中野ミホ 『Bones』
自分の身体/肉体というものを、時にどう捉えたらいいのかわからなくなる瞬間がある。意思決定から外れたところで調子は乱れ、自分でありながら所有しているものではないという感覚。なかでも「骨」は肉体の骨組みとなりながら、皮膚や血肉で覆われているがゆえに、その存在を日常的に意識することはほとんどない。このEPは、そうした無意識下の領域へと潜り込んでいくような作品だ。ピアノとドラムを軸にした抑制的でジャジーなサウンドがその世界観の土台を築き、発声のわずかな揺らぎや濁音の摩擦まで捉えた解像度の高い歌声は切実さを帯び、耳元に届けられた時、心は揺さぶられる。散文詩のように断片的に語られる言葉が連なり、親密な物語が立ち上がる。短編小説、あるいは夢日記のオムニバスのように、それぞれの物語が自立しながらも互いに呼応し、潜在意識の深層で輪郭を描く一作。(石)
開始 『杏露を泳ぐ魚たち』
あくまでマイノリティ、オルタナティヴでいながらも現代的に最適化された楽曲構成で、全編通して鋭さと柔らかさ、轟音と静寂の絶妙なバランスを保ち続けている名作。無駄を削ぎ落とすことを徹底し、一切の間延びを許さないソング・ライティングにより、4分以上の曲は8曲中2曲しかなく、声、曲、歌詞の美味しいところと興味深いところを味わってから、少し物足りないくらいでアルバムが終わる。この音色でハイクオリティとローカロリーを両立しているのは本当にすごい。なかでもSUPER WATERは、こんなに良いイントロと骨太なサウンドなのに2分半で終わってしまうのかとすら思う。音楽体験として、ぜひ聴いてほしいです。(菅)
zoo 『WISH I WERE』
「岡山の至宝」とも呼ばれる3人組、zooによるアルバム。オルタナティブな衝動と、まっすぐな歌心、いまを生きる青春の焦燥感が、ひとつの「オルタナ歌謡」として結実している。ギターボーカル・みちのぶななこは超右腕のメンバーとしても知られるが、この歌詞をこのメロディで歌うのは彼女以外にいないと、一聴で確信させられる。歪んだギターと親密な歌メロが拮抗し、ままならなさや生きづらさ、根拠のない高揚といった感情の湿り気が押し寄せる。音楽やギターへの揺るぎない愛に満ちた作品。もはや「岡山の」どころではない、日本の宝だ。(高)
















































































































































































































































































































