OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.34b sei-syun in the cakebox
OTOTOY編集者の週替わりプレイリOAスト&コラム(毎週金曜日更新)
sei-syun in the cakebox
今から約10年ほど前、私はヒトリエというロックバンドの大ファンでした (もちろん今でも大好きなのですが、あまりライブに足を運べていないので大ファンと名乗るのは恐れ多く……)。CDが出ればメンバーの店周りに合わせてCDショップに行き、ラジオや雑誌も欠かさずチェック、学生だったのでライブはたまのご褒美に。バンドのライブがどれだけかっこいいか、ロックがどれだけ素晴らしい音楽かを教えてくれたのは間違いなく彼らなのです。
さて、オタクという生き物がこれだけ一つのバンドにのめり込むと、メンバーの別活動も気になるというのが世の常。ヒトリエはメンバー全員が元々音楽活動を行なっていたため、その沼は想像以上に深いものでした。ボーカル・ギターのwowakaによるボーカロイド楽曲、ドラムのゆーまおによる叩いてみた動画やバンド・優しくして♪、ベースのイガラシが所属していたバンド・石鹸屋などなど、インターネット上で確認できる彼らの関わったコンテンツはほぼ全て摂取したと言っても過言はありませんでした。
なかでも私がのめり込んだのがギターを (現在はボーカルも) 務めるシノダによる同人サークル・cakebox。音楽聴取体験がまだまだ少なかった高校生の私にとって、彼の作ったアルバムの数々は全てが衝撃でした。普段ライブハウスで見ている荒々しい演奏姿からは想像できないほど優しい歌声と抒情的な歌詞、アコースティック/エレキの両方が織りなす美しく儚いギターフレーズ……。まるでセカイ系アニメのような不思議な引力にすっかり取り込まれ、必死でCDを集めたものです(同人CDだったので当時はすでに入手困難であり、中古ショップかメロンブックスのDL販売でしか手にいれる方法がなかった)。
そんなcakebox、2024年に突如新曲を発表し、界隈に激震が走ったのですが、今年はなんとライブを開催 (行けていません、悔しい)。そしてそれに合わせてか、過去作4タイトルが配信&サブスク解禁! もうこれは本当に、本当に一大ニュースです。あの頃喉から手が出るほど欲しかった作品たちを、今はもう好きな時に好きなだけ聴くことができるのです!
というわけで、今回は全曲紹介したい気持ちをグッとこらえて厳選した10曲をプレイリストにまとめ、cakebox入門編とさせていただきました。いわゆる残響系的なエッセンスを感じる怪しげな変拍子が気持ち良い “もしもあの時、カッシーニが。”、オーソドックスなポップ・ロックナンバーでありつつも冒頭のノイズやちょっと癖のある言い回しが愛おしい “アンハッピーアイスクリーム”、浮遊感の中で鳴り響く轟音ギターでトリップ必須のシューゲイザー/ドリーム・ポップ的ナンバー “How to kill an angel”、ヒトリエにも続いている彼のギター・リフセンスが光りまくりな “sei-syun nectar” と、とにかくすごい楽曲しかありません! 今のバンドシーンで流行っているものの全てが詰まっているのでは? とすら思ってしまいます。ロスレスで聴くcakebox、ご堪能あれ。東方アレンジの方もいつか配信&サブスク解禁されることを心より願っております。






















































































































































































































































































































































































































