TrySailはなぜ“お祭りマッスルユニット”になれたのか──「憧憬」と「Cheers and Cheers!!!」に刻まれた10年

2026年にデビュー12年目を迎えたTrySailが、18thシングル「憧憬」をリリースする。TVアニメ『落第賢者の学院無双』ED主題歌となる表題曲は、爽やかなロックサウンドの中に、憧れの眩しさと、その裏側にある影を宿した1曲。一方、カップリングの「Cheers and Cheers!!!」は、10周年を駆け抜けた3人とファンが互いを労い合う“打ち上げ”のような楽曲だ。 10年を経て、TrySailは自分たちをどう捉えるようになったのか。インタビューで浮かび上がってきたのは、“真剣にふざける”ことができるようになった3人の現在地だった。
18thシングル「憧憬」ハイレゾ配信中!!
INTERVIEW : TrySail

インタビュー&文 : 前田勇介
撮影:つぼいひろこ
ダウナーになろうと思えば、いくらでもなれる楽曲
──まず、表題曲「憧憬」からお伺いします。自分が最初に聴いた印象としては、ある意味で王道というか、アニソンとしてもTrySailとしても“ど真ん中”の曲なのかなと感じました。ただ、10周年を経た今だからこそ、そういう”王道”がオタク的にはすごく刺さるというか、説得力が増しているようにも感じています。改めて、この曲で届けたいメッセージや、みなさんが最初に聴いたときの第一印象を教えてください。
夏川:最初にお話をいただいたとき、いくつか候補曲があったんです。作品サイドから「こういう楽曲にしたい」という要望もあって、その中で私たちも「この曲か、この曲がいいと思います」と候補を絞っていきました。
私は、もっとロックな曲が選ばれると思っていたので、意外にも少し落ち着いた、爽やかでリズミカルだけど大人っぽい曲が選ばれたな、という印象でした。
麻倉:TrySailとして、こういうかっこいい世界観の曲は久しぶりでした。最近は本当に“お祭りマッスルユニット”みたいな、「イェーイ!」という感じの曲が多かったので、表題曲でこういう雰囲気は久しぶりだなと。
TrySailのかっこいい曲の中でも、歌詞に世界観がしっかりあって、少し落ちているような感情もある。難しい曲かなと思ったんですけど、歌詞の内容自体はストレートでまっすぐだったので、ニュアンスをいろいろ入れて歌おうと思いました。
雨宮:私は、TrySailとしてはあまり”王道”という印象はなくて、新しい曲だなと思いました。どんどん展開していく感じや、少し難しいコード感もあって、これまでのTrySailにはあまりない雰囲気だなと思っています。ただ、10年やってきた今に、「憧れ」をテーマに歌うという新鮮さはありましたね。

──「憧れ」という言葉自体はすごく前向きだと思うんですけど、歌詞を見ていくと苦しさも感じられる曲だと思いました。レコーディングでは、どのように気持ちを作っていかれましたか?
夏川:ダウナーになろうと思えば、いくらでもなれる楽曲だなと思いました。下に掘っていこうと思えば、どこまでも掘っていけるというか。だから、どの程度まで落とすべきなのかなとは考えていました。
ただ、後ろで流れている音には爽やかな部分もすごくあるし、作品のエンディングとはいえ、ただ悲しい感じになるのも違うのかなと思っていました。レコーディングでどうディレクションされるのかなと思っていたんですが、かなり歌詞の世界に寄ったディレクションがあったので、「やっていいのであれば!」という気持ちで落としていった感覚でした。
麻倉:AメロやBメロは、音や歌詞も含めて少し落ちている印象がありました。ただ、私の中ではDメロ以降は強く決意を固めて突き進んでいくイメージだったので、振り幅が大きい曲だなと感じていました。
レコーディング現場に行ったとき、1Bの頭の私の歌い分けで「もっと消え入りそうな感じ」「砂になって消えていく感じ」というディレクションを受けて、そこで現場で作っていって、自分が思っていたよりもさらに幅の大きな曲になりました。
──お二人とも、ディレクションを受けて「もっと気持ちを下げていいんだ」と感じたというお話でしたが、雨宮さんはいかがでしたか?
雨宮:さっきも言った通り、かなり展開の多い楽曲ですし、歌詞がとても内面的なんですよね。自分が思ったことや、今考えていること、疑問をひたすら並べていくような歌詞になっています。
それを少しセリフ的なアプローチで歌にも落とし込んでいくのが私の歌のスタイルなんですけど、この曲はすごくやりがいがありました。歌なんだけど、お芝居感が強かったので、レコーディングはすごく楽しかったです。
──例えば自問自答してみたり、内省的な感情の中でもバリエーションをつけていくような感覚でしょうか?
雨宮:そうですね。ここは迷っている、ここは決意している、ここは砂のように消えていく……みたいに、いろんな声のバリエーションで歌いました。そこは面白かったです。
──そういった部分が聴きどころにもなりそうですね。
雨宮:はい。かなりいろいろな形で感情表現を込められたと思います。1番と2番で同じメロディーでも、どちらも歌い分けがあるので、聴き比べてもらうと「ニュアンスを変えてきたな!」と感じてもらえると思います。






















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