西村賢太と村上春樹を同時に読むというか、全然違う二つの世界の間に自分がいる感覚で
──なるほど(笑)。『good life, good people』において、ハイパーな側面は他にどのような点で表れていると思いますか?
最初に「ダイアリー」のタイアップの依頼を『SANDA』側から頂いた時に、Kabanaguさんと作った「覚えていたのに」をリファレンスとして共有してもらったんですよね。それで再び会って曲を作るタイミングでkosamegaさんとPAS TASTAのyuigotさんに参加してもらって、ハイパーポップのテイストを入れたんです。カップリングの「Eden pt.2」は自分で打ち込んだ曲なんですけど、「ダイアリー」と近いイメージでエレクトロニカを作りました。Maltine Recordsリスペクト、みたいな。
──特に前半はその色が強いですよね。「人生ゲーム」のリミックスと「ending routine」で原口沙輔さんも参加しています。
沙輔くんには、まず「人生ゲーム」のリミックスを頼んだんです。とりあえず、なんか過剰にして欲しくて。それで返ってきた音源があまりにカッコよかったから、アルバムを離脱する前にすぐ聴いてほしくて(笑)。なので、普通リミックスってアルバムのラストに入れると思うんですけど、今回は先に沙輔くんのバージョンを入れました。アルバム全体のテンション的にも「悪魔」から繋がりやすいんじゃないかと思ったんですよね。
「ending routine」はスタジオにふたりで入って、最近興味あるものをバーって聴いた後に、僕が弾いたギターと沙輔くんのビートでセッションするように作ったんです。沙輔くんってサウンドはもちろん、使う和音も坂本龍一とかブラジル音楽の影響でめっちゃ面白いんですよね。そういうコラボが今は自分にとって楽しいっていうか。
──他にも、「ghost」では久しぶりに諭吉佳作/menさんと共演してますね。どういう経緯で再び共演するに至ったんですか?
久しぶりにご一緒したなって思ったんです。LINEでやり取りしながら作ったんですけど、ちょっとノイズっぽいアプローチも入っていて。なので諭吉エッセンスが多めになっているとは思います。
──「むげん・」(『並む踊り』収録)でのコラボが7年前、当時はふたりとも10代の中盤でした。例えば「人生ゲーム」の《冷えたビールも美味しいから》や《自分だったら車はカーシェアリング》といったリリックが象徴的ですけど、『good life, good people』には大人になった崎山さん自身の時間の経過が大きな構成要素を占めているように感じたんです。
「人生ゲーム」は自分の日々の成長を意図して入れてる側面もあるかもしれません。「もう飲めまっせ?」みたいな(笑)。メガくん(Mega Shinnosuke)と人生について話してて、その時に出てきた「人生ゲーム」っていう具体的なワードから曲を作ろうと思ったんです。
──それで紫 今さんも含めて、各々の人生を歌うという。
そうですね。メガくんも《NO BEER NO BITTER》って歌ってるし、紫 今さんも自分なりのあるあるを歌詞にしていて、各々の思う「人生ゲーム」が一つになってるんです。今になってみると、僕もみんなも普通の人生だなって。そんな感じで『good life, good people』は全体的に日常の目線から考えたっていうか、同世代の人が多いのもその影響かもしれません。自分の生活と近いアルバムかも。
──「自分の生活を歌う」という目線は、これまでのアルバムにはなかったんですか?
あー、あんまりなかったですね。『i 触れる SAD UFO』の終盤くらいから生活への意識が芽生え始めてきたのかもしれません。それまでは自分の考えるイメージとかムードで作っていたというか、具体的なことについてあまり歌っていなかったんですよね。でも最近になって日常描写がある人が面白くなってきたんです。前野健太さんの歌とか、日常の一つの場面について歌っているだけだったりするじゃないですか。一人暮らしを始めて時間が経ったからなのか、そういうことを考えるようになったんです。

──『good life, good people』というタイトルの「life」はその日常に対応して出てきた言葉なのでしょうか?
そう、去年の夏にパッて思いついたんです。キャッチーな言葉なんだけど……でもアルバムは「悪魔」から始まるっていう。「その二つの狭間にみんないるはずなんだけどな」っていう対比もアルバムに込めたかったんです。
──アルバム発表時のコメントで「混沌」という言葉を用いていたのも、その対比関係があったからなのでしょうか?
そうなんです。ここ2年くらいは自分のマインドが落ちている時も多くて、だから『good life, good people』にはネガティブな歌詞も多いんですよね。だけどその間にも良い生活があって、良い友達と会って、なんか楽しかったりする。その過程をアルバムに入れようと思ったんですよね。最近本をまた読むようになったんですけど、西村賢太と村上春樹を同時に読むというか、そういう全然違う二つの世界の間に自分がいる感覚で。
──なるほど。
『good life, good people』は個人的にも好きなアルバムなんですけど、同時に「これだけじゃないぞ?」って言いたくなる気持ちがある。だから「悪魔」から作品に入ることが大事だったんです。「『good life, good people』ばかりじゃないぞ?」っていう。










B-064.jpg?width=72)























































































































































































































































































































































































B-064.jpg?width=350)