good people」は原口沙輔。二人でセッションするように作り上げた「ending routine」で再びSpotify O-Eastが加熱される。ハイテンポな展開に冨樫と髙橋がテクニカルに絡み、相乗効果のようにパフォーマンスの密度が高まっていく。有機的なグルーヴに刺激を受けたのか、リラックスした原口沙輔は「無ートピア」でラップトップを肩掛けキーボードのように操ってフロアを煽る。
アルバムに参加した「good people」と共にステージを楽しんできた崎山。それぞれ出自もジャンルも異なるメンバーだが、彼らを自室に招き入れるように迎え、ベン図の重なる領域として自身のイマジネーションを位置付けてきた崎山のそこはかとない存在感こそが、最も得難い才能なのかもしれない。「ダイアリー」に「eden」と『good life, good people』の楽曲をトリオで披露する、その背後には自身の歩んできた人生を取り巻く善き人々の顔が浮かんでいるようにも見えた。


本編ラストの「国」を終え、アンコールに入ると、崎山は「渋谷というカオスな街でカオスな音楽をやれてよかったです」と語った。ギターを片手に異領域を横断し、混沌とした時代に対応した混沌な音楽──何せ「悪魔」で始まり「人生ゲーム」で終わるアルバムだ──を手にした崎山蒼志。冨樫のベースを伴走にシンプルなアレンジで歌った「泡沫」の慈しみに満ちたリリックがSpotify O-Eastを浸していく。
ラストに選んだのは「I Don't Wanna Dance In This Squall」。千切れそうなエレクトロニカの中で、《僕は君と話したい》という一節が聞こえてきた。突き抜けた優しさを最大出力の抱擁で表現するような、そんなエナジーが崎山の全身を伝って流れ込む。再びメガネを吹き飛ばし、轟音のファズ・ギターを放って、100分足らずのショーは大歓声と共に幕を閉じた。

崎山蒼志、4枚目のフルアルバム!!
セットリスト
M1.Samidare
M2.悪魔
M3.人生ゲーム album remix (prod.原口沙輔) intro ~Pale Pink
M4.覚えていたのに
M5.燈
M6.むげん・ (with 諭吉佳作/men)
M7.ghost (諭吉佳作/men)
M8.ウワサのあの子 (紫 今)
M9.人生ゲーム (Mega Shinnosuke、紫 今)
M10.海をみにいこう (Mega Shinnosuke)
M11.ending routine (原口沙輔)
M12.無-トピア (原口沙輔)
M13.ダイアリー
M14.eden
M15.国
ENCORE
M16.泡沫
M17.I Don’t Wanna Dance In This Squall
LIVE 情報
■8月23日(日)スカート presents “one and one and one is three"”
会場:東京・代官山UNIT
時間:17:00開場/18:00開演
■9月12日(土)・13日(日)FC限定ライブ「jikken #2」「jikken #3」
【jikken #2】
日程:9月12日(土)
時間:17:30開場/18:00開演
会場:東京・渋谷 7thFLOOR
【jikken #3】
日程:9月13日(日)
時間:11:30開場/12:00開演
会場:東京・渋谷 7thFLOOR
■9月20日(日)古舘佑太郎主催アルバムリリース記念ツーマンコンサート「-命題-」
日程:9月20日(日)
会場:東京・渋谷CLUB QUATTRO
時間:17:00開場/18:00開演
詳しくはオフィシャルHPをご確認ください。 https://sakiyamasoushi.com/
ディスコグラフィー
新→古
その他の音源はこちら
INFORMATION
■オフィシャルサイト:https://sakiyamasoushi.com/
■X:https://X.com/soushiclub
■Instagram:https://www.instagram.com/soush.i_sakiyama/
■YouTube:https://youtube.com/@SoushiSakiyama
■TikTok:https://www.tiktok.com/@sakiyamasoushi_official
■Streaming&Download:https://soushi.lnk.to/VqCD1h

















B-064.jpg?width=72)


































































































































































































































































































































































.jpg?width=350)
















