2026/06/12 18:00

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.381 SHISHAMO ありがとう!!!

OTOTOY編集者の週替わりプレイリスト&コラム(毎週金曜日更新)


SHISHAMO ありがとう!!!

今週は〈MUSIC AWARDS JAPAN WEEK〉ですが、今日ここには、SHISHAMOの話を書くためにやってきました。

この週末、2026年6月13日・14日の等々力陸上競技場〈Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu〉でのラストライブをもって、SHISHAMOは活動を終了します。

SHISHAMO。広くは「邦ロック」として聴かれてきたバンドですが、いわゆる「ロキノン系」ではないし、インディやオルタナの文脈で語られることも、ほとんどありません。デビュー当初からそうでした。でも、ぜんぜんそんなことないんですけどね。2013年の自主制作盤『卒業制作』や1stアルバム『SHISHAMO』あたりの楽曲は、まさにインディ・ロックそのもの。音の鳴りも、やっていることの違いも、オルタナ以外のなにものでもない。山中さわおがSHISHAMOのことを評した「やりかたが独特」というのはとても優しい言いようで、その貫きかたはパンクですらあったと思います。

個人的には現時点で、SHISHAMOは「“ガールズバンド” と称されない」ことに成功したバンドだったと感じています。女性だけのバンドであることを消したのではなく、それだけで説明されることを無効化した。恋愛も、生活も、女の子という言葉で雑に括られがちな感情も、SHISHAMOはすべて、バンド・サウンドとソングライティングの問題として鳴らしてきたのだと思います。そして、そうして心ならずも失ったこともきっとある。彼女たちの独特さがなにを成したかは、もうすこし後になってから分かるのでしょう。

・・・

私がSHISHAMOを知ったのは2013年。ただ、2013〜2014年は個人的な事情でまったくライブに行けなかった時期なので、ちゃんと観るようになったのは2015年から。2015年にいちばんたくさん観ていて、春ツアーのCLUB CITTA'からはじまり、初の日比谷野音、そして明けて2016年1月4日の武道館まで、10本くらい観ているはずです。

なので好きな曲は自主制作盤からファースト〜サードあたりに集中しているのですが、ここで困ったことが。

OTOTOYではSHISHAMOの初期タイトルを配信できていないのです。2019年のベスト盤、そして『SHISHAMO 6』以降のオリジナル作品は配信されるようになったのですが、過去カタログはなく…… こんなにバンドを愛しているのに。悲しい。

というわけで、苦肉の策として、OTOTOYのプレイリストにはベスト盤など配信中の音源から10曲を。反則技として、Spotifyでは本当に入れたかった10曲を選びました。

自主制作盤『卒業制作』1曲目、バンド初のオリジナル曲 “宿題が終わらない” もだいぶ凄いんですが、やはり “夢のはなし” に尽きます。これを聴いたとき、あ、これはマジ天才、と思いました。そして自主制作盤にして決定的極上ロック・バラードの “冬の唄”。1st『SHISHAMO』であれば、“君との事”。スリーピースの良さがすべて詰まっています。当時やっていたFMラジオのコーナーのエンディング・テーマにもなっていました。ベースライン、ギターのカッティング、アウトロの余韻まで、気持ちよさが異常。

ほとんど語られることがない曲をひとつ挙げるシリーズとして、シングル「量産型彼氏」のカップリング、アルバム未収録の “転校の歌” を。ストーリーテリングの歌詞で楽曲を成立させる技量、そしてギター・ソロの音色の選択に、当時、感服しました。

10曲に絞るのはとてもたいへんですが、最後は、“ハッピーエンド” 〜 “恋する”。「気持ちいい」と「なにこれ(すごい)」の高次元でのバランスは、やはり、抜きん出ています。

・・・

2018年に予定されていた等々力陸上競技場でのライブで、とっくにスタジアム・バンドになっていたはずの、SHISHAMO。しかし台風による開催中止。もちろんチケット持っていました。2年後の2020年のリベンジ公演もコロナで中止に。

そして、明日と明後日、ついに等々力でのライブを迎えます。いま、また、天気予報を確認しました。晴れ。

楽しくて、寂しくて、幸せな時間を、思う存分浴びてこようと思います。

この記事の筆者
高田 敏弘 (takadat)

Director。東京都出身。技術担当。編集部では “音楽好き目線・ファン目線を忘れない” 担当。

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.381 SHISHAMO ありがとう!!!

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.381 SHISHAMO ありがとう!!!

REVIEWS :  117 インディ・ポップ〜ロック  (2025年10月)──OTOTOY編集部(石川幸穂、菅家拓真、高田敏弘、TUDA、藤田琴音)

REVIEWS : 117 インディ・ポップ〜ロック (2025年10月)──OTOTOY編集部(石川幸穂、菅家拓真、高田敏弘、TUDA、藤田琴音)

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.368 震災のあと、歌は歌われた

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.368 震災のあと、歌は歌われた

OTOTOY各スタッフ+αがそれぞれ選ぶ、2025年の10作品

OTOTOY各スタッフ+αがそれぞれ選ぶ、2025年の10作品

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.358 2025年、良かったライブと心に残った楽曲

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.358 2025年、良かったライブと心に残った楽曲

2026年、OTOTOYはNaNoMoRaLの「革命の年」を応援します (おみくじ付きフリーDL音源あり)

2026年、OTOTOYはNaNoMoRaLの「革命の年」を応援します (おみくじ付きフリーDL音源あり)

REVIEWS :  113 インディ・ポップ〜ロック  (2025年10月)──OTOTOY編集部(石川幸穂、菅家拓真、高田敏弘、TUDA、藤田琴音)

REVIEWS : 113 インディ・ポップ〜ロック (2025年10月)──OTOTOY編集部(石川幸穂、菅家拓真、高田敏弘、TUDA、藤田琴音)

REVIEWS : 105 インディ・ポップ / インディ・ロック  (2025年8月)──OTOTOY編集部

REVIEWS : 105 インディ・ポップ / インディ・ロック (2025年8月)──OTOTOY編集部

Hammer Head Sharkが鳴らす、“孤独に触れる音”の真髄とは──ライブの熱が息づくファースト・アルバム『27°C』

Hammer Head Sharkが鳴らす、“孤独に触れる音”の真髄とは──ライブの熱が息づくファースト・アルバム『27°C』

REVIEWS : 101 インディ・ポップ〜ロック (2025年6月)──OTOTOY編集部

REVIEWS : 101 インディ・ポップ〜ロック (2025年6月)──OTOTOY編集部

諦観から始まる希望の音楽──colormal『夜に交じる人たち』

諦観から始まる希望の音楽──colormal『夜に交じる人たち』

OTOTOY各スタッフ+αがそれぞれ選ぶ、2024年の10作品

OTOTOY各スタッフ+αがそれぞれ選ぶ、2024年の10作品

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.307 ロックだとかポップだとか

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.307 ロックだとかポップだとか

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.306 2024年リリースもライヴも良かったアーティスト

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.306 2024年リリースもライヴも良かったアーティスト

Hammer Head Shark──音像と皮膚の境目がなくなるとき、そこは僕と君の居場所

Hammer Head Shark──音像と皮膚の境目がなくなるとき、そこは僕と君の居場所

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.290 Please, Please, Please

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.290 Please, Please, Please

常に4人で面白いと思えるところへ──ANORAK!、試行錯誤で挑んだ“ダンス・ミュージック”

常に4人で面白いと思えるところへ──ANORAK!、試行錯誤で挑んだ“ダンス・ミュージック”

疑いながら答えを積み重ねていくdownt──自身を貫いた先で待つ名盤に向かって

疑いながら答えを積み重ねていくdownt──自身を貫いた先で待つ名盤に向かって

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.266 ロスレスをdigる

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.266 ロスレスをdigる

「ついに日本でやるんだ」──アジアの観客とアーティストたちが〈BiKN Shibuya〉で灯した光

「ついに日本でやるんだ」──アジアの観客とアーティストたちが〈BiKN Shibuya〉で灯した光

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.231 夏です

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.231 夏です

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.219 アズテック・カメラから、ウェブ経由、The 1975まで

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.219 アズテック・カメラから、ウェブ経由、The 1975まで

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.201 2022年をふりかえる

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.201 2022年をふりかえる

やりたいことが増えて満足してないです──バンドになったcolormalが目指す色彩と普遍

やりたいことが増えて満足してないです──バンドになったcolormalが目指す色彩と普遍

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.161 私立恵比寿中学と時と私

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.161 私立恵比寿中学と時と私

名盤を50年かけてでも作りたい──NaNoMoRaLが放つ、渾身の自信作『ne temo same temo』

名盤を50年かけてでも作りたい──NaNoMoRaLが放つ、渾身の自信作『ne temo same temo』

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.149 今年刺さった楽曲・アーティスト

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.149 今年刺さった楽曲・アーティスト

三方幸せな必然的邂逅──バンドとして深化したSACOYANSの2年間

三方幸せな必然的邂逅──バンドとして深化したSACOYANSの2年間

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.126 優しく力強い、確信

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.126 優しく力強い、確信

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.97 making our future

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.97 making our future

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.74 延期(中止)になったもの

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.74 延期(中止)になったもの

長期戦になるけど、またみんなに会うために──いまこそ下北沢にエールを!

長期戦になるけど、またみんなに会うために──いまこそ下北沢にエールを!

宅録とバンド、両岸を軽やかに渡り歩く喜びを分かち合う、colormal

宅録とバンド、両岸を軽やかに渡り歩く喜びを分かち合う、colormal

小樽発、plums──せめぎ合う3つの凛とした“メロディ”

小樽発、plums──せめぎ合う3つの凛とした“メロディ”

熊本発。3人のソングライターが織りなす透明感と強さ──Shiki

熊本発。3人のソングライターが織りなす透明感と強さ──Shiki

絡み合うふたりのヴォーカル。発見と驚き──メレ

絡み合うふたりのヴォーカル。発見と驚き──メレ

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.45 20年代の希望、ここにあります

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.45 20年代の希望、ここにあります

パンキッシュなアティチュードと甘美なメロディ、そして貫かれる美学──Waater

パンキッシュなアティチュードと甘美なメロディ、そして貫かれる美学──Waater

【REVIEW】The 1975 「People」、世界を驚かせた激情と抵抗

【REVIEW】The 1975 「People」、世界を驚かせた激情と抵抗

その天性のヴォーカルはあなたの心に痕跡を残すだろう──afloat storage

その天性のヴォーカルはあなたの心に痕跡を残すだろう──afloat storage

TOP