やっぱり歌メロとリズムというのが密接に関係してます

──ちょっとバンドの話を。サックスの西内徹さんはゆらゆらの『空洞です』(2007年)から、ソロ・ファーストの『幻とのつきあい方』(2011年)でドラマーの菅沼雄太さん、2014年の『ナマで踊ろう』でベース&コーラスにAYAさんが加わって、いまのバンドのメンバーになって、さらにはそのメンバーで2017年にライヴをスタートするわけですが(当初は菅沼&AYAとの3ピース)、ということはこの体制になってほぼ10年が経っていると思うのですが、演奏とかレコーディングなんかでバンドの関係性とか変化はありますか?
特に急にここが変わったとかは感じたりはしてないですけど、でもやっぱりじんわりと変わって感じはあるかもしれませんね。
──この前、他のお三方のインタヴューをそれぞれ、ele-kingの別冊でやらせてもらったんですが、例えば菅沼さんは、ファーストの頃の坂本さんの作りたいものをというところから、作品を重ねていくうちにもう少し提案とかもするようになったかもというのはおしゃってたんですが。
それはそうかもしれませんね。ファースト·アルバムは特に自分が作りたい音がはっきりあって、それに向けて音作りをしてもらったので。いまは確かにドラムの音色とかも菅沼くんにお任せみたいな部分が増えてきてるのかもしれないですね。
──演奏で印象的だったのは「あなたの場所はありますか?」のデレイがかかったフルートで、ムード歌謡のようでもあり、サイケデリック·ガレージのようでもありという。
あの曲に関していえば、まずはデモの段階では、メロトロンのフルートみたいな音色になるエフェクターにすごいディレイをかけたギターが入ってました。それを西内さんに「こんな感じで後からディレイをかけるので、いい感じでブルース·スケールのフルートを吹いて」とお願いしました。西内さんに関しては、丸投げしてお任せの場合もありますし、僕が考えたフレーズを吹いてもらうこともあります。曲によりますね。ベースラインとドラムの基本パターンは僕が考えて、それはその通りやってもらってますね。基本ベースラインとドラム・パターンはデモが決定バージョンっていうか。そこから動かないっていう。
──他メンバーのインタビューでレコーディングのプロセスを聞いたんですが、リハーサル・スタジオでまずは新曲を習熟して満足いくような演奏になってからレコーディングするという作り方で一貫しているということですが。その後、ほぼできあがった状態で西内さんが吹くという。
最初から僕も含めた3人で練習します。やっぱり歌メロとリズムというのが密接に関係してますし、リズムマシンと生ドラムではグッとくるテンポも違ってくるので。
──そこに言葉も?
歌詞はその時点で出来てない場合も多いんですけど。出鱈目英語のメロディとリズムのアクセントを確認したりします。
──ドラムとかリズム隊のレコーディングで、今回はなにかありましたか?
全体を通して「こういうサウンドで」というのは特になかった気がしますね。
──ミックスとかマスタリングとかで今回何か何か留意したってこととかってありますか?
そこも、いつもと変わらなかったですね。最近はかなり菅沼くんの意見に頼ってます。ミックスも全部立ち会ってくれて。
──中村(宗一郎)さんと、坂本さん、菅沼さんで3人でってことですよね。
ドラムの音に関しては、やっぱり菅沼くんの方が精度高いんで。「このマイクはこっちの音を録るのにいい」とか、なんか色々あるんで任せてます。もう僕の好みの音もわかってくれてるので、あんまり説明する必要がなくなって。よっぽどなんか思ってるのと違う風になってきたら言いますけど。もうちょっと固めにとか、もうちょっと柔らかくぐらいしか言えないですけどね。録音機材の事は詳しくはないんで中村さんと菅沼くんに委ねてます。でもそうするといろいろ提案してくれるっていう感じですね。
──ソロ初期に比べると、変化といえば変化ですよね。
そう言われてみるとそうですね。菅沼くんは機材のことも詳しいので、いろいろ中村さんとマイクとかの話で盛り上がってますから。そういう部分で二人に任せてる部分も変化といえば変化かも。
──もうチームというか、こまかく言わずともという部分が大きくなってきてという。
中村さんともずっとやっているから、当たり前ですけど変な感じにはならないですし。
「それとこれとは話は別」みたいな感じで曲が作れなくなっちゃうぐらい、切実になってるということなのかもしれませんね

──曲順や構成に関してはどのように?
曲順は最後に決めました。単純に流れとして聴きやすい。飽きずに一気に聴ける曲順を考えてって感じですね。
──それで最終的にタイトルを『ヤッホー』としたのは? ひとつ思ったのはまた歌詞の話なんですけど、そのアルバムの中では割と未来に開かれている楽曲かなとは思ったんですけど。
曲名と別にアルバム・タイトルをつけるっていう感じでもなかったし、そういう案もなかったんで。これも単純に一番アルバム・タイトルっぽいやつにしたっていう感じですね、正直なところ。この曲に関してはアルバムの最初か最後ぐらいしか曲順を思いつかなくて、なんかこういう感じの曲を一曲目にしたアルバムは他にもあったなと思って、最後にしました。
──ちょっと今回は編集部の津田も質問したいことがあるということで。
──津田 : 前に別のインタビューで「焦らずに作る」ということをおっしゃってたと思うんですけど、「アルバムを出す」ってタイミングってどういうものなんですか?
ソロになって最初の3枚はわりとスパンがもっと短かったんですよね、2年に1枚ぐらいは出てた気がするんですけど。4枚目を作る前にライブを始めて、それまでは曲だけ作ってたんで、もっと短いスパンでアルバムができたんですけど、ライブの練習とかライブのアレンジを考えたりというのがあって、それで曲を作る時間がなくなっちゃって。だから今回の作品は、ちょっとそれまでより間が空いてるんですけど。まぁ、頑張ってこんな感じですね。1曲ずつ曲を作り貯めてMTRに録音してるんですけど。そういうデモが大体7曲ぐらいできたらアルバムになるかなと。まあ大体10曲なんで、7~8曲ぐらい及第点だと思える楽曲ができたら、メンバーに聴かせるみたいな感じが多いですかね。今回は10曲できたんで、アルバムにしようかなって感じです。
──津田 : それまで待って作るというのが、坂本さんの「焦らず」というタイミングなんでしょうか?
えっと、そうですね。あとコロナ禍にアルバムを作るまで到達できそうもないので小出しに7インチを出した時期もあって。
──津田 : 「軽快なムードにしたい」っていうことを別のインタヴューでおしゃってたと思うんですけど、自分の妄想としてはその表現として虫声とか、こどもの声を使ったりとか、あったんじゃないかと思ってて。ただ今回はもっとそういう装飾もなく、シンプルになったなっていう印象があって。そういう「装飾的な要素がなく10曲揃った」というところでアルバムを作ったのかなとか思って、そうではないんですか?
いやそれも結果的にそうなっただけで。今回の曲にあんまりそいういう要素を入れるところがなくて。女性コーラスとかも今回は少なめかなと思うんですけど。それも結果的にこんな感じになったっていうだけですね。
──津田 : 歌詞はさっきも出てきましたけど、直接的な表現になったみたいに今回のアルバムの取材で言われ続けて、それに対して「なんでだろう?」みたいに思うことはありますか?
やっぱり今の社会情勢に自分が飲まれちゃってるんじゃないですかね。「それとこれとは話は別」みたいな感じで曲が作れなくなっちゃうぐらい、切実になってるということなのかもしれませんね。

──津田 : 私今は28なんですけど、周りのDJやってる友達とか、音楽やってる友達と話してても、なんか急に坂本さんの話になったりとかするんですよ。
え、急に僕の話になるんですか?
──津田 : なんかの話してて「転勤族が」とか言うと「坂本慎太郎も転勤族だったらしいよ」とかみたいに、そういう世代にしても、とにかく親近感を持ってみんな坂本さんの音楽を聴いてるイメージがあるんですよ。
それは単純に嬉しいですけどね。
──津田 : 坂本さんの音楽は、軽快な気持ちになるような音楽にしたいけど、同時にこういう歌詞があってと、世の中のムードみたいなものとどうしても合致しているっていう感じが自分の中ではあって、そういのも若い世代に伝わっているなみたいなことって思ったりしますか?
すごい若い人がライブに来てくれたり、人づてにそういう話、例えば友達の子供がすごいファンだっていうことを教えてもらったりすることはありますね。ライブの客席見てても、暗いので歳はそんなわからないけど、見た感じ、そこまでおじいさんとおばあさんばっかりじゃないし。結構若い人もいるなとかは感じますね。もっと中学生とかも聞いてくれてるっていうのを聞く機会もありますね。うん、もちろん、そういうのはすごい嬉しいですけどね。
──津田 : ポップな音楽だけど、そこに余白を用意してあげている状態というか、シンプルな言葉や表現でというのがあるんじゃないかと思います。
それが若い人にも受けてる要素ではないかと思っているってことですか?
──津田 : 音楽の要素として、そうじゃないかなと。
それが伝わってるんだとしたら希望が持てるっていうか。いまなんかすごい密度があって、完成度が高くて、展開も早くてというのが、若い人がみんな好きなのかなって思ってたんで。
──津田 : そういうのが好きじゃない人もいるっていうことだと思いますけどね。
そうですね。多分いますもんね。
──津田 : すいません、もう一個だけ、ソロになって、どこか共通の世界観が統一されていて、そのなかに「みんな踊りませんか」というか、「踊る」という言葉が頻出するワードじゃないかと思っていて、坂本さんにとって、それは結構大事なテーマなのかなと。
音楽とダンスっていうのは伝統的なもので、例えばロックンロールとか、そういう古い音楽でもやっぱりみんなダンスミュージックの側面があるわけで。だから「踊る」という言葉はありふれた歌詞ですけど、誰がいつ使っても良い言葉に入るんじゃないかなと勝手に思っていて。伝統的な多用していい言葉、ラブみたいなもんだと思っているところはありますね。本当は歌詞に全然意味が無くて「みんな踊ってる」「みんな踊りましょう?」みたいな曲で、かっこよく響けばそういうがやりたいです。でも、そうもいかなくてちょっとだけ出てるって感じですね。昔のロックンロールとかポップスみたいに、それしか言ってないみたいな曲もすごい好きなんで。そういうのに対する憧れっていうのもありますね。
──津田 : みんなに対して「なんで踊らないんですか?」って言いたいわけではない?
そういうわけではないですね。僕も踊るタイプの人間ではないので。逆にそういうのに対して憧れみたいなのがあるのかもしれないですね。
ハイレゾ版は特典でブックレート・データも同梱! こちらはロスレス版(CDと同等音質)
坂本慎太郎過去作品
アルバム
シングル
PROFILE
坂本慎太郎
1989年、ロックバンド、ゆらゆら帝国のボーカル&ギターとして活動を始める。
2010年バンド解散後、2011年に自身のレーベル“zelone records”にてソロ活動をスタート。2017年、ドイツのケルンでライブ活動を再開。
2022年、4thソロアルバム「物語のように (Like A Fable)」を発表。
2024年、2度目のUSツアー、インドネシア、タイ、台湾、韓国でのLIVEを国内ツアーと並行して展開。
2025年、NetflixにてLIVEフィルム作品「坂本慎太郎LIVE2022@キャバレーニュー白馬」配信中。7月に開催されるFRF’25に出演。
また、様々なアーティストへの楽曲提供、アートワーク提供他、活動は多岐に渡る。
official HP/SNS: https://linktr.ee/shintarosakamoto_official































































































































































































































































































B-064.jpg?width=350)







